宮廷の遊撃人   作:らりるれリッター

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第20話 中央四十六室の異変

 

 

「【宮廷遊撃部隊(きゅうていゆうげきぶたい)十四番隊部隊長(じゅうよんばんたいぶたいちょう)】雷山悟。中央四十六室に面会を求める!」

 

 

翌日、中央四十六室の裁判官と賢者が一堂に会する地下議事堂の前で雷山は名乗りを上げ面会許可を求めていた。

雷山がこの場に訪れるたびに行われている一連の流れだが、この日は違った。

 

中からの応答が無かったのだ。

 

 

「…………」

『返事がない上に恐ろしく静かだな。しかし……』

 

 

辺りは静寂に包まれていた。まるで誰もいないかのように、

しかし雷山はその静寂の中に妙な気配を感じていた。何者かが息を潜めて自身が去るのを待っている気配。

 

 

「……仕方がない。出直すとしよう」

 

 

ぶち破るのは簡単。しかし、そんな手荒なマネを確信がない今はまだ出来ないとして雷山は静か過ぎる地下議事堂と中の何者かの気配を併せて、おかしいと思いながらもその場を後にした。

 

 

『……行ったか。【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”とはいったい……』

 

 

中で息を潜めていた者の正体。

それは、【護廷十三隊九番隊隊長】東仙(とうせん)(かなめ)であった。

東仙は当たり前のように地下議事堂前に現れた【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”。名乗りを上げる雷山悟なる死神のことを不審に思っていた。

 

 

『……そうか。101年前、あの時の……!!』

 

 

東仙は101年前に立ち塞がった死神である狐蝶寺春麗、椿咲南美と相対したとき雷鳴と共に感じた霊圧の正体が雷山のものであると気が付いた。

藍染でさえ未だ把握するに至らない【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”。そのトップであろう『部隊長』が現れたことにより、すぐさま藍染へ報告すべく動いた。

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

「雷山悟。只今帰還した」

 

「おっかえり~♪朽木ルキアちゃんの件はどうだったの?」

 

「中から返事がなくて地下議事堂に入ることが出来なかった。だが、誰もいないって言う訳でもなく()()()()はいたな」

 

「え?それってどういう意味?」

 

「俺に対して返答はしないが、議場内には1人か2人ほどのこちらの動向を伺いつつ、息を潜めているような気配を感じたんだ」

 

「確かにそれは妙ですね」

 

「普通に会議してたとかって訳じゃないよね?」

 

「ああ、会議中ならば息を潜める必要はないし、何より中に居た人数からしてもおかしい」

 

「雷山さん、それに付随してか1つ妙な通達があったのを覚えていますか?」

「これなのですが」

 

 

銀華零はそう言うと雷山に1つの書類を手渡した。それには現世にて”死神の力を人間に譲渡した罪”に問われる極囚・朽木ルキアについて書かれていた。

曰く、朽木ルキアさんの処刑の期限を35日から25日短縮すると、

 

 

「そう言えばあったな、この理由は?」

 

「特別ありません。尸魂界(ソウル・ソサエティ)の通例では処刑までの期日は延長されることも短縮されることもない。ましてや理由なくの短縮などあり得ない」

 

「……どうやら俺の勘違いではなかったようだな。やはり藍染が中央四十六室を乗っ取っている可能性が大いにある。浮葉、すぐに椿咲と山吹を呼び戻してもらえるか」

 

「承知しました」

 

「春麗は今の情報も併せて早急に【王属特務】に情報共有をしに行ってくれ。寄り道はするなよ」

 

「分かってるって♪じゃあ、行ってくるね~♪」

 

「後はどうにかして地下議事堂の中に入れればいいんだが……」

 

「仮に藍染惣右介らが中央四十六室を乗っ取っていて、それが外に漏れていないという事は中に見張りがいると考えるのが妥当ですかね」

 

「ああ、入るだけなら椿咲の斬魄刀や『陽炎写(かげろううつし)』で十分だが、鉢合わせるのは避けたいところだよな」

 

「私がどうにかしましょうか?」

 

