プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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学期の終わり!

???

────────────────────────―――――――――

 

 森を走り抜ける。ただ一心にその果てにある青い海を目指して。

 

「来た来たキターー!! キタよコレー!」

「来たしか言ってないねー!」

 

 テンションを最高潮にしてはしゃぐ那奈亀と同様にはしゃぎながらもツッコミを忘れないイリヤ。

 

「来てしまったもんは仕方ない!」

「うっ……うううううみみみみみっ!」

「早まるなタッツン! それはこの次だ! タイミングあるの!?」

 

 早くも先走りそうな龍子をどうにか抑える。

 

「トーゼン! 行くぞーー!」

 

 少女たちは身に付けていた上着を放り投げ、白い砂浜の上に跳び出す。

 

「「「「海だーーーッッ!!」」」」

 

 

デパート

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「「「―――というのをやってみたいんだ」」」

「アニメでたまに見る奴だね」

「あれ!? 今の妄想!?」

 

 雀花、龍子、那奈亀の三人が口にした願望に笑う。確かにああいうのは一度やってみたいけどあの早脱ぎはどうやっているんだろう? というかそのシーンだと大体荷物とか持ってないけど着替えとかどうしてるんだろう? 一旦どこかに持つに置いて走り出すのだろうか?

 

「いやいや、未来予想図だよ。そのためにみんなで水着回に来たんだろ」

「でもほんとにどれ選んでもいいの? ミユッチ?」

 

 那奈亀が一つの水着を手に取りながら美遊にそう問いかける。それに対して美遊は懐からカードを取り出しながら答える。

 

「うん。ルヴィアさんからみんなへのプレゼントだって。これを出せば店ごと買えるって言ってた」

「何だその虹色に輝くカードは!?」

「店ごとは要らないですからー!!」

「えぇ……カードって黒より上のモノあるんだ……」

 

 というかそのカードを構成してる材料は何だよ。なんでそんな綺麗に輝くんだよ。……僕の魔術回路も発光色数は負けてないけどなんか色から色への移行がまだスムーズじゃないんだよな……。

 

「いやー、ほんと美遊様と友達になれて良かったですぅー」

「ずっと友達でいてくださいねぇー」

 

 気が付いた時には言葉とは裏腹に雀花、龍子、那奈亀の三人が美遊に媚び諂っていた。龍子に関しては五体投地してる……。で、デパートの水着売り場で小学生3人が頭を下げてる……。凄い絵面だ。

 

「やめてー! それはどう見ても友達の画じゃない!!」

「ほら、三人とも綺麗に掃除されていても床は案外汚いんだから顔を上げなって」

 

 イリヤと共に三人を頭を上げさせる。

 

「あなたたちと友達になった覚えはないんだけど」

「ブフッ」

「そんな曇りなき目で!?」

 

 起こしている最中に聞こえた美遊の言葉に思わず笑ってしまう。……なんというか美遊は友達を神聖なものと思いすぎな気がする。まぁ、なにか事情がありそうだし、深くは突っ込まないけど。

 そんなやり取りを終えてそれぞれ真面目に水着選びになった。

 

「……居心地が悪い」

 

 色とりどりの女性用水着が並ぶ店内。形も大きさも様々だ。クロエたちにお願いして先に浮き輪なり、ビーチボールなどの遊び道具を他の店で買って荷物を持っていなかったら変な視線を向けられていたに違いない。荷物のお陰で通りかかる店員や他の客の視線も『女子の買い物に付き合わされてる男子』というものになっている。なんか微笑ましいものを見る目で見られているような気がするのは気のせいか……?

