気がつけばUAも3000を超えそうで驚いてます。
どんどんサブタイトルが適当になってきている気がします。もう少し何かないものか……。
「うーん、いい天気! 終了式日和だなー!」
「別に終了式と天気は関係ないと思うが」
「あはは、まぁまぁこーちゃん。天気がええのは気持ちええやんか~」
「そうそう。それに明日から春休みなのに雨なんて降ったら嫌じゃない」
「……それもそう……だな」
空を仰ぎ見て俺はそう呟いた。そう言われると確かに、気持ちのいい天気だ。
『フォフォフォ! 皆にも一応紹介しておこう――。新年度から正式に本校の英語科教員となるネギ・スプリングフィールド先生じゃ。ネギ先生には4月から「3-A」を担任してもらう予定じゃ』
学園長の話や、春休みの諸注意で終わった終了式。終わった後は教室に戻り、各自解散と言う訳だ。
「というわけで2-Aの皆さん!! 3年になってからもよろしくお願いします!!」
「「「「「よろしくネギ先生―――っ!!」」」」」
教室に戻ると少年の元気な挨拶と、それに呼応するかのようにクラスの全員が元気に挨拶を返していた。
「ほら見て見て! 学年トップのトロフィー!」
「おおっ! みんなネギ先生のおかげだね――っ!!」
「ネギ先生がいれば次の中間テストもトップ確実だねっ!!」
周りがはしゃぎだす。このクラスは相変わらず賑やかだな。……そう言えば、最近このクラスの事を騒々しいとは思わなくなったな。慣れてしまったのだろうか?
「その通りですわ、先生そして皆さん。万年ビリだった2-Aがネギ先生を中心に固い団結でまとまったのが期末の勝因!! クラス委員長としても鼻が高いですわ。今後とも私たちクラス一同よろしくお願いしますネギ先生」
「は、はいこちらこそ!」
「ハイッ! 先生ちょっと意見が!」
「はい鳴滝さん」
あれは……姉の方か? 未だに分からん。いい加減クラスメイトの顔と名前くらいは一致させた方が良いとは思うのだがあの二人は例外だろう……。
「先生は10歳なのに先生だなんてやっぱり普通じゃないと思います!」
「えーと……」
「それで史伽と考えたんですけど――……」
うーむ……二人並ぶとますますどちらがどちらか分からない。どっちがどっちだ? あと、年齢に関しては今更にも程があるだろう。
「今日、これから全員で「学年トップおめでとうパーティー」やりませんか!?」
「おー、そりゃいいねえ!」
「やろーやろー!」
「じゃ、ヒマな人寮の芝生に集合ー!!」
「パーティー……か」
みんなで騒いだりするのは……苦手だ。でも……たまには良いか。そんな事を思うようになるとはな……。
「なぁこーちゃん」
「ん……?」
「こーちゃんはパーティーどうするん?」
対象に呼ばれたので顔を上げると、既に目の前に来ていたようだ。
「今日は良い天気だからな……参加してみようとは思う」
「うんうん。今日はええ天気やもんな~」
「……ああ」
本当に変わったな俺は。師匠に知られたら何と言われるか……褒められるか笑われるか。どっちにしろ良い反応にはなりそうだ。
「臭う……」
「は?」
「え? 別に臭ないと思うけどー」
「違う! 臭う……臭うわよ強烈なラブ臭が!」
「……なんだそれは?」
突然早乙女が俺達の近くに来て変な事を言い出した。ラブ臭? 何なんだその意味の分からないものは。
「だってさ、最近二人ともミョーに仲良いじゃない?」
「そうか?」
「そうけ?」
「ホラー! タイミングもバッチリだしさー!」
「いや、別にそれくらいで……」
「なぁ?」
俺達は顔を見合わせる。特段対象だけと仲が良いわけではないと思うが……。同じくらい仲が良いとなると、神楽坂か?
「ふっふっふ……このパル様の目はごまかせないわよ……ズバリ! あんたたち付き合って……」
「ハルナー先行くで~」
「遅れないようにな」
「あ、ちょっ!? 待ってよ置いてかないでー!」
と早乙女の声を背に俺達は校舎の外に出る。すると、春特有のやわらかな風が流れてきた。
「う~~~ん、やっぱ天気がええ日は風も気持ちええな~」
「そうだな……」
「ホントねー」
「それでみんなはどこに?」
寮の芝生とか言っていたが……そんな場所あったか?
