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レイ、久しぶり。イリヤだよ。あの世界でのお別れから4年が経ちました。私たちは今中学3年生だよ。一応こちらの世界だとレイは行方不明って扱いになってるよ。あの別れの後、私たちは元の世界の円蔵山に転移しました。あの時、クロがレイを迎えに行こうともう一度転移するようにルビーやサファイアに掴みかかって大変だったんだからね! バゼットさんが抑えてくれていなかったら本当に危なかったよ……。
どうにかクロを落ち着かせた後、私たちは一旦ルヴィアさんの家に向かったの。そしたら途中でパパやママがやって来て思いっきり抱きしめられて、私も泣いちゃったしパパとママも泣かせちゃった。色々言いたいこともあったし、パパとママも聞きたいことがあっただろうけど全員を集めて説明する為にもルヴィアさんの家に集まることにしたの。あ、美遊のお兄さんがパパを見たときすっごくびっくりしてたし、パパとママも美遊のお兄さんを見てびっくりしてたよ!
それでルヴィアさんの家について私たちはあの日の戦いのこと、平行世界のこと、クラスカードのこと、エインズワースのこと、レイのこと全部話したの。最後の方はクロがまた泣き出しちゃったからママがずっと慰めていてあげたんだよ。その途中で美遊のお兄さん……長いから士郎さんって呼ぶね、士郎さんの参加した聖杯戦争の話も聞いたりしたんだよ。まさか別世界のお兄ちゃんが英霊になっていて、それが回り回ってクロの力になってるなんて驚いたよ。
それからギル君が説明してくれたよ。あの時レイがどういう存在になったのか、どうして私たちと一緒に帰ってこなかったのかを。……正直なんて言えば良いのか分からない。いずれ自分が世界を壊しちゃうかもしれない、そう思いながら過ごすのってとってもつらかったと思う。そして美遊のいた世界が都合が良かったのもわかる。けど、それだけクロのことを思っているなら、事前に私たちに言ってよ! 相談してよ! 私たち……友達だったでしょ? クロね。ずっと泣いてたんだよ、ずっと後悔してるんだよ? 『最後に酷い事言っちゃった』って。一言でも私たちに言ってくれていればもっと違う結末があったかもしれないんだよ……? ほんとはもっと言いたいこともあるけどそれはクロが言うべきことだから私はこれ以上なにも言わない。その後のことについても話していくね。
まず、クラスカードの扱いについて。これはバゼットさん、凛先輩、ルヴィアさんの三人で時計塔に持って行ったみたい。その過程で、平行世界のことも出来る限り報告したみたい。その報告の中でバゼットさんはアーチャー、セイバー、ランサー、キャスターのカードはジュリアンが破壊したことにして報告してくれたの。だからクロは今も無事だし、セイバー、ランサーのカードは私たちの自衛のために渡してくれたの。残りのカードは時計塔の地下で厳重に保管されてるらしいよ。こんな嘘……というか誤魔化し? だらけの報告で大丈夫かなと思ったけど『宝石翁』っていう偉い人が認めてくれたから大丈夫ってバゼットさんが報告した後に教えてくれたよ。
あと、ルビーとサファイアは今も私たちと一緒にいるよ。物凄く驚くかもしれないけど、ルビーとサファイアがね、人の姿になったの! 正確には二人が操作できる人形らしいんだけどね。なんでもルビーたちを作った人から直々に今回の褒美として暫くの暇とその人形の身体が送られてきたんだって。姉妹だからか二人ともよく似ててね! 赤いショートヘアーはお揃いなんだけどルビーの方は和服にエプロンの格好をしてて、サファイアはクラシックなメイド服を着てるの。人形の姿の時は二人ともルヴィアさん家のメイドとして美遊と一緒に過ごしてるよ! ルビーは夜になるとステッキの状態にウチに戻ってきるんだけどね。あとルビーから聞いたんだけどサファイアの方はたまに寂しそうな眼でレイがサファイアの手入れに使っていた道具箱を見つめてるみたいだよ。
