プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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カルデアでの一日。夢とお風呂

???

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 意識が浮上する。目を開けた先に広がるのはどこまでも広がる赤い空。心地よさ感じる超高温の環境。……これは夢だ。(映画デストロイアや少年)の記憶ではなく、この身体(fate世界のデストロイア)が覚えていた、古い古いとても昔の記憶だ。

 

『ふっ、また私の勝ち。あなたはまた小さくなったね』

 

 頭上から聞こえる声。見上げるとそこにはとてつもなく大きな竜がいた。黒く巨大で細く、流線型のフォルムをしたまるで戦闘機の様な竜だ。

 

『貴様が小さくしたのだろう……アルビオン!』

 

 びっくりしたぁ……これが当時の僕、というかデストロイアの声? というか、僕ボロボロじゃないか。元の大きさがどれくらいか分からないけど中間体まで戻ってる。大きさも2メートルぐらいしかないし……。

 

『削り取っても削り取っても復活するんだもの。多少多めに刻んでも構わないでしょう?』

『構うのだ! これでは我らはいつまでたっても貴様を追い越せん……。今に見ておれ、黒き竜。いつか我らが貴様を滅ぼし、この星の王となる!』

 

 そう言ってデストロイアは巨大な黒い竜の元から逃げ出した。黒い竜は追ってくることは無くただこちらの後ろ姿を眺めているだけだった。それからデストロイアは何度も黒い竜に挑んだ。そして何度も負けた、何度も何度も何度も。気が遠くなる回数挑んで同じ数だけ負けた。そんな景色を見ているうちあることに気が付いた。周りに生物が全くいない。僕とあの竜だけなんだ。この数百年の間この地球には僕と黒い竜しか地上に存在しなかった。そして何度も殺し合った。……といっても殺そうとしているのは僕の方だけで向こうは遊んでいるだけの様な気もするけど。

 けどそんな日々も終わりを迎える。世界が青くなり始めた、世界にある気体が満ち始めた。目の前にいる神秘を纏っている黒い竜とは違い僕は神秘こそ纏っているが竜の姿を模しただけの微生物。新たな環境の変化に当初は適応しきれず長い長い眠りにつくことに。

 

『はぁ……、弱い弱いとは思っていたけどこんなに弱かったんだ、君』

『……悔しいが貴様とは根本が違うのだ我らは。だが、これはただの眠りではない。これは準備だ、弱い我らが新たな時代に適応するための。次の目覚めの時どんな環境にも適応し、貴様を打ち負かす力を手に入れる為の雌伏の時なのだ。故に待っていると良い。次、我らが目覚めたときがアルビオン、貴様の最後だ』

『わかった、待つよ。君の目覚めをずっとずっと待ってる。もし君が目覚めて僕を打ち負かせるほど強く、強大な存在になっていたら……つ、(つがい)になってあげても良いよ?』

『抜かせ、我らに繁殖など不要。その時の我らは不死身故な』

『……死んじゃえ、バーカ!』

『き、貴様、何をする!? アルビオォォォォォン!?』

 

 そう言って黒い竜にブレスを吹きかけられ、竜の姿で寝ようとしていた僕の身体は散り散りにされ結果、微小体で永い眠りにつくことになった。

 

レイシフト先の森

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「……」

 

 うーむ。なんか変なユメを見たせいでいまいち戦闘に集中しきれない……。あの空と気温、周辺の環境的に恐らく地球が誕生して間もない頃……。神代よりもさらに前だと思うんだけどあの時代にあんな巨大な竜がいたんだ……。ダ・ヴィンチちゃんや孔明先生に聞けば正体が分かったりするのかな? 勝てるかどうかは分からないけど……再開の約束ぐらいは守ってあげたい。

 

「――イ! レイ! 前見て!」

「ん? あ」

 

 あー、やっぱ戦闘中にボーっと考えするのは良くない。ジャックの声に意識を覚醒させられると目の前には前足を大きく振り上げた魔猪。うん、防御も回避も間に合わないなこれ。

 

――ドンッ!―――

 

 勢いよく振り下ろされた足に僕は踏みつぶされ右半身を潰される。

 

「レイの上から、どいて!」

「私の後輩に手を出さないで下さい!」

「レイ! 無事かしら!?」

 

 残った左半身にジャック、ルサリィ先輩、ナーサリーの声が聞こえてくる。……まぁ、僕はこれくらいじゃやられないから心配は不要なんだけど、知らないみたいだししょうがない。

 

「オキシジェン・デストロイヤー・レイ」

「ブモォォオオオ!?」

 