「寮の裏手にパーティーにもってこいの場所があるんよ!」
「裏手に?」
「そそ。ま、寮の裏側は何もないから分かんないのも無理ないかなー」
「……へぇ」
結局良く分からないままなので俺は大人しく対象達について行った。
「ほう……これはまた」
「ふふ、すごいやろ?」
「ああ……驚いた」
単なる寮の芝生なのに……。何故だろうか、言葉には出来ない何かがそこにはあった。
「あ、このかー」
他のみんなと談笑していた神楽坂がこちらに気づき、走ってきた。
「アスナ、やほー」
「あれ青山君もきたの?」
「まぁな。それより少年は? 一応今日の主役だろう?」
「ネギなら長谷川を迎えに行ったわよ」
「そうか。なら少しの間ゆっくりさせてもらうとするか……」
そう言って俺はその場に腰を下ろした。……ところで長谷川と言う名前の人間がクラスにいただろうか?
「……風が気持ちいいな」
「ふーん、そんな顔も出来るんだ?」
「俺は普段どんな顔をしていると言うんだ?」
吹いてきた風を身に浴びていると、神楽坂が隣に腰掛けてきて何やら言い出す。とりあえず、貶されているような気はする。
「こう、ブスーっとしてて眉間に皺寄せてる感じ?」
「そこまで無愛想な顔をしていたつもりはない」
「いやいや、してたって。こんな風にさ」
今度は無愛想どころか不細工になってしまった神楽坂の顔を見て、俺は思わず――
「……くく」
「え!?」
「い、いや、すまない。あまりにもアレな顔だったからつい……くくくっ」
い、いかん。これはいわゆる『ツボに入った』と言う状態だろう。止まらない。
「ちょ、ちょっと! 女の子に向かってアレな顔って酷くない!?」
「し、しかしな。今のはさすがに……ブフッ!」
「そこまで!? 私そこまで酷い顔してた!?」
「あ、ああ。近衛にも見てもらうと良い……くく」
ふぅ……少し収まってきたな。だ、だが先程の神楽坂の顔は思い出すだけでも……ブフッ。
「い、いい加減笑うなぁああああっっ!!」
「あや、アスナ達どないしたん?」
「あ、このか聞いてよ! 青山君たらさ、あたしが青山君の普段の顔真似したら笑うのよ!? 酷くない?」
「アレのどこが俺なんだ」
失礼極まりないな。俺はあんなに面白おかしい造形の顔ではない……ハズだ。
「うーん……じゃあやってみてアスナ」
「ふっふーん。そっくりすぎてこのかも納得しちゃうって。それっ」
「「ブフッ」」
やはり対象でもダメか。これ、一発芸として持っていたら良いのではないだろうか?
「ちょ、二人共!?」
「ぷくくっ、アスナめっちゃブサイクやよ?」
「ブサッ!?」
「くく、くくくく……っ」
師匠が今の俺を、友達と馬鹿な事をして笑っている俺を見たら何と言うだろうか?