次は……士郎さんや凛さん、ルヴィアさんについて話そっか。まず、士郎さんとルヴィアさんがお付き合いを始めました。……うん、びっくりだよね。私もびっくりした。最初はルヴィアさんが士郎さんと美遊を一緒に暮らせるようにって戸籍と住居、エーデルフェルトの名前を美遊と同じように与えてたんだけど、士郎さんはやっぱり別世界のお兄ちゃんだったというべきかいつの間にルヴィアさんを落としてたんだよね。それで士郎さんもルヴィアさんには自分や美遊の面倒を見てくれたという恩もあって悪く思ってなかったし本当に『シェロ・エーデルフェルト』になってました。今はルヴィアさんといっしょにロンドンの方に行っています。凛さんもロンドンの時計塔に戻って、詳しいことは分からないけど『大天才』と呼ばれて『平行世界の運営』を目標に研鑽してるみたい。
それからレイが住んでいた孤児院。あそこもやっぱり大騒ぎだったよ。面倒を見ているはずの子供が行方不明になったんだからよく一緒にいたから私たちも孤児院の職員さんたちや警察の人に色々と質問されたの。でも、何も言えないし、きっと話しても信じてもらえない。だから私たちは『わからない』を突き通すしかなかったよ。ただ院長をやっていたキアラさんだけは何かを察していたみたいで『レイの最後は立派でしたか?』って聞かれたよ。私たちを守ってくれてとても立派だったって言っといたからね! そしたら満足したみたいに頷いてそれ以降は何も聞かれなかった。最後、責任を取って院長を辞める時だけウチに挨拶に来たよ。その時の話が本当なら今はセラフィックスって言う所でセラピストとして働いてるみたい。
次は雀花達、というか学校関連かな。夏休み明けは大変だったよ。なにせ、雀花たちにレイが行方不明になったことを伝えなきゃいけなかったし。全員驚いてたよ。那奈亀は目を見開いて、美々は両手で口を覆って、龍子が黙り込んで固まって、雀花は膝から崩れ落ちた。藤村先生だって苦しそうな顔をしてたし、夏休み明けの全校集会だって悲痛なものだった。雀花なんて泣いて私たちに縋り付いてきたぐらいだもん。『なあ、嘘だって言ってくれよ。何か、何か知ってるんだろ! 私にも教えてくれよ……レイは……レイはどこ行っちまったんだよ!?』って未だにあの時の顔と声は忘れられないよ。ねぇ、レイ? あなたは気が付いてた? 雀花はレイのこと好きだったんだよ。夏休みが明けたら好きな人は行方不明になってて、最近できた恋敵だけが残った。しかもその恋敵はなにかを知っているのに自分に何も喋らない。そのことが原因で一時期クロと雀花の仲がもの凄く悪かった時期があったの。今ではもとに戻ったけど……本当に当時、私たち苦労したんだからね。
あとは私と美遊のことかな。私、実はいま美遊と付き合ってるの。えへへ、びっくりした? 小学校の卒業式の日に美遊から告白されちゃった。それで今もお付き合いさせていただいてます。それで少し前に話したけどルヴィアさんはロンドンに帰っちゃってるの。でも美遊は日本に残りたかったらしくて今、日本にあるエーデルフェルト邸は美遊とサファイアが暮らしてるの。偶にルヴィアさんと士郎さんがやってきて美遊とお話してるのを見るよ。普段は私が泊りに行ったり、美遊が泊りに来たりしてるんだけどね。まぁ、やっぱりあれだけの困難を共有してきたわけで自然惹かれて行っちゃうよね……。初めてキスした時とかすっごい緊張したよ。そう考えるとクロとレイって大胆だよね! そんなこんなで結構楽しく過ごしてるよ。
