見捨てられし者達の元に狐が舞い降りた
零号ホロウが急激に拡大していく中、市民救助の為に軍の先遣隊と治安官はエーテリアスと戦っている最中、新エリー都に避難用のテントにて軍と救急隊による喧嘩が勃発していた。
「あんたら…軍人なんだろ!?だったら、どうして仲間を見捨てるような真似をするんだ…!」
「俺達だって、仲間を見捨てたくないんだ…!でも、上層部から命令が下された以上そうするしかない…!」
「それでも軍人か!?」
彼らがいがみ合ってるのは零号ホロウの拡大による被害、旧エリー都は既に半分が飲み込まれており、まだ避難できていない一般市民もいた。
その市民達を救助するため軍の先遣隊が今もホロウ内で戦っているがエーテリアスが無尽蔵に湧き出てくる為、対処しきれず増援要請を出した。
しかし、軍の上層部はこれ以上戦力を減らしたくないと言う理由で先遣隊を見捨てると言う判断を下したが、それに納得できない救急隊員や治安官が猛反対
軍人達も当然、見捨てる事なんてできない。しかし上層部に逆らえば組織は崩壊してしまう。どちらを優先すべきか聞くまでもないが、彼らの表情から悔しさが出ていた。
後の「パエトーン」と呼ばれるようになるアキラとリンもテントの外から様子を見ており言葉を失っていた。
「お兄ちゃん…まだ避難していない人達は大丈夫かな?」
心配そうに聞くリンだったが、兄であるアキラは微笑み
「大丈夫だよリン、狐の神様……ギーツが絶対に助けてくれる。僕達を助けてくれたように」
「ンナナナっ!!ンナンナ!(アキラの言う通りだよリン!)」
「イアス、お兄ちゃん……そうだよね!」
2人からの励ましを受け、リンはすぐに立ち直り、零号ホロウに向け、祈るように願った。
「お願い狐の神様…どうか…まだ避難していない人達を…助けて」
そして──彼女の願いはホロウの中で戦う貴方に伝わることになる。
◆
青い高次エネルギーが放出され、エネルギーは無数に湧き出てくるエーテリアスを消滅させる。
彼女の願いを聞いた貴方はより強くなっていく。
そしてその願いを叶えるために貴方は避難していない人々を片っ端から救出した。
「あ、ありがとうございます!」
「貴方は命の恩人です!」
「助けてくれてありがとう!」
「ありがとう!狐さん!」
"ありがとう"……その一言を聞く度に貴方に勇気が湧いてくる。最初は自分でも助けられるかどうか不安だった。
しかし、少しずつ自信がついた事でこうして多くの命を救う事ができている。
──全員、助けられるか分からないけど目の前にある命は必ず…!
神速とも呼べるスピードでホロウの中を駆け巡る、そんな時、無数のエーテリアスと戦い続ける兵士達の姿が見えた。
◆
「くそっ!トリガーが負傷した!」
アイマスクしていた狙撃手がエーテリアスの攻撃により両目をやられてしまった。
「コキュートス!」
「任せろ!大丈夫だ、トリガー今治してやるからな!」
コキュートスと呼ばれる衛生兵は医療道具を取り出すと狙撃手トリガーの治療を始めた。他の兵士達はエーテリアスの進行を防ごうと奮闘している。
「まずい!12時の方向にファールバウティが来る!」
「アケロン!下がってろ!」
砲兵がロケットランチャーを構え、ゴリラのようなエーテリアスに引き金を弾くとロケット弾が飛んでいき命中し大爆発を起こした。
「どうだ見たか!」
「油断するな!ステュクス!」
向かってくるエーテリアスを大半片付けられたかと思いきや、思わぬ死角からエーテリアスが現れた。
「ッ!まずい…コキュートス!」
「ッ!?タナトスかよッ!」
後方でトリガーを治療しているコキュートスの周りに三体程のタナトスが現れ、対象を貫かんと弓を構えた。
「ッ!チッ…こんな時に…!」
「コ…キュ……ト…ス……逃げ……て」
「馬鹿言うな!お前を見捨てるくらいなら…!俺が盾になる!」
コキュートスは仰向けになっているトリガーを覆うように身体で護りの体勢に入った。
タナトスの存在に漸く気づいたが、最早手遅れと言ってもいい、三方向から既に三本の矢が構えられている。他の隊員カロン、アケロン、ステュクス、レテは救援に行こうにも間に合わない
「やめろォォォォォォーーー!!!」
カロンが必死に手を伸ばしたその瞬間……
三体のタナトスが弓を弾こうとした瞬間、コアが一瞬で破壊された。
「ッ!?何が起きた…!?」
コキュートスとトリガーの前に現れたのは神々しい姿を持つ狐だった。
◆
ホロウの中を駆け巡っていた貴方はまだ残っている兵士達を見つけた。
治療に専念している兵士を撃ち抜こうとしたエーテリアスを二丁の拳銃で撃破し、地面に降り立つ
「…何者だ!?」
しかし、助けたとはいえ彼女達にとって貴方は得体の知れない存在、カロン達が貴方に銃口を向けてくるのは当たり前だ。
味方じゃないと弁明しようとした瞬間、カロン達の後ろにデュラハンとタナトス二体が現れた。
──伏せろッ!!