 

「ふぅ……」

「クロエ?」

「クロちゃんどうしたの?」

 

 おや、美々と被った。

 

「んん……なにがー?」

「なんだか今日ずっと元気がないみたい」

 

 美々は本当に優等生だなー。人のことをよく見てるし、そうやって気遣いも出来る。にしても、クロエのこの症状もしかして……。

 

「そんなことないよー。ほら美々も水着選ぼ? レイ、こんなはどう?」

「クロエ」

「レイ?」

 

 クロエの隣に行って耳にも聞こえないように顔を近づけて話しかける。クロエの元気がない理由なんて魔力不足以外に考えづらい。そのことを伝えようとするが―――。

 

「やーーーー!」

 

 イリヤの大声に阻まれる。一体こんどは何だ……。

 

「ムリムリムリ! そんなの着れる訳ないでしょ!」

「いいから試しに着てみなって意外とイケるかもしんないよ」

 

 雀花と那奈亀がイリヤになんか、紐? がV字になったような水着を着せようとしている。なんかすっごいデザイン。というかそんな水着のイリヤが入るようなサイズが置いてあるこの店が心配になって来たんだけど。あと龍子がどこにもいないのが恐ろしい。

 

「ダイジョウブ、ダイジョウブ全然痛くないから……」

「そのカメラは何!?」

 

 雀花、君の本は男しか出てこないだろうに……。いや、僕か知らないだけで女も出てくるのか? まぁ、作画資料はたくさんあった方が良いか。

 

「俺、これ買うわ」

「龍子ちゃーん!?」

「レイは見ちゃダメ!」

 

 イリヤとは別ブースの試着室が開いたと思ったら龍子が出てきて美々がなんか絶叫してた。なんかすっごい際どい水着を着ていたような気がするけどクロエに目を塞がれたことでよくは見えなかった。

 

「しまったちょっと目を離した隙に!」

「あの露出狂を止めろー!」

 

 うーん、状況は分からないけどほかの面子が直ぐに制圧に向かったらしい。

 

「この歩く児童ポルノ製造機が!!」

「ぬわー! 何をする貴様ら! そうかついに俺の魅力にやられて……!」

「うっさい! キモイんだよお前!」

「ちょ、そのセリフも友達としてどうかと……」

 

 うーむ、盛り上がっている。目は防がれてるし音でしか判断材料がないからあれだけどまあ。龍子は強く生きろ。大分言ってることきついからな。

 

「レイ」

「うん?」

「龍子の格好見た?」

「まー、少し目に入った」

「そう……。私があれ着てるとこみたい?」

 

 目を塞いでいるクロエが後ろからそう話しかけてくる。……丁度耳に吐息が当たって少しくすぐったい。意識的なのか無意識なのか……。それはそうと、

 

「正直言うと見たい。けど―――」

「けど?」

「そういう恰好をしたクロエを他の人には見せたくない……」

「ふふ、そう。レイは私を独り占めしたいんだ?」

「当たり前」

「そっか、なら今回は別の水着にしておくわ」

「お願い」

 

 そんんな風にクロエと話している間に龍子が起こした騒動は解決したらしい。目から手が離される。あ、店員さんに制圧されてる。というか龍子まだあのヤバい水着着たまんまじゃん。え、クロエあの水着姿を見せたくなくて目を覆ったんじゃないの? 

 

「クロエ?」

 

 もしくは手を離さなきゃいけない理由が……ッ!? 振り向いてクロエを見ると両手を胸の前で握りしめて明らかに顔色の悪いクロエがいた。

 

「……ダメっぽいわ。レイ、来て」

「分かった」

 

 クロエに袖を引かれて店外へ向かう。

 

「クロちゃん、レイ君!?」

「美々、ごめん。少しだけ行ってくる」

 

 驚きの表情で僕たちを見てる美々に軽く手を合わせて店を出る。急ぎ足でどこかへ向かうクロエの隣に移動して軽く耳打ちする。

 

「魔力?」

「うん……補給お願い」

 

 そうしてクロエに連れられてやって来たのはデパート内の人気のない階段。

 

「キス……して」

「……」

 

 壁に寄りかかり、いつもよりしおらしいクロエ。……なんだかいつもと違う様子に口角が上がり、悪戯心が湧いてくる。

 

「クロエからは、してくれないの? (魔力が)必要ないつもクロエからだったでしょ?」

「そ、それは……そうだけど……」

 

