プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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決着

大空洞

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「シャア■■アァァッ■■■■■ァ■■ァァァ!!!」

 

 全身に迸る力に身を任せ掴んだ巨剣を叩きわる。インストールして分かった。バーサーカー、あなたはアキレウスじゃなくてヘラクレスだったんだ。

 

「だとしたら……丁度いい。これが13個目の試練だ。共に乗り越えてください」

 

 自身の胸に手を当てて祈る。友達を、大好きな人を守るため、怪物を倒すために、英雄の力をお借りします。

 

「美遊……絶対助けるから……そして絶対ひっぱたく! サファイア! 力を貸して!」

《……はい! イリヤ様!》

 

 背後で濃密な魔力の奔流が現れる。ふふふ、イリヤもやる気みたいだ。

 

「……君は、君たちは、なにものだ?」

 

 泥にまみれた姿でも分かる。あの巨人とかした英霊も相当驚いている。

 

「美遊……私ね、怒ってるんだよ。『私ごと壊して』? 『関係ない貴方を巻き込んでしまってごめんなさい』? そんなの……友達に言うセリフじゃないっての! 絶対引きずり出してひっぱたいてやる!」

 

 ルビーとサファイア……二本のステッキが一つに……。凄い魔力量だ……。カレイドライナー・ツヴァイフォーム、とでもいうべき姿かな。ふふふ、美遊、覚悟すると良い。こうなったイリヤの怒りようは凄まじいからな。

 

「はははははハはは! すこい、凄いよ君たち! 正直言うと少し心配だったんだ。僕とまともに渡り合えるものがいるのかって。一方的な虐殺じゃ意味がない。さぁ! 僕と奪い合おう、聖杯を!」

「私たちは負けない!」

 

 そう言ってイリヤは高速で巨人に向かって突撃する。僕もそれに続こうと、手に持った大斧を肩に担ぎ直し突撃準備をする。あ、そうだ。一瞬構えをといてクロエに向き直る。

 

「クロエ」

「れ、レイ……なのよね?」

「うん。インストールでちょっと見た目は変わったけど、僕だよ。……勝ってくる」

 

 そう言ってウインクする。するとクロエは笑って背中を叩いてくる。

 

「えぇ、行ってらっしゃい」

「うん!」

 

 クロエの激励を受けて僕は一気に地を駆ける。勢いそのまま巨人に体当たりする。

 

「なっ!?」

 

 空を飛んでいるイリヤを狙って武器を射出しようとしていた巨人は体当たりで姿勢を崩し、武器は見当違いの場所に飛んでいく。その隙にイリヤは巨大な剣の形をした魔力弾をいくつも作り出し巨人に向かって放つ。

 

「クッ……ハはははハハはははハハハハハ!」

 

 負けじと巨人は武器を射出したり、手に持って振り回す。しかしその攻撃はイリヤにも僕にも届かない。

 

「お願い、バーサーカー!」

「■■■■!」

 

 勢いよく跳躍してイリヤに迫る攻撃を全て斧で弾き落とす。

 

「こんなもの……すぐに壊す! 一緒にお願い……やっちゃえ、バーサーカー!」

「■■アァァッaaa■■■■■ァ■■ァァァ■■■■!」

 

 イリヤはステッキに魔力を集中させて大きな槍状に形成する。それと同時に僕は斧を両手持ちにして落下の勢いを利用して一気に叩きつける体制に入る。

 

「いっけぇぇぇえええ!」

「■■■■■■■■■■■!」

 

 イリヤの攻撃に合わせて一気に降下する。巨人は巨大な盾を取り出すが、そんなもの関係ない! 全部、全部ぶっ壊してやる! 唸れ、マルミアドワーズ!

 

 大斧と魔力槍そして盾が衝突する。一瞬の硬直後、盾は粉々に砕けて巨人の上部に生えている男の子の上半身にと届く。

 

「ハハッ、そうか……神々の盾すら貫くか」

「随分と余裕そうじゃないか……。言葉は選べよ。今わの際だぞ」

 

 男の子の前に立って再び大きく斧を振りかぶる。

 

「今わの際……? はは、そんな訳はない。君たちは今になってようやく、僕の敵になったんだ」

「ッ!?」

 

 男の子が空間に手を入れて何かを取り出した。瞬間全身に鳥肌が立つ。この体になっても恐怖を感じるって一体何を取り出そうとしている!? 急いで斧を振り下ろす。

 

「君たちは……僕の全力に相応しい!」

 

 しかし男の子の方が早く彼は何かを手に取った。瞬間暴風が吹き荒れて吹き飛ばされる。……この豪風は一体?

