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「さて、学園長から頼まれたは良いがどうするか……ん? これは……」
魔力……か? 微量だが確かに魔力を感じる。……一応様子を見に行った方が良いか。
「全く……ここまで来たら、後はどうにでもなる……か」
そして外に見えるのは……神楽坂か? あの様子からするに魔力がぶつかり合っている場所へ向かっているな。その肩にはあのオコジョも乗っていた。
「一人バレるのも二人バレるのも一緒、か……」
こうなってしまっては後はなるようになる、だ。バレても学園長が何とかしてくれる。
「カモッ! こっちで良いのね?」
「もちろんッスよ姐さん! ってちょい待ち!! 上だ!」
「へっ?」
「こんな夜更けに何をしている?」
かなり白々しいと自分でも思うが……まぁ良いだろう。
「あ、あああ青山君!? い、いい今どこからっ」
「少年とエヴァンジェリンの魔力の衝突を感じてな。見に行く所でたまたま見かけたから声をかけた。それだけだ」
「あ、なるほど~。……て、え゛!? 今魔力とか言った!?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
既に知っているはずなのに驚く意味が分からない。
「いや、どうかしたってあんた……」
「説明は後だ。行くぞ、カモもしっかり掴まっていろ」
「えっ、掴まるって何キャァアアアアアア!!??」
「うぉおおおおおおっ!!??」
俺は神楽坂の抱え、地を蹴って再び空へと躍り出た。魔力のぶつかり合いはどんどん移動している。速度から察するに少年は杖に乗っているな。面倒な。
「俺はある依頼を受けてここ、麻帆良学園に来た」
「え?」
「その内容は話せないが、今俺がこの場にいるのとそれは別件だ」
「じゃあなんでここに?」
「追加任務と言うか……まぁそんな感じだ。少年が魔法使いだという事、お前が魔法を知っている事、カモが少年の使い魔だと言う事は既に知っている。あと、エヴァンジェリンが吸血鬼だという事もな。逆にカモとエヴァンジェリンには俺の正体は知られていた」
「え、ウソ!?」
「いや、その……マジです姐さん。俺っち、兄貴に言おうと思ったんスけど喋ったら殺すってこの兄さんが……」
「状況が変わった。もう構わん。だが、他の人間には一切喋るな。良いな?」
「う、うっす!」
バレても構わないがこちらから私は魔法使いです。なんて事を言う気はない。
「えーと……もしかして、青山君も魔法使い……?」
「ああ。多少武術も使えるが魔法使いと言う認識でこの際問題ない」
「ちょ、ちょっと待って! 整理させて!」
「時間がない。手短にな」
気持ちは分からなくもないが、今はそんな事をしている暇はないのだ。
「えーと、青山君は実は魔法使いで、追加任務? でここに来て、それからそれから……」
「姐さん姐さん、今はそれより兄貴を助ける事を考えましょうぜ」
「う、うー……そうね! 青山君! 後でちゃんと説明してよね!」
「今したじゃないか」
他にどう説明しろと? これ以上の説明は不可能だぞ。
「い・い・か・ら!」
「む……」
まぁいい。とりあえず今は少年が先だ。
「と、ところでネギはどこ行ったの?」
「まだ動きながら戦っているから正確には分からないが……方角的に考えて橋の方へ向かっている」
あの二人の魔力の動きを見る限りでは、になるが。
「わ、分かった!」
「それより、このままでは間に合わないかも知れん。少し飛ばすからしっかり捕まっていろ」
「へ――わきゃう!?」
俺は再び神楽坂を抱え込み、そのまま速度を上げて二人がいる場所へと向かった。
「ちょ、ちょちょちょちょっと!? 早い! 早すぎるって~~~!!」
「うおおおお!? 姐さん、頼むから離さないでくださいよぉ!?」
「だが、もう橋に着いた。エヴァンジェリン・少年の魔力は感じるが、ロボットだとか言う絡繰からは何も感じない。つまりどこにいるか分からない」
「え、そ、それってどう言う事?」
「例えばいきなり後ろから撃ち落とされる可能性も0ではないと言う事だ」
とにかく、神経を集中させてわずかな変化も見逃さずに橋の方を見る。確認できる人影は三つ。どうやらあの二人は少年に注意を向けているようだ。
「それヤバくない!?」
「いや、さっき確認したが二人共今は少年の方に注意を向けている。問題はない。だが……少年を助けてどうする? 」
「それなんですが、『仮契約』するんでさぁ!!」
「少年と……神楽坂がか」
確か、仮契約は口唇同士による粘膜接触が基本だと師匠に教わった気がするが……。
「ガキ相手だし、ノーカンよノーカン! 別にネギが好きだからキスするんじゃないわよ」
「誰もそこまでは聞いていないが……まぁいい、行くぞ!」
「あ、エヴァちゃんは私がやる! 何かこの前普通に蹴れたし」
「何?」
あの手の魔法使いは障壁を常時展開しているハズだが……それを一般人である神楽坂が普通に蹴り飛ばしただと?