「も、もぉおおおおお!! いーかげん笑うなぁああああ!!」
「遅れてスイマセンー!」
「バ、バカコラ! せめて着替えてからっ……!」
神楽坂が本格的に怒った所に少年がやってきた。後ろには珍妙な格好をした謎の女性がいて、少年がその手を引いている。
「遅いよ先生――!!」
「あれ? 誰、そのカワイイ子は?」
「わ――ホントにカワイイ―――!」
「ちょっとネギ、その子もしかして……」
「ちょっと先生! や、やっぱり返してよメガネ!」
謎の女性がそう言って、少年からメガネを取ったのだが……。って良く考えたらあいつが長谷川か。覚えておこう。
「は……は……」
「げっ……」
「……やれやれ」
「はくしゅんっ!!」
「きゃあっ!?」
少年のくしゃみと共に消し飛ぶ女性の服。でも、こう言うのも2-A……いや、3-Aらしくて良いな(良いのかは分からないが)。ま、何にせよ……明日から春休みだな。
…………
………
……
…
「ネギく――ん」
「先生―――」
「お―――いネギ坊主――!」
春休みのとある日、俺達は迷子になった少年を探していた。
「はぁ~、何よアイツったら。春休みだから学園内を案内してとか言って、気づいたらいないじゃない」
「この学園広いからはぐれたんやない?」
「俺も麻帆良に来たばかりの頃は地図を見ながら移動していたな」
まず中等部周辺を覚えるのに三日はかかった……。似たような形・構造の建物が多いからなこの学園は。
「しょーがないなー。あ、朝倉丁度いいところにいたわ。放送頼める?」
「でも、えー天気やわぁ。こんな日はピクニックでもしたいなぁ。こーちゃんにアスナもそう思わへん?」
気持ちよさそうに体を伸ばしながら対象が俺達に聞いてくる。ふむ……確かに良い陽気ではあるな。
「確かに良い陽気だ、それも悪くないな」
「えー、あたしはいいよ。帰って寝たいし……」
「散歩部にでも入ればいいじゃん」
「散歩部?」
それから少しして……少年を呼び出すための放送が流れた。
『ピンポンパンポ―――ン♪ 迷子のご案内です。中等部英語科のネギ・スプリングフィールド君。保護者の方が展望台近くでお待ちです』
「――もう、アスナさんひどいです!」
放送から少し時間が経ち、怒りながら少年がやってきた。まぁ、あんな放送ではなぁ。
「わかったゴメンゴメン」
「でも一日じゃとても学園内全部は案内しきれんえ」
「ネギ、ちょっとここから見てみなよ」
神楽坂が展望台に近づき、俺達も続いて展望台に近づく。更に続いて少年も来た。
「うーん、風がとっても気持ちいいわぁ~」
「……良い風だ」
「うわぁ~~~っ! こ……これはスゴいや!」
まぁ、この学園を全部見渡せる場所だ。初めて来たのなら驚くのも無理はない。
「右手の方に住宅街とウチらの寮があって、こっから丘の向こうまでが大学施設やら研究所やら、あっこが中等部と高等部の校舎やね。商店街がヨーロッパっぽいのは学園都市つくる時に校舎に合わせたらしいえ。遠くに見えるのが図書館島や」
対象があちこちを指差しながらおおまかな位置を説明する。ふむ、あれがこの間の図書館島か……。あの時は随分と大変な目に遭ったものだ。
「す……すごいとても回りきれないです」
「まだまだ時間はある。気長に回ると良い」
全て回る必要はないと思うが。俺は逆にもう少し回った方が良いのかも知れないがな。
「実際私たちもこの中等部近辺しか知らないもの、ムリないよ」
「あや? おじいちゃんからメールやわ……うちらに用事やて」
携帯に着信があった近衛が、俺と神楽坂にそう言ってくる。
「げー」
「……俺もか?」
何の用だ……? 任務の件なら俺だけになる。それがこの二人もと言う事なら……まぁ、大した用では無いだろう。
「あ、じゃあ行ってください。僕一人で色々探検してみますから」
「うーん、でもネギ君一人じゃ……」
「大丈夫か?」
今度は寮に帰って来れなくなりそうだな……。
「ネギ先生―――っ!! 何してんのー!?」
「あ! 鳴滝さん達だ。こんにちはー」
