マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート/ともだちいっぱいピアニストチャート   作:やこらしき

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文学的表現が何も分からないので初投稿です。


4.裏

side:梓 みふゆ

 

 箏曲部の活動を終え、爪を外した指先に残る心地よい痺れとともに自宅の玄関をくぐった時のことでした。

 ふと、明日の茶道のお稽古がお休みになったことを思い出したのです。

 

 自由な時間は、みかづき荘を訪ねて『やっちゃん』と過ごす。これは小学生の頃から変わらない、ワタシの一番の楽しみでした。

 いつものように連絡を入れようとして、思い止まります。

 ...そういえば明日は、『やっちゃん』もおばあちゃんと一緒にお買い物に出かける予定があると言っていましたね。

 

 何もせず家にいれば、お母様から厳しい作法の練習を申し付けられるのは目に見えています。

 それに最近は水名の女の嗜みとして家事の練習も始まったんです...うぅ...ワタシ家事はどうしても慣れません...。

 とはいえ、一人では出かける場所も思い当たらず...。

 

 ふとその時、スマートフォンの画面が明るく光りました。

 

 「あら、『みたま』さん...!」

 

 表示されたのは『みたま』さんの名前。それは明日のお出かけのお誘いでした。続く文には

 

 「甘いところなんてどうかしらぁ~」

 

 とケーキのスタンプのおまけです。

 さらに偶然にも、ほとんど同じタイミングで『真加奈』さんからは

 

 「明日、ご都合がよろしければ、甘味処へ行きませんか」

 

 と通話が入ったのです。

 

 お誘いはとても嬉しいです、ですが。

 ワタシ、そんなに甘いものが食べたいと顔に出ていたのでしょうか。

 ...いえ、思い返せばお饅頭を食べたいとお昼に何度かこぼした記憶があります。

 ちょっとだけ恥ずかしいです...。

 

 その後は、三人で通話を繋いで計画を立てることになりました。

 甘味処、というとワタシにはいくつかの和菓子のお店が思い浮かびました。

 その時ふと頭をよぎったのは、昔よく通った思い出深い駄菓子屋「あした屋」でした。

 久々に行ってみたい...、「あした屋」のおばあちゃんは元気にしているでしょうか。

 ...でも、高校生二人に中学生一人があそこの小さなベンチに並ぶ姿を想像してみると、少しばかり手狭に感じてしまいました。

 そうですね、あした屋さんは、また今度『やっちゃん』と二人でのお楽しみとしましょう。

 

 「どこへ行きましょうか。ワタシ、何も思いつかなくて......」

 

 ワタシがそう呟くと、電話の向こうで『みたま』さんが弾んだ声を上げました。

 

 「ふふ、それならわたしに名案があるわ~。少し前から行ってみたーいって思ってたパティスリーがあるの~!」

 

 

 

 翌日、私たちは駅で待ち合わせました。

 駅から歩いてくる『みたま』さんに手を振り合流、程なくして小走りで『真加奈』さんもやってきました。

 『真加奈』さんがそそっかしく思えるのは、いつも走っている姿をよく見るから、なんでしょうかね...?.

 

 三人で賑やかに歩いて向かったのは、神浜で最近話題の「はむるる」というお店でした。

 店内に足を踏み入れると、バターと砂糖が焼ける幸せな香りが全身を包み込みます。

 ショーケースの中には、和菓子とはまた違ったきらびやかさを持つケーキが所狭しと並んでいました。

 

 「チョコも捨てがたいですし......あ、見てください、桜のモンブラン!こういうのもあるんですね~、季節感があって素敵です......!」

 

 ワタシたちが声を弾ませて悩んでいると、『みたま』さんが

 

 「全部頼んで分けっこしましょ~♪」

 

 と提案してくれました。

 テーブルに並んだ色とりどりのケーキを囲み、フォークを動かしながら交わす他愛もないお喋り。口の中でとろけるクリームの甘さは、始まったばかりの高校生活の緊張感を、優しく優しく解きほぐしてくれるようでした。

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰り際にお土産を選ぶことにしました。

 『やっちゃん』とおばちゃんへ、日頃の感謝を込めて。もちろん、自分の分も忘れませんよ。

 

 そこでふと、あるお菓子に目が留まりました。『お菓子の村のどんぐり』と『チョコの森のくるみ』です。

 

 「あ......これ」

 

 かつてバレンタインに、『やっちゃん』がワタシに贈ってくれたお菓子。

 『やっちゃん』、確か『どんぐり』の方が好きだって言っていましたね......、懐かしい記憶を指先でなぞるように、ワタシはその箱を手に取りました。

 

 横では、『みたま』さんが「どっちがわたしの好みか、当ててみてぇ~」と茶目っ気たっぷりに微笑み、『真加奈』さんは真剣なのか冗談なのか、いつもの表情で「わたくしは、きのこ派です」と断言しています。

 

 そんな二人の様子に、思わず笑みがこぼれました。駅へ向かう道すがら、夕焼けに染まる街並みを見渡すと、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じます。

 

 学校の友達と、こうして何気ない休日を笑って過ごすこと。小学生の頃にずっと見ていた夢を思い出します、厳格な家柄に縛られ、せめて夢の中だけでもと願った日々のひとひら。

 ...ふふ、今度は『やっちゃん』も誘って皆でお出かけしたいですね。

 

 「また、みんなでお出かけしましょうね~。今度は1090でショッピングなんてどうかしらぁ?」

 

 1090、『やっちゃん』から聞いたことがあります。

 何でも、お洋服にカフェ、様々なお店が集まっているとか。

 いいですね、ショッピング...!

 

 今からでも次のお出かけに心が躍ります!

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