「そう言うわけだから、任せて!」
「……カモ、どう言う事だ?」
「お、俺っちにも良く……。その場にいたわけじゃねーですし」
「そうか……ならこの目で確かめるしかなさそうだ。カモ、絡繰は俺達で止める。良いな?」
「おうよ!」
そうして一気に急降下し、狙いを定める。
「コラ――ッ!! 待ちなさ――いっ!!!」
「……うるさい」
「まぁ、良いじゃないっスか」
「む……?」
「上ですマスター!」
だが二人が俺達に気がついた時にはもう遅い。着地した瞬間に神楽坂はダッシュしてエヴァンジェリンの障壁を無視して蹴り飛ばし、俺とカモは絡繰に閃光を浴びせて動きを止める。そしてその隙に俺は少年と神楽坂を抱えてあの二人の死角に隠れる。
「フー、危なかったぁ」
「少年、怪我はないか?」
「あ、青山君にアスナさん……どうしてここに!?」
「それは後で説明する。それより、何故一人であの二人相手に挑もうとした?」
いくらなんでも一人で勝てると思っていたわけではあるまい。そして神楽坂にも後で聞かなければな。
「ゴ、ゴメンなさい……僕、僕アスナさんにこれ以上迷惑かけないようにって……頑張ったんですけど、駄目でした。ひっく」
「ちょっと、何子供泣かしてるのよ」
「……俺のせいか?」
いや、しかし今のは俺のせいではない気がするのだが……。
「それとネギ。ガキがこんな所で意地張ったって可愛くないのよ?」
「う……」
「良い? この場合はね、私も青山君も来たくて助けに来たんだから迷惑でもなんでもないの!」
「何? 俺は仕事で来ただけであってだな――」
「はいはい、ややこしくなるからちょっと黙ってて」
聞き捨てならない言葉が聞こえたので抗議しようとしたが、口を塞がれた。
「む……」
「とにかく、協力するからチャッチャとあの問題児をどうにかするわよ!」
「それで? 肝心の少年はどうするんだ? 戦うか、逃げるか」
「……いえ、僕は逃げません! 二人共、お願いします! 僕、あの人に勝たなきゃ!」
涙を拭った少年の瞳には確かな決意が宿っていた。これなら大丈夫そうだな。こちらとしても援護のしがいがあると言うものだ。
「フ……」
「そーこなくっちゃ兄貴!! では姐さん!」
「む……まぁこの場合は仕方ないわよね」
「え?」
「う、うん、よし。準備OK、良いわよ。じゃネギ、いくからね」
「え?」
戸惑う少年をよそに進行していく仮契約の準備。ふむ、魔法陣から離れておくか。
そして準備が整った瞬間に少年の意思は無視で仮契約が進む。
「パクティオー!」
「ほぅ」
これがキス、と言う奴か。初めて見たが、やはり単なる粘膜接触ではないか。
「なッ……ななな何するんですかアスナさん――っ!?」
「あー、いやごめんね」
「ぼ、ぼぼぼ僕キキキキスするの初めてだったんですよ!?」
「大丈夫、私も初めてだけどあんたガキだし、カウントしない事にした」
「え゛っ」
「それより、早く契約しなくていいのか? ただ唇を合わせただけになるぞ?」
そんな時間の浪費は止めてもらいたいものだが。
「おっとすまねぇ! って事で、契約更新!」
「なんだ。以前にしていたのか」
「あの時はおでこだったから効き目が薄いとかなんとか……」
「そう言うわけでさぁ!」
カモがそう言い放った直後、眩い光が二人を包む。これが仮契約か……師匠に最低でも一人くらいとは仮契約をしておけとか言われていたが……まだ良いだろう。
「むっ、そこか!? ……ほう、ようやく出て来たかと思えば、貴様……この件には関与しないんじゃなかったのか?」
「事情が変わった。学園長からの正式な依頼だ。エヴァンジェリン、お前を止める」
「ちっ、あのジジイめ……。流石に三対二では分が悪いか……茶々丸。神楽坂明日菜と青山紅の相手は出来るか?」
「はい。青山さんは未知数ですか神楽坂さんならある程度は」
「神楽坂、おそらく絡繰では本気では来ない」
「えっ?」
「まだお前を『ただの一般人』と思っているからだ。仮契約により少年から魔力が供給されている今のお前の身体能力は飛躍的に上昇している。油断している絡繰相手ならそれなりに戦えるだろう」
「う、うん。分かった。で、青山君は? やっぱり魔法でチュドーンってやるの?」
どうでもいいが頭の悪い表現だな……。
「そうしても構わないがお前を巻き添えにする可能性が高いぞ?」
「……ごめん、今の無しで。あ、で、でも大丈夫なの!? 魔法が使えなかったらネギみたいに弱いとか……」
「問題ない。魔力が使えない状態でもお前と少年二人よりは強いと自負している」
魔法に頼らずとも戦えるようには訓練されているからな。と付け足しておく。
「く、訓練て。そこんとこちゃんと説明してくれるんでしょうね?」
「説明する理由がないから断る。少なくとも今はな」
「む」
「それより、来るぞ」
絡繰が構えたのを見て、神楽坂に警告をする。さて、どっちに来る?