ふと、先生を呼ぶ声が聞こえたのでそちらを見ると、鳴滝姉妹がそこにいた。さすがにどっちがどっちかと聞くのは失礼だな……少年に今度名簿見せてもらうか。
「あ、あんた達いい所に」
「「?」」
「実はな――」
対象と神楽坂が二人に事情を説明する。
「なるほどぉ。いいですよー、学園の案内ですね♪」
「それならボクら散歩部にお任せあれ!」
鳴滝姉妹は快く承諾してくれた。散歩部……先程朝倉が言っていた部活動か。
「じゃ……俺達はこれで」
「うちらはもう行くから~」
「あんたら気をつけなさいよー」
そうして俺達はその場を後にして学園長室に向かう。
「ところで学園長の用事って?」
「んー、分からん。メールにも用事があるからーとしか書いてなかったし……」
「行けば分かるんじゃないか?」
先程も思ったが、ほぼ間違いなく大した事では無いだろう。人選的に。
「それもそうね」
――そして学園長室
「フォフォフォ。よう来てくれた」
「おじいちゃん用事って?」
「フォフォそこまで大した用事でもないんじゃが――」
…………
………
……
…
「――うん、わかったえ。ほなアスナ、こーちゃんいこか」
「うん」
「了解した」
「フォ、青山君だけはちょっと残ってくれんかの?」
「俺……ですか?」
「うむ。別件でのう」
……と言う事は任務の話か。ようやく来たか。いい加減何かさせてもらわないと腕が鈍りそうだ。もちろん、日々の鍛錬はしているが。
「分かりました。近衛、神楽坂、悪いが先に帰っててくれて大丈夫だ」
「ん、オッケー」
「うん。ほな、失礼しました~」
そうして二人が学園長室から出ていくのを見送った。
「それで学園長、話とは……」
佇まいを正し、学園長に向き直る。
「フォフォフォ、まあそうかしこまらんでええわい。そんな難しい話をするわけじゃないしの」
「はぁ……?」
じゃあ何のために俺を残したんだ? 任務じゃなかったら今の所俺個人に特に用なんて無いハズだが……
「どうじゃ? 最近は、元気でやっとるかの?」
「あ、はい」
何だそう言う事か。近況確認ならそうと言ってくれれば良い物を。
「こちらの都合でわざわざ男子中等部から移動させてしまったからのう、まあ元気でやっとるならそれに越したことはないわい」
「いえ、それは……」
仕事だ。文句は言えない。……違う。今はむしろこちらの方が良いとさえ感じてしまっている。それが良い事なのか悪い事なのかはともかく……な。
「――と。今日聞きたいのはそんなことじゃ無いんじゃよ」
「っ」
いつになく真剣な顔をする学園長に気圧され、思わず息を呑んだ。何だ? やはり仕事の事か? それなら正体もバレてないし問題は無いハズだが……。
「このかとは最近どうじゃ?」
「は……? どう、とは?」
しかし学園長は俺の予想を裏切りそんな事を言ってきた。唐突過ぎて質問の意味が分からず聞き返してしまう。学年末テストの時にも聞かれた気がするが、何故対象限定なんだ?
「いやなに……コホン。いくら共学試験中とはいえ男子が女子寮に入っとると色々と噂が入ってきてのう」
「噂……ですか?」
「さよう。これはあくまで例えなんじゃが……最近このかと青山君の仲がとても良いという話を聞いてのう」
例えならそんな具体例は出てこないと思うのだが……。
「そう……なんですか?」
……俺達はそんなに仲良く見えるのか? そう言えば早乙女も似たような事を言っていたな。確かに他のクラスメイトよりは接している機会は多いな。……いや、しかしそれは神楽坂も同じではないだろうか? 対象と同じくらい接する機会が多いが……。
「いや! 噂なら良いんじゃよ。噂なら……」
「そんなに心配なら少し距離を置きましょうか?」
「いや、そこまでする必要はないぞい。それに君もこのか達とギクシャクするのは嫌じゃろう?」
「まぁ……それは、はい」
「それに誰が誰と仲良くしようがそれは個人の問題じゃからあまり口出しはできんわい」
……少しならするのか。まぁ……そうは言っても既に護衛がいるのに更に俺みたいな人間を護衛として二重護衛するくらい大事な孫娘だ。そうなるのも無理はない……のか?
