申し訳ございません
――讃頌会ロアSIDE――
全てが上手くいく筈だった……
労災の件でポーセルメックスと従業員の揉めている状況を利用し、作業員達はまんまと私の嘘を信じてくれた。あの雲嶽山でさえ騙す事もできた。
全ては「始まりの主」への捧げる供物にする計画が上手くいくはずだったんだ!!
なのに…なのに!!
──助けを呼ぶ声が聞こえたんでな。化けて出てきてやったぞ
奴が…ギーツが現れ、計画を全てぶち壊されてしまった。
奴は手を翳しただけでエーテリアス化させた人間を元の状態へと戻した。
ありえない…そんな芸当ができるのは「始まりの主」のみの筈だ!
状況が悪化するに連れて、部が悪いと判断した私はその場を離れようとした。
勿論、追ってくる事を前提に周りにいた部下に足止めを命令した。
だが、無意味だった。
時間稼ぎした部下達は一瞬でやられ、ギーツは目の前に現れ
──自分の利益の為に他人の幸せを奪おうとする奴は許さない
ドスの効いた声で私を拘束し、すぐさま供物になる筈だった者たちへ連れていかれ、ギーツに全ての真相を告げられてしまった。
くそ…ギーツさえいなければこんな事には
真実を知った者達は私に向けて怒りをぶつけた。
「何が始まりの主だ!存在するかも分からない奴に俺達を生贄に捧げようとしやがって!!」
「始まりの主は救いの手を差し伸べてくれる?…巫山戯ないで!」
「実際に俺たちを救ってくれたのはギーツだ!彼こそ救いの神様だ!」
黙れ…始まりの主を愚弄するか!!
まぁいい。
そう言ってられるのも時間の問題だ。解脳水を摂取したのはこの場にいる者達だけではない澄輝坪に住んでいる全員だ。
儀式が始まれば全てが完遂する。
いくらギーツと言えど全員を救うことはできまい。
なお、澄輝坪にて讃頌会による計画は上手くいったが、ギーツ出現によってミアズマに侵食された人々は全て助け出すことに成功した。
それを聞いた治安局に拘留されているロア先生が発狂したのはまた別の話
◆
貴方はウキウキしていた。
澄輝坪にてミアズマの脅威を退けた貴方は皆が寝静まる時間にて展望台で待ち合わせしていた。
先程、雲嶽山の儀玄から連絡を貰い姉の儀降と一緒に会いに来るからだ。
久しぶりに会うので貴方は楽しみで仕方なかった
「むぅ~~~~」
しかし、そんな楽しそうに待つ貴方に頬を膨らませ宜しくない表情をする瞬光
──どうしたの?
「ベーつーにぃぃぃ~~~」
貴方は何故、彼女が不機嫌なのか分からなかったが瞬光は彼に質問する
「英寿って年上の女性が好きなの?」
──うーん、どうだろ?好きな人とか考えた事ないから分かんないや
「そ、そうなんだ……(つまり、私にもチャンスはある!よ、よし!)」
葉瞬光には狙いがあった。
わざと不機嫌な表情をする事で「好きな人はいるのか」と誘導質問し、最終的には考えたことがないと答えられた。
彼女は「つまり、ここでアタックを仕掛ければライバル達に差がつく」と踏んだのだ。
同時に──彼女は思い返す
『私と貴女で手を組みましょう』
「ど、どういう事?」
精神世界にてもう一人の白い瞬光と彼女は対話していた。
『本来なら、私だけで彼を独占しようt「はぁ!?どういう事よ!?」…話を最後まで聞いて』
白い瞬光は己の人格が始めて目覚め、彼女とのやり取りを話していた
『私は貴女が抑え込んでいる人間性が具現化した存在。
貴女が寝ている間、彼を口説こうとしたんだけど…結果は惨敗。私が返り討ちにあってしまったわ』
「え?」
『私の姿を見て彼は微笑みながら「白い瞬光も綺麗だね!俺もできるよ、」って彼の白い姿を見た時「これでオソロだね」と言われた時は余りにもかっこよすぎて意識が飛びそうになったわ…』
「ち、ちょっと待って!白い英寿ってどういう事!?」
『分からないけど、彼曰く神様だから姿を変えることできるみたい。
白い姿は神様としての姿らしいわよ』
「そ、そうなんだ…(白い英寿…見てみたいかも)」
『…だから、私が変わっても彼を口説く事はできない。けど、私達なら』
「それができる」
『そう、だから私は何がなんでも
「も、勿論!」
◆◆◆◆
――瞬光SIDE――
元々、瞬光は密かに英寿に想いを寄せていた。
きっかけは10年前、鉱区跡地で記録的なミアズマの大量発生に襲われた時だった。
両親は彼女達兄妹を信頼できる人に預け、自ら犠牲になろうとしたが
──大丈夫、助けに来た
ギーツ…彼が地区に残った両親を助けてくれた。救助地点で合流した時は涙が止まらなかった。
それ以来、瞬光は両親を助けてくれたギーツに感謝を伝えたいと雲嶽山へ兄と共に入門した。
そんな時、当時雲嶽山と親しみがあった神永 英寿と知り合った。
初めて会った時、誰かに似ているようなと違和感を覚えていた瞬光はすぐに仲良くなり、修行する自分達を優しく見守ってくれた。
ある日、瞬光が強くなりたいが為に勝手でラマニアンホロウへ出向き、修行をした日があった。
しかしその日のホロウは活性状態であり、凶暴なミアズマエーテリアスの軍団に襲われた。
勿論、彼女も応戦したが、圧倒的な数を前に苦戦し勝手な行動をしてしまった己を悔やみ死を覚悟したが
──良かった、無事で。後は任せろ
英寿がバイクで駆けつけ、彼の姿が変わった。
今まで感じていたモヤモヤがスッキリした。
彼こそ両親を救ってくれた救いの神様ギーツ。
圧倒的な力でエーテリアスの軍勢を葬った後、瞬光は不意に抱きつき泣きながら感謝を伝えた。
『ありがどう…ずっどお礼が言いだがっだ…お父ざんどお母ざんを助げでぐれで…本当に!』
そう言うと彼は
──俺の方こそありがとう。君達兄妹が元気よく生きててくれて嬉しい
微笑みながら抱き返してくれた。
これが雲嶽山剣主「葉瞬光」が狐の神様を好きになった瞬間でもある。
◆◆◆◆◆
『いい?今の彼はスマホを弄ってる。貴女が急に抱きつけば、彼の心は揺らぐかも知れないわよ。』
「わかったわ!」
貴方がスマホを弄っている間に彼女は誰かと会話していた。
おそらくもうひとりの瞬光であろう、仲が良くて何よりだなと微笑みながらスマホを弄る。
瞬光は両手を構え、彼に抱きつこうとした…その時
「すまない、待たせたな」
「英寿!会いたかったわ!」
タイミングが悪すぎた…
雲嶽山の宗主「儀降」と現師匠の「儀玄」が来てしまい、姉の儀降は彼の肩に抱き着いた。
瞬光は自分がやりたかった事を宗主に先を越されてしまい、己の失態に悔やんでいた。
なお、来ていたのはどうやら2人だけではないと気づくのは後の話
次回はイーシェンとイーシャンと英寿との出会いの話になります。
それと余談ですが実は今作主人公のオリジナルエージェント化を投稿しようと思いまして詳しいことは下のリンク欄をタップしてご覧ください
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