学Pは初星学園で監禁された後、学園を脱出する。その後、女性恐怖症に陥った学Pを四音が保護する。やがて、初星学園のスキャンダルの情報源としか見てなかった四音も、学Pとの交流を重ねてやがては恋慕の情を抱くようになっていく。

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これは「もしもプロデューサーを辞めようとしたら」というss動画に投稿されたコメントである「プロデューサーが監禁された後、女性恐怖症に陥って初星学園から逃げ出した学Pを四音に保護してほしい。そして初星学園のスキャンダルの情報源としか見てなかった四音も、学Pとの交流を重ねてやがては恋慕の情を抱くようになってほしい。」という視聴者リクエストを元に執筆しています。



四音×学P

学P視点

「はあはあ」雨の日和の中必死で走って逃げる。初星学園という監獄からできるだけ離れる。「うっ」足元のぬかるみに足を突っ込みコケる。「ここで何してるの?あなた」「!!」近づいてくるその女性の姿に1歩2歩と後ずさる。その女性の名を知っている。白草四音「あら、プロデューサーじゃない。藤田ことねには随分お世話 になったわ。こんなところで会うなんてね。今度こそ叩き潰してあげるわ。」「!!」緊張で手の震えが止まらない。「あなた、、震えてるの?」「、、監禁されてたんです。」「それはどうして?」「監禁されて、体をいいように使われて、自由もなくて」ボロボロと涙がこぼれる。本当は誰にも言えないはずだった。ほとんど他人の四音さんなどに言えることでもなかった「逃げてきたんです。助けてください。」だが口は動いた。本音が、自分の気持ちがあふれ出した。「私はあなたを助ける義理なんてない。」「分かってます、気休めです。」

 

四音視点

見つけた。内心でそうつぶやく。路地裏で衰弱しきった男。私を叩きのめしたアイドル達のプロデューサー。最近失踪していたという噂を聞いていたが監禁という文字列が彼の口から飛び出すとは思ってもいなかった。しかし、好都合だ。少なくともこのプロデューサーは初星学園内の情報を握っている。しかも監禁ときた。もしうまく彼から情報を抜き取ればきっと、初星潰しも可能かもしれない。そう思っていた。「助けてください。」目の前の相手が泣き崩れる。「行く場所がないなら、うちに来る?」この言葉が口をついて出たことに遅れて気づく。もはや彼の状態は脅せば使えるという状態ではない。「……すみません……」 「大丈夫。今はそれでいい」最低限使える状態になるまでは保護の必要があるだろう。そうして2人の生活が始まる。

 

初星学園 地下

「ぷろでゅーさー、今日も私たちのこと可愛がってくださいねー」「、、、」 「はあ」

 

四音視点

とりあえずお風呂に入ってください、そんなずぶ濡れじゃどうしょうもないので」「はい」私は彼の上着 のボタンを外そうとする。 ビクッ 彼の体が激しく反応する。怯えた目つきで私のことを見る。 「あの、すみません」「そんなにびっくりする必要ないじゃない」「本当にすみません」「まあ、いいけど。それじゃあさっさとお風呂に入ってきなさい」

 

学P視点

湯船に揺られて思い返す。四音の部屋は驚くほど静かで整然としている。余計なものは何もない。心も落ち着いていくのがわかる。段々呼吸が楽になる。お風呂から出て髪を乾かす。「ここの部屋使って、鍵も内側から掛けられるから。」客間の鍵を渡される。「どうしてそこまで?」「倒れられたら困るから」信じていいのだろうか。信じても、、しかし、今日、久しぶりに誰もいないベッドに横になる。そして意識は引っ張られていく。

 

