フィジカルゴリラな木場祐斗   作:お粥のぶぶ漬け

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第11話:不滅の終焉、あるいは蹂躙の鉄拳

冥界の特設空間で行われた、グレモリー対フェニックスのレーティングゲーム。

 一誠は、合宿で叩き込まれた地力を振り絞り、ライザーをあと一歩というところまで追い詰めた。だが、不死鳥の「再生能力」という絶望的な壁を前に、一誠は力尽き、盤上から脱落する。

 

「ハハハ! 所詮は下級の付け焼刃よ! どんなに足掻こうが、俺は不滅だ!」

 

 勝ち誇るライザー。グレモリーのメンバーが半数以上脱落したその瞬間、特別枠として待機していた「シトリーの騎士」への参戦制限が解除された。

 

「……お喋りはそのくらいにしておけ。耳障りだ」

 

 静寂を切り裂き、俺は戦場の中央へと降り立った。

不滅の解体

 

「シトリーの騎士だと? 木っ端役人が、焼き尽くしてくれるわ!」

 

 ライザーが猛烈な炎を放つ。だが、俺は天与の身体による最小限の動きでその熱線を紙一重でかわし、一気に間合いを詰めた。

 手にしているのは、一誠から解析した「倍加」の概念を付与した一振り。

 

「一撃だ」

 

 ドォォォォンッ!

 倍加された衝撃がライザーの胸部を粉砕する。だが、彼は即座に炎を纏い、傷口を塞いだ。

 

「無駄だと言っただろう! 俺はフェニックスだ!」

「……ああ、知っている。だからこそ、その『再生』の仕組みをじっくりと味見させてもらう」

 

 俺は『解析の魔剣』をライザーの肉体に突き立てた。

 【因子解析:不死鳥(フェニックス)】。

 彼の肉体が崩壊と再生を繰り返すそのリズム、魔力による細胞の超速再構成プロトコル。それらすべてを「解析」という名の牙で剥ぎ取っていく。

(……見えた。これが不死の理か。魔力を代償に『状態の巻き戻し』を行っているに過ぎない)

 解析が終わると同時に、俺の掌に新たな魔剣が顕現した。

『自動治癒の魔剣(フェニックス・コア)』。

心を折る「不滅」の蹂躙

 

「……さて。お前の誇る不死身が、俺の魔剣の前でどれだけ価値があるか試してみようか」

 

 俺は魔剣を自身の胸に突き刺した。驚愕に目を見開くライザーと観客たち。

 だが、傷口は瞬時に、ライザー以上の速度で塞がった。

 

 

「なっ……!? なぜ貴様がフェニックスの力を……!」

「お前は魔力を消費して再生するが、俺のこれは『概念』の再現だ。……ここからは、どちらの心が先に折れるかの根競べだ」

 

 俺は武器を捨て、拳を固めた。

 天与の身体による暴力の嵐。ライザーの顔面を、腹部を、四肢を、魔力を使わぬ純粋な破壊力で何度も、何度も粉砕する。

 ライザーが再生し、炎で反撃する。俺はその炎を避けもせず受け、焼けた皮膚が即座に再生する端から、再び彼の肉体を打ち砕く。

 

「……あ、あが……っ!」

「どうした、再生しろ。お前は不死身なんだろう?」

 

 一分、二分。終わりなき蹂躙。

 ライザーの瞳に、初めて「死」への恐怖が宿り始めた。自分と同じ、いや自分以上の速度で再生しながら、痛みさえ感じさせない無機質な暴力で殴り続けてくる怪物を前に、彼のプライドは音を立てて崩壊していく。

 

「や、やめろ……来るな……! 棄権だ、俺の負けだぁぁぁ!」

 

 不死の王が、涙を流して地面を這いずる。

 俺はその首根っこを掴み、冷徹に告げた。

 

「お前のその再生能力……俺の糧として、ありがたく使いこなしてやるよ」

 

 最後の一撃。ライザーの精神が完全に折れた音と共に、ゲームセットの合図が響いた。

盤上の王女への帰還

 夕闇の迫る現実世界。

 ボロボロになったライザーを尻目に、俺はソーナの元へと歩み寄った。彼女は、言葉もなく、ただ震える瞳で俺を見つめていた。

 

「……ただいま戻りました、会長」

 

 俺が膝をつくと、ソーナは堪えきれなくなったように俺の首に抱きついた。

 

「……信じていたわ。でも、あんな……あんな無茶をして……!」

「無茶ではありません。俺があなたを悲しませるはずがないでしょう」

 

 俺は彼女を強く抱きしめ、獲得したばかりの『自動治癒の魔剣』の微かな脈動を感じていた。

 これで、俺の生存能力は極致に達した。誰にも、たとえ魔王であろうとも、俺を殺すことはできない。

 ソーナの温もりを感じながら、俺はリアスの方を向いた。

 自由を手に入れた彼女は、感謝と、それ以上に「手に入らないもの」への切なさを湛えた瞳で俺を見つめていたが、俺はあえて視線を逸らし、愛する主の髪を愛おしそうに撫でた。

 

「……次は、もう少し歯ごたえのある『因子』を期待したいですね」

 木場祐斗の盤面は、ついに「不滅」という最強の盾を手に入れた。

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