いつかは訪れる、優しい眠りを   作:夢破れた羽

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投稿時のラグかなにかでタグに「現代パロ」が入ってました。なんか内容的にオベロン「らしい」のでそのままにしたかったんですが……やめました(ソソソソソソソ)
普通に外します。


その2

 

 

「キャロットいつもありがとうな!」

「お安い御用さ。君達が流通ルートを開拓すれば僕の儲けにもなるんだ」

 

郊外。そこにはオベロンとカリュドーンの子のリーダーであるシーザーがいた。

そう、このオベロンは原油の流通ルートをホロウを通る事で短縮する方法を利用して、信用拡大する事にしたのだ。これも後々の事を想定してでの事である。

パールマンという男が捕まり、現在は裁判の予定である。邪兎屋が証人として出廷予定らしいが、逃げられる可能性がある。

その為、活動範囲が物理的に広いカリュドーンの子とのパイプを得る事を優先したのだった。最近はパエトーンに仕事を斡旋してないので不審がられるかもしれないが、不審がられるのも想定している。その方が後々都合が良いからだ。

 

「このルートはトライアンフの縄張りに近い。衝突は避けてこっちを通ると良い。向こうも手出しできないからね」

 

各地に配置したボンプを利用して得たホロウ内部構造を利用したキャロットは正確無比。だが、変化が凄まじいラマニアンホロウや零号ホロウでは宛にならない。リアルタイムで計測し続けなければならない関係上、常にボンプを引き連れて内部に入る必要があるからだ。

継続的に演算が必要である。危険性の問題で、防衛軍やホワイトスター学会やら傭兵のプルクラを雇うなりして探索する必要があるのも痛い。主に出費が。

 

ドリフトアイスで痛い目見たオベロンは、零号ホロウに性質が近いホロウには早々潜らないようにしている。大量に抱えているボンプが壊滅しかねない。演算機能特化にしたのがオーバーヒートしてしまって回路が焼き切れて修復不可能になったからだ。出費が痛すぎる。

この時の出来事が原因でツケが爆増してしまったのだから。違法改造銃や装備を売っぱらって得た金で返済し切ったから良しと言うオベロン談。

 

決して口にしないが、あくまで真実を追う事ができるパエトーンの2人について行く事さえ出来れば良い。実際にそれに習う形で、とある未来でカルデアのマスターの夢を守れていた訳だが。

もしあの2人が力尽きた時、それを引き継げるぐらいの技術を身につけたのだから。

大多数のボンプを利用した映像に写真、電波と信号を解析して作ったキャロット。

 

通称、直近作成キャロット。カリュドーンの子と会う直前までに作られたデータである。そりゃあ信用性もあれば、その場で変化を観測できれば取引してる最中にもデータを新しいのに更新する。

直接案内するのがパエトーンなら、外側で道を示すのがオベロン。

 

オベロン個人では、あのHDDシステム……というより、インプラントの方の影響であの2人に何かしら影響が出てると予見している。

エーテル適正と言うべきか、そういうのが減退している感覚がある。この辺りは勘の領域だが、蟲の知らせというべきか。死が近いと『そういう感覚』を知覚できる。

何せ、あの二人は完全に生身の人間ではない、と理解できたからこその異質さがわかったのだから。

ボンプによる解析によると脳と目に何かしらが入っている。HDDシステムとの連携前提のインプラントと予測。イアスに接続する為のインプラント……という感じである。解析特化ボンプだからこその反則だが、キャロット作成のおまけだと思って悪気なし。

 

実際は対人理スキルによる本能的嫌悪が働かなかったことだが、その確証が欲しかったから解析した様なものである。

このスキルによる嫌悪感を感じないと言うことは、あの2人は何れは人外の領域に行くのであろう──という事になる。

どうしても、あの2人に『待った』をかけたくなくなる。そう思いたくなるのだから。

 

あの2人こそ、この物語の主人公なんだと、心から理解させられてるとも。

 

必要な情報を売り渡し、そそくさとエリー都に戻るオベロン。

途中でビリーとパエトーンが乗ったトラックがバイクに乗ったオベロンとすれ違う。オベロンは横目に見ながら市長とコンタクトを取る予定でいたのであった。

 

 

 

 

「オベロン様……御足労おかけします」

「構わないよ。市長と連絡とれそうなのは君ぐらいしか居ないからね」

 

ヴィクトリア家政。ご主人とやらが誰かは……わかったからこそ、オベロンは関わりを持つ事になった。

何を隠そうとも、1番のお得意様とはヴィクトリア家政である。ホロウ内部に足を運ぶことが多い関係上、パエトーンを除けば最も関わりが深いのはヴィクトリア家政──ライカンである。

 