「ただのぅ……このかと付き合う時は真っ先にわしに言っておくれよ?」
「?」
「ふむ……君はそっち方面には疎いのか。そうじゃのう……このかが君を好きで君がこのかを好きになったら自然とそうなるわい」
「はぁ……そうなんですか?」
そもそも……付き合うとはなんだ? 買い物か? しかし学園長が言っている事とは違う気がするな……今度対象とかに聞いてみるか。
「うむ。わしからの話はそれだけじゃ。君の方からは何かあるかの?」
「いえ、取り立てて報告するような事は何も」
「ふぉふぉ、最初も言ったがそう畏まらんでもええぞい?」
「……善処してみます。それでは」
そう言われても、そうそう切り替えれるものでもない。
「あ、やっと出て来た」
「おーい、こーちゃ~ん」
「ん……? 二人共、帰らなかったのか?」
学園長室を出て、更に教員棟の外まで出た所に神楽坂と対象がそこにいた。
「ま、せっかくだしね」
「どうせやったら三人で帰った方が楽しいやろ?」
「ふむ……」
まぁ俺もさっき学園長から聞かれた事を聞きたかったし、特に問題はないか。
「なによ、まさか待っててあげたのに嫌とか言うんじゃないでしょうね?」
「いや、そんな事はない。待たせてすまなかったな二人共」
「ううん、大して待ってへんから別にええよ~。な、アスナ」
「そうね~」
そうして対象と神楽坂と共に寮へと帰る。
「そうだ、実は二人に聞きたい事があるのだが……」
「「?」」
「付き合う、とはどう言う事だ?」
「え?」
「へっ?」
「いや、なに、先程学園長からその様な話をされたんだが、イマイチ分からなくてな。で、付き合うとはどう言う事なんだ? 知っていたら教えてくれないか?」
知らなくても問題ないとは思うが、一度気になってしまったら知りたくなってしまうのが人間と言うものだ。
「え、えーっと、そ、それは……なぁ! アスナ!」
「え!? う、ううううん! そ、そうね!」
「?」
何故二人共顔を赤くしているのだろうか? そんなに変な事を聞いてしまったのだろうか。
「確か学園長は互いが好きなら自然とそうなると言っていたが……」
「あ、あのー、青山君は好きな人っているの?」
「む? ふむ……そうだな、神楽坂とか」
「わ、私!?」
「あとは近衛とか」
「うちも!?」
何故二人共そんなに驚いた顔をするのだろうか? 友達だから好きなのだが……おかしかったのか?
「ふむ? 驚く理由が分からないが……友達が好きなのは当然ではないのか?」
「「……あー」」
「?」
「ごめん、私が悪かった」
「うちもや……ごめんな」
ますます意味が分からなくなった。二人共本当にどうかしたのだろうか?
「ところで、付き合うと言う事に関してだが……」
「ああ、それは買い物に付き合うとか遊びに付き合うとかよ」
「そやね。こーちゃんの言ってる意味やとそうなるかなぁ」
「別の意味があるのか?」
それ以外だと男女の好きと言うのがあるが……生憎その様な感情は生まれてこの方持った事がないな……。
「別に今は良いんじゃない? ね、このか」
「うん。今は知らなくても大丈夫やと思うえ?」
「……そう言うものか」
どう言うものかは良く分からないが、普通の学生であるこの二人が言うのだ。多分、間違ってはいないだろう。
…………
………
……
…
「この辺りの地理はほぼ頭に入ったな」
俺は春休みを使い、主に自分が動く範囲内である中等部の辺りを回っていた。中々忙しかったからな。こう言う時間のある機会に地理把握はしておかねば。
「ふむ……ちょっと校舎の中にでも入ってみるか」
そう思い立ち、校舎に行く道を曲がろうとしたその時
「っと」
「キャ!」
「わぷ」
誰かにぶつかった。向こうは走っていたらしく、割と衝撃があった。しかも様子からすると転んでしまったようだ。
「すまない……って近衛?」
改めてよく見るとぶつかったのは対象だった。そしてなぜか着物だった。
「ほへ? あ、こーちゃん」
「どうしたんだ? 着物なんか着て……それに少年も」
それから後ろにいた対象の後ろにいた少年に気付く。……何があったのだろうか。
「あ、いえあの……」
「?」
「おじょうさまー!」
対象達の後方から声がする。声がした方を見ると、黒い服にサングラスをかけた男が2人こちらに走ってきた。……敵か? それにしては殺気は感じないが……。
「あ! ウチ逃げな……!!」
「あ、ぼ、ぼくも!」
「……」
どうやら対象達にとっては大変な状況のようだが……どうするべきか。
「ほな、こーちゃん! またね!」
「失礼します!」
「……追われてるのか?」
「え? う、うん。せやからはよ逃げなあかんのよ」
……やはり敵か? ……後で学園長にセキュリティの不備を申し立てておこう。
「近衛、少年。隠れるなら良い場所がある」
「え? こーちゃん?」
「ほら、行くぞ」
「え、きゃわっ!?」
「わあっ!?」
