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10話『限定解除』
・クラスメイトの登場。
「あら? イリヤ、この雀花って子もしかして……」
「うん。雀花はレイの事が好きだよ。レイは最後まで気が付かなかったみたいだけど」
「あら~、クロエに雀花ちゃん。それにこのカルデアでも……。罪な子ねー」
画面内でレイに指を握られて顔を真っ赤にする雀花を見てアイリはイリヤに質問をした。そしてイリヤの返事を聞いて困ったように頬に手を当てて笑う。
「事実、その罪のせいでレイがいなくなった後大変だった……」
「あ、あの時は悪かったわよ。……感謝してるわ」
美遊がクロエの方を見ながらそう言い放つ。するとクロエは黒歴史を掘り起こされて顔を赤くして美遊から顔を逸らして最後に小さくお礼を口にした。
・最後のカード回収。登場、ヘラクレス。
「これがあのガキの言っていたヘラクレスとの闘いか」
「■■■……」
真剣な眼差しで画面を見つめるイアソンとヘラクレス。アルゴーの面子はイアソンの真面目なスイッチが入ったのを見て笑い。それ以外の英霊達はいつも騒がしいイアソンの真剣な表情と声に驚く。
画面内ではヘラクレスとレイが力比べをしてレイがヘラクレスの拳をはじき返す場面が流れる。
「お前と同じか、お前以上の怪力なんてアステリオスぐらいかと思っていたんだが、やはりあのガキ力だけはいっちょ前だな」
「■■■■ッ」
・レイの勘違い。
"「アキレウスって踵以外無敵って書いてあったんでもしかしたらアイツアキレウスだったりしないかなって。恰好もなんかギリシャっぽくない?」"
画面内でバーサーカーの正体を探る中、レイがヘラクレスをアキレウスだと誤認する。
「あー、これか姉さんが言ってた俺とヘラクレスを勘違いしたった話……。確かに頑丈さには自信があるし、現代の子供から見たら勘違いするもんなのかねぇ……。ただ、仮にそいつが俺だとしても踵を切っただけじゃ俺は止まらないぜ」
画面の中のレイを見ながらアキレウスはそう言ってニヤリと笑う。
「先生からパンクラチオンも習ってるて聞いたし、兄弟子として弟弟子の面倒を見るのも大事だよな。二度と間違えないように本物のアキレウスの力ってやつを教え込んでやらねぇとな」
レイ、普段のケイローン塾に加え、アキレウスとのタイマン修行が決定。槍や戦車を使って戦闘ではなくパンクラチオンのみなのはまだ有情か。
・一人鏡面界に残るレイ。
「……十分に撤退の隙はあった。どうにも味方を助ける為に囮になったとかそう言うもんじゃねぇな。こいつ、何かを試すために残りやがったな。何する気だ……」
「ほーぅ、普段はふざけたヤローだが、そう言う所は流石大海賊だねぇ」
「ハッ、BBAに褒められたってなんにも、嬉しくないんだからねッ☆」
「……」
折角褒めたのに裏声でかわい子ぶった身振りを見せた黒ひげにドレイクは軽蔑の眼を向ける。
「……ともかく、こういう目のやつは腐る程見てきたからな。イカレた野郎の眼だ。真っ当な人間には出来ねぇ獣の眼だぜ。さっきまでのレイ氏とは全くの別人みたいに……いや、これ中身別じゃねぇか?」
画面を見ていた黒ひげの目がスッと細まりレイの一挙手一投足に注目する。画面の中では近づいてくるヘラクレスの破壊音に対して"「元のデストロイアの事を考えると僕は少々、お行儀がよすぎる。もっと悪辣に、もっと残酷に怪獣らしく振舞えば良いんじゃないかって」"と独白をしながら力を滾らせている。
「はぁ? なんだい二重人格とでも言いたいのかい? 『元のデストロイア』ってのは分からないが本人がもっと怪獣らしく振舞うって言ってるじゃないか。この小僧が演技派なだけじゃないかい?」
「ちょっと黙っとけドレイク。二重人格だとしても元は一つの人間。どこかしら似たような部分があるはずだ。だがこれはちげぇ。演技でも二重人格でもねぇ、完全な別物でもねぇ。……なんだ、混じりもんか?」
実は黒ひげはレイがカルデアでも少ないオタ活の理解者のだった為それなりに交流を持っていたりする。自分の話を嫌な顔せずに聞いて尚且つ肯定してくれるオタ友の変化に黒ひげは目を光らせるのだった。
11話『怪獣として、人として』
・レイとヘラクレスの激闘。
鼻息交じりにヘラクレスを転がしていくレイ。あまりに今まで画面内で見ていた"少年"としてのレイやこのカルデアで見た"ビースト"としてのレイとも違う態度や物言いに黒ひげ以外の英霊も違和感を覚え始める。
「……これ、誰よ」
「見た目はレイだけど……」
「明らかに私たちの知ってるレイじゃない。……レイにもクロみたいに中に誰かいたの?」
