宮廷の遊撃人   作:らりるれリッター

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第30話 地下にて

 

 

「……静かですね」

 

「うん、結局誰にも会わずにここまで来ちゃったね」

 

 

椿咲と浮葉は清浄塔居林(せいじょうとうきょりん)と呼ばれる場所へと繋がる通路を歩いていた。

2人とも鬼道で霊圧を消して隠密行動しており、いつ奇襲を受けてもいいように慎重に歩みを進めていた。

 

 

「全滅している中央四十六室は置いても、まさかその四十六室を護衛する死神すらいないとは……」

 

「藍染君が四十六室を騙って話していると思うけれど、正直不気味」

 

「藍染惣右介は今いないと取るべきか、私たちと同じく霊圧を消して潜んでいると取るべきか……」

 

「前者でも後者でも進むしかないよ。今度こそ藍染君に天誅(てんちゅう)を下さないといけないし―――……ッ!!浮葉君!!」

 

「なっ!?」

 

 

何かの気配に気づいた椿咲は咄嗟に浮葉を弾き飛ばした。その直後抜刀した椿咲と何者かの刀がぶつかり合いけたたましい音があたりに響いた。

 

 

ガキンッ―――――――!!

 

 

「……驚いたな」

 

「それはこっちの台詞(せりふ)、まさかその程度で私たちを斬れると思ってたの?」

 

 

ガキンッ!! ガンッ!! ヒュンッ!!

ズザアアアァァァ…

 

 

椿咲と何者かの斬撃の打ち合いは片や頬に小さな切傷を受ける形で片や無傷で距離を取る形で一旦の決着を見た。そして傷を受けたことでモヤの様にぼやけていた何者かの姿が徐々に鮮明になって行った。

 

 

「南美隊長、もしかしてあれが……」

 

「うん、藍染惣右介君だよ」

 

「どうも、椿咲隊長」

 

 

不敵な笑みを浮かべている男の名は、藍染(あいぜん)惣右介(そうすけ)

護廷十三隊五番隊隊長であり、メガネをかけた現世で言う二枚目俳優という言葉が似合う死神。椿咲たちを奇襲したのは今回の案件の首謀者である藍染惣右介本人であった。

 

 

「もう1人は……成程、浮葉刃だったか」

 

「……少し驚かされましたね」

 

 

浮葉は藍染に姿を見られた覚えもなければ、面識すらない自身の事を知っていたことから【宮廷遊撃部隊】の面々のこと、場合によっては斬魄刀の能力すら藍染に筒抜けになっていると察した。

 

 

「私は基本表には出てこない。その私のことをよくご存じで」

 

「敵勢力に関する情報収集は、分散とまた等しく戦術の初歩だ。驚くほどのことでもないだろう」

 

「そうだね。けど、その戦術の初歩に1つだけミスがあるよ」

 

「……ミスとは?」

 

「私と浮葉君を分散させなかったことだよ」

 

 

そう言うと椿咲は地面を勢い良く蹴るようにして藍染との間合いを一気に詰めた。

その勢いは凄まじく、蹴り出した地面には強く踏ん張ったような跡が残っていた。

 

 

「…………」

 

 

一方の藍染は自身に向かってくる椿咲にとても策があるようには見えず、自身のある種、師ですらある椿咲のその愚行を不審に思っていた。そして藍染は自身の間合いに入ると同時に椿咲を斬り捨てた。

 

 

「かはっ……!!」

 

 

藍染から袈裟(けさ)斬りを受けた椿咲は鮮血を噴き出し、吐血しながら仰向けに倒れ込んだ。

しかしそれも束の間、倒れる椿咲の身体がまるでノイズが走るように歪んで消えてしまった。

 

 

「……成程」

 

 

ガキンッ!!

 

 

「無策で斬りかかるとは貴女らしくもないと思いはしたが、こういうことでしたか」

 

 

藍染は背後から急に現れた椿咲の不意打ちを完璧に防いで見せた。本来なら驚くべきことではあるのだが、藍染の実力の一片を知る椿咲はさも当然であることと認識していた。

 

 

「さすが藍染君だね。この程度じゃ受けられちゃうか」

 

「僕のことを甘く見ない方が良い。椿咲隊長の知る藍染惣右介など実力や性格も含め、もう何処にも居はしない」

 

「私が知る藍染君は何処にも居ない?それこそ面白いことを言うね。まるで今までの藍染君の軌跡(きせき)を私が全く見ていないような口ぶりだ。”破道の七十五”『氷霜斬(ひょうそうざん)』」

 

 

その瞬間、椿咲の斬魄刀から冷気が漂い始め、徐々に藍染の斬魄刀と柄を握る手を凍らせ始めていた。

 

 

「これは……」

 

「鬼道に詳しい藍染君なら分かるでしょ?」

 

「……さすがは"初代"の名に霞むことの無かった"二代目"と言うべきか」

 

「褒めても何も出ないよ。さあ、どうするの?このままだと全身凍っちゃうよ?」

 

 

椿咲の言う通り徐々にではあるが鬼道による凍結が進行してきておりこのままでは身動き一つとれなくなることは必至だった。しかし藍染はそんなこと意に介さず落ち着いており、自由になっている左手を密かに椿咲に向け一言呟いた。

 

 

「『雷孔砲(らいこうほう)』」

 

 

ドゴォォォォォォォォォ!!!!

