フィジカルゴリラな木場祐斗   作:お粥のぶぶ漬け

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第14話:魔王の黄昏、あるいは蛇の残滓

三勢力会談、当日。

 天界、冥界、そして堕天使。数千年の闘争を経て、ようやく一つの円卓を囲む神話の頂点たち。

 俺はシトリー生徒会の書記として、そしてソーナの「傍付き」として、彼女のすぐ背後に控えていた。

 

「……シトリーの騎士。平和の誓いを、君ならどう守ってくれるかな?」

 

 冥界の魔王サーゼクスの問いに、俺は静かに答える。

 

「……俺の主(ソーナ)を害するノイズがあるなら、そのすべてを断ち切り、糧にする。それが俺の唯一の答えです」

 

 不遜とも取れる言葉に、サーゼクスは愉快そうに笑ったが、その直後、講堂の結界が外側から無残に叩き割られた。

簒奪の始まり

 襲撃者は旧魔王の血統、カトレア・レヴィアタン。テロリストたちの乱入により、会談場は一瞬にして戦場へと変貌する。

 

「……会長、俺の背後から一歩も離れないでください。蹂躙します」

 

 俺は『聖魔剣』を抜き放ち、向かってくる敵を「高速」の因子で断ち切りながら、壇上のカトレアへと迫る。彼女はレヴィアタンの権能である「水」と、執念深く絡みつく「蛇」の魔力で俺を束縛しようとした。

 

「旧魔王の血……絶好の食材だ」

 

【因子解析:レヴィアタン(水・蛇)】。

 魔剣を通じて、彼女の魔力特性を強引に引き抜く。さらに、彼女が力の一部として取り込んでいた「オーフィスの蛇」の波動が、俺の魔剣へと流れ込んだ。

 

(無限の龍オーフィス……! くっ、底が見えない……!)

 

 【強制解析:オーフィスの蛇】。

 脳が焼き切れそうなほどの膨大な情報を前に、魔剣の生成には至らないものの、俺の魔力回路は「蛇」の毒を喰らい尽くすことで、変異的な強靭さを獲得していく。

 魔力の核を喰い荒らされたカトレアは、光の霧となって消滅した。

砕かれた信頼、白き龍の離反

 だが、カトレアを沈めた瞬間、戦場に異様な静寂が訪れる。

 会談側の護衛として待機していたはずの「白龍皇」――ヴァーリ・ルシファーが、静かに翼を広げ、宙に浮いた。

 

「……さすがだな、木場祐斗。だが、カトレアのような三流に構うのはそのくらいにしておけ」

 

 ヴァーリの視線は、もはや味方へは向けられていない。

 彼は不敵な笑みを浮かべ、あろうことか自身の陣営であるアザゼルや魔王たちへ向けて、圧倒的な魔力の咆哮を放った。

 

「アザゼル、悪いな。俺は『禍の団(カオス・ブリゲード)』へ行く。……そっちにいる方が、面白い戦いができそうだからな」

 

 白龍皇の裏切り。会場に激震が走る中、ヴァーリの背後に一人の男が転移してくる。

 眼鏡をかけ、黄金の剣を携えた青年――アーサー・ペンドラゴン。

 

「待たせたね、ヴァーリ。……さて、シトリーの騎士。君のその『聖魔剣』、私の『ルーラー』で支配し、折らせてもらおうか」

 

 黄金の剣『聖王剣コリンズヴェール』が空間を震わせる。

 俺はソーナを庇いながら、鋭い眼光で空の二人を射抜いた。

 

「裏切りに、聖剣の王か。……いいだろう、まとめて俺の『完成』のための贄にしてやる」

 

 会談の平和は崩壊し、戦いは「解析の申し子」と「最強の聖剣使い」による、次元を超えた殺し合いへと突入した。

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