四音視点

朝は思っていたよりも早く来た。キッチンでお湯を沸かしながら、ご飯を盛り付ける。ちらりと客間を見る。彼はもう起きているだろうか。彼に今必要なのは体調の回復だ。今の彼の状態は情報を引き出す以前の問題なのだから。軽めにノックをしてから落ち着いて声をかける。「起きてる? 朝ごはん、簡単なものだけど」少し遅れて返事が来る。「はい、ありがとうございます。」声は小さい、しかし、昨日よりは落ち着いていた声が返ってくる。 四音はそれだけで胸の奥がわずかに緩むのを感じた。プロデューサーはテーブルの反対側で顔を俯けたままこちらには目を合わせようとしない。あまり動かないがカップに触れる指先だけがかすかにふるえているのが確認できる。このまま黙っているのに耐えられなくまり声を出す。「無理に答えなくていい。」そう言ってから切り出す。「初星学園で何があったの?」プロデューサーの肩がビクッと動く。四音にはその返事だけで十分であった。「そう、しばらくここでゆっくりしていて。落ち着いたときに自分のペースで話してくれればいい。」プロデューサーの食器をかたずけて皿洗いをする。これは善意なんて美しいものではない。ただの契約であった。プロデューサーは小さくうなずく。そのしぐさはあまりにも弱弱しいものであった。私は、本当にただ単にこの人を使うつもりなだけだ。私はまだそれを言葉にできずにいた。

 

学P視点

「話を聞かせてほしい」 その言葉が、胸の奥で反響する。 「話す」 「思い出す」 「認める」 どれも、今の俺には重すぎる。食事の味もほとんど分からない。四音さんは俺に必要以上に話しかけてこない。俺は今までアイドル達を支えたい、その一心で中を深めた。また、俺が今まで出会ってきたアイドル達は「理解したい」「支えたい」という言葉で、距離を詰めてきた。俺にとってそれは少なからず嬉しかった。その結果があれだった。 思考が過去に引きずられそうになり、呼吸が乱れる。 俺はテーブルの縁を強く握った。「……少しだけなら」自分でも驚くほどはっきりと声が出た。「どうして逃げたのか、それだけでいい」俺は目を閉じて。言葉を選ぶ。感情を切り離す。「俺が、間違えたからです。」それ以上言葉が続かなかった。胸が詰まり、崩れてしまう。「これ以上はいい」四音の声が思考に入り込む。あくまで素っ気ないような声音で。「今は、それで十分」四音さんは俺に深く踏み入らない。その距離感が心地よかった。決して恐怖は消えない。でも、完全な孤独でもない。その曖昧な場所に四音さんが立っていることが今はただ、ありがたかった。

 

四音視点

夜、プロデューサーが眠りについた後、資料を広げる。初星学園最大の不祥事となりえるプロデューサー監禁事件。その情報が今手中に収まっている。ちらりと客間の方を見る。私は極月の人間としてだけでなく、もはや監禁事件に対する公然の正義として動いている。そう言い聞かせながらも学Pを“告発の切り札”として扱う想像が、急に現実味を失っていく。 彼が再び壊れる可能性を無視できなくなっていた。「……困ったな」守りたい気持ちと、暴きたい真実。 その両方を、どう両立させるのか。守りたい??なぜこの言葉が胸の中に往来したのだろうか。所詮善意で保護しているだけだ。この間にも彼の今にも壊れそうな儚い姿が想起させられる。保護と守りたいという感情が混同しただけなのだ。

 

学P支店

三日目になると時間の流れが、ようやく形を持ち始める。朝はキッチンから聞こえてくる音で目が覚め、夜は外に見える家の明かりが消え始めた頃に眠る。ゆったりとした時間が流れる三日であったがいまだに体の制御が効かないことがある。ドアが急に開く音、電話の着信音、テレビから流れる女性の声、そのたびに心臓が飛び上がる。「ごめん、音量大きかったね。」四音さんはなんでもなさそうに言い、テレビの電源を切る。「ごめんなさい、」「怖いなら怖いでいい。」

 