 クロエが顔を赤くしながら背ける。ふふふ、ふふふふふふふふ。ほんと可愛い。

 

「ふふ、ごめん。しおらしいクロエが可愛くてイジワルしちゃった」

「もうっ! 女の子を焦らすなんてほんと、悪くなったわねレイ?」

「嫌いになった?」

「そんな訳ないでしょ」

 

 ん、それは良かった。右手をクロエの頭のすぐ横の壁に置いて顔を近づける。クロエが目を閉じる。そして唇を付けようとしたところで気が付く。……誰かに見られてる? 薄目を開けて周囲を確認する。

 

「……」

 

 あれは美々? 階段の下の方から顔を半分だけだ出してこちらを見ている。……少しだけ気分が変わった。勿論愛情こめたキスをするつもりではあったんだけど折角だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ん……んっ。っ、あ……。はっ、ん゛むッ!? あッ、―――れ、……っは、レイっ」

 

 唇を合わせてクロエとしたと唾液を混ざり合わせ、飲み込ませ合うように濃厚なキスをする。ただ、これだけだといつもと変わらないし、置き場所の無かった左手をオーバーオールのしたに潜り込ませ、クロエの腹腰に手を当てて、親指でクロエの下腹部を撫で上げる。押し込むようにグリグリと、この下にある臓器を刺激するように。クロエの手が僕の左手を外そうとするが抵抗は弱い。……本当に外すつもりがあるのかな?

 

「んく、……あ、ぅ――。れ、レイ……」

「まだ欲しい?」

「うん……もっと頂戴」

「分かった……そう言えば……」

 

 一度口が離れた。丁度良いので気になっていたことを聞いてみる。

 

「これで、どれだけ持つの?」

「戦闘が無くても少しずつ魔力は消費していくの。……多分、レイが思っているよりも早くまた補給が必要になるわ。だから私は……レイがいないと生きていけないってこと」

「そうなんだ……。そっか」

 

 ……僕もずっと一緒にいたい。けど世界はそれを許してくれそうにはないんだよな……

 

 

「僕が思っているよりも早く魔力が切れるって……僕がいない時はどうしてるの?」

「そ、それはイリヤと……」

「へぇ~……」

 

 補給手段があるのは緊急時のことを考えれば良い事なんだけどそれはそれ。クロエにもう一度キスをする。

 

「んっ、あ―――ンむぅッ! ぃ……ッッ!」

 

 右手はいつの間にか壁から離れクロエの背中に回していた。強く抱きしめる、本当はイリヤにだって渡したくない。独占したい。そんな思いが伝わって欲しくて強く強く、クロエを抱きしめた。

 

 この後何食わぬ顔でみんなの元に戻って水着を買った。

 

 

 

 

翌日 教室

────────────────────────―――――――――

 

 

「盛夏の候、皆様いかがお過ごしでしょうか? 夏空がまぶしい季節ですが、皆さんには暑さにも負けず、元気いっぱいの姿を見せてくださいました。蝉の声が岩にしみいるならば、この校舎には皆さんの声がたくさん染み入っている事でしょう」

 

 なんか、藤村先生がいつになく真面目だ。……あれか? 最後ぐらい真面目に終わらせようとしているのだろうか。

 

「今、皆さまはどんな気持ちでしょうか? 私は少し寂しくもあり、一か月後が楽しみでもあります。この夏に皆さんがどんな経験をし、何を見、何を知り、何を成すのか、二学期また、皆さんに会えるのを楽しみにしています」

 

 んー、でもこういう言葉を聞いてるとやっぱ先生だなー、て感じがする。ふふ、クラスがなんだかそわそわしてる。なれない藤村先生のせいなのか、夏休みが待ちきれないからか、一体どっちだろうか。

 

 

「それでは皆さん……」

 

 あ、真面目な顔が終わった。

 

「夏休み開始だオラーーーー!」

 

 あ、龍子が倒れた。

 





 もう、クロエはレイに勝てないよ。ただでさえ適応の化け物でヤバかったのに魔性菩薩が技術も教え込んでるんだもん。
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