日本の冥界重要施設。オーディンとアザゼルによる親善の宴が、突如として次元の裂け目から現れた邪神ロキ、そして魔狼フェンリルの群れによって蹂躙されました。
「退屈な平和など、私が焼き尽くしてやろう。ラグナロクの幕開けだ!」
降り注ぐ神の炎。しかし、その業火を真っ向から切り裂き、シトリー眷属が戦場へと介入します。
激震:フェンリルの因子の簒奪
「……一誠、ここは私たちが支えます。あなたはオーディン殿の守護を!」
私は**『吸収の魔剣』**を抜き放ち、神をも喰らう魔狼フェンリルへと肉薄しました。フェンリルの牙が空を裂き、触れるものすべてを腐食させる「不治」の呪いが周囲に散布されます。
「その『不治』の理……。今の私なら、読み解けます」
影を通り、死角から魔剣をフェンリルの脚部に突き立てます。
吸い出されるのは、生物の再生能力を完全に否定する神殺しの概念。
【新規因子の確保:魔狼フェンリル】
• 特性: 再生阻害、神性特効の「不治」。
• 解析状況: 85%……このまま禁手へと接続(アクセス)します。
禁手初解禁:蒼穹覇理の極剣
「ロキ、貴様の計算はここで終わりです。……万象を私の領域(プログラム)で上書きする」
体内のオーフィス因子を核に、シトリー、一誠、匙、セラフォルー、そしてフェンリルの因子を一本の剣に収束させました。
「真・禁手(バランス・ブレイカー)――『蒼穹覇理の極剣(シンギュラリティ・ブレード・オブ・シトリー)』!」
手の中に現れたのは、実体なき蒼い光の等式で構成された大剣。
この剣が振るわれる空間では、既存の法則は消滅し、私の記述した**「秩序」**が世界を支配します。神の魔術も、ロキの権能も、私の前ではただの「無意味な文字列」に過ぎません。
「神である私の術式が、なぜ霧散する! 何をした、悪魔の騎士!」
「この領域の**『秩序』**は私が書き換えました。……貴様の神話は、もはや通用しない」
私は簒奪したフェンリルの因子を極剣に同期させ、**『不治の魔剣』**として振り抜きました。ロキの神力を「停止」させ、その存在を概念ごと切り裂こうとしたその時――。
「チッ……禍の団(カオス・ブリゲード)の工作が甘かったか。フェンリル、引くぞ!」
極剣の放つ圧倒的な「世界の拒絶」を本能で察知したのか、ロキは空間を強引に抉じ開け、手負いのフェンリルと共に逃走しました。
戦いの後:騎士の帰還
「逃げられましたか。……ですが、フェンリルの『不治』の因子は完全に血肉となりました」
極剣を霧散させ、私は静かに息を吐きました。オーディンは眼帯の奥の瞳を細め、愉快そうに笑います。
「ほう……。一誠だけでなく、シトリーの騎士もこれほどとは。……アザゼル、お前の教え子は化け物揃いじゃな」
「はは、俺の教えというより、アイツ自身の執念ですよ」
駆け寄ってくるソーナ、そして心配そうに(あるいは興奮気味に)私を見つめるセラフォルー様とシグルナ。
「心配をかけました、ソーナ。……これで、次に奴が現れた時、確実にその存在を解析(おわ)らせることができます」
私は手に入れたばかりの「不治」の冷気を自らの魔力回路に定着させ、次なる戦い、ロキとの完全決着へと目を向けました。