プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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無印編ラストになります!


大変、パパが来た!

森の中

────────────────────────―――――――――

 

 

「余り長話は出来ないんでね、単刀直入に言おう。これ以上イリヤに近づくな」

 

 そう言って手に持った銃をこちらに向けてくる切嗣さん。

 

「あー、イリヤのお父さ「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない」そっちじゃないです」

 

 あのホントに違うんで、その死んでる目で思いっきり睨まないで下さい。割とマジでホラーです。

 

「別にイリヤとはそういう関係じゃないですから……」

「イリヤに魅力がないとでも?」

「……どうしろと」

 

 ねぇ、俺さっきまで英雄と殺し合いしてたんだよ。魔術師として戦ってたんだよ。確かに非日常が終わってしまってもったいない気がするとかいつか話したけどさ。こんな非日常は望んでいないんだよ。

 

「もうその話題は引っ張りませんよ。話を最初のものに戻しますけどクラスメイトですよ? 近づかないと言ってもやむを得ない場合もありますが?」

「それはこちらも理解している。それは仕方がない事だ。それ以外での話だ。これ以上娘を魔術(そちら)に関わらせるな」

 

 睨みを強くして強く銃を握る切嗣さん。指は既に引き金に掛かっている。……にしても

 

「僕が普通の子供ならあなたみたいな大人が拳銃(それ)を持っていたらよく怖がったでしょうが、生憎僕にそれは脅しにならないでしょう?」

 

 というか、脅しに使うならもっとごつい銃の方が良くない? なんか、所々木のパーツが付いていて、マガジンとかついてないし一発しか撃てなくないそれ? というか本物だよね? スターターピストルとかじゃないよね? ……なんか変なことでも言ったかな、切嗣さんが少しだけ笑っている気がする。

 

「成程、確かに脅しには向かないかもな。……けど君を仕留めるにはこれで十分なんだ」

 

 なにか確信めいてるな。……弾の方に何かあるのか? うーん……いや、辞めよう。俺は両手を上げて降参のポーズをとる。

 

「はいはい、降参ですよ。というか、もう大丈夫だと思いますよ」

「どういう意味だ」

「詳しくは話せませんがこの冬木で魔術がらみの事件がおきまして、イリヤはそれに巻き込まれたんです。そして今朝、丁度さっき! それが解決したんです。事件は解決、イリヤも元の日常に戻っていきますよ。だから元々こんな脅しは必要なかったんですよ」

「……」

 

 んー、実に悩んでいる。悩んでいるん、だよな? くっそ、全然表情が動かないから何考えているのかまるで分らん! よくもまぁ、こんな仏頂面からイリヤみたいなアーパー娘が生まれたもんだ。アイリさんか? アイリさんの遺伝子が強いのか? ……強いだろうなあの顔つき的に。というかイリヤの切嗣さん要素どこだよ。

 

「信じる信じないは任せますけど、そんなに心配なら一度家に顔出せばいいじゃないですか」

「……元々この後顔は出すつもりだ」

 

 あ、そうなんだ。お、銃を下ろしてくれた。

 

「ひとまず君の言葉を信じよう。舞弥、志久間(しくま)、もう良い」

 

 ふぅ、緊張したー。というか、どっかに無線機で連絡してるんだけど。え、どっかにあと二人いたってこと? ……全然わからん。

 

「信じてくれて嬉しいですよ、切嗣さん。これからは普通のクラスメイトとして関わりますよ」

「そうしてくれると助かる。僕も娘のクラスメイトをできれば始末したくない」

 

 おー、こわ。……あ、そうだ。

 

「因みに何ですけど、イリヤを魔術から遠ざけようとするのは彼女の中にいる――――おっとぉ?」

 

 言葉が続かない。肺、というか心臓に何か撃ち込まれて……。切嗣さんの手にある銃が煙を出して、あぁ、撃たれたのか。

 

「残念だ。それを知られてる以上、こうするしかなくなってしまった」

 

 あー、なんか地雷を踏んだっぽいなこれ。ん? あ? な、なに、これ? 魔術回路が、いや、血管も骨も、傷も滅茶苦茶にな、あ? なにがおきて!? あ、あああぁぁぁぁああぁぁあアアあああぁぁぁァァアアああアぁァあああ!?

