フィジカルゴリラな木場祐斗   作:お粥のぶぶ漬け

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第15話:支配への叛逆、あるいは真なる王の剣

崩壊する講堂。白光の翼を広げたヴァーリ・ルシファーに対し、一誠が咆哮と共に飛び出した。

 

「ヴァーリ! 裏切りやがったな! リアス部長たちの会談をめちゃくちゃにさせてたまるかよ!」

「来い、赤龍帝。お前の『倍加(ブースト)』がどこまで通用するか試してやろう」

 

 二人の龍がぶつかり合い、その余波で次元が歪む。その混乱の渦中、俺の目の前には静かに黄金の剣を構える男、アーサー・ペンドラゴンが立ちはだかっていた。

空間の支配者

 

「さて、始めようか。シトリーの騎士」

 

 アーサーが最強の聖剣**『聖王剣コールブランド』**を軽く振るう。

 一瞬、視界が歪んだ。物理的な距離を無視し、空間そのものを切り裂く断絶の刃が俺の喉元へ奔る。「天与の身体」が即座に反応し、俺は紙一重で首を逸らすが、頬から赤い線が走り、血が滴った。

 

「……空間そのものを切断しているのか。噂に違わぬ業物だな、コールブランド」

「それだけではないよ。これこそが、君の欠落した最後のピースだ」

 

 アーサーがもう一振りの剣――『エクスカリバー・ルーラー』を解禁した。

 その瞬間、俺の『未完成の聖魔剣』が激しく鳴動し、主導権を奪われそうになる。聖剣の因子が、本物である「支配」の理の前に平伏しようとしているのだ。

 

「ひざまずけ。私の『支配』の下では、あらゆる剣はその主への忠誠を忘れる」

「……笑わせるな。俺の剣が跪くのは、会長(ソーナ)の前だけだ!」

 

執念の解析

 俺は無理やり魔力を暴走させ、ルーラーが放つ支配波動に『解析の魔剣』の術式を叩きつけた。

 アーサーの空間切断が俺の肉体を刻む。再生が追いつかず、白い骨が見える。だが、俺はその痛みさえも「支配の法則」を読み解くためのデータとして利用した。

(切り裂かれる感覚、支配される波長……すべて脳に刻み込め。オーフィスの蛇の因子で強化された今の俺なら、この情報の奔流を飲み込めるはずだ……!)

【因子解析:支配(ルーラー)】。

 80%……90%……100%。

 

「見つけたぞ。お前の支配の『核』、その数式を!」

 

 俺は内なる魔剣創造の炉に、奪い取ったばかりの「支配」の概念を放り込んだ。

 破壊、擬態、高速、透明、幻影、祝福。バラバラだった6つの属性が、支配の理によって一本の筋道へと統合され、俺自身の闇と混ざり合う。

真・聖魔剣の覚醒

 俺の掌で、黒い霧と白銀の光が収束し、一本の洗練された剣へと姿を変えた。

『真・聖魔剣(エクスカリバー・シトリー)』。

 

「……なに!? 私のルーラーを逆位相で上書きしたというのか!」

「アーサー、お前の支配は広大だが、俺の支配はこの手の届く範囲……俺の主を守るためだけの極小の宇宙だ。密度が違うんだよ」

 

 俺は『真・聖魔剣』を一閃した。

 空間を切断するコールブランドの軌道を「支配」の力で強引に捻じ曲げ、無防備なアーサーの胸元へ、倍加された衝撃を叩き込む。

 

「ぐ、あぁっ……!」

 

 アーサーが後退し、膝をつく。最強の聖剣使いが、魔剣によってその「支配」を奪い返された瞬間だった。

決着、そして帰還

 ヴァーリと一誠の戦いも一時休戦となり、ヴァーリは空を見上げた。

 

「……アーサー、そこまでにしておけ。目的は達した」

「そうだね……。木場祐斗、君の剣は素晴らしい。完全な『禁手(バランス・ブレイク)』に至らずとも、私の『支配』を真っ向から拒絶し、奪うとはね」

 

 アーサーは潔く剣を収め、ヴァーリと共に転移の光の中に消えていった。

 静寂が戻った戦場で、俺は剣を消し、ソーナの元へと歩み寄る。

 極限まで酷使した反動で体中から血が噴き出していたが、俺の心は晴れやかだった。

 

「……ただいま戻りました、会長。……これで俺の剣は、真にあなたのものになりましたよ」

 

 ソーナは無言で俺の元へ駆け寄り、血まみれの俺の体を強く抱きしめた。

 

「……馬鹿。あんな、あんな無理をして……。でも、ありがとう。私の、最高に誇らしい騎士」

 

 彼女の涙が俺の頬に落ちる。

 「禁手」には届かなかったが、俺はこの手に、神話さえも支配し得る「真なる王の剣」を手に入れたのだ。

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