フィジカルゴリラな木場祐斗   作:お粥のぶぶ漬け

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第28話:騎士の出陣、そして深まる絆

旧魔王派の襲撃から数日後。生徒会室に漂う空気は、いつになく張り詰めていました。ソーナは一枚の令状を机に置き、静かに私を見つめました。

 

「祐斗、冥界の上層部から緊急の指令が届きました。旧魔王派の残党が、北欧神話の勢力が管轄する境界付近で不穏な動きを見せているようです。……あなたに、先行調査の任務をお願いしたいのです」

「私への指令……。事実上の、単独での実戦任務ですね」

「ええ。本来なら眷属全員で行くべきですが、学園の監視を疎かにはできません。……そして、今のあなたの『解析能力』なら、最も確実に情報を持ち帰れると判断しました」

 

 ソーナは一度言葉を切ると、立ち上がり、私の前に歩み寄りました。その瞳には、主としての信頼と、一人の女性としての不安が混ざり合っていました。

 

「……本当は、あなたを一人で行かせたくはありません。ですが、これはシトリーの名を冠する者としての責務でもあります。……無事に帰ってきてくれますね?」

「約束します。私はあなたの騎士ですから」

 

 私は彼女の細い腰を引き寄せ、深く、確かめるように唇を重ねました。言葉以上に、互いの鼓動が「必ず生きて再会する」という誓いを紡いでいきます。

絆の光景:シトリー眷属の交流

 出撃前夜。シトリー邸の庭園では、眷属たちが私のために小さな壮行会を開いてくれました。

 

「木場! 寂しくなるけどよ、あっちの連中に『シトリーの矛』がどれだけ恐ろしいか、たっぷり見せつけてやってくれよな!」

 

 匙が豪快に笑いながら、私の肩を叩きます。

 

「木場君、これを。道中の無事を祈って、私が浄化した守り石です」

 

 真羅さんが優しく微笑み、小さな魔石を渡してくれました。

 

「……気をつけて。あなたがいない間、会長は私たちが絶対にお守りします」

 

 花戒や草下も、真剣な眼差しで頷きます。

 かつて孤立していた私に、新しい「居場所」をくれた大切な仲間たち。私は彼ら一人一人の顔を見渡し、静かに、だが熱く拳を握りしめました。

 

 

現状の能力・魔剣の再確認

 出陣を前に、私は自らの内にある『解析』済みの力を再整理しました。今の私は、単に剣を創るだけの存在ではありません。

 

【根源能力】

• 事象解析(アナライズ):

体内の「オーフィスの蛇」が提供する無限の演算リソースを用い、万象の「構成式(ソースコード)」を読み解く力。

• 因子の血肉化:

オーフィス、一誠(赤龍帝)、匙(黒龍)といった強力な個体の因子を解析・吸収し、龍種に匹敵する筋力、耐久力、再生能力を常時発動の身体スペックとして獲得しています。

 

【現在主に使用する魔剣】

• 『聖魔剣(ベース)』:聖と魔を完全に統合した一振り。すべての魔剣の基盤。

• 『加重の魔剣』:短剣サイズでの『過負荷(オーバーロード)』により局所的な重力崩壊を引き起こす。

• 『雷光の魔剣』:朱乃の因子を解析。対象の魔力回路を物理的に焼き切る雷撃を放つ。

• 『次元の魔剣』:空間の座標データを解析し、回避不能の断裂を引き起こす。

• 『吸収の魔剣』:

**【吸収・解析・簒奪】**の三工程を同時実行する特異な剣。刃を交えた対象から魔力を奪い、その術式や特性をリアルタイムで「解析」。奪った情報を私のリソースとして「簒奪」し、即座に自身の力として上書きします。

 

【禁手(バランスブレイク)】

• 『蒼穹覇理の極剣(シンギュラリティ・ブレード・オブ・シトリー)』

解析したすべての事象を一本の剣に収束させ、世界の理を一時的に書き換える禁手(バランス・ブレイカー)。現在は「領域」に触れている未覚醒の状態。

 

「……準備は整いました。行ってきます、ソーナ」

 

 黎明の光の中、私は愛する人たちの見守る学園を後にしました。

 次なる戦場、北欧神話の深淵へと。

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