「何をするつもりだよ」

 

「まあまあ、任せてくださいな」

 

 

何をして四十六室の監視を中から引き離すかを言わない銀華零に雷山は一抹を不安を抱えていた。

普段は冷静沈着な銀華零だが、時として突拍子もないことをするのもまた事実だったからである。

 

 

「白が出るのは最後の手段だ。まずは椿咲と山吹からの報告を聞いてどう動くかを決めよう」

 

 

         ・

 

         ・

 

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「山吹雷花。ただいま戻りました」

 

 

数時間後、

【三番隊隊長】市丸(いちまる)ギンと【九番隊隊長】東仙要を監視する任務に就いていた山吹が雷山からの召還要請に応じるために戻って来た。

 

 

「急に呼び戻す形になって悪いな。帰って来て早々なんだが、1つ厄介なこと可能性が出て来てな。まずはそっちの話をしようと思う」

 

「厄介なことですか?」

 

「ああ、まだ確認が取れていないんだが、中央四十六室が藍染一派に乗っ取られた可能性が出てきたんだ」

 

「そうなのですか……」

「……え?はい!?」

 

 

山吹は二度見ならぬ二つ返事をしていた。

一度目は雷山からの情報共有を了承したことに対する返事、

二度目はその情報が自身の聞き間違いを疑うほど突拍子もないことを頭で理解したことによる驚きだった。

 

 

「まあ、その反応になるのは分かる。俺が突拍子もないことを言っていることもな」

 

「信じ難い話ですが……なるほど。だからあたしは呼び戻されたんですね」

 

「ああ、単刀直入に聞くが、ここ最近で市丸ギンと東仙要に妙な動きはあったか?」

 

「両名ともに言えることですが、毎日時間は不定でどこかへ出かけるようになりました」

 

 

山吹はその事に関して詳しく説明した。

曰く、ある時期……恐らく朽木ルキアが現世にて発見された辺りを境にして市丸ギンと東仙要がある一定時間、詳しい行き先を告げずに一切の姿を見せなくなったと、

三番隊士も九番隊隊士も少し不思議には思っている様子だが、聞けずにいる状態であり、山吹も調査のために秘密裏に後をつけたこともあるが見失うばかりだった。

 

 

「成程、つまりその姿が見えない間に地下議事堂に行っている可能性があるわけか」

 

「申し訳ありません。しっかりとこの目で確認してから報告しようと思っていましたので……」

 

「それは構わないぞ。途中で戻って来てもらったわけだしな」

 

「すいません!お待たせしました!」

 

 

その声と共に襖が開かれた。

『十番隊隊長代理』の任を終え、現在は【五番隊隊長】藍染惣右介を監視する任に就く椿咲が入って来た。

 

 

「椿咲も急に呼び戻して悪いな。さっそくだが、藍染について妙な動きが無いかを報告してもらえるか?」

 

「……分かりました。少し前からですが、どこかへ出かけるようになりました。方角的には中央四十六室がある方向です」

 

「という事は、やはり藍染惣右介が関わっていると見るべきですね」

 

「ああ、考えたくはないが最悪の事態は想定しておかなければならないかもな」

 

「山吹ちゃん、どういうことなの?」

 

 

戻ったばかりで状況が呑み込めていない椿咲は近くにいた山吹に何があったのかを聞いていた。

すると山吹からは自身がまったく想像していなかった答えが返ってきた。

 

 

「ええ!?四十六室が藍染君に乗っ取られたかもしれない!?」

 

「おい、そんなでかい声出すな」

 

「いやいやいや!さすがに大きい声を出さない方が難しいですって!」

 

「……まあ、その反応になるのは予想してたことだが、今はともかく落ち着いてくれ。2人に今までの経緯を説明するためにもな」

 

 

その後雷山は、実際に調査に当たった浮葉の手伝いもありながら今までの事の成り行きを説明した。

・現世に現れた大虚(メノスグランデ)とそれを撃退した死神代行のこと。

・連れ戻された朽木ルキアに不自然なほどの重罪が言い渡されたこととその期日が理由(わけ)もなく短縮されたこと。

・地下議事堂にて雷山が感じた異変と議場中で感じた気配ついて――――

 

