プリズマ☆イリ『ア』   作:四脚好き

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一方、カルデアでは。 その7

カルデア シアタールーム

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14話『分裂』

・下校と新しい仕事

 

 画面内では雀花がレイに水着の好みを聞きながら下校する場面が流れている。

 

「……これで気が付かないって雀花も不憫よねぇ」

「わ、私と美遊が普通に下校している後ろでこんな会話があったなんて……」

 

 クロエとイリヤは画面内で思っていたよりもレイに対して積極的なアピールをしていた雀花に驚く。何人かのサーヴァントや職員たちも雀花に向ける目線に同情が混ざる。因みに黒ひげは『こぉんの、クソボケ主人公か! レイ氏ーー!』とレイへの怒りと嫉妬を叫び五月蝿かったためドレイクに沈められた。

 

 

・凛の『人間じゃない』発言

 

「あら~、結構引きずっちゃってるわね‥‥…」

「それだけあの世界の僕の発言が衝撃だったんだろう。あの凛って子は『普通の人間じゃない』といっていたのにレイには『普通の』の部分が殆ど認識できていない。自分が何者か、その根底がグラついているんだ」

 

 アイリとエミヤ(アサシン)は凛の発言に深く動揺して、仕事の現場に着くまで殆どボーっとしているレイを心配そうに見つめながらそう解析する。

 

 

・不穏な魔力充填

"今度こそ私こそが『怪獣王』に……"

 

 爛々と黄色い目を輝かせながら他の誰にも気が付かれないように不敵な笑みを浮かべるレイが画面にアップで写る。

 

「……この子、中々恐ろしい事を企んでいるわね」

「星の力を吸い上げてまで殺したい親子が……レイ君に。いえ、これほど違いが出れば分かります。黒ひげさんの言う通りこれは、レイ君じゃありませんね」

 

 メディアとメディア・リリィはレイのしようとしていることに冷や汗をかきながらそう話す。地脈の魔力を好きな様に吸い上げ増殖、変異していく竜種など悪夢でしかない。

 

「星の力を利用しなければ倒せない親子という存在も気になるわね……。いったいどんな化け物よ」

「文脈的には先代怪獣王だったりするのでしょうか?」

「彼が殺せない生物がいるとは思いたくないわね……」

 

 メディアは黒化した自分を葬ったオキシジェン・デストロイヤー・レイの一撃を思い出し、それをもってしても倒せない生物がいるのかと疑問を感じたのだった。

 

 

・分裂したイリヤ

 

「……どうしたのルビー? せっかくクロが登場したシーンなのにちょっと元気なくない?」

「いえ、その……クロさんが登場したこと自体は良い事なんですけどね。イリヤさんたちは知らないんですよ。これから始まるレイさんとの甘ったるいやりとりを。一体ルビーちゃんが編集中どれだけのブラックコーヒーを必要としたことか……!」

「……ルビーがあんな苦しそうな表情を浮かべるなんて。サファイアはなにか知ってる?」

「いえ、作業は全て姉さんが行ってたため私も視聴は初めてなんです」

 

 これから始まるレイとクロエの甘ったるいシーンに編集中の辛さを思い出したルビーはうげぇ、と顔を歪めコーヒーをとりに向かった。そんなルビーの後ろ姿を珍しそうに眺める美遊だった。

 

15話『襲われた』

 

・保健室の先生登場

 

「なぁ!?」

「うわー……」

 

 保健室の先生の顔を見た瞬間、驚愕したクー・フーリンと引き気味になる子ギル。その顔には深く疲労の色が現れており『できれば関わりたくない』という思考が透けて見えていた。

 

「なんで彼の周りの女性ってこう……厄介なのが多いんだろうね」

「厄介なのは女とか関係ねぇよ。つーか、お前がその筆頭だろうがよ……」

 

 子ギルは呆れながらレイの女難を指摘するがすぐにクー・フーリンから性別は関係なくレイの周りには厄介なのが多すぎるとツッコミが入る。

 

・クロエの登場、レイの動揺

 

"な、なんかこっちのイリヤ……。すっごくあざと可愛い!"