四音視点

プロデューサーのトラウマは波の様な物だ。落ち着いてる時もあれば、なにか些細なきっかけで急速に恐怖へ引っ張られる。プロデューサーの場合は「女性」だ。女性の声、顔、なんでもいい。おそらく彼は「女性恐怖症」だ。「今日から極月学園でまた学校生活に戻る。」短く言い渡す。「そうですか」それ以上の会話は無い。外に出て学園に向かう。いつも通りに授業を受け、レッスンをする。そして学校からの帰り道監禁の件について考える。今日の放課後あるうわさを聞いた。初星学園は今主要なアイドルの休学申請が多発しているというものだ。明らかにプロデューサーを私が保護した時と休学がリンクしている。状況から考えてプロデューサーの証言があれば状況は一気に動かせる。初星潰しも可能になるだろう。考え事をしていると家に着く。しかし、私の計算は鍵を開けた時に少しだけ狂う。「……おかえり、なさい」部屋の隅からかすかな声が聞こえてくる。おかえりなさい、誰かを待っている者の言葉。待っている。私を待っていた。その事実が言葉私の想像を超える重さで私の胸に落ちる。「ただいま」

 

学P視点

今日はなかなか眠れない。久しぶりに孤独だったせいだろうか。ここは安全だと、頭ではそう理解していても体は別の記憶を引っ張り出してくる。閉じ込められた空間、体を密着させられ逃げ場のない中で欲求の解消に体をいいように使われる。そんな日々。次第に呼吸が浅くなり、どうにもできなくなってきた。「四音さん」自分でも信じられない程スムーズにその名前が出た。返事は早かった。「どうした?」ドアの向こう、程よい距離感。「少し話がしたいです。」沈黙の後ドアが開く。半開きになった扉から光が漏れる。「怖いんです。今も、多分これから先もずっと。」「うん」「それでもここにいるときは」安心している。この言葉が出ない。「無理はしなくていい。今言えた内容だけで十分」

 

四音視点

そこから少しだけ会話を交わしてから扉を閉める。もし、プロデューサーの告発があれば。そう考える「、、今じゃないな」何度もそう考え、引き伸ばしてきた。「四音さん」客間から声が聞こえる。「まだ起きてた?」「、、俺を助けた理由を聞いてもいいですか?」「初星学園を潰すため、」「俺はそのための」「情報源だった」真実を包み隠さず率直に告げる。「少なくとも最初はそうだった」この真実は重過ぎる、だが逃げない。「最初は?」顔を伏せずに答える。「今はあなたを守りたい。」

 

学P視点

最初からそうだったのだ。助けは理由があって差し出された。それでいい。「今はあなたを守りたい。」その言葉は少なくとも嘘ではないのだから。貴方がたとえ打算だらけの言葉を今まで放ってきたしてもそれに俺は救われた。それは事実なのだから。

 

 

四音視点

その夜私はは眠れなかった。「守りたい」という言葉が頭の中で反芻する。それは極月学園の人間として不必要なもの。いや、むしろ邪魔だろう。それでもプロデューサーが少しずつ自身の過去に立ち向かっていく姿、恐怖を抱えながらも逃げずに立ち向かおうとする姿、、私はこの人を“使えない”。その事実を認めざる負えない。初星潰しの為にも告発は必要だ。だが、彼が自分で、自分の意思で過去を語るまでは無理に引き出さない。彼がその選択肢を選べるようになるまで、その時間を与える。私はそう決意した。

 

学P視点

今日、朝から胸の奥がざわつく。言わなければならないのだろう。自分の過去も何もかも。これは守ってもらったお礼ではない。ただ四音を見るたびに喉元まで言葉がこみ上げてくるのだ「では、行ってきます。」四音が登校しようとドアを開ける。「あのっ」四音が振り返る。「今日、戻ったら少し、話をしたいです。」「ええ、良いわよ。」そうして四音を見送った。

 

そうして四音さんの帰りを待つ。日が昇り、また沈み始め、辺りは赤く染められてゆく。何時間待っただろうか?現実に流れる時間は体感とは違い非常に遅い。ようやく玄関から鍵の開く音が響いた。「!四音さん」「、、、」心なしか俺の目に映る四音さんは暗い影を落とす。「おかえりなさい」「ただいま」四音さんはゆったりと歩き初めそのまま自室に帰っていった。俺はしばらく座り込み物思いに耽る。正直俺に何ができるのだろうか、四音さんに何かがあったそれは分かる。だが、それ以上彼女に踏み入るのは、、いや。俺は立ち上がり、彼女の部屋のドアをノックする。「なに?」「すこし、良いですか?」彼女の自室のドアを少しだけ開ける。そしてドア越しに話しかける。「どうされたのですか?」「なんでもない。」