 

「なるほど、状況はあらかた理解しました。いつの間にかそんな賑やかになっていたんですね」

 

「賑やかになっていたって……南美さんもっとちゃんと考えてくださいよ!」

「雷山部隊長!あたしは山本総隊長に直訴するべきだと思います!朽木ルキアさんの人間に死神の力を譲渡したという罪は確かに大罪ではありますが、双極を使った死罪などあまりにも重すぎます!」

 

 

山吹は雷山に向かい合うとそう主張していた。【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”の中で最も真面目な性格をしている彼女は”死神の力を人間に譲渡した罪”に対する明らかな不当判決を元柳斎に直訴して減刑させるべきと考えた。

 

 

「確かに山吹の言う通り、何とかしてやりたいと思っているのもまた事実だ」

 

「では、雷山部隊長。今すぐにでも山本総隊長に……」

 

「だけどな、山吹。今これを元柳斎に直訴したとしても間違いなく何も変わらない。藍染惣右介の目的が朽木ルキアの処刑であろうとなかろうと、証拠が何一つない今の現状では、その一歩手前まで事を運ばせ一網打尽にしてやる必要がある。助けるのはそれからでも遅くはない」

 

「しかし、藍染惣右介がもし朽木ルキアさんの処刑時までに行動を起こさなかったら如何されるおつもりですか?」

 

「その時は朽木ルキアの救出に動くだけだ。たとえ、護廷十三隊と全面戦争になったとしても」

 

「雷山さん!?それは……!!」

 

 

雷山が口走った『護廷十三隊との全面戦争になったとしても』の言葉。

それは【護廷十三隊】と【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”の関係を重視する銀華零をとりわけ慌てさせた。

 

 

「白、俺は昔から言っているだろ。護廷十三隊との衝突を恐れているようでは十四番隊は護廷十三隊の後援部隊とは成り得ないってな」

 

「ですが護廷十三隊との全面戦争はさすがに……」

 

「たっだいまー!」

 

 

銀華零が何かを言いかけたタイミングで狐蝶寺が戻って来た。

狐蝶寺は険悪とまでは言えないながらも詰所を出て行くとは明らかに変わる雰囲気に気が付いた。

 

 

「え、なにこの雰囲気?何かあったの?」

 

「春麗ちゃん、もしもの話ですが護廷十三隊と全面戦争になると言ったらどうしますか?」

 

「えーっと……話が全然見えないんだけど」

 

 

銀華零から突然投げかけられた問いに狐蝶寺は戸惑いを見せた。

一体何がどうなって銀華零がその問いを自身にするに至ったのかと、

 

 

「雷山さんが朽木ルキアを救出するために最悪の場合護廷十三隊と全面戦争を繰り広げると言っているのですよ」

 

「……なんか話がすごい飛躍してるね。うーん、けどまあ心配なのは分かるけど、雷山くんが大丈夫だと思ってるのなら大丈夫なんじゃない?今まで雷山くんの采配が間違ってた試しはないしさ。私も腹括るよ!」

 

「春麗ちゃん……」

 

 

銀華零は自身と同じく雷山と500年来の付き合いのある狐蝶寺のひと声を聞き静かに目を閉じ、深呼吸をし、覚悟を決めるように目を開けた。

 

 

「……分かりました。ここは私も腹を括りましょう」

 

「ありがとう、白。それといつも苦労を掛けてすまないな」

 

「分かっているのならもう少しとは思いますけどね。まあ、いつものことなのでお気になさらず」

 

「うっ……それを言われると辛いな」

「ゴホン……では改めて、”十四番隊”全体としての方針を言うが」

 

 

銀華零に痛いところを突かれた雷山は苦笑いしていたが、一度咳払いすると【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”全体の共通認識について確認を始めた。

 

それは、に藍染惣右介の目的がどうであれ、朽木ルキアの処刑は阻止を前提と、

その為にも護廷十三隊内に協力者を作るべきと言うものだった。

 

 