 

 「銘はない。僕はただ『エア』と呼んでいる。かつて天と地を分けた―――文字通り世界を切り裂き創造した最古の剣さ」

 

 成程……それは大層なものだ。勝てるか? いや、なんとしても勝たないといけない。イリヤだってまだやる気だ。全身を回る魔力の量が跳ね上がっている。それなら僕がここで諦めることは出来ない。……力を貸してください、大英雄……今、あの巨人を打倒すために!

 

「これは……」

 

 僕の思いに答えてくれたのか手に持っていた武器がいつの間にか斧から弓に代わっていた。分かる、本来であればバーサーカークラスで使えないはずの宝具。それをこの身に宿った英雄が力を貸してくれて無理やり使えるようにしてくれている。この信頼には答えないと……。大弓を構え、魔力を回す。

 

「原初を語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝(ことほ)ぐ。世界を裂くは我が乖離剣。

星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の祝着(しゅうちゃく)よ!

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」

 

「私の全部を使って! 『多元重奏飽和砲撃 (クウィンテットフォイア)』!!」

 

「巨人よ……ここで倒れろ! 『射殺す百神(ブレイクエイジ・ギガントマキアー)』!」

 

 

 三つの宝具が激突する。辺りに魔力と暴風、衝撃に轟音が響き渡る。ふふふ、はははは、まったく凄まじい光景だ。まさに神話の世界! こんな光景きっともう目にすることは無いだろう。あまりに驚異的で、あまりに恐ろしく、あまりに美しい光景。あーあ、楽しかった。

 

 そして戦いは終わりを迎える。

 

 

大空洞だった場所

────────────────────────―――――――――

 

「……泣いてるところ初めて見た」

「え……?」

 

 

「あー……。つかれた……」

 

 イリヤと美遊が感動的な再会をしている少し後ろで座り込む。もう全身くったくた。インストールも解けちゃったし、もう動ける気がしない。

 

「美遊!」

「三人とも無事!?」

 

 お、クロエにバゼット、凛先輩にルヴィアさんまでいる。

 

「おーい、こっちこっち」

 

 四人に向かって手を振る。美遊とイリヤは感動的な再会中ですよーっと。

 

《美遊様! 美遊様! 酷いです! 私を置いていくなんて……!》

「サファイア……」

 

 ツヴァイフォームから分離したサファイアが美遊の元に飛び込む。

 

「はぅ……」

「イリヤ! 大丈夫!?」

 

 ツヴァイフォームが解けたことで気が抜けたのかイリヤがよろめく。

 

「えへへ。平気ちょっとめまいがしただけ……クロ、ごめんね」

「……ふん」

 

 ん? あ、そっか、イリヤが不調ってことは痛覚共有でクロエにもそのダメージがいってるのか!?

 

「クロエ……」

「……少しだけ寄りかからせて」

 

 イリヤがどれほどダメージを受けてそれがどれだけクロエに伝わってるのかは分からない。けどクロエの顔色から相当なダメージを受けているはず。しかし実際に傷ついてるのはイリヤの肉体であってクロエの肉体にはただ鈍痛だけが伝わってる状態のはず。少しでもそれを和らげてあげたくてクロエに向かって両手を広げる。

 するとクロエがすすっと寄ってきて抱き着いてくる。痛みを誤魔化す為かかなりきつく抱きしめられる。うん。いろいろ柔らかくて役得。イリヤと美遊もなんか百合百合してるし僕もこれくらいは良いだろう。

 

「ほら、帰ろ? 私たちの家に―――」

 

 少しの間クロエと抱き合っていると、話が終わったのかイリヤが美遊に手を伸ばした。あぁ、もうちょっとこのままでいたかったけど一旦終わりだな。名残惜しいが一度クロエと離れようとしたその瞬間、視界が真っ白に染まった。

 

「ガアッッッツ!」

「きゃあああ!?」

 

 その場にいた全員に降り注ぐ白い雷。ダメだ、ダメージの回復が間に合ってない……! いったいなにが!?

 

「エアで斬り裂いた世界の裂け目……まさか……」

 

 あ、あんなところにガキ!? まだ生きてやがったのか……! といか、今()()()()()()って言った!? なら、この攻撃は……ッ!?