俺は対象の手を掴み別の校舎へと走った。こう言う時に地理を覚えていて良かったと思う。
…………
………
……
…
「……ここまで来ればもう大丈夫なハズだ」
俺達は使われてない空き教室に入っていた。今のところは近くに敵の気配は無いからしばらくは大丈夫そうだな
「はぁ……はぁ……あ、ありがとうこーちゃん」
「はー……はー……た、助かりました」
「いや、俺が自分からした事だ。気にしなくて良い。だが……あいつらは?」
どう言う敵か見極めて置かないといけないな。学園長に報告するためにも。
「う、うん、あんな……」
対象の話によると、どうやら見合い話が持ち上がり、逃げてきた所をあの黒服達が追ってきたと言う事らしい。
「えーっ!! このかさんがお見合い――!?」
「なんでまたそんな事に?」
まぁ、敵じゃ無かっただけよしとするか。
「あんな、おじーちゃんがお見合い趣味でな? いつも無理矢理すすめられるんよ。ウチ中2やのにフィアンセとか言って……」
「なるほど……そう言う事か」
学園長……孫を趣味に使うのはどうかと思うのだが……。
「今日はお見合い用の写真撮らされる所やったんけど途中で逃げてきてもーた」
「……ふむ。それで着物を来ているのか」
「へ――……ところでお見合いって何ですか?」
「……」
「ありゃ」
知らずに相槌打ってたのか少年……。かくいう俺も詳しくは知らないわけだが。
「見合いゆーんは結婚相手、つまり将来のパートナーを探す日本の慣習やな」
「え……パートナー?」
何やら思い当たる節があるような少年。そう言えば……魔法使いにもそれと類似したようなのがあったな。でも本来の意味とは違っていたような。
「ほら相手の写真もこんなよーけあるんよ……」
対象はそう言って、どこに持っていたのか、見合い相手とやらの写真を出す。
「沢山あるな……」
「わ――すごーい! みんなカッコイイじゃないですか! お医者さんとか弁護士さんとか」
「えー、ウチややわー。この人なんか倍も歳離れとるんよ」
「まぁ……そうだな」
よくもまぁ、こんなに集めたもんだ。
「え? なんで……」
「……俺はそう言うのは他人が決める物じゃないと思った」
どうしてだか、そう思う。おそらく先日学園長に言われた、互いが好きで、が引っかかっているのだろう。
「うん……ウチもそう思うえ。それに……うちらまだ子供やのに将来のパートナー決めるなんて早すぎると思わへん?」
「ああ……そうだな。それに……」
「それに?」
「良く分からないが、そう言うのは自分で決めるから意味があるんじゃないか。と……そう、思う」
「こーちゃん……」
「青山君……」
「……いや、そんな真剣にとられても困るんだが……」
男女のと言う意味での好きが分からない人間がそんな事を言っても全く重みがない。だが、何故か口から自然と零れたものは仕方がないだろう?
「えー? 全然そんなことなかったえ? な、ネギ君」
「ハイ! そうですよね、分かります!」
「それならウチ……あんなおじさんとかよりこーちゃんとの方がええなー♪」
とんでもない事を何でもないと言う感じで言い出す対象。……学園長が聞いてたら俺は退学になるかも知れない。
「……まぁ、年齢的には若いからな」
「あはは、せやね。ネギ君から見てウチとこーちゃんどう思う」
「あ、はい。とってもお似合いだと思います!」
「やって~こーちゃん♪」
「反応に困るのだが」
似合ってたらなんなのだ? それに、この少年なら誰が相手でも同じ事を言いそうな気がするのだが。
「……えらい淡泊やなぁ。あ、それよりネギ君のパートナーどんなんがええか占ったげよか?」
「え、占い?」
「ほぅ……面白そうだな」
「せやろ~? それにウチ占い研の部長やし」
「ああ、そう言えばそうだったな」
「でしたね」
それからが対象が少年の占いを始める。
「ふむふむなるほどー」
結構本格的だな。……占いに関しては専門外なので知らない事の方が多いが。
「ど、どうですか?」
「ネギ君の将来のパートナーはな―――……ものすごく近くにいます」
「えっ……」
「その人はこの春休みまでにちょっとでも仲良くなった女の子やな」
「ふむふむ。たくさんいるぞ」
「あら、ややなぁ。ネギ君今日までにその子のパンツを見とるえ」
「えっ!? パ、パンツ!?」
「……」
……図書館島の時には全員パンツ一枚になっていたがな。ちなみに俺はさっきの奴らが来ないか気配を探りながら対象達を静かに見ている。
「んー、そしてその子はツインテールと鈴がチャームポイントのちょっと乱暴者な女の子やな」
「ブーッ」
ほう。どうやら対象の占いでは先生のパートナーは神楽坂のようだ。
「それってまんまアスナさんじゃないですか――!? 無理矢理占わないでくださいよ――!!」
少年が大声で抗議する。占いなんて当たるも八卦当たらぬも八卦だろうに。そこまで抗議しなくても良いんじゃないか?