 未だ僕の右半身を踏みつぶして動かない魔猪。僕はもう仕留めたと思い込んでいるんだろう。その油断が命取りだ。残った左腕を掲げて無防備な魔猪の腹にオキシジェン・デストロイヤー・レイを撃ち込む。紫の光線は容易く魔猪を貫通して息絶えさせた。 倒れてくる死体を腕力で横にずらし体を再生させながら起き上がる。やっぱ人間体だと耐久力に難あるよなぁ。擬獣化形態や本来の姿ならダメージなんてまったく受けないのに……。人間って脆いわー。

 

「あ、無事だったんだね! でもすっごいドロドロだ!」

「うん、無事だよジャック。帰ったらシャワー浴びたい……」

 

 すぐ隣にジャックが現れて僕の服の袖を摘まむ。地面の泥に僕と魔猪の血、もう全身べちゃべちゃのドロドロだ。

 

「というかジャックも大分解体したね。僕ほどじゃないけどジャックもドロドロじゃん」

「えへへ、楽しかった!」

 

 そう言って互いの身体を『ドロドロだー』なんて言いながらつつき合っているとルサリィ先輩もやって来る。

 

「れ、れ、レイ! 大丈夫ですか!?」

「ルサリィ先輩、僕は大丈夫ですよ。これも返り血と泥だけですから」

「ほっ……なら良かったです。……けど先輩を心配させるなんて悪い後輩ですね! もうボーっとしたら駄目ですよ!」

 

 先輩を心配させる悪い後輩、か。……僕はずっとそうだったんだろうな。イリヤの話では問題無さそうだったけど、なんだかんだ優しいところがあるから下手に気に病んでいないと良いんだけど。

 

「ほら、返事をしてください二代目トナカイさん! そんなことでは良い子になれませんよ!」

「……はい、ごめんなさいルサリィ先輩」

 

 いけない、いけない。最初の先輩のことに気を取られて今の先輩をないがしろにしてしまっていた。これは反省。

 

「みんな無事ー?」

「先ほどの敵で最後の様です。周囲に反応はありません」

「レイ怪我はないの? 痛いところは無いかしら? その血は全部相手の血よね?」

 

 マスターとマシュそれからナーサリーが離れた位置からこちらに走って来る。あ、あー、ナーサリー、そのドレスと靴で走るのは転びそうで見てるこっちが冷や冷やする。

 

「ってナーサリー!?」

「ええ、大丈夫そう……。うん、良かったわ……」

 

 近くに来たナーサリーはそのまま僕の身体をペタペタと触りながら怪我がないか確かめる。

 

「ダメだよ、ナーサリー! 今僕泥とか血でベタベタだから汚れちゃうよ!?」

「問題ないわ。あたしはナーサリー・ライム(子供たちの味方)よ。あなた(子供)の無事が一番大事なの」

 

 うぅむ……そう言われちゃったら僕からは何も言えなくなってしまう。

 

「マスター……」

はぁー、ロリショタてぇてぇ……

 

 一応マスターならどうにか出来るかもと思って助けを求める目線を向けて見たんだけどなんかダメそう。こっちを見て手を合わせてる。……どうして?

 少しして気が済んだのかマスターもナーサリーも普通に戻っていた。そんなときマスターがふと思い出したように聞いてきた。

 

「そう言えばレイがあんな風にボーっとしてるの珍しいね。なにかあった?」

「……」

「あ、全然言えないならそれでもいいよ! ただなんか悩んでいるとかだったら力になれないかなって」

「先輩は色々なサーヴァントと交流されて悩みの解決などもしてますからその道のプロフェッショナルですよ!」

「やだなー、マシュ。プロフェッショナルだなんて……」

 

 マスターの言葉にマシュさんが目を輝かせながら太鼓判を押してそんなマシュさんにマスターさんが照れて頭を掻く。

 

「……昔の夢を見ました」

「夢?」

「はい。友達と約束したんです。『また会おう』って。でも結局会えないままで、今その友達がどこにいるかも分からないんです。だからどうしようかなって」

「考えてたらああなったと」

「はい」

「イリヤちゃん達も分からないの?」

 

 ん? なんでイリヤの名前が……あ。

 

「ごめんなさい。人間としての僕じゃなくて……。うーん大昔の怪獣としての僕の友達で」

「あ、そうなんだ……。なんか特徴とかあるの?」

「とっても大きな黒い竜です」

 

 僕の言葉でマスターは考え込み、一緒に歩いていたルサリィ先輩たちも声を上げる。

 