 

夢幻召喚(インストール)

 

 空に出来ていた大きな白いバツ印、そこから二人の女性が下りてくる。そのうち一人が着地と同時に夢幻召喚と口にする。

 

「な……!?」

夢幻召喚(インストール)……!?」

「なんなのよ……」

「こいつら……誰よ!?」

夢幻召喚(インストール)を知っている……ということは!?」

 

 金髪の女性の方が8枚目のクラスカードを夢幻召喚(インストール)した。あぁ、なるほどね。切り裂かれた先からやってきて夢幻召喚(インストール)を知っている……。つまりこいつらが、こいつらこそ、カードの真の所有者共か!?

 

「はン! ようやく見つかったと思ったらなんだかオマケがウジャウジャいるんですけどー?」

「捨て置け。今は最優先対象のみを回収する。……お迎えに上がりました美遊様」

 

 この物言い。やっぱりビンゴだ。こいつら、平行世界の住人だ! だが、今それよりも重要なことが一つあるッ!

 

「い、いや……! 戻りたくない……ッ!」

「……そんな口が利けるようになるとは。ですがバカンスはもうお終いです」

 

 目の前にいるのはイリヤからの痛覚共有に先ほどの電撃が止めになったのかぐったりとして動かないクロエ。息はしている。まだ生きている。けど……これは良くない。とても良くないことだ。魔力の使いすぎと世界を裂くような宝具と至近距離でやり合ったせいで無理をさせ過ぎたのか端から崩壊している体を無理やり動かす。

 美遊の意識を奪うためか美遊を蹴ろうとしていた二人組の内の小さい方の足をヴァリアブル・スライサーで切り飛ばす。

 

「ぐぎゃあああ!? あ、足が!?」

「レイ!?」

 

 そのままもう一人の金髪の方にも剣を振るう。

 

「ほう、ベアトリスの足を落とすか……。だが、それでは勝てんよ」

 

 金髪がそう言った瞬間、僕の振ったヴァリアブル・スライサーは僕自身を切っていた。

 

「は?」

 

 上半身と下半身が切り裂かれゴロゴロと転がる。何が起きた? 剣先がなんで僕の背後に出現した? なにが……

 

「てっめぇ……ふざけんじゃねぇぞ!」

「ぐぼッ!?」

「あたしを煩わせんじゃねぇよ! このダボがぁ!」

 

 先ほど足を切り落とした女が復帰したのか何度も何度も、大槌で叩いてくる。あっっ、くそ、ダメージが大きすぎる……。この体を維持でき……な……。

 

「そこまでだ、ベアトリス。美遊様の確保も完了した。そろそろ揺り戻しが起きる」

「けっ、もっとグチャグチャにしてやりたかったのによ……。ま、ぶっ殺せたしひとまずはこれで良いけどよ」

 

 死んではいないんだけど……。うん、動けない。

 

「イリヤ……」

「美遊! まって! どこにいるの!? 美遊! 美遊ーーー!」

 

 次第に白くなる視界。美遊を探すイリヤの絶叫を聞きながら視界は白一色に染まり、意識が暗転した。

 

 

「……ここは?」

 

 意識が回復した時、僕は雪の降る町で倒れていた。……は?

 




・沖繁レイ(バーサーカー、インストール状態)
 レイがバーサーカーのクラスカードをインストールした状態。本来、クラスカードに刻まれた英霊はただのヘラクレスのものだったが、レイは自身のもつ莫大な霊基量と魔力などを触媒としてただのクラスカードに冠位相当の英霊を降霊させた。
 ヘラクレスのカードの影響か容姿が小学生から中学生程度のものに変化している。身長が大幅に伸びて167cmになって、全身にうっすらと筋肉が付いている。髪は赤毛の混じった黒の長髪となっている。
 クロエは口にこそ出さなかったが成長したレイの姿に滅茶苦茶興奮していた。

 デストロイアはエヌマ・エリシュを見て、喰らった! 
 デストロイアは世界の切り裂き方を体得した!
 沖繫レイの身体を構成するデストロイアの数が減少した!
 デストロイアは沖繫レイの形を保つのに精いっぱいだ!


イリヤ達の世界「え、獣の卵いなくなったんだけど!? ……や、やったー! 消えた、消えたぞ! 人理の危機は去った! しかもなんか獣の席次ごと消えたんだけど! もう俺の世界であの席次の獣が出現することはもうないってこと? やったー!?」

平行世界「……え、俺もう獣も冠位も呼び出す元気ないはずなんだけど。この獣どっから来たの? え、しかもなんか席次被ってるんだけど……? え、は? なに、何が起きてるの? なけなしの抑止力はもう別に使っちゃったんだけど……。ふ、ふざけるな!! ふざけるなっ!! 馬鹿野郎! うわぁーーーーー!!」

 

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