プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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一方、カルデアでは。 その5

カルデア シアタールーム

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11話『大変、パパが来た!』

 

・切嗣の登場。

 

「……胃が痛くなってきますね」

「あぁ……」

「あ、あのお二人とも大丈夫ですか?」

「大丈夫か父上!? あの目が変な男に何かされたのか!?」

 

 いつかの記憶がありありと思い出され胃を痛めるアルトリアとアルトリア・オルタ。そんな二人の様子にアルトリア・リリィとモードレッドは心配して声をかける。

 

「え、えぇ大丈夫です。少し嫌な過去を思い出しただけですので……」

「くッ、紛らわすか……。モードレッド、赤い弓兵の所に行ってハンバーガーを貰ってきなさい。食べて気を紛らわせないとやってられん」

「わ、分かったぜ父上!」

 

 アルトリアは心配をしてくれたリリィに出来るだけ笑顔で返すが、オルタの方はそうもいかずモードレッドに自身の好物をとりに向かわさせた。

 

 

・面倒くさいやり取り。

"「あー、イリヤのお父さ「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない」そっちじゃないです」

「別にイリヤとはそういう関係じゃないですから……」

「イリヤに魅力がないとでも?」

「……どうしろと」"

 

「ぶふっ!」

「ロマニ、あんまり笑うもんじゃないぜ~。まぁ、笑いたくなる気持ちは解るけど。というか少し前にレイ君が『懐かしい』っていってたのは多分これだね」

 

 上映会だけでなく、立香含む特異点側の状況も観測しているカルデア職員たち数名は少し前にレイとラーマとの間であったやりとりと非常によく似た状況が流れ出したため思わず笑ってしまった。

 

 

・響くレイの絶叫

 画面内では起源弾を撃ち込まれて全身から血を噴き出しながら倒れるレイが写る。

 

「パパ!」

「い、いや、ちょっと待ってくれ、画面の中の僕と僕は同一人物だけど同一存在じゃないから……!」

「あなた……いくら娘を守るためとはいえいきなり起源弾は酷いと思うわ」

「君までそう言うのかい?」

「ちょ、クロ落ち着いて!」

「イリヤ私は右から抑えるから左を!」

 

 一気に衛宮一家関係の人物が集まっているゾーンが騒がしくなり始める。クロエは干将莫邪を投影して今にもエミヤ(アサシン)に切りかかりそうになっており、それをイリヤと美遊が左右から抑えている。アイリはあらあら、と頬に手を当てながらエミヤ(アサシン)をたしなめて、それに驚愕しながらエミヤ(アサシン)はいつでも回避できるように身構えている。尚、クロエは必中持ちである。

 

 

 

"「いや、酷いですよ切嗣さん」"

「「「!?」」」

 

 一瞬、劇場が静まりかえる。幾たびの戦場を超えた英霊が、強大な魔物や妖と戦ってきた英霊が、人理にその名を刻んだ英雄たちがゾッとして動きを止めた。知っていたはずだった、レイが今、カルデアにいるということはまだこんなところでは死なないということを。知っていたはずだった、レイには再生能力がありこんなところでは死なないという事を。知らなかった、レイはいつもカルデアでは一人のサーヴァントとして、子供として過ごしているから『怪獣』としての側面が顔を出し始めるとここまで恐ろしいということを。

 

「ふむ、あの女の仕業かと思っていたが元から『素養』持ちだったみたいだな」

「ええ、えぇ、そうでしょうとも。んー、確か東洋の言葉でこういったのでしたかな『火のない所に煙は立たぬ』」

「はっ、道理だな」

 

 アンデルセンとシェイクスピアが冷や汗を浮かべながらそう語る。作家であり、戦場に立つような人物ではない二人にはレイの放つ圧はまさに即死級のものだった。しかしそれでもその圧からなにかを感じ取ったのか、思いついたのか、ガリガリと何かをメモ用紙に書き連ねていく。

 二人の様子に釣られて次第にシアタールーム内の空気も元に戻っていく。クロエは剣をしまい席に戻った。最後に小声で『あとで話すから』とだけ言って。

 

・切嗣による解呪シーン

"「『人間』じゃないのか……」"

 

「「パパ……」」 

 

 クロエとイリヤにジロリと目を向けられて

 

「あなた……」

 

アイリもジト目になり

 

「切嗣さん……」

 

 美遊も引いた目で

 