「アハハ今のは冗談や。でもネギ君アスナのこと好きやろー?」
「なっ……すっ……すすす好きじゃないですよ別に―――っ!?」
「あはは、ネギ君顔真っ赤やで―――」
今度は少年が対象を追いかけ、対象が逃げ回る。こんな狭い教室で暴れるのは危険だと思うのだが。
「近衛、着物なんだからあんまり走ると転ぶぞ」
近くに来たのでそう忠告した直後――
「ひゃあ!?」
「――と」
転ぶのはある程度予想していたので、問題なく受け止める事が出来た。
「大丈夫か?」
「あ……うん」
対象の顔が物凄く近くにあった。ふむ、どうやらどこかにぶつけて顔の方に怪我、とかは無いようだな。
「だから言っただろう」
「う、うん。ありがとな」
「怪我は無いか?」
俺が見ている前で怪我をさせるわけにはいかない。
「んと……大丈夫やよ」
「なら良かった」
「だ、大丈夫ですか?」
そう言って少年が俺達の方へ来た。全く、そもそもの原因は少年ではないか。
「ふふふ三人とも仲がおよろしいことで……」
「「「え?」」」
突然、後ろから声がしたので振り向くと……そこには神楽坂と雪広が何やら怒った様子でこちらを見ていた。
「ネギを心配して探しに来てみれば……。このかに青山君……こんな人気のない教室で抱き合って何を」
「ア、アスナさん! これは事故で……」
「いや、俺達は別に何もしていないが……」
敢えて言うなら対象が占いをしていたな。だが……それを言った所で信じてもらえる気配ではないな……。
「木乃香さん……あなたと言う人はおとなしそうな顔して……。青山さんはともかく、ネギ先生を誘惑するとは!」
「いやな、いいんちょにアスナこれは違うねん。こーちゃんは転けそうになったウチを助けてくれて……てゆーかネギ君は別に何もしてへんし……」
「こっちだぞーっ!」
「え……」
この声はさっき近衛を追っていた連中の……? 大した事じゃないと思って軽く見ていたがまさかここまで追ってくるとは。
「ネギ王子ーッ!!」
今度はわけの分からないことを言いながらクラスの連中まで来た。一体今日はなんなのだ。
「このかお嬢さまー!!」
こっちは増えたな……敵じゃないから放っておいても問題はない、か。
「このかお嬢さま今日は逃がしませんよー!」
「あ―――ん、こーちゃん助けてー!」
「アスナさーん! 話を聞いてください――!」
「……それじゃ」
「あー! こーちゃんずるいー! 待って――!!」
騒々しいのは、嫌いだ。嫌い……だったハズなのだ。でも……昔ほどじゃなくなっている。いや、むしろ今は……。
驚く程オリジナリティがありませんね、大変申し訳ありません。これヤバイ、とかあったら対処させていただきますのでお願い致します。
今回のは流石にどうかと思い、次回からもう少し頑張りたいと思います……。
と言う訳で次回予告!
エヴァ戦を二回に分けてやります。まず前半は身体測定→カモ襲来→そしてエヴァ戦へ。
と超アバウトに説明致しますとこのようになっております。ですのでおそらく前編後編と言う流れでやらせて頂きたいと思います。
ちなみに主人公はもちろん戦いません。理由は後半もしくは前半に明かされます。