※前話のサブタイと見比べた時にあれっ?と思う部分を発見しましたので修正いたしました。
「――さて、風呂も入った事だし、さっきの女の事も含めて今の状況を説明しよう」
あの後、話はとりあえず風呂に入ってからと言う事で落ち着き、ロビー横の人気の少ない通路で話を始める。
「結局あの人って敵だったわけ? 何か随分アホっぽかったけど……」
「いえ、奴はまだ手の内をいくつも隠しているでしょう。お嬢様の安全にと思い吹き飛ばしてしまったのは失態です……」
「そ、そんな事ないですよ刹那さん! 凄かったです!」
「過ぎた事をどうこう言っても仕方ない。とりあえず現在分かっている事は奴がおそらく主犯である事、他に最低でも二人の仲間……金で雇っていたみたいだが、神鳴流と西洋魔術師がいる事だ」
これが一番厄介だから困る。風呂の時に西洋魔術師、フェイトがいなくて本当に運が良かったと思う。
「ね、ねぇちょっと良い?」
「なんだ? 質問があればどんどん聞くがいい。これは何も知らないだろうお前と少年の為にしている事だ」
「ホッ……。あ、あのさ、今更かもだけどしんめいりゅーって、何?」
「桜咲、説明を頼む」
「貴方も知らないんですか? 仮にも協会の人間でしょうに……」
「……生憎俺は『特別枠』でな。神鳴流については技しか知らん」
少しくらいそう言う事も覚えておくべきだったか?
「はぁ……。すみません神楽坂さん。神鳴流と言うのは元々京を護り、魔を討つために組織された掛け値なしの力を持つ戦闘集団の事です」
「戦闘集団て……それ何かヤバそうじゃない!?」
「だからお前は俺の指示に従って動けと言っただろう? それに、桜咲もその神鳴流だ。神鳴流対神鳴流になるが……そこは桜咲の腕を信頼しておく」
俺も多少の心得はあるが、キチンと習っていた者にはやはり敵わない。
「ええ、お嬢様の為にも絶対に負けません!」
「ん? うちがどないしたん?」
「はい! お嬢様は絶対にこの私がお護り……へ?」
「近衛!? お前ここで何をしている!」
「こ、このか! 今の話聞いてたの!?」
「え? う、うん。神鳴流とか魔術師とか……」
全部聞かれていただと……? だが、どうやって俺達の気配に一切気づかずにここまで接近出来たのだ!?
「あ、あわ、あわわわ……!」
「ど、どどどどどうしましょう!?」
「落ち着け桜咲。あー……近衛、これはだな」
「みんなで集まってゲームの話やろー? せっちゃんやこーちゃん、ネギ君はともかくアスナまで真面目な顔してたからー」
「「「「……へ?」」」」
「もー、せっかくせっちゃんも仲良ぉしてくれる思ったのにウチだけ仲間外れなんてズルいえ!」
そう言って怒っている対象ではあったが……まぁ、バレてないのならそれはそれで良いのか……?
「あ、そー言えばカモ君今喋ってなかった?」
「ぎっくぅ!?」
「近衛、オウムだって喋れるだろう? アレと同じだ」
「(ちょっと! いくらこのかが鈍くてもそれは流石に!)」
「あ~! そう言う事なんやね! 賢いな~カモ君」
「さ、さすがお嬢様……」
「はは、は……」
よし、これでカモは近衛の前でも喋れると言う大義名分が出来た。少しは楽になると良いが。
「す、すいやせん。いきなり喋ったらビックリするって思ったもんで」
「ええて~。でも、さすがネギ君のペットやなぁ。飼い主に似て賢い賢い」
「カモ君、良かったね!」
「おう!」
問題は何一つ解決してないのだがな。この調子だと近衛だけ部屋に帰すのは無理そうだ……。
「近衛、いいか?」
「ん? どうしたん?」
「先程の話の続きだがな……このゲームはかなり大掛かりなんだ」
「そーなん?」
他の3人と1匹からは俺がどう話すのかと言う疑問が込められた目を向けられる。