 

ズザアアアァァァ……

 

 

「くっ……」

 

 

爆発と同時に椿咲は地面を滑りながら後退して来た。

椿咲は藍染が鬼道を放つ直前に微弱な鬼道を当てると同時に後ろに飛びダメージを極限まで0にしていた。

 

 

「さすがは椿咲隊長。やはりあの程度では大したダメージも受けませんか」

 

「……藍染君、小手調べはやめなよ。分かっているでしょ?ここで私たちに手間取っていたら藍染君の目的はもう一生達せられないって」

 

「さすがに僕の目的は割れていますか……いいでしょう。こちらも時間があまりないのは事実ですからね」

 

 

椿咲は浮葉に近づき小声で話しかけた。

 

 

「……浮葉君、分かってると思うけれど、外はもう夜が明けたくらいだから私の『月華(げっか)』は使えない。卍解しても良いけど外の雷山隊長たちを邪魔する可能性も否定できないからあまり使いたくはないんだ」

 

 

椿咲の斬魄刀『月華(げっか)』は文字通り夜になったらその真価を発揮する斬魄刀であった。この弱点は卍解すれば関係なくなるが、それに付随して雷山たちの妨害をしてしまう可能性は否定できなかった。そのため椿咲は卍解はどうしてもと言う時の奥の手として使おうと考えていた。

 

 

「しかし、そうなれば私の斬魄刀しかありませんが……」

 

「大丈夫。私たちだけが受けるわけじゃないし、浮葉君は関係ないでしょ?」

 

「……分かりました。しからば、私の斬魄刀メインで行きましょう――――――

 

 

――――――”()(ひた)せ”『虚空(こくう)』」

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

「……なあ、春麗」

 

 

同時刻、

双極の丘へあと崖に沿うように作られる階段を上るだけといったところで、雷山が下を向きながら狐蝶寺を呼び止めた。

 

 

「どうしたの?」

 

(かす)かにだが、地下から霊圧を感じないか?」

 

「え?」

 

 

雷山が突然言い出したことに、狐蝶寺も初めのうちは何のことと言いたげにしていた。しかし狐蝶寺自身も意識して霊圧を探ると雷山の言う通り、地下から複数の霊圧が感じ取れた。

 

 

「……あ、ホントだね。雷山くんよくこんな微弱なの分かったね」

 

「昔から霊圧探査は得意なんだよ。それにしてもこの霊圧どこかで覚えがあるような……」

 

 

雷山は地下にある霊圧になんとなく覚えがあるような気がしていたが、感じ取るのがやっとなほど微弱だったために誰の者か特定するには至っていなかった。

 

 

「気になるなら確認だけでもしていく?処刑の時刻までまだ少し時間もあるんでしょ?」

 

「……そうだな。ここに来て不確定要素は残しておきたくない」

 

 

         ・

 

         ・

 

         ・

 

         ・

 

         ・

 

 

「わー、すごく広いね」

 

「ああ、まさか双極の地下にこんな空間があるとは知らなかったな」

 

 

地下に降りるとそこには広大な空間が広がっていた。同時に、地上では微弱だった霊圧がはっきりと感じ取れるようになり、そこには【六番隊副隊長】阿散井恋次に四楓院夜一、そして黒崎一護がいることが分かった。

 

 

「成程、どうりで覚えのある霊圧なわけだ。阿散井恋次に四楓院夜一、それから黒崎一護ときた」

 

「あー、だから覚えがあるって言ったんだ」

 

「ああ、3人共1度霊圧を感知したことがあるからな……っと、いたいた」

 

 

雷山たちは3人の霊圧が固まる方向へ歩いた。少し行くと、尾がヘビの猿と相対する阿散井、黒ずくめの男のと相対する一護とそれを見守る夜一の姿があった。

 

 

「つい数日前に殺し合いをしていた2人がどんな経緯で同じ空間に居るんだ?」

 

「!!」

 

 

突如聞こえた声にその場に居た全員は目を向けた。一度顔を会わせている夜一は置いて、雷山の事を初めて見る阿散井と一護は隊長羽織を見に纏う雷山を見て警戒していた。

 

 

「……雷山悟」

 

「雷山?あれが……」

 

 

夜一が不意にこぼした雷山という言葉で阿散井は目の前の隊長羽織を身に纏う死神がつい先日、藍染の後任として五番隊隊長に就任した雷山悟と知った。

 

 

「随分と回復したみたいだな。阿散井副隊長」

 

「雷山……隊長、いったい何をしにここへ……」

 

 

阿散井は仮にも護廷十三隊隊長である雷山が秘密裏に卍解の修得の鍛錬を行っている一護をどうやって見つけ出し、何故現れたのかを失礼承知で警戒心を露わにして聞いていた。

対して雷山もそれには気付いており、つい先日阿散井からしたら死去した隊長と入れ替わりで就任した死神が突然現れればこんな反応になっても仕方ないと気にせずにいた。

 

