マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート/ともだちいっぱいピアニストチャート 作:やこらしき
side:梓 みふゆ
これまでと何も変わらないはずなのに、その日の校門はワタシには重々しく感じられました。
梓家の子女としての自覚を持ちなさい
高校生は大人の仲間入りだと、昨日の、いつもよりも長いお母様からのお説教は耳を離れず、重い足を進める通学路。 並んで歩く友達も、中学生の時よりも大人びた立ち振る舞いに見えて、息が詰まる思いです。
(今年は精いっぱい頑張って来年は部長を目指すんだ!。そういえば、みふゆも筝曲部で部長目指してるんだっけ?)
手芸部の友達とのそんなちょっとした会話すら、ワタシはプレッシャーに感じていたんです。
そんな時でした
ワタシたちの遥か後方、『真加奈 ほのか』さんが、真剣な顔で生徒の間を縫うように走っているのです。
ワタシにとって『真加奈』さんは、筝曲部の体験入学でご一緒したときの、あまりの不器用さと、それでも真剣な瞳で取り組む横顔がとても印象に残っている方でした。まだ泣き虫だった当時のワタシには、苦手なことに弱音も弱い顔も見せずに挑む『真加奈』さんの姿が、とてもまぶしく映ったんです。
そんな『真加奈』さんの真顔とあまりにもきれいな躱し方のギャップが、なんだか可笑しくて、それでもこんなことで往来で笑っていては、またお母様に叱られると笑いを堪えていました。
そんな中、友達の様子も伺ってみれば、彼女もまた笑いを何とか堪えた顔でこちらを見ていて、思わずどちらともなく吹き出して、声を上げて笑ってしまったんです。
気が付けば校門はとっくに通り過ぎていて、校舎へ向かうその足取りもいつの間にか軽くなっていました。
クラス名簿でわかっていましたが、新しい教室へ向かってみれば、そこには見知らぬ方もたくさんいました。一通り挨拶を交わして自分の座席に着き、少し一息です。
そして目をつむってみれば、改めて今日から高校生なんだという実感、また少しだけ不安と重圧も感じてしまいました。
気持ちに負けないように意識して目を開けてみれば、そこにはワタシを視界の中心に捉えて廊下から一直線に向かってくる『真加奈』さんの姿がありました。
驚きを感じながらもまずは挨拶を、と思った矢先です。
ギュ
突然、手を握られました。
記憶通りの真剣な瞳で、さらに指を絡めて...
登校中の出来事もあって、この時のワタシの頭は真っ白になってしまいました。何も反応できないまま、先生の声で我に返ってみれば、『真加奈』さんはとっくにいません、呆然としたままホームルームが始まってしまいました。
午前の授業中も頭の中は、あの瞳と指の感触にいっぱいで、授業の合間の休み時間に自席から『真加奈』さんの様子を伺ってみても、彼女はノートを注視するばかりで何もわかりません。
ようやくお昼休みになり、『真加奈』さんの元へ向かうため席を立とうと思えば、ワタシの心の準備もすまないうちに、『真加奈』さんが自分からこちらに向かってきたんです。
そしてワタシが何とか口を開こうとした直後に「放課後、キョウチクトウの下で」とだけ言い残して去っていきました。
朝の思わせぶりな態度に、放課後に、二人で木の下...
つい最近、本で読みましたよ...こ、これって、もしかして...愛の告白、というものでしょうか...?
い、いえ、ワタシには許嫁もいますし、そもそも女性同士です、それにそういうのはまずお互いのことを良く知り親交を深めてからというものですし...
突然のことに色々な考えが頭の中を駆けめぐり、気が付けばお昼休みどころか午後の授業も終えて放課後になってしまいました。
(...やっちゃん、ワタシ、どうすればいいのでしょうか...!?)
思わずここにない親友へ心の中で助けを求めてしまいます。
告白とも限りませんし、どちらにしても、まずは行ってみるしかありません...!
当たり前の答えを時間をかけて導いて心を落ち着かせました。なんとか体を動かし、席から立ち上がります。
そして時計を見てみれば、...すでに放課後に入ってそれなりの時間が経っていました。
これは...よくないのではないでしょうか?
......い、急いで向かうことにしましょう...!
そして、キョウチクトウの下についてみれば、
そこには、3人の生徒の姿...
2人のワタシの知らない子そして、相対するなぜか息を切らしている『真加奈』さん。
こ、これも、最近本で読みましたよ...!
痴情のもつれ...ってやつですよね!?