「切嗣……」

 

 エミヤ(アーチャー)だけがご愁傷様という目線を向けてくる。

 

「……な、なんでさッ」

 

 その他劇場内にいる他の英霊達からの一身に受けたエミヤ(アサシン)は思わずそんな言葉が口から出てしまった。

 

・仲良くなったイリヤと美遊。

 画面内では日中の学校で美遊がイリヤの腕に抱き着いていてクラスメイト達が驚愕する場面が流れている。

 

「いや、温度差ありすぎてワシびっくりなんじゃが」

「流石のノッブの本能寺も炎が消えましたか」

「いや、美遊とかいう娘の距離の詰め方にも、レイの状況との差にも差がありすぎるじゃろ。ほら、ワシびっくりしすぎてポップコーン落としてもうたわ」

「うっわ、ノッブ汚い、流石ノッブ汚い」

「ハァー!? その汚いってそんな使い方するもんじゃ無かったじゃろ沖田ァ!」

 

 いつかレイが会いたいと思っていた信長も上映会に参加していた。信長もマスターから新しく召喚されたサーヴァントが(一応)日本人で自分に会いたがっていると聞いていたため、どんな奴か確かめる為に上映会に参加した。しかしその場でみた情報の多さに『あ、こいつやっばいわ……。なんかワシの周りの男ってみんなヤバない?』なんて考えていた。

 

 

12話『モテモテレイ君』

 

・少年の家

 

「これは……レイの家?」

「いや、レイの住んでた孤児院にこんな部屋は無いはず……。というかお母さん!?」

 

 美遊とイリヤが画面内の光景を見ながら首を傾げる。『詠天』とは違う家、孤児なはずなのに存在する母親。それらを見てこの光景が何なのか理解してしまったクロエは顔を青くして震えはじめる。

 

「クロエちゃん、大丈夫?」

 

 それに気が付いたアイリがそっとクロエの手を握る。

 

「これはね……この景色はね、レイがレイになる前に見ていた日常よ」

「それって、私みたいにイリヤ達の世界に来る前ってこと?」

「恐らくね」

 

・穴抜けの景色

 

 今までのレイの登場シーンとは違って穏やかな日常が流れていく。子供が平和な世の中で年相応に無邪気に遊んで過ごす。そんな光景に善良なサーヴァントたちは笑顔を浮かべていた。逆に一部の戦いを好んだり、悪辣な性格のサーヴァントたちは暇そうになっていた。しかし次第にどちらのサーヴァントたちも疑問の表情を浮かべるようになっていく。

 

「ウゥ……?」

「あぁ、ヴィクターの娘よ。汝の疑問は最もだ、この日常、この景色はあまりに『抜け』が多すぎる。恐らくは現の物ではなく、我が宝具と同じ空想の―――」

 

・レディ・アヴァロン登場

 

「「「「マーリンですね(だな)」」」」

「え? ち、父上? マーリンってあのマーリン? え、でもアイツ……女? んー?」

 

 アルトリアたちがレイの目の前に現れたレディ・アヴァロンを見て一斉に口を開いた。そんなアルトリアたちの言葉にモードレッドは首を傾げる。

 

「見た目こそ違いますが間違いなくマーリンです」

「我々の世界とは性別が違うのだろう。モードレッド、貴様もカルデアに居たらよく分かる事だろう」

「けれど私たちの知ってるマーリンよりも少し恐ろしい気がします」

「我々の知っているマーリンよりも大分妖精側に近いのだろう。人の気配が薄い」

 

 次々に画面内のレディ・アヴァロンについて語っていくアルトリアたち。ここまで来ればモードレッドもレディ・アヴァロンが別世界のマーリンであることは疑わなかった。

 尚管制室内では一人のアイドルオタクが驚愕の表情で彼女の容姿に注目していた。

 

・穴抜けの世界の理由

 震え、吐いて蹲るレイの背中を笑いながら摩り、この世界がどうしてこんなに穴抜けの状態なのか説明していくレディ・アヴァロン。

 

「んだよコイツ! 勝手に人の記憶覗いて弄んで! 俺の知ってるマーリンよりだいぶタチが悪リぃぞ!?」

「妖精、夢魔としての性質が強いとこうなるのか……。厄介なものに憑かれたものだな、あの小僧も」

 