 

「言っただろう、仕留めるには十分だと。二人ともすまない。やはり片付けが必要になった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、酷いですよ切嗣さん」

「!?」

「確かに遠慮なしに地雷踏みぬいたのは僕ですけど、一言あっても良いでしょう?」

 

 体を再構成しながら立ち上がる。

 

「なんで……生きて……?」

「折角280万色まで光らせられるようになった魔術回路が全部お釈迦ですよ……。あーあー、もったいない」

 

 ふぅ、血も肉も全部元通りっと。いやー、驚いた。えっとどこ行ったっけ……あ、あったあった。体内に撃ち込まれた弾丸を取り出して切嗣さんに見せる。

 

「凄い弾丸でしたね。魔術回路含めて体内全部を出鱈目に切って繋げるなんて。変な形に直されてる分普通の怪我より全然再生し辛かったです!」

「再生……?」

 

 なんだか茫然としている様子の切嗣さんに近づいて手のひらに撃ち込まれた弾を渡して返してあげる。

 

「はい。自分再生能力持ってるんですけどそれ、魔術由来じゃなくて生まれつき僕の細胞一つ一つが持ってる力なんですよ。僕にとっては呼吸と一緒なんです」

「シャーレイ……僕は……」

「え?」

 

 なんか切嗣さんの眼が死んだんだけど。いや、元から死んではいたんだけどなんか……どこ見てるんだろう? なんか遠くを見ている。

 

「おーい、切嗣さーん?」

「……はっ! ッ!」

 

 あ、起きた。意識がはっきりすると目の前に俺がいて驚いたのか飛びのく切嗣さん。

 

「化け物め……お前は……死徒なのか?」

 

 いや、一言目それかよ。

 

「人を化け物扱いとか失礼な人ですねぇ」

「黙れ! お前の様な奴が化け物じゃなくなんだというんだ!」

「というか死徒ってなんですか!?」

「知らないのか?」

「えぇ! まったく!」

 

 俺は根源を目指さないから日常で役立ちそうな魔術しか研究してなくてですね! 魔術の世界については最低限のルールぐらいしか覚えてないんですよね! 実は!

 

「今日は下がろう、どうせ今の装備じゃ君を殺せないし、その算段もない」

「別に話す相手もいませんよ。秘密にしておいて欲しいならそう言ってくださいよ」

「残念だが、化け物の言葉は信じない」

「だから僕はにんげ「いや、お前は化け物だ。死徒でないとしてもキメラや幻獣……そう言った類のものだ」―――」

 

 そう言う切嗣さんの眼は真剣な物だった。

 

「君はこの先の孤児院に住んでいるんだったね」

「えぇ」

「なら院長室に入って自分に関する資料を探してみると良い。そこになければ図書館へ行って自分の生まれた年……孤児だということを考えて前後3年ぐらいの記事を読んでみろ。大きな事件や事故があればそれが自分の正体に関連しているかもしれない」

「なんでそんなことを……」

「知りたくないか、自分の正体を」

 

 俺より確実に魔術師としての腕は上の切嗣さんに『人間』ではないと言われては少しばかり気になるけど……。

 

「考えておく」

「是非そうしてくれ……」

 

 そう言って切嗣さんは姿を消した。……なんかどっと疲れた。適当な木の幹にでも寄りかかって……。

 

「『人間』じゃないのか……」

 

 沖繫レイ(おれ)の中でビシリとひびが入る音がした。

 

教室

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「―――なんていうか、もうあんたたちの仲がどうなってるのか分からんのだけども……昨日までケンカしてなかったっけ?」

 

 雀花は目の前の光景を頬杖を突きながら見ている。……まぁ、その気持ちは解らんでもない。

 なにせ……イリヤの腕に美遊がぴっとりとくっ付いているんだからな! バーサーカーを相手にした時から思っていたが一体何があった!?