 

四音視点

他人に寄り添うふりをして他人の為を装って自分が他人のためになっているという自覚を得て気持ち良くなる人がいる。自分や他人はそうやって動いている。そう思っていた。「なんでもない。」そう突き放した言葉に対する回答は「無理に答えなくてかまいません。」その一言だった。その言葉はどこかで聞いたことがある。プロデューサーは私に深く踏み入らない。その距離感が心地よかった。決して悲しみは消えない。でも、完全な孤独でもない。その曖昧な場所にあなたが立っていることが今はただ、ありがたかった。

 

学P視点

「今日、姉に出会った。久しぶりに会ったのに、挨拶もろくにせず、ダンスのスキルもあがったのにそれを褒めてもくれない。それどころか練習に身が入ってないだのなんだの私に言ってくる。追い打ちこのようにNIAで初星学園のアイドルをうまく打ち負かせなければ愚妹すら私の呼び名にふさわしくないと言ってくる。」四音さんに声を掛けようとする。

「ボクは姉が大っ嫌いだ。絶対超える、絶対認めさせる。そう思った。違うんだ。本当に嫌いなら認めさせたいなんて思わない。ボクは姉に執着していただけなんだ。姉にあこがれて。アイドルを初めて、だけど超えられなかった。手に入らない物に対して卑屈になってただけなんだ。月花姉さまの厳しい言葉も結局狡い手しか使えないボクに対する戒めでしかない。ボクはボクを認められない。姉さまが憎くて、嫌いで、そう思う事しかできない自分が大っ嫌いだ。」頭を抱えうなだれるその姿を見た時には思わず、駆け寄り、四音さんを抱きしめていた。

 

四音視点

ただ温かかった。これは自分の為なんかじゃない私の為の抱擁だ。女性が怖い。そんなトラウマを打ち破り、私を助けようとしてくれている。「私は姉さまに認められたい。けど、NIAで一度は負けた初星学園のアイドルに勝てる気がしない。」「大丈夫です。」「何が大丈夫なの?私は」こんな言葉しか出てこない。あなたは私を助けようとしてくれているのに。「俺を誰だと思っているのですか。」「!」「あなたが負けたアイドルを育てたの俺です。俺があなたを育てます。」あなたの腕に抱かれて、あなたの声に救われる。「うん、姉さまも認めてくれるかな。」「俺が導きます。」あなたの胸が温かくて、安心してしまう。きっと、手が届くよね。安心感に抱かれて眠りに落ちていく。ゆったりと、落ちていく、、、

 

朝、目覚めると、机の上には大量の資料が並べられていた。「四音さん、起きましたか?」「うん、おはよう。」「おはようございます。」「これは?」「四音さんのライブ映像を解析してみました。その結果を四音さんの身体構造を合算してレッスンの最適解を探しました。」手渡される資料に目を通す。確かに、これは。私はずっとアイドルとだけ戦っていると思っていた。けどその背後には大量のデータと合理の怪物が眠っていたのか。私が勝てる道理がある訳ないじゃないか。でも、今はこれがすべて私に追い風を与える。「ありがとう。これを、一晩で?」「そうです。」「勝ちに行きましょうか、四音さん」

朝は登校、授業、レッスン、帰宅してプロデューサーにアドバイスを受けながら、ボーカル、ダンス、ビジュアルの調整をする。ひたすらこれを繰り返していく。

 

本番

 