「「「ッ!?」」」
叫ぶとカロン達は即座に頭を下げ貴方はサイドグリップで左右同時にギーツバスターQB9とマグナムシューターの引き金を弾いた。
素早い射撃により一瞬で三体のエーテリアスのコアを吹っ飛ばし、変身を解くと貴方はこう答えた。
──味方だけどこれで信じてくれる?
「す、すまない…助かった」
「アンタ何者だ?何でこんな所に?」
ステュクスが貴方に質問すると
──仮面ライダーギーツ、又の名を神永 英寿。貴方達はライアー小隊でいいのかな?
「そうだ」
──貴方達を助けに来た。
「ッ…それはありがたい!実は増援を要請していたんだがどうも繋がらなくて…!」
──その事なんだけど、軍の上層部は最初から増援なんて送ってない
「ッ!?…どういうことだ!?」
──零号ホロウが拡大している限り、どうすることもできないと判断し、これ以上犠牲を増やす訳にはいかないと見捨てるつもりらしい
「巫山戯んなッ!!まだ他にも生存者がいるんだぞ!」
「軍の上層部は一体何を考えているの!?」
トリガーを除きライアー小隊の皆は怒りを顕にしていた。
自分たちはまだ避難していない人々の為に命懸けでエーテリアスを食い止めていたというのにこれ以上犠牲を出したくないという理由で見捨てようとする上層部に腹を立てていた。
「…ご…めん…なさい…私が…」
「トリガー、無理に喋らなくていい!お前はよくやったよ」
「クソ…ホロウの中にいるせいか侵食が進んでやがる!」
コキュートスがトリガーの治療に奮闘するが、侵食がどんどん進んでおり、このままでは最悪エーテリアスになってしまう…と思っていた矢先貴方が手を翳した
鐘の音が鳴り響くとコキュートスはトリガーの異変に気づいた。エーテルによる侵食が止まったのだ。何をしたのかとコキュートスが問うと
──まぁ、ちょっとした魔法かな?とりあえず後は応急処置さえすれば大丈夫
「すまねぇ、助かった」
「隊長、そろそろ撤退した方がいい。ここらのエーテリアスの相手にしたせいか弾薬が底を尽いちまう」
「ッ!?隊長!あれを!」
レテがそう言うと上空に大型のエーテリアスが現れた。その姿はふくよかな胸部から腕部にいたるまで女性的な見た目をしており、顔面や腰部のスカート部分も花開いた花弁のように見え、さながらホロウに咲いた麗しき大輪とも言える。
「アレを相手にしている余力はない。総員撤退するぞ!」
アケロンとコキュートスがトリガーを運び、その他の隊員は撤退の準備を進めようとするが、貴方は虚空に向けて手をかざすとホロウを渡る裂け目を出現させた。
「これは…!?」
─ここから外までだとかなり時間がかかるからその裂け目を使って。そうすればもう外に出られる
「本当か!?」
─けど、急いだ方がいい。彼らは式輿の塔を爆破して退路を断つつもりだ
「クソがッ!何もかも見捨てる気かよッ!」
「この任務が終わったら上層部としっかりと話し合う必要がありそうね」
「まずはここを脱出する!英寿、君も一緒に!」
カロン隊長は共に出ようと言うが、貴方は立ち止まったままで
──俺はここに残るよ
「はぁ!?何言ってんだよ!?」
──まだ、ホロウには残されている人々がいる。そ助けなくちゃならない。
「……本気か?」
──あぁ、それが俺の役目だから
「…分かった、それとライアー小隊を代表してお礼を言わせてくれ。
ありがとう、君が助けに来なかったから我々はここで死んでいた。」
カロン隊長は頭を下げると貴方は
──助けたいから助けた、それだけだよ。
他の皆も貴方に頭を下げ、ホロウの外へと繋がる裂け目へ入っていき見送ると大量のエーテリアスを前に
─変身ッ!