「今更だけどさ、女の子相手に二対一って何かこっちが悪者みたい」
「試合ならそうかも知れないが、実戦に善も悪もない。あるのは敵か味方か。それだけだ」
「ハハハ、神楽坂明日菜! 青山紅の言う通りだぞ?」
少年と交戦中だったエヴァンジェリンが神楽坂に対して声をかけた。
「わ、私普通の女子校生ですのでー」
「だったら物陰にでも隠れていればいい。誰も咎めはしない」
「ここまで来て出来るかっ!」
「あの、仕掛けてもよろしいでしょうか? 何やら良い雰囲気でしたので静観しておりましたが……」
む、そう言えばいつまでも仕掛けて来ないから話の方に意識が行ってしまった。いくら相手がクラスメイトとは言え戦闘中に敵から気を逸らすとは……いかんいかん。
「だっ、だだだ誰と誰が良い雰囲気なのよっ!!」
「? 青山さんと神楽坂さん以外にいらっしゃいませんが……」
「それは良いが絡繰、残念だが俺達が戦う事はないようだ」
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル! 来れ雷精、風の精!」
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック! 来れ氷精、闇の精!」
強い魔力を感じ、上を見上げると少年とエヴァンジェリンが互いに混成魔法を放つところだった。
「ほう、同種の魔法か」
「しかも兄貴の方は精一杯のいっちゃん強い魔法じゃねーか!」
あれが少年の精一杯か……。あの年で混成魔法を使いこなすとは流石、と言うべきか。
「雷を纏いて吹き荒べ、南洋の風!」
「闇を従え吹雪け、常夜の氷雪!」
「二人共、少し下がっていた方が良い、あのクラスの魔法のぶつかり合いは少々危険だ。念の為に障壁は展開しておく」
「あ、うん」
「はい」
障壁の強度は……この距離ならそこまで強くしなくても問題ないだろう。
「来るがいいぼーや!! 闇の吹雪!!!」
「雷の暴風!!!」
「……ふむ、まずいな」
ぶつかり合う二つの魔法。一見互角に見えるが少しずつ……本当に少しずつだがエヴァンジェリンが押している。
「何がまずいの?」
「エヴァンジェリンが僅かだが押している。このままだと……押し切られる」
「え!? ネギ……っ!」
「兄貴―――っ!!」
ここまでか? ここで終わっていいのか? 少年……。
「む? いや、あれは……!」
「は……!? ハ、ハックション!」
いつものくしゃみにより増幅した魔力で一気に押し返し、雷の暴風が闇の吹雪を貫いた。
「何っ!?」
「ほぅ……」
「ネギ!!」
「マスター……!」
魔法はエヴァンジェリンに直撃し、大きな爆発を引き起こした。そして……何故かエヴァンジェリンの服が脱げた。……雷の暴風ってあんな魔法だったか? まさかくしゃみのせいか?