 そんなレディ・アヴァロンの態度にイラついたモードレッドは声を荒げる。今にも画面に向かって食って掛かりそうな彼女を手で制しながらアルトリア・オルタはレイを憐れむ。

 

・レイがイリヤ達の世界へやってきた理由。

 

「ふざけないでよ!」

 

 レディ・アヴァロンが語ったレイがデストロイアとなってイリヤたちのいる世界にやってきた理由。強大な怪獣の制御装置、世界を救うための人柱、自分たちが死ぬ未来を変えるための布石、レディ・アヴァロン好みの物語を紡ぎ続ける為の舞台装置。それがレイの役目だという。それを聞いたクロエは立ち上がり画面の中で笑って手を振るレディ・アヴァロンに向かって大声で叫ぶ。手はきつく握りしめられて、歯は食いしばられ、眼には涙が浮かんでいる。

 最初は何事かとサーヴァントたちはクロエの方を向いたが叫んだのがクロエであると分かると納得の表情を浮かべて画面の方に向き直る。叫んだあとクロエは椅子に倒れこむように座り、椅子の上で体育座りの形になり顔を膝に埋めてしまう。

 

「なによ、私たちが弱かったから? 私たちだけだとエインズワースに勝てなかったの? だからレイが連れてこられたの? 私たちの物語を続けるための舞台装置? じゃ、じゃあ私が? 私がレイを家族から引き離したの?」

「クロ……」

「クロエちゃん、そんなことは無いわ。レディ・アヴァロン、彼女はきっとあなた達が強くてもレイ君をあなた達の世界に呼んだわ。『そっちの方が面白そう』とかなにかと理由をつけて。アレはきっとそういう魔術師よ」

 

 ギリギリと締め付ける様な痛みが頭を襲い現実を受け止めきれないクロエ。そんなクロエをイリヤとアイリが左右両方から抱き着いて慰めている。そんな三人の所にルビーが近づいて声をかける。

 

「少しだけこの後のネタバレになってしまうんですがレイさんはあることが切っ掛けでこの時のやり取りの記憶を思い出すんです。それでもレイさんはクロさんたちに怨み言一つ言いませんでした。それどころかクロさんと会わせてくれたことをレディ・アヴァロンに感謝するほどなんです」

「本当……?」

「え」

「本当にクロエちゃんは愛されてるわねぇ……」

 

 ルビーの言葉にクロエは顔を少しだけ顔を上げてルビーを見る。その隣で怨み言の一つや二つ言われると思っていたイリヤが信じられないものを聞いた、と驚きの声を上げる。アイリもクロエの頭を撫でながらレイの愛情の深さに感嘆の声を上げる。

 

「本当ですよクロさん。確かに私たちは彼を家族の元から引き離してしまった遠因でしょう。けどそれと同じくらい彼を幸せにしてあげたんです。だから顔を上げてください。ほら! これが終わったらいよいよクロさんの登場なんですよ! それからのあなたとレイさんのやり取りなんて編集してるこっちがなんど砂糖吐きそうになったことか! しっかり見てくれないとルビーちゃん怒っちゃいますよ!」

「そう……そうね。私、ちゃんと見るって決めたんだったもの。最後までしっかりしないとね」

 

 クロエはパンパンと自分の頬を叩いて真っすぐに画面に向き直った。そして鑑賞会は最後珍しく熱を出したレイをキアラが看病してひとまずの区切りを迎えたのだった。

 




おそらくプリズマ☆イリ『ア』を全編を通しても最上位に来るであろう問題回2個の鑑賞会でした。

・アタランテぶち切れ回
というか子供好き、子持ちだったサーヴァントはだいたい好い顔をしない。アキレウスさんが抑えてくれました。

・実は三人分の罪を背負ったレディ・アヴァロン。
読者から見ればレイ君がヤバい奴3人に干渉を受けていることが発覚する回でしたが、キアラさんは熱を出したレイくんを看病しているだけ。愛歌さんにいたっては現時点でレイ君と出会っていないため記憶にない。そのため一身にヘイトを受けてしまったレディ・アヴァロン。

・無印、クラスカード回収編終了。
鑑賞会も一度休憩へ。多分次回の鑑賞会回は今まででの全体的な感想をサーヴァントたちが語り合うみたいな感じになる。

出来るだけ色々なサーヴァントを出したいとは思っています。もし『このサーヴァントは何してるん?』とか『こいつ出してほしい』みたいなのがあったら活動報告の方までお願いします!

 
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