「ああ。まず、京都に修学旅行として来る際に俺のこちらでの友人から連絡があってな」
「ほうほう」
「せっかく同じ京都出身の近衛も来る事だから何か大きな遊びをやりたいと言うんだ」
「なるほど~」
「この事を知ってるのは俺と神楽坂、それに同じ京都出身の桜咲。そして教員である少年には話を通してある」
「あ~、それでみんなで行動してたんやね!」
「う、うん! そうなのよ! あは、あははは……」
「申し訳ありませんお嬢様……」
「ごめんなさいこのかさん……」
さて、あとはどう上手く裏の事情を察知されずに伝えきれるか、だな。
「ううん、なんやおもしろそーやからええよ! それで、どんな内容なん?」
「修学旅行終わるまでに近衛を攫う事が出来れば向こうの勝ち、守りきればこちらの勝ち、だ。危険はない様に最大限配慮するからそこは安心してくれ」
「おお! 本格的なんやね! あ、じゃあさっきのお風呂の人も?」
「そうだ。あの人が今回メインで敵役を演じてくれる人だ。悪役に徹してるから気軽に声とかかけないようにな?」
「了解や! んー、こーちゃん一つええ?」
「なんだ?」
とりあえず穴だらけではあるが伝わったハズ……。
「他のみんなには話したらあかんの?」
「そうだな。どうしようもない場合は仕方ないが、万が一他の教員の耳に入ると中止になりかねないのでな。それでは面白くないだろう?」
「あー、それもそやね! えっと、せやったらうちはどないしたらええの?」
「そうだな、基本的に1人で行動するのは止めた方が良いだろう。向こうは昼夜問わず来る気みたいだし」
「ほうほう。となると、こーちゃん達と一緒にいたらええかな?」
「それが一番だろうが、そうもいかないだろう? でも必ず俺達の誰かは一緒にいるようにさせてもらうさ」
神楽坂は少年と一緒に行動してもらうとするか。2人でも不安が大きいが……カモがいればある程度はなんとかなるだろう。
「なるほどー。それならこーちゃん、せっちゃん、アスナ、ネギ君。よろしくな~」
「任せておけ」
「任せてくださいお嬢様!」
「まっかせて!」
「このかさんは僕らが守ります!」
これで魔法の事もバレずに……済むと良いんだがなぁ。
「おーし、早速アスナ・せっちゃん今日は一緒に寝よー!」
「はいはい」
「お、お嬢様!? い、一緒に寝るなどとそんなっ!」
「2人とも、近衛は頼んだぞ」
「オッケー!」
「あううう……」
未だ照れがあるのか顔を赤くしたまま対象に引きずられていく桜咲。神楽坂と桜咲……この2人ならまぁ大丈夫だろう。
「さて、俺達は旅館の防護を固めるか。少年、結界は使えるか?」
「い、いえ……まだ未熟なもので……」
「兄貴が悪いわけじゃねえっすよ!」
「カモの言う通りだ。別にそれを咎めはしないさ。それなら、敷地内の見回りを頼む。さすがにさっきの今で襲ってきたりはしないだろうが……」
「分かりました! それじゃ、早速行ってきますね!」
「張り切りすぎて誰かにぶつかったりしないようにな」
「はーい!」
少年が行くのを見送り、俺は結界の準備を始める。呪符を使い、出入り口に貼る事で外部からの侵入を感知出来るようにする。
「ふむ、大体こんなものか」
「お願いです、助けてください……」
「桜咲? お前……何してるんだ?」
「その、お嬢様が私の布団に潜り込んで来て抱きついてきたり頬ずりして来たり……うぅ。神楽坂さんも止めてくださったんですが……」
「だからと言って俺が行っても何も解決しないぞ。近衛はお前と仲良くしたいだけ――」
「お嬢様が私がダメなら青山さんの所にと……」
「……は?」
何故だ、まるで意味が分からない。対象には倫理観が備わっていないのか……?