「十三隊内での協力者だが、俺はまず浮竹はどうかと思う」

 

 

雷山が浮竹を選んだには相応の理由があった。

まず、穏健派で知られることと朽木ルキアの属する隊の隊長であった事が1つ。そして痣城の事件の際に【宮廷遊撃部隊】と顔を会わせていること2つであった。

以上のことから、十分に協力関係が結べるであろうと雷山は考えていた。

 

 

「はいはーい!私が十四郎くんのところへ行ってくるよ。あの時に雷山くんと一緒に私も顔を会わせているから話が進むでしょ!」

 

「分かった。では、春麗は浮竹を頼む。あとはあの時に一緒に顔を会わせた京楽の次男坊の方だが……」

 

「京楽隊長ならば、私が行きましょう。『隊長代理』の時に私が【宮廷遊撃部隊】の一員であることは知られています」

 

「……ああ、あの時の話だな。頼んでいいか?」

 

「はい、それと二番隊の砕蜂ちゃんにも声をかけてみます」

 

「砕蜂?」

 

 

雷山は思わず聞き返していた。砕蜂については【二番隊隊長】であるため名前だけなら知っているが、椿咲との接点については聞き及んでいないために、何故その名前が出てくるのかと疑問に思ったからだった。

 

 

「……そういや砕蜂が隊長に就任するまで瀞霊廷に留まらせてほしいと言っていたな」

 

「はい、『隊長代理』の時砕蜂ちゃんを出会い、四楓院隊長との関係について悩んでいた彼女に説いたことがありまして、隊長となるのを見届けたかったんですよ」

 

「成程、あれはそう言う事だったのか」

 

 

雷山はかつて椿咲からの要請についてここで得心がいった。要請を受けた当時は、椿咲がそんなことを言うこと自体珍しいこともあり詮索しなかったためだ。

 

 

「今回の件のすべては言いませんが、協力してもらえないか聞いてみます」

 

「やはりあの時、椿咲を『隊長代理』に据えて正解だったな」

 

「褒めても何も出ないですよ。では、まず京楽隊長の所へ、続けて砕蜂ちゃんの所へ出向きます」

 

「私も十四郎くんのところへ向かうよ」

 

「ああ、2人とも頼んだぞ」

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

『十四郎くんがいるならあそこだよね』

 

 

数時間後、狐蝶寺は”縛道の八十七”『陽炎写(かげろううつし)』で別人の姿をして堂々と十三番隊舎内を歩いていた。

自身や山吹が隊長としていた頃と間取りがだいぶ変わっているが、浮竹が普段いる場所については見当がついていたためそこへ向かっていた。

 

 

「ゴホッゴホッ……朽木の処刑が短縮された?」

 

「はい、今は六番隊の隊舎牢にいると聞いております。ここはまず自分が面会に」

 

「あっ!ズルいぞ小椿!隊長、自分が行って参ります」

 

 

雨乾堂(うげんどう)と呼ばれる十三番隊の隊長執務室では浮竹が【十三番隊第三席】小椿(こつばき)仙太郎(せんたろう)虎徹(こてつ)清音(きょね)から朽木ルキアの罪状と刑まで猶予期間とその変更についてが報告されていた。

その最中、外から声が聞こえた。それは小椿も清音も聞いたことがない声。

 

 

「浮竹隊長、中にお見えですか?」

 

「……いったい誰だ?」

 

「この声はまさか……」

 

 

ただ1人、声に聞き覚えのあった浮竹はその人物を中へ招き入れた。

 

 

「久しぶりだね、十四郎くん」

 

 

小椿と清音は目の前で浮竹を十四郎くんと呼び、隊長羽織を身に纏う死神をただ茫然と見ていた。

 

 

「狐蝶寺隊長、いったい何故こちらに……」

 

「朽木ルキアちゃんについて、少し話したいことがあるの」

 

「話したいことですか?」

 

「うん。だけどその前にこの2人に説明しよっか。置いてけぼりになってるみたいだし」

 

 