会場には緊張が満ち、舞台袖にこぼれる照明の熱が肌を焼く。幾重にも重なる視線、息をひそめる観客、審査員の冷たいまなざし。ステージ袖で俺は息を整える。 大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせても、女性の声が重なるこの場所は胸を締め付ける。「プロデューサー」静かに名前を呼ばれ落ち着きを取り戻す。「行けそうか?」「怖い、だけどあなたがいます。」「それでいい、あなたは私のプロデューサーでいてくれればいい。周りの事は気にしないで。」変装用のマスクとサングラス越しにあなたを見る。このオーディションは極月学園と初星学園の事実上の衝突。向こうの舞台袖には俺がかつて育て上げたアイドル達がいる。「エントリーナンバー2番、初星学園、」そのアナウンスが流れた瞬間、俺の身体がこわばる。遠くに何度も見てきたシルエットが映る「藤田ことね」凄まじい数のフラッシュと歓声に包まれるその姿はあまりにも見覚えがある。逃げ出した過去。信頼は終着へと変わり、行為は歪んだ愛へと堕ちた。俺を閉じ込め奪おうとしたのは他でもない、ステージに立つ彼女たちだった。「大丈夫か。」「少し休憩してくる。最後まで見れなくてすみません。」「大丈夫、勝ってくるから」「エントリーナンバー3番、極月学園、白草四音。」

 

学P視点

その背中を見送る。恐怖は消えない、傷もまだこの身に残っている。それでも、俺はプロデューサーとして歩み始めた。俺は再び思ったのだ。この人を頂点に連れていきたいと。オーディションという戦はすでに火ぶたが切って落とされた。今、この場で白草四音とプロデューサー2人の物語が幕を開ける。そのはずだった。

 

楽屋のモニターから会場の様子をみる。スクリーンにでかでかと張り出される結果を受け止める。勝者、藤田ことね。歓声がはじける。その姿を四音さんは唇を噛みしめ、感情を押し殺してみていた。そのまま頭をゆっくりと下げる。敗北だった。

 

四音視点

歩こうとするが足に力が入らずよろめく。だが倒れることは無かった。「四音さん。」触れることを恐れていたはずのプロデューサーの手がいつもより近い距離で私を支えている。「私は負けた。」独白の様につぶやく「藤田ことねは強い。歌は下手でも圧倒的なビジュアル、それを支える確かなダンス力。むしろ歌が下手という弱点が愛嬌という武器にすらなっている。どう勝てと?」

その夜私は家でステージの映像を見返していた。自分の歌、ダンス、動き。そして、藤田ことねの完璧なステージ。画面を閉じて眠りに着こうとしたときにノックの音が響く。「愚妹」聞いなれた声、聴きたくない声、だがしぶしぶ扉を開ける。「月花姉さま?」「私は明日オーディションに参加する予定だった。だがその枠を譲る。」「え?」私は言葉を失う。白草月花、極月学園が誇るトップアイドルであり、切り札。「私はもう満足した、でもお前はまだやり残したことがあるだろ?」「でも学園は」「もう極月学園にも大会の運営にも許可を取ってきた。学園が欲しいのは勝利じゃない」

 

学P視点

その決定を聞かされて言葉を失う。「もう一度、初星学園と?」「こんどは姉さまの枠で、姉さまの代わりに。」俺の胸には恐怖と決意が同時に湧き起こる。「怖い?」その問いに答える。「逃げません。あなたが立つなら俺は支えます。」四音さんは笑った。それが初めての純粋な笑顔であった。「なら次は勝つ」

 

再び初星学園と戦うことが決まった。相手はまたしても藤田ことね。再戦を望んだところしぶしぶ受け入れてくれたらしい。舞台袖は異様なほど静かであった。照明がつくと歓声が分厚いカーテンを突き抜け俺の胸を叩く。何重にも重なる女性の声が聞こえる。指先が冷たくなる。呼吸も浅い。「プロデューサー」四音さんはもう衣装に身を包みライトを待つだけになっている。「無理はしなくていい。しんどいならここに居なくてもいい。」「いや、逃げたくない。」「ならそこで見てて。今度こそは勝から。」四音さんがステージに上がると光があふれ歓声が押し寄せる。

 

ことね視点

私はそのきらめきを見ていた。白草四音。昨日とはまるで別人だ。いや、この歌、踊り、ファンサ、そして何よりこの煌めき・輝き。見間違えるはずがない。「プロデューサー、どうして?」そうですか、そこにいたんですか、、、迎えに行きますからね♡

 

四音視点

勝った。初めてだった。自分にできるはずがないと思っていた。今でもスクリーンに大きく張り出される自分の名前に驚きを隠せない。「プロデューサー、、、」「やりましたね」