「やりおったな、小僧……。フフ……さすがは奴の息子。期待通りだ……」
「あっ、脱げ!? えと、ご、ごめんなさい!」
「やったぜ兄貴! あのエヴァンジェリンに打ち勝った!」
「フ、だが決着はまだついていないぞ」
まだやる気か。余程少年に執着しているな……。
「! いけない、マスター!」
「む?」
「え?」
いきなり絡繰が叫んだかと思ったら、急に学園中が明るくなり始めた。ああ、メンテナンスが終わったのか。
「何!? ええい、適当な仕事をしおって!」
「絡繰、メンテナンスが終わるとどうなる?」
「マスターにかけられた呪いが再稼働します、あの高さにいては……!」
「え、ちょ!? それってヤバくない!? 確か普通の女の子に戻るんだっけ?」
そう言ってる間に、回復した呪いがエヴァンジェリンを襲い、魔力を失った彼女はそのまま湖の方へと落ちていく。
「マスター……!」
「問題……ないっ」
「あ……?」
間一髪というべきか、落ちるギリギリのところでエヴァンジェリンの手を掴み、そのまま抱き抱える事に成功した。
「うーわー……水の上に立ってるよ」
「エヴァンジェリンさん大丈夫ですか!?」
「マスター……ご無事で」
「安心しろ、少なくとも怪我はしないように抱えている」
「貴様、妙に手慣れていないか……?」
「女性を受け止めるのは神楽坂達と行動していたら自然と慣れた」
何故だか、そう言った機会が多かった気がしないでもない。
「ああ……。それはそうと、借りが出来たな」
「気にしなくていい。お前も俺のクラスメイトだ」
「フ……そうか。まぁ、こう見えても私は結構義理堅い。いずれ何らかの形で返すさ」
「その時は頼らせてもらおう。600万$は伊達じゃないんだろう?」
「当たり前だ」
橋の上に戻ると、絡繰がエヴァンジェリンに黒いマントを羽織らせ、そのまま付き従った。
「エヘヘ、勝負は僕の勝ちで良いですよね? 魔法も打ち勝ちましたし」
「……まぁ、今日の所は負けを認めてやる」
「やったー! じゃあ、悪い事も止めて授業にもちゃんと出てもらいますからね!」
「何? それとこれとは話が別――」
「ああ、そうだ。さっきの借りだが少年の言う通りにする、で」
「なっ!? おい貴様っ、ふざけるな!」
なるほど、貸しはこう使えば良いのか。結構楽しいな。
「何だ? 義理堅いって言うのは嘘なのか?」
「む……ぐ……っ。お、覚えていろよ青山紅……」
「じ、じゃあ……!」
「ったく、出たら良いんだろう!? 言っておくが今度こそそれまでだからな!」
「あ……ハイッ!」
まったく、世話が焼けると言うか何と言うか……。
「へぇ、良いとこあるじゃん」
「……まぁこのくらいは、な」
「何すんだ貴様! 止めろコラ!!」
「えー、だってー」
なんだ? 急にエヴァンジェリンが騒ぎ出したが……。少年が何かしたのか?
「えーと、あれって仲直りって事で良いの?」
「どうなんでしょう?」
「微笑ましくはあるな」
先程までの剣呑な雰囲気はなんだったのかと言いたくなるほど、空気が緩んでいる。だが……不思議と嫌いじゃないな、この感じも。
「フ……」
「んー? なーにまた一人で笑ってんの、よっ!」
「いきなり背中を叩くんじゃない」
何だこの力は……かなり痛いぞ……。まだ魔力供給が続いているのか?
「まー、それは置いといて。今度は何で笑ってたのよ?」
「そうだな……さっきまであれほどの戦いをしておきながら今度はまるで友達同士のように空気が緩んでいる」
「うんうん、それで?」
「その空気が悪くないと感じる俺自身が可笑しかった。それだけだ」
あたかも一人の人間のようだ。これが可笑しくなくて何を可笑しいと言えば良いのだろうか?