クロエ、イリヤ、美遊が意見を交わしながら画面を食い入るように見つめる。
「いや、そんな事は無いはず……」
「けどただの思考切替と判断するには……」
「この後も視聴を続けるしかない」
自分たちの記憶にあるレイと自分たちの知らないレイ。二つの性格の剥離が余りに大きすぎて混乱が積もっていく。その解決のためにも三人はしっかりと画面を見つめた。
・13回目の復活
「うおおおおッ! やったなヘラクレスゥ! お前のことだいつか達成するとは思っていたがこうして実際に目で見れて本当に誇らしい!」
「■■……」
ヘラクレスの神話超えに大歓声を上げるイアソンだったが、現在のカルデアの空気的にはレイを応援する流れが出来ていた。そんな中でも懸命にヘラクレスを応援するイアソンの姿にケイローンが苦笑して、アタランテは一度イアソンの頭に矢を放って黙らせておくか悩み、ヘラクレスも目元を抑えて呆れるという異常事態が起きていた。
「イアソン。貴方のヘラクレスへの思いは分かりますがどうかもう少し声を小さく……」
「どうするケイローン、奴の頭に一発喰らわしておいて黙らせるか?」
「余りに酷くなるようなら検討しましょう」
・イリヤ達の登場。
「へぇー、いいお姉さんたちじゃない」
一人で無茶をしたレイに対してしっかりと拳骨を落として叱り、心配したと言ってレイを抱きしめる凛を見たブーディカはそう呟く。その目は慈愛に満ちており我が子を見る様な目であった。
「あたしは娘ばっかりだったけど男の子がいたらあんな感じなのかなぁ……?」
「一人で無茶をするのは男子としてはあるあるだが……。その中でも彼は例外に位置すると思うがね」
「へぇー、エミヤはどうだったの?」
「どう、とは?」
あまり要領を得ないブーディカの質問にエミヤは疑問を返した。
「エミヤ自身の子供の時とか、生前子供いたりしなかったの?」
「……私も子供の頃は大分特殊よりでね。一般的な男子とは言えないので意見は出来ないな。あと私は別に父親ではない。生前、子供はいなかった……はずだ」
まさかの質問内容にエミヤは一瞬固まって出来る限りの記憶を遡って返答した。
「はず……? ふぅーん、断言できないんだ。なに結構遊んでたの?」
「い、いや、そう言う訳では何のだがね……。色々あったんだ、本当に」
遠い目をしながら遠いどこかの景色を思い浮かべるエミヤ。彼の脳裏に冬のテムズ川の中の景色が思い浮かんでいた。
「……その色々も気になるんだけど今は良いや」
余りに遠い目をするエミヤに驚愕したブーディカは直ぐに話題を切り上げて画面の中のレイに視線を戻す。
「がんばれ、子供たち」
・並列限定展開。そしてヘラクレス撃破
「え、エクスカリバーが9本も……!」
「これは……凄まじいな」
「えぇ、とても凄い事です」
イリヤと美遊が共にステッキを掲げると空中に9本ものエクスカリバーが現れる。その景色に本来の持ち主であるアルトリアたちも驚愕する。
「投影や、模造でもない。すべて本物のエクスカリバー……。平行世界から呼び出したのか……!魔道元帥の作り出した礼装……これ程か……」
画面に注目しながら何が起きているのかをどんどん紐解いていくエルメロイ二世。その眼差しは今まで以上に真剣であり、隣に座るイスカンダルやアレキサンダーも驚いている。
そして画面内では9本のエクスカリバーから光の奔流が放たれてヘラクレスを飲み込んでいった。
「うわーっ!? へ、ヘラクレスー!!」
「■■■■」
ガタガタと騒ぐイアソンの方を抑えて落ち着かせるヘラクレス。
「ま、まぁ確かに!? あんな決着じゃあしっかりした勝負とは言えないな! それであのガキはカルデアにきて直ぐにヘラクレスに挑んだわけだしな! それでお前しっかり勝っている! 別にこんな別世界の出来事なんか気にする必要ないな! あぁ、俺のヘラクレスは最強なんだ!」
一人で勝手に納得して、勝手に落ち着いたイアソンはなぜかドヤ顔でヘラクレスの肩をたたいて笑う。『なんなんだ、お前は』と、この上映会に参加していたサーヴァントやスタッフは心の中でそう思ったそうな。
・"「一応、自己紹介しておくよ。僕は衛宮切嗣、イリヤの父親だ。何年ぶりかな沖繫レイくん」"
「うッ」
画面内にその男が現れたときアルトリアがとても嫌そうな顔をしたのだった。
・カルデアでもオタ活支援わしているレイ君。
雀花の前例もあり、他人の趣味嗜好についてはかなり許容範囲が広いレイ君。稀に黒ひげと共にパイケットへ出かけることも。(なお、本人はクロエ一筋なのでとくに買い物したりはせずに黒ひげの手伝いをしている)