 

「やー……気のせいじゃない? きっとすべてが」

 

 イリヤはそう言うが無理があるだろ。流石に。

 

「一夜にしてなんというデレッぷり……これは……」

「イリ子のやろー俺達の知らないところで美遊ルート攻略しやがったのか!」

 

 多分な。

 

「ま……まぁ、仲が良いのは良い事じゃない。仲直りしたんだよね? レイくん、手伝って」

「はいよ」

 

 一体どっちに嫉妬しているのか、そもそも嫉妬なのか構って欲しいだけなのか分からないが騒ぐ龍子を美々の指示で抑える。

 

「う、うん……」

 

 まぁ、魔法少女たちの間で何かがあったんだろう。男の俺はきっと挟まるべきではないし、暖かく見守っていけば良いさ。

 

「レイ?」

「ん?」

「なんか……視線が生暖かくない?」

「俺は理解はあるほうだ」

「何が!?」

 

 イリヤ、俺は応援しているよ。あ、龍子離しちゃった。

 

「まー、いいや! ミユキチも丸くなったってことで今後とも仲良くしてこーぜ!」

 

 そう笑いかけながら美遊の背を叩く龍子。……結構バシバシ言ってる気がするがアレくらいなら別に大丈夫か……?

 

「は? どうしてあなたと仲良くしなくちゃいけないの?」

 

 おぉぉぉっっとぉぅぅぅ??? 

 

「私の友達はイリヤだけあなた達には関係ないでしょう? もうイリヤに近づかないで。あ、レイは特別に許すわ」

「う……うお゛お゛ぁぁぁ゛ーッ!!」

 

 美遊のガチトーン拒絶に耐え切れなかったのか龍子が泣き出した。ふふ、美遊、恐ろしい女。というか多分俺も仕方がなく許されてる感あるな。まぁ、仕事仲間だし……ぐらいの感覚かこれ? 

 

「な……泣かせたぞー! というかレイ! お前なにちゃっかり許されてんだ! お、お前まさか、お前も! お前も美遊ルートなのかッ!?!?」

 

 雀花に首元を掴まれてガクンガクンと揺さぶられる。あばばばば、眼が、目が回る。かなりの勢いで振り回しおって……! イリヤ、タスけ―――。

 

「ちょ、ちょっと美遊ー!?」

 

 あ、イリヤはイリヤで美遊の肩掴んで忙しそうにしてる。これは助けてもらえそうにない。

 

「オギャアアアァァァァ!」

「やべーぞ、タッツン、マジ泣きだ!」

「イリヤなんとかして!」

「わ、私―!?」

「イリヤ、どうしたの? 他の人なんてどうでも良いでしょ?」

「お、重いよ、美遊!?」

「なぁ、レイ。どうなんだよ!? お前ホントに美遊となんともなかったんだよな!?」

「ちょ、す、雀花!? 手、手の勢い……」

「勢い!? 勢いでなんかしたのか!?」

 

 戦いは終わったけど、これからの日常は少し賑やかすぎなぐらいで大変そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも―――― 

 

 

 

皆、俺が人間だと思ってるからこうしてくれるんだよな。もし俺が『人間』じゃなかったら、人間のふりしてるだけの別の『ナニカ』だったらこんなことは……。嫌だ、いやだよ……。俺、どうしたら……。誰か、誰か助けてよ…… 





 デストロイアは魔術回路を失った! 
 デストロイアは再生した! 魔術回路が復活した!
 デストロイアは起源弾を入手した! 
 デストロイアは起源弾から『衛宮切嗣の遺伝子』を入手した!
 デストロイアは『衛宮切嗣の遺伝子』から起源『切断』と『結合』を入手した!
 ヴァリアブル・スライサーに起源弾と同等の性能が付与された! 
 当たれば全てを溶かし、直撃でなくても相手の魔術回路などを滅茶苦茶に『切って嗣ぐ』ことが出来るようになった!

 衛宮切嗣は沖繫レイの呪いを一段階解呪した! 
 世界の終わりが近づいた!

 はい、次回から2weiです。

あ、シグマ→しくま→志久間 です。
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