 

学P

2人で並んで、夕暮れのライブ会場を後にする。「ありがとう。これでようやく自分を認められた気がする。」「まだ一勝ですがね。」「それでも勝は勝だから。」しばらく沈黙が続く。言い出せそうで言い出せない。そんなむず痒い感覚に陥る。「あの、四音さん。」「どうしたの?」「もし、このオーディションがうまくいまくいったら」それはたった一言だった。「み~つけた」振り向くとよく見知った可愛らしい顔。黄色い髪に、華奢な体格。俺の身体を這いずり、何度も体を重ねた相手。「今までどこ行ってたんですか?」俺は反対の方向へ駆け出す。後ろなんて見ずにひたすら前進する。

 

ことね視点

駆け出したプロデューサーの後姿をみて初めて自分のしでかした罪の重さを知った。泣いてる?プロデューサー?そうか、自分たちのしでかしたことの重さは。私はプロデューサーの事が好きだと思っていた。きっとそれはうわべだけだ。「嫌わないで」なんで「嫌いにならないで」こんなに自分勝手な言葉しか出てこないんだろう。こんなにプロデューサーを弄んだのにプロデューサーに「嫌われたくない」その一心なんだろう。自分が傷つけた。自分が、、、、「プロデューサーともう一度、ちゃんと話そう」ゆらゆらと立ち上がり歩みを進める。

 

学P視点

「そんなに慌ててどうしたの?」困惑気味な四音さんの手を取って駆け出す。「逃げたいんです。どこまでも、2人で」ひたすら走った。走って走って四音さんの家ににだどり着く。膝に手を当ててひたすら肩で呼吸しながら動悸が落ち着くのを待つ。「ごめん、急に逃げ出しちゃって。」「いいのよ、私もまったく気づかなかった。」「なんで、完全じゃない、完全じゃないけど、乗り越えたと思ったのに。怖い」「落ち着いて。」四音さんに抱きしめられる。浅くなった呼吸も、早くなった動機も落ち着いていく。段々落ち着き、平常に戻ろうとしたときドア越しに強烈なノック音が聞こえてくる。「開けてください。」封印していたはずの過去が心のほころびから溢れてくる。「今までの事謝りますから。」

 

四音視点

もう駄目だと思った。どんなに頭をなでても、抱きしめても彼は落ち着きを取り戻さない。腕の中で悶えるようにして暴れまわる。「お願い、、落ち着いて、、、」こうしてる間も連打されるチャイムの音、扉をノックする音から身を守るようにして彼は耳をふさいでいる。

 

学P視点

冷静になった訳ではない。しかし、はっと目に四音さんの表情が映る。怖くて仕方ないだけど、いつか向き合わなくちゃいけない。多分その時が来たんだと思う。立ち上がり一歩を踏み出す。二歩目、三歩目を踏み出した時にドアが強烈にノックされて思わず後ずさりする。

 

四音視点

彼が後ずさりしようとしたところ支える。彼は三歩進んだ。なら三歩以上後ずさりさせるわけにはいかない。だってその一歩は自分の意思で踏み出したのだから。

 

学P視点

二歩後ずさったタイミングで身体が支えられる。

 

四音視点

身体を支え、彼の背中を押す

 

学P視点

背中を押されて一歩踏み出す

 

四音視点

更に三歩進み彼がドアノブへと手を伸ばそうとする。

 

学P視点

しかし、うまく伸ばせない

 

四音視点

彼の腕を支えてドアノブへと誘う

 

学P・四音視点

2人でドアノブに手を掛けてひねった

 




あとがき
後半からは疲れて適当です。エンディングはプロデューサーは過去と向き合ったくらいの感じでお願いします。四音さんはもともと興味が薄く、解釈も浅かったので頭の中で似非四音を作り上げてそれにセリフをしゃべらせました。ちなみに動画化したいのはしたいですが作品を動画化する体力はもう残っていません。オムニバス形式も何気に初めてで不安も強いです。もし、なにか悔いがあるのなら藤田ことねの扱いが適当過ぎたことです。


逃げたプロデューサーと負け犬アイドル 終了

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