最後にクロのこと。他の人の話にもちょくちょく出てたけど、戻ってきた直後のクロの状態は本当に酷かったの。ずっと泣いててママが付きっ切りだったし、バゼットさんや雀花に当たっちゃうこともあって結局、4年生の3学期と5年生の間は部屋に引きこもっちゃった。私たち家族全員で支えて6年生からは復帰できたんだけどね。それからは色んな友達もできて楽しく過ごしてるよ。それに……これはクロだけじゃなくて私と美遊私もなんだけど、中学生になって色々成長したんだよ! 今まで何人かの男子に告白されたこともあるの! 私は美遊と付き合ってるから断ってるし、クロも全部断ってるよ。やっぱりレイのこと忘れられないみたい。告白された日は思い出しちゃうんじゃないかな、その日の夜にクロの泣いてる声が聞こえてくるときがあるの。レイ、このままだとクロがあんまりだよ。だから――――
「なるべく早く来てくれないかなぁ……」
「イリヤ、大丈夫?」
「うん、ありがとう美遊。大丈夫じゃないのは……あっちかな」
「うぉぉぉおおおおお! 来い! 来い! いや、来る! 絶対来るから! こいこいこいこい、サーヴァント!」
「先輩、落ち着いてください!」
「マスター、無理しなくても大丈夫よ? 資源だって限りがあるでしょ?」
『そうだよ立香ちゃん! それに話を聞く限りそのレイという少年はビーストクラスだ! 人理を修復する為のこの旅とは致命的に相性が悪い!』
「ドクターは黙ってて! あんな話を聞いたら呼ばずにいられないでしょ! 恋する乙女舐めないで! 大丈夫、クロエちゃん! 絶対レイくん召喚するから! ダヴィンチちゃん、呼符!」
「大盤振る舞い、いいねぇ。ほーれ、追加の呼符だよ」
目の前でオレンジ色の髪をサイドテールにした年上のお姉さんが半狂乱で召喚サークルに魔力の結晶やら呼符と呼ばれた物を突っ込んでいく。彼女は『藤丸立香』。このカルデアと呼ばれる組織唯一のマスターであり、人類最期の希望であり、今の私たちのマスターさん。
少し前に私たちは特異点というものに巻き込まれてそこで私たちはマスターさんと出会い、彼女たちに力を貸してます。ただ、コミュニケーションの一環として私たちの戦いのことを話したあと、マスターさんは人理が崩壊したこの世界ならレイも来れるんじゃないか、と言い出してあんな風に先ほどから召喚を続けてるの……。マシュさんやドクターさんは止めようとしているけどまったく止まらないし……。
「もう、クロが投げキッスとかしたら来るんじゃない?」
「い、イリヤ!?」
「それだ!」
冗談のつもりで言ったんだけどマスターさんが本気にしちゃった。クロを召喚サークルの前に立たせて投げキッスするように急かしてる。……あ、やった。 いや、あのキラキラした魔力の結晶も呼符も使ってないし。投げキッスだけしても意味な―――――
「サーヴァント、ビースト。『怪獣王』デストロイア! 愛しい人の為、召喚に応じました! 世界を破壊することならお任せですよ! なにせ経験者、なので!」
あ、来るんだ。
「……レイッ!」
「クロエ……」
次の瞬間、クロはレイに向かって突撃していった。涙を流しながら離さないと言わんばかりにレイを抱きしめるクロ。レイもそんなクロの背中に手を回して優しく抱きしめ返している。二人ともいい表情してる。
「良かったね、クロ」
「レイ……ずっとずっと言いたかったことがあるの。あの時、言えなかったことよ」
「なぁに?」
「私も、大好きよ!」
そう言って二人はキスをする。……やっぱ大胆だ!
はい、お疲れさまでした。これにてプリズマ☆イリ『ア』完結です。ここまで読んでくださった方、感想や評価を下さった方、誤字報告をしてくださった方、皆さま本当にありがとうございました。
この後はカルデアで中学生になったクロエ(身長163cm)にレイくん(成長が止まっているため137cm)が可愛がられてイチャイチャしたり、ヘラクレス相手にレイ君が模擬戦を挑んだり、ブーディカやデオン、タマモの声を聞いてレイ君が混乱したりします。
カルデア編は……
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見たい
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別にいい