フィジカルゴリラな木場祐斗   作:お粥のぶぶ漬け

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第36話:蒼穹の盾の休息、あるいは賑やかな監視者たち

待ちに待った休日。私はソーナと二人、駒王町の喧騒を離れた隣町のショッピングモールへと足を運んでいました。

 私服姿のソーナは、いつも以上に可憐で、その隣を歩けるだけで私の「解析」リソースは幸福感で飽和しそうになります。

 

「……祐斗、そんなに見つめられると歩きにくいわ」

「すみません。今日のあなたは、どんな神話の至宝よりも価値があるもので」

 冗談めかして言うと、彼女は「……馬鹿ね」と小さく笑い、私の腕にそっと手を添えました。

出歯亀たちの奮闘

 しかし、平和なデートは表面上のこと。私の感覚(センサー)は、背後から忍び寄る複数の気配を完璧に捉えていました。

 

(……右後方の物陰に匙、左の植木鉢に真羅さん。そして……上空の不可視境界にセラフォルー様とシグルナか)

 

 身内が総出で見守る(という名の尾行)という事態。普通なら注意するところですが、私はふと、いたずら心を覚えました。

 

「ソーナ、あそこのカフェで限定のアイスがあるそうです。……あーん、してみますか?」

「えっ……!? 祐斗、ここ、外よ……?」

 

 赤面して狼狽えるソーナ。しかし、私は気づかないふりをして、さらに距離を縮め、彼女の髪を優しく撫でました。

 背後の物陰から「……やりやがるぜ、木場!」「あぁっ、会長が陥落していく……!」という匙たちの小声が聞こえてきますが、私はあえてイチャイチャを続行しました。

 

裏側の戦場:ストーカーたちの迎撃

 幸せな時間の裏側で、不穏な魔力が動き出しました。禍の団に関連すると思われる暗殺者たちが、私とソーナを狙って配置に付いたのです。

 

「……ふん、主たちの聖域を穢す不浄な影か」

 

 屋上で槍を構えたシグルナが、氷のように冷たい声を上げます。

 

「ちょっとぉ! せっかく祐斗ちゃんの『あーん』を録画してたのに、邪魔しないでよ!」

 

 セラフォルー様も、魔法少女のステッキを振り回しながら激怒しています。

 彼女たちは「自分たちが尾行している」という後ろめたさもあり、私に気づかれないよう、音もなく、そして凄まじい苛烈さで襲撃者を排除していきました。

 暗殺者たちにしてみれば、標的を狙った瞬間に「最強の魔王」と「狂信的な戦乙女」が降ってきたのですから、悪夢以外の何物でもなかったでしょう。

デートの終わりに

 夕暮れ時。デートの締めくくりに公園のベンチで座っていると、ようやく「仕事」を終えた彼女たちが、気まずそうに姿を現しました。

 

「……あはは、祐斗ちゃん! 偶然だねー、こんなところで!」

「……主、任務のついでに立ち寄ったまでです」

 

 セラフォルー様は目が泳ぎ、シグルナは背中の槍を隠すように直立不動。遅れて匙たちも「お疲れっす!」と現れました。

 

「……皆様。尾行するのは構いませんが、せめて私の解析に引っかからない程度にしていただきたかったですね」

 

 私が苦笑しながら告げると、全員が「バレてたー!?」と肩を落としました。しかし、彼女たちの服に付いた微かな血の臭いと魔力の残滓を見て、私は感謝を込めて頭を下げました。

 

「裏で片付けてくれたこと、感謝します。おかげで最高のデートになりました」

「……っ、主からの感謝……これ以上の恩賞はありません!」

「もー! 祐斗ちゃんがそうやって優しいから、お姉ちゃんやめられないんだよぉ!」

 

 二人の熱量に、ソーナは深いため息をつきましたが、やがて私の腕を引き、二人に向き合いました。

 

「……全く。今回だけは、あなたたちの働きに免じて許してあげるわ。……祐斗、彼女たちにも、少しは『答え』をあげなさい。……あなたの『6』が私であることは変わらないのだから、その残りの部分でね」

「……ソーナ。……承知いたしました」

 

 私は、感動で涙ぐむセラフォルー様とシグルナの手をそれぞれ取り、優しく微笑みかけました。

「これからもよろしくお願いしますね」

 夕焼けに染まる駒王町。私の日常は、これからも賑やかで、そしてこの上なく守る価値のあるものになりそうです。

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