狐蝶寺は自身を見て固まっている小椿と清音に向けて言っていた。2人は三席の地位に就くだけあって、浮竹と砕けた口調で話していることと隊長羽織を身に纏う事から先代の隊長なのだろうと察しはついていた。

しかし、その先代が何故この場にいるのかについて理解が及んでいなかった。

 

 

「初めまして、私は狐蝶寺春麗。【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”に属していてね。少し十四郎くんに話さないといけないことがあるからここに来たんだよ」

 

「あ、ああ……どうも……」

 

「こちらこそ……?」

 

 

2人はまだ戸惑っている様子だと狐蝶寺は思ったが、そこまで悠長な時間はないとしてさっそく本題に入った。

 

 

「話を戻すけれど、朽木ルキアちゃんの処刑阻止に協力してほしいんだ。3人共今回の判決おかしいと思わない?確かに”死神の力を人間に譲渡した”のは大罪、けど極刑はさすがに重すぎる罪だと」

 

「はい、自分も重すぎると思います!」

 

「そうです!狐蝶寺さんも交えて全員で直訴しましょう!」

 

「2人とは気が合いそうだね。私は威勢がいいの好きだよ」

 

「気持ちは分かるが、2人とも落ち着いてくれ。狐蝶寺隊長、確かに思いましたが相手は中央四十六室、この決定を覆すのは難しいかと……」

 

「覆す必要はないよ。覆らなかったら【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”が【護廷十三隊】と全面戦争してでも止めるつもりだから」

 

 

狐蝶寺が真顔でそう言い放ったことで場には緊張感が溢れていた。

誰が聞いても”バカな事を”というそのセリフだが、普段の凛とした元気が取り柄の彼女を知る浮竹は真剣なその様子から本気で言っていると察するに至った。

 

 

「まあ、雷山くんに言わせればそれは最終手段なんだけどね。改めて言うけど、朽木ルキアの処刑阻止に協力してもらえないかな」

 

「浮竹隊長、自分は朽木を助けられるのならいくらでも協力する覚悟です!」

 

「自分もです!」

 

「……分かりました。朽木を助けられるなら、いくらでも協力します」

 

「ありがとう。具体的には十三隊全体を巻き込んで減刑すべきの声をあげてほしいの」

 

「声をですか?」

 

「南美ちゃんが春水くんと砕蜂ちゃんにも声をかけていてね。その3名の隊長をスタートにして、護廷十三隊全体に今回の決定はおかしいって認識を広げてほしいんだ。その中で絶対に巻き込んでほしい人がいるの」

 

「巻き込んでほしい人、ですか?」

 

「【五番隊隊長】藍染惣右介くん」

 

 

藍染の名を出した時、小椿と清音は納得したような表情を浮かべた。藍染は表の顔では多くの隊士から慕われる隊長であるのは【宮廷遊撃部隊】も知るところだった。

そこで狐蝶寺はその藍染の手を煩わせる意味を含めて処刑阻止の運動に巻き込んではどうかと考えたのだ。

 

 

「成程、確かに藍染隊長なら快く協力してくださる」

 

「異を唱えることが許されないと言われる中、数多くの隊長が異を唱える事態になればさすがに中央四十六室も判決内容を見直さざるを得なくなるという事ですか」

 

「そう言うこと♪十四郎くんは知ってると思うけど、私はあまり表立って行動できないから、藍染くんへ話を通すのお願いしちゃってもいいかな?」

 

「そう言うことなら、任せてください」

 

「ありがとう。一応言っておくけど、責任とか問われたら、その時は私たちに罪を被せてもらっても構わないよ。それくらいのお願いをしているわけだしね。じゃあ私は雷山くんにこの事を報告するために十四番隊詰所に戻るよ。……あっ、そうだ」

 

 

狐蝶寺は懐から1枚の紙を取り出して浮竹に手渡した。その紙には【宮廷遊撃部隊】の本拠地である『十四番隊詰所』の場所とその行き方が記されていた。

 

 

「そこに書いてるのが、私たちが普段いる『十四番隊詰所』。何かあったらいつでも来てもらってもいいから。じゃあ、またね♪」

 

 

 

 

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