「まぁ、レイったらドラゴンのお友達がいるの! 凄いわ!」

「黒い竜……成長した私が従えてたファヴニールですか?」

「あの解体のし甲斐があった竜だね!」

 

 ファヴニールを解体? 佐々木小次郎さんの件と言い一体何があったんだオルレアン。

 

「いや、上手く名前は思い出せない……というか濁って上手く聞き取れなかったけどそんな名前ではないはず。ナントカオン、みたいな名前……というかもっと古いと思う」

「そっか私もファヴニールかと思ったんだけどそれより古いってなると分からないな……。後で孔明先生に聞いてみる?」

「やはりマスターもそう思いますか」

「名前と住んでいる時代が分ればレイシフトできるかもしれないしね!」

 

 ふぅん、やっぱりマスターもマシュさんも思い当たる節がないようで依り代が時計塔で教師をしている孔明先生に訊いてみるという案が出てきた。やっぱそれが早いかぁ。

 

「けど、その前に帰還してシャワーを浴びます。絶対」

 

 血の沁み込んだ衣服とかも、だいぶ気持ち悪い。

 

「そうね、あたしとルサリィは良いとして、ジャックもレイもドロドロね。先生の前に出る前にしっかりお着換えしないと。……そうだわ!」

「ナーサリー?」

 

 何かを思いついたらしいナーサリー。ってナーサリーもルサリィって呼び始めたんだ。

 

「帰ったらみんなでお風呂に入りましょう! それでレイとジャックをゴシゴシ洗うの! そしたら直ぐに綺麗になるわ!」

「面白そうだね! レイは私が洗ってあげるから、レイは私のこと洗ってね」

「な、なななな、なんて事をッ!? ―――ッ!」

 

 あー、その手があったか……。でもルサリィ先輩が顔真っ赤にして言葉にならない声を上げてますけど。こっちを凄いチラチラ見てきますけど。

 

「あら、ルサリィはお風呂は嫌いかしら?」

「そ、そういう問題じゃなくてですね……。お風呂は良いとしてなんでレイも一緒に―――ッ!」

「それはレイが一番汚れているからよ? お風呂に入れて上げなきゃ可哀そうじゃない」

「それはそうなんですけど……ッ!!」

 

 顔を真っ赤にしてワタワタとするルサリィ先輩と笑顔で笑うナーサリー。うーん、平行線。

 

「ルサリィは汚れていないし嫌ならあたしたち三人だけで入るわよ?」

「ジャ、ジャックとレイが一緒に入るのはまぁ良いとして、どうしてナーサリーまで入るんですか!?」

「それは二人とも子供だもの。しっかり見ておかないといけないわ。()()()()として」

「お、お姉さん、として……」

 

 なんかルサリィ先輩が固まった。

 

「ねぇ、マスター。因みにこれはどうにかならんの?」

「てぇてぇの間に挟まるつもりはないよ」

「と、というより、レイさんは全く動じないんですね」

 

 マシュさんは逆に動じ過ぎだと思う。

 

「いや、僕孤児院出身だからお風呂とか皆で入ってその時女の子もいたし、そもそもクロエと一緒にシャワー浴びるしこれくらいは慣れてる」

 

 流石に高学年や中学生や高校生あたりは男女分かれてたけど小学4年なんてねぇ。

 

「わ、分かりました! 私も一緒に入りますから! レイ!」

「はい」

「先輩として私が髪を洗ってあげますから! あ、あくまで、先輩としてですからね!」

「……? はい」

 

 先輩ならいっそ『お前が私を洗え』ぐらい言っても良い気がするけど。ま、いっか。

 

 

 

 

 

 その後、カルデアに帰還して四人でお風呂に入った。途中ジャックが泡で遊んだり色々あったが楽しかった。あと見えちゃったから言うけどナーサリーは胴体も人形でツルツルだった。あるべき場所にあるべき器官が無かった……。個人的にナーサリーと会った時から気になっていた『胴体がは人間なのか人形なのか問題』が解決した。

 




・王座
映画デストロイア「あの黒い奴さえいなければ私が王だったのに……」
fateデストロイア「お前もか。我らもあの黒い奴さえいなければ……」
デストロイアズ「「あいつ邪魔だよなぁ……」」
レイ「(うーん、なんか食い違ってる気がする……)クロエがいれば王座とかどうでも良くない?」

・ナーサリーの胴体
 当カルデアのナーサリーは胴体も人形です。それ故、B地区も割れ目もございません。ただ体は柔らかく触ると弾力があります。

・クロエ
「ねぇ、レイ。貴方、銀髪なら誰でも良いとかないわよね……」
「ないよ!」

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