「キャロットは更新したばかりですが、オベロン様から来るとなると、急ぎですか?」

「うん、パエトーン……の正体はもうわかってるだろうけど、あの子らはHDDシステムでダイブするとエーテル適正が落ちるようでね。何かしらの対策とか、そういうの持ってそうなのが市長だと思ってね」

「……」

 

その場で考えるライカン。残念ながら、弱体化していても妖精眼である程度の意図を読める。

警戒よりも、困惑だろう。市長が裏にいる事とパエトーンと関わりが深いのが、カローレ・アルナであること。これに近い事を言って来たのだから。

 

「……少ない情報で、よくたどり着きましたね。ご主人様、よろしいでしょうか?」

『構わないよ。何れはバレるんだからね』

 

ライカンが持っていた端末から男性の声が響く。オベロン的にはそこそこ当てずっぽうに近いが、それが的中したのが幸か不幸かは兎も角、あの2人の道行が若干怪しく感じたからである。

 

「僕のことは知ってるだろうけど、帯炉って名前で活動してる仲介業者さ。普通にオベロンって呼んで貰って構わない。隠してないからね」

『君のおかげでこちらも楽させて貰ってるよ。君のキャロット程正しいのは存在しないぐらいだからね』

「それは光栄だね。……で、HDDシステムに関する問題はどうにかできる?」

『できる。あの子らの師とは知人でね、そういうのを解析してできるようにしている』

「じゃ、任せちゃって良いかい?本当は僕がやってあげたかったんだけど、厄介な奴らが2人にタゲを向けさせない為に暴れてるからね」

 

ブリンガー然り、讃頌会のミアズマ然り、様々な所で破壊工作や情報操作している為、TOPSの1部や讃頌会から蛇蝎の如く嫌われてるオベロンは、今や自前の情報操作で賞金が無い様にしているが、裏ではヒットマンも含めた奴らから賞金首として狙われている。億単位の賞金首だ。

 

それらを全部回避し、あまつさえ装備を剥いて売っ払うもんだから嫌われっぷりは尋常ではない。音動機も同様である。

追っ手がホロウ内でエーテリアスになっても知らぬ存ぜぬ。証拠消すのに楽だからって理由でホロウで消す──つまり、逆もできる訳である。

その為、オベロンを表立って糾弾もできなければ指名手配も出来ない。勿論、証拠が無いからだ。

治安局は寧ろ、オベロンがいなければ成り立たない状態になっているので、指名手配したら仕事もなにも、ましては評判さえ落ちかねない。

「懐に罪人がいた」という事実は、治安局の信用が落ちる事になるからだ。

但しオベロンではなくても、結局評判は地に落ちるのが確定している。予見している──というより当事者のオベロンは、分かりきった泥舟に乗るなんて事はしない。泥どころか紙の船だから。

 

「じゃ、僕からの情報をあげる。勿論、タダだよ。治安局のブリンガーは讃頌会の人間だ。また《サラ》という女の影がある。パールマンの時もそうだけど、暗躍し過ぎて顔が広まってるのに、よく頑張るものだね」

『やはりか。実はブリンガーの記憶力低下の話があった。侵食を受け入れてるから緩やかだが、侵食症状はしっかり出ていたという訳だな』

「侵食症状だったんだね、納得したよ。あ、そうだ。私設部隊員に襲われたけど、ごめんね。その辺は全員処理しちゃったんだ。武装全部剥がして売っちゃったんだよね」

『仕方ないだろう。襲ってきた方が悪いんだから。ましてはホロウの近場なんて、いくらでも隠す事はできるんだから』

「そういうこと。じゃ、僕はこれで。追われてる身だからね」

 

そう言ってそそくさと離れていく。バレエツインズの噴水広場に誰の気配がなくても、警戒したまま離れる。オベロンは、ライカンから目を離さないまま。

 

「……正直、驚きました。やる時はしっかりやる側だとは思いませんでした」

「殺しに来たんだから、殺されても仕方ないだろう?僕からは殺しに行ってないんだから、正当防衛……て事にして欲しいね」

「私からは狙うような事は致しませんので、ご安心を」

「そう言って今にも飛びかかりそうな程に、イラついているだろう?隠さなくて良い……とまでは言わない。君のポリシーには合わないなんて、そんなもんだよ」

「……失礼、しました」

 

拳を握り締め過ぎて出血してるライカンを横目に見ながら、背を向けた瞬間に姿を消すオベロン。

圧倒的な逃げ足。瞬きした時には影も形も無い。

 

『やり方は賛同しかねるが、立場も実力も本物だよ。無闇矢鱈に手を出さないのが良い』

「ですが」

『そういう事にしておけと言ってるのだよ、ライカン。あれは、我々が手を出して良い存在ではない。尻尾を出すまでは触れない。それまではビジネスだと思う事だ』

 

 

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