「今、神楽坂さんが全力で抑えてる最中です……」
「お前が折れたら全て解決する。さっさと折れろ」
「そ、そんなっ!?」
「大体、護衛が護衛対象から離れるな。敵は神楽坂1人でどうにかなる相手では――」
その時、俺の携帯が鳴る。着信の相手は神楽坂。まさか……
『青山君大変! このかが!』
「!」
「お嬢様!?」
『私がトイレ行った隙に青山君の部屋行っちゃった!! どうしよう!?』
「「……」」
まぁ、最悪の事態にならなかっただけマシと思うしかないか。
「……分かった。近衛は何とかしておく」
『う、うん。ホンットーにごめん。強く言い聞かせたから大丈夫だと思ったんだけど……』
「気にするな。元々同衾を拒否した桜咲が悪い」
「あうっ」
『いやまぁ、あそこまでされたらさすがに嫌がるのも無理ないと思うけど……とりあえずこのかはお願いね?』
「ああ。すぐにそっちに戻らせる」
『うん。それじゃ』
電話を切った後、桜咲にも自室待機するように言い、既に近衛が入っていると言う部屋へと戻る。
「やほー、こーちゃん」
「まさか本当にいるとはな……。とりあえず言うぞ? さっさと戻って大人しく寝ろ」
「……あかん?」
「逆に良いと思うのは何故だ?」
「だって守ってくれる人と一緒におったら安全やろ?」
「その通りだな。だから桜咲と神楽坂がいる部屋に戻れ」
対象がここに居る事は問題でしかないのだ。
「もー、女の子がここまでしてる言うのにこーちゃんてば」
「あのな……頼むから大人しく言う事を……」
「えいっ!」
「……おい、布団から早く出ろ」
ここまで頑固だったか……? 一体何がしたいんだ対象は……。
「でーへんもーん」
「……俺はどうしたらいい?」
「今日は一緒に寝て? そしたら明日からちゃんとこーちゃんの言う事聞く」
「嘘じゃないだろうな?」
「うん。それでも……ダメ?」
どうする? たかが一緒に寝るだけだ。それだけで対象は後は俺の指示に従ってくれると言う。……いやしかしリスクも大きいな。ふーむ……
「……まぁいい分かった。降参だ。ただし、今日だけだ。明日からは出来るだけ俺の指示に従ってもらうぞ?」
「あ……うん!」
「……神楽坂か?」
『どう? このかの説得は……』
「任務失敗だ。一緒に寝る事になった」
まさかあそこまで頑固だとは思いもしなかった……。
『はぁっ!? あんた何考えてるわけ!? あ、ちょ、桜咲さん何それさっきの刀!? ストップ! ストップ!! ……で、どう言う事なのよ』
「近衛の頑固さに負けた。ただそれだけだ。安心しろ誓って変な真似はしない」
『トーゼンでしょ!! ……はぁ。まぁ青山君の事だから何もしないとは思うけど、頼んだわよ?』
「ああ。俺がついてる間は守り抜くさ」
『いや、そう言う意味じゃないんだけど……ま、いっか。それじゃ、お休み~』
「お休み」
「えへへ、誰かと一緒に寝るなんて久しぶりやなぁ」
「全く……付き合わされるこっちの身にもなってくれ」
電話を切った後、既に寝る態勢に入っていた対象の隣に腰を下ろす。
「あはは、ごめんごめん」
「それじゃ、電気消すぞ?」
「はーい♪」
……俺も早めに寝ておくか。そう言えば少年は……ふむ、魔力を感じる限り部屋には戻ってるな。
「こーちゃん」
「何だ?」
「あんな、今日から修学旅行終わるまで、よろしくな?」
「改まってどうした?」
「う~ん、なんやろ? 男の子と一緒に寝るなんて初めてやから緊張してるんかな?」
「別に部屋に戻ってくれるなら俺は大歓迎だぞ?」
寝る時は一人の方が良く眠れる。寝ている時が一番無防備だと分かっているからな……。
「戻る、なんて言ってへんもーん。……お休みな、こーちゃん」
「……ああ、お休み」
対象が寝たのを確認し、俺も目を閉じる。……やはり、寝る時に誰かが傍にいるのは落ち着かないな。
side-木乃香
「ん……」
寝てる時、少し寒気を感じて目の前に手を伸ばす。そこには確かに暖かい『何か』があったけれど、重くて引っ張る事が出来ない。
「ん~、えへへ♪」
なのでうちは『それ』が何かを確かめる前に引っ付いてそのまま意識を落とす。まさかそれが隣で眠っていた男の子とは気付かずに――
sideout
「……これは、どう言う事だ?」
「んんっ……すぅ」
目覚めると体がやけに重たい。そこで体の各部を見ると、腰の辺りに対象が抱きついたまま眠っていた。
「そう言えば何か引っ張られる感触と暖かい感触があったな……」
「にゅ……」
「しかし、これは見られたらマズイな。とりあえず起こすとするか……近衛、おい起きろ、近――」
「おーい、このか引き取りに来た……よ?」
「……今すぐお嬢様から離れろこのド変態が……っ!!」
「また、か……」
「んみゅ……えへへ~♪」
結局、対象が起きるまで2人の誤解は解けず、対象は対象で何故か俺と顔を合わせようとしなかった。……早くも問題だらけなんだが、俺はどうしたらいい?
添い寝イベント発生、添い寝イベント発生。大事な事だから2回言いました。この回で既にお分かりかと思いますが、木乃香の主人公に対する今の好感度はかなり高いです。主人公がその気になればカップル誕生です。当分その予定はありませんが……。
本当はあのまま刹那と百合百合添い寝ルートだったのですが……それすると完全にこの×せつになる気がして……強引に主人公と添い寝させました。あまりの強引さに作者もビックリです。
添い寝もそうですが、書いてて思ったのは木乃香ってこういうキャラだっけ? と言う事。でも、二次小説だから関係ないよね!……タグ追加した方が良さそうですね。
……感想とか、頂けたら嬉しいですm(__)m