 

「ふふふ、やっぱそういう所は男の子なんだね」

 

 突然現れたクロエの姿にドギマギするレイの姿にブーディカは思わず笑ってしまう。というのもレイが『愛欲』の理を持つビースト、というのはカルデア中が知っていることだ。が、彼は召喚されてから、そして映像の中でも今までそう言った『性的』なもの、例えば厭らしい目線や下品な思考と言ったものを全くしていなかった。本当に『愛欲』のビーストなのか、というか一人の男性としてどうなのだろうかと考えていた時にある意味健全な少年らしい反応を見せたレイに微笑んだのだ。

 

「あのとき、レイがクロと戦えないのってそういう理由だったんだ……」

「というより、既にクロに落ちかけていない?」

 

 ただし、イリヤと美遊からは少しばかり冷たい目線を向けられることになるのだが。

 

「むぅ……」

「あらあら、ルサリィ。そんなに頬を膨らましてどうしたのかしら?」

 

 何やら不満そうに頬を膨らませるルサリィにナーサリーはどうかしたのかと聞いた。質問されたルサリィは少しだけ困った顔をして言うか言うまいか悩む。しかし少しだけ考えて口をゆっくりと開いた。

 

「いえ、ただちょっとレイがああしてデレデレしているのを見ると少しだけ、えぇ! 少しだけもやもやします。カルデアに来てから一緒に勉強して、一緒に戦って、一緒に遊んで過ごしました。沢山のレイを見たと思ったんですけど……まだまだ私の知らないレイがいたんだなって。冷静に考えれば当たり前のことです、私とレイが過ごした時間よりもクロエさんがレイと過ごした時間の方が圧倒的に長い。けど、それがちょっとだけ悔しいんです」

「……リリィ」

「……(思っているよりも大分入れ込んでるじゃないの、私!?)」

 

 ルサリィの言葉に近くにいたジャンヌはそっと彼女の肩に手を置いて慰め、幼い自分が思っていたよりもずっとレイに入れ込んでいる姿を見て驚愕するジャンヌ・オルタ。

 

・初めてのキス

 

「や、やりやがった!」

「わ、わわわわわ!」

「うっひょぉー、ロリっ子ディープキッス!」

「は、初めてでこれ……?」

「うわー、あっついわねー!」

「や、やっぱり初めてでコレは可笑しいでしょクローーー!」

「クロエちゃんったらいきなりフルスロットルねぇ」

「し、仕方がないじゃない! こっちは長年溜め込んでた愛が爆発してたのよ!」

 

 会場内は大混乱と化した。一部のサーヴァントは口笛を吹いて囃し立て、一部は恥ずかしがって顔を背け、一部は画面一杯の濃厚なキスに思考がフリーズする。驚愕、動揺、羞恥、興奮、感嘆、様々な感情がシアタールームに充満する。

 

「愛欲のビーストになったのはあの女(クロエ)自身の影響もあるんじゃないか……?」

 

 アンデルセンはドン引きながらもそう考える。なにも知らなかった少年が少なからず意識していた女子からこんなことをいきなりされれば性癖も歪むというものだ。

 

「さ、最近の小学生って進んでるんだなぁ……」

「いやいや、ロマニ。あれはこの二人か特殊なだけだ。ま、そうだとしても君が遅れているのは否定できないけどな」

「なっ、ば! な、なにおぅ!?」

 

 二人のやり取りに管制室は笑いに包まれた。

 

「にしてもこれがカルデア内でもトップと言っても良いレベルで仲睦まじいカップルの馴れ初めか……」

「あー、レイ君泣いちゃった。……これが後にビーストになるって本当かい? しかも『愛欲』の?」

 

 画面内では驚愕と羞恥、困惑が一気に押し寄せて一杯一杯になったレイが泣き出してしまった場面に移っており、クロエがまた若干凹んだり、恋愛経験豊富なサーヴァントたちは微笑ましいモノを見る目でレイを見つめたりしていた。

 そんな中ルサリィは画面一杯にレイのキスシーンが写り得も言われぬ感情に呑まれ、ナーサリーは泣きじゃくるレイに対して庇護欲と少しだけ歪な感情を持つようになってしまった。

 

「……むぅ」

「あぁ、こんな思い。いけないわ、いけないわ。でも、えぇ、仕方がないわ。レイったらこんなに可愛いんだもの……」

 

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