一騎当千の如くエーテリアスを殲滅していった。
──そして
◆
旧都陥落の悲劇から11年経ち、ルミナススクエアに来ており甘いものが食べたくなり貴方はパンの専門店にてどれを買うか迷っていた。
そんな時…
「おすすめはこしあんぱんですよ」
横から聞き覚えのある声をかけられ振り向くと黒いバイザーに金色のポニーテール、ミリタリーチックなスーツが目を引く服装を着込む女性が立っていた。
──トリガー!
「お元気そうで良かったです。英寿さん」
──そっちも元気そうだね。聞いたよ、オボルス小隊に入ったんだって?
「はい…ここで話すのもアレですから外で話しませんか?」
──そうだね、
貴方はおすすめされたパンをトリガーの分まで買って一緒に海が見える所まで歩いていきあんぱんを食べた。
「やっぱり、糖分摂取はあんぱんに限りますね」
──そうだね…話が変わるけどトリガー、目の方は大丈夫なの?
「見てみますか?」
カチャリとバイザーを外すと綺麗な瞳が映っており、エーテルによる侵食症状は完全に無くなっている。
──見えてるの?
「はい、しかし視界はぼんやりとしていますので戦闘の際はこうしてバイザーをつけているようにしているんです。」
──ッッッ
彼女の目の状態を聞き、貴方は少し後悔をしていた。
トリガーはそれに勘づいたのか
「もしかして、"あの時目を完全に治してあげれば"なんて思っていませんか?」
──え?わかるの?
「例えぼやけていても英寿さんの表情は分かります。…英寿さん、私は貴方に感謝しきれない程の恩があります」
──でも、君の目を
「確かに少し視力は低下しましたが、戦闘に支障をきたす程ではありません。
それに私だけでなくカロン隊長をはじめとしたライアー小隊、ネメシス小隊の皆、その全てを貴方が救ってくれた。
本当にありがとうございます」
彼女は頭を下げた。
自分としては目を治してあげたいと思っていたが今ここで治してしまえば彼女の意思を無駄にしてしまう
貴方は彼女が幸せであればそれでいいと納得する。
──そっか、……そう言えばライアー小隊を抜けてからの狙撃手は誰が?
「ネメシス小隊のヴァルチャーです」
──皆よく納得してくれたね。君がオボルス小隊に入るのを
「えぇ、旧都陥落を起こした元凶をどうしてもこの手で報いを受けさせたい…その一心を皆に伝えたら"行ってこい"と背中を押されました」
──これから忙しくなりそうだね。
「それと…オボルスの隊員の中にはあなたの事を探している人がいるみたいですよ?」
──そうなの?…もしかして
「大丈夫です。英寿さんの事は私達だけの秘密にしています。貴方は私達の命の恩人ですから…バレない限り隠し通すつもりです」
──ありがとう。
「あと…英寿さん、もし今日お時間があるようでしたらお買い物に付き合って頂けませんか?」
──ん?買い物?
「…実は日頃お世話になってるプロキシさんにプレゼントしたいと思いまして」
──アキラとリンにね、いいよ!
貴方はトリガーと共にルミナホールへと向かっていった。
いかがでしたか?今回、旧都陥落のお話を出させていただきました。今後もこんな風にちょっとした過去編を出したいと考えております。
皆様のお気に入り登録おまちしております。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=335819&uid=323354
また活動報告にて募集もやっておりますのでこちらもどうぞ↑