「あ、それアレじゃない? ほら、アレよ!」
「いや、姐さん……アレじゃ何か分かんねーって……」
「さすがに分かりかねます」
「まぁ……頭がアレだから仕方ないんじゃないか?」
「「あー」」
どうやら俺が言いたかった事は理解できたらしい。
「ちょっとー!? 何で私の時には分からなかったくせに青山君の時には分かったような顔してこっち見るわけ!?」
「兄さんのはわかりやすいって言うか……なぁ?」
「ええ」
「どうせ私はバカだけどさ!? にしてもその反応はなくない!?」
「ふぅ……こんなに騒いで、後で補導されないと良いが……」
俺達だけじゃない、前を歩く少年とエヴァンジェリンも何やら騒いでいる。
「だ・れ・の・せ・い・よ!」
「少なくともお前ではないか? 俺は騒いでいるわけではないし……」
「まぁ、兄さんの言う通り大声を出してるのは姐さんと兄貴達だけだな」
「ですね」
「ぐっ……む、むーっ!! も、もう知らない知らない! バーカっ!!」
いきなりそう言い出したかと思うと、そのまま走り去っていってしまった。
「……なんだアレは? 奴は頭でも打ったのか?」
「ど、どうなんでしょう……」
「子供みたいな奴だな」
「いや、中学生は子供ではないか?」
「私は2歳ですが」
「私なんか100越えだぞ?」
見た目は子供だろ、と言うと思いっきり殺意のある目つきで睨まれてしまった。
「本当の事を言っただけなのだが……」
「まったく、少しは出来るかと思ったが女の扱い方がなっとらんな。このぼーやを見習うと良い。少なくとも女の扱いに関してはお前より上だろうよ」
「む……」
確かに今後もこのような事があるのは困るな。しかし、女の扱い方と言われても何をどうすれば良いのやら。……エヴァンジェリンの言う通り、一度少年にでも聞いてみるか?
「あ、そうだ!」
「「「?」」」
いきなり少年が大声を出したので一斉にそちらを向く。一体どうしたんだ?
「青山君! 何でここに!? てゆーか、僕やエヴァンジェリンさんの事を知ってるって事はやっぱり……!」
「今さらかぼーや」
「そう言えば後で説明すると言ったか……。まぁ、察しの通り俺は魔法使いだ。だが、事情があって魔法使いだとバレるのは極力避けたい。頼めるか?」
もう魔法使いでいいだろう。詳しく説明するのは面倒だ。あとバレるのも構わないが聞かれるのは面倒だ。
「あ、は、はい! あの……青山君の事を知ってるのはえーっと……」
「今の所は神楽坂・エヴァンジェリン・絡繰・カモ・少年・学園長だけになる」
本当は学園長以外にはバレないつもりでいたかったが……バレてしまったものは仕方がないだろう。
「な、なるほどー」
「だから少年、俺の事は内密に頼む。今邪魔されるわけにはいかない。少なくとも今の任務が終わるまでは……」
「は、はい、分かりました! と、ところでその任務っていうのは……」
「すまない。立場上教える事は出来ないが、誰かを傷つける事が目的ではない事だけは確かだ」
むしろその逆。護る事が俺に与えられた任務だ。
「そ、そうですかー。良かったです。生徒が危険な事をしてるなんて見過ごせません!」
「ぼーや、言っておくがコイツはぼーやよりも遥かに強いぞ?」
「まぁ、今は……になるが」
そもそも修行した密度・期間が違う。例え少年が俺と同じ修行をしていたとしても、年齢差的に俺は少年より4年多く修行している事になる。これによる差はそう簡単には埋められない。……多分。
「で、でもやっぱりダメですよ!」
「少年、一つだけ言っておく」
「え……?」
「生きるために必要な事というものも存在する。それがどれだけ危険な事であろうとな」
まぁ……それでも師匠の修行には無茶がありすぎたと今だから思える。本当に、良く生きていたと思う。
「青山君……」
「そう言う事だぼーや。こいつとお前では育った環境が違いすぎる。が、だからと言ってお前も無駄に命を散らす事はないだろう?」
「勿論だ。わざと自分から危険に飛び込むような真似はしない」
何故好き好んで自分から危険な事をしなくてはならないのか? 何事も無ければそれが一番だ。最も、俺に来る任務は危険なものが多いのだが……。
「ホッ。なら良かったです……♪」
「(なぁ、私が言うのもアレだがこのぼーや、こんなに平和ボケしてて大丈夫なのか?)」
エヴァンジェリンが小声で話しかけてくるが……正直知った事ではない、と言うのが本音だ。
「(少なくとも今のところは大丈夫なんじゃないか? 少年のこれからの選択によると思うが……)」
「(フ、それもそうか……)」
少年がどんな選択をするかは分からない。だが、それは俺には直接関係のない事だ。しかしまぁ、『友人』として少しくらいなら付き合ってもいいかと思う。
少しSに目覚めかけた主人公です。大丈夫なんですかね?
それはさておき、これでエヴァ様編が終わりました。で、ストックがあと2、3話分しかなかったりします。ストックなくなってからは二日に一回、三日に一回くらいのペースでの更新に……出来たらいいなぁ。
とりあえず次回予告です!
修学旅行前の買い物+明日菜の誕生日回でございます。……やっぱり明日菜の出番多いなぁ。早いとこ軌道修正しないと戻れなくなりそうで怖い……。