 

「そんなに警戒せずとも黒崎一護の邪魔などするつもりはない。双極に向かう途中、地下から霊圧を感じたものでな、これからのことを考えて不安要素を消しておこうと様子を見に来ただけだ。それで、3人揃ってこんな地下で何をやっているんだ?」

 

 

そう言う雷山は黒崎一護と相対している、恐らくは斬魄刀の具象化と思われる黒ずくめの男が目に留まった。

雷山はその姿に見覚えがあった。それは遠い昔、尸魂界(ソウル・ソサエティ)に侵攻して来たとある男の姿と似ていた。

 

 

「阿散井も一護も卍解の修業じゃ」

 

「……卍解の修業?阿散井はともかく黒崎一護はもうそこまで成長しているのか。それで首尾は順調なのか?」

 

「分からぬ。じゃが、儂は奴が卍解に至る者じゃと信じておる。それに奴自身も卍解に至る者じゃと本能的に分かっておるのじゃろう、でなければ時間もないこの状況で微塵の焦りも見せずに修業に打ち込めなどせぬ」

 

「ふっ、あんたは随分と黒崎一護という死神代行を買っているみたいだな」

 

「話の最中にすまねぇが、雷山隊長。1つだけ確認させてほしい」

 

「構わないが、いったい何の確認だ?」

 

「雷山隊長は俺たちの味方と捉えてもいいのか?」

 

 

雷山にそう話す阿散井の眼には”覚悟”が現れていた。それは朽木ルキアを助けるために場合によっては敵になるものすべてを斬り捨てる覚悟であった。

 

 

「……味方か。まあ、今回はその認識で間違いない。我々は今、朽木ルキアの処刑阻止を前提に動いているからな」

 

「分かった。雷山隊長がこちらに付いてくれるなら俺も多少の無茶が効く……って雛森!?」

 

「……へ?」

 

 

阿散井はそこで初めて雛森の姿に扮した狐蝶寺の存在に気が付いた。しかし当の本人は阿散井の事を微塵も知らないため素の反応で返してしまった。

 

 

「えーっと……君、誰なの?」

 

「なっ……!?どうしちまったんだよ。まさか藍染隊長が亡くなったショックで……」

 

「ん?おい、春麗。『陽炎写(かげろううつし)』を解いてやれ」

 

 

阿散井の態度に違和感を持った雷山は阿散井の視線の先、つまりは自身の隣に視線を向けた。そこには雛森が立っていた訳だが、雷山はそこで狐蝶寺が雛森の姿のままこの場にいたことを思い出した。

 

 

「え?ああ、そうだったそうだった。今は雛森って子の姿になってたんだった」

 

 

そう言うと狐蝶寺は右手を顔の前まで持って行きゆっくりと下げ始めた。するとさっきまでの雛森の姿から頭に風車の髪飾りをつけた女性の姿へと変わっていった。

 

 

「こいつはいったい……」

 

「えーっとね。今のは”縛道の八十七”『陽炎写(かげろううつし)』って言う鬼道でね……」

 

「春麗、阿散井はそれを聞きたいんじゃない。驚かせて悪かったな。こいつは俺の……まあ幼馴染である狐蝶寺春麗と言う死神でな。今は訳あって雛森の姿に扮してもらっていただけなんだ。本物は今頃隊舎の中で眠っているはずだ」

 

「そうそう、雷山くんに頼まれてちょっと雛森って子の姿だけ借りてるんだよね。あ、大丈夫だよ。絶対悪いようにはしないから」

 

「お、おう……なら良いんだが……」

 

 

阿散井は本能的に目の前の狐蝶寺春麗という死神に苦手だと感じた。その上、鬼道に関してはあまり詳しいとは言えなかった為、理解が及ばず苦笑いするしかなかった。

 

 

「……じゃあ、一護。俺は先に行くぜ」

 

「ああ」

 

 

一護は振り返らず返事をした。一方の阿散井は数歩行ったところで雷山に対して頭を下げた。

 

 

「雷山隊長、協力感謝します」

 

「阿散井、お前懺罪宮(せんざいきゅう)に行くつもりだろ?そこに俺たちの仲間である銀華零白と山吹雷花という死神がいる。もし必要とあらば手を貸すがどうしたい?」

 

「いや、そこまで面倒を見てもらう訳にはいかねぇ、俺1人でやります」

 

「……そうか、いい覚悟だ。だが、命は無駄に燃やすなよ」

 

 

その後阿散井は懺罪宮(せんざいきゅう)に朽木ルキアを救出するために向かっていった。阿散井を見送った後、雷山の視線は再び斬月の顔に向いていた。それは眼に殺気すら籠っているほど鋭いものだった。

 

 

「どうかしたのか?」

 

 

雷山の異様とも言える光景に対して、夜一も思わず声をかけてしまった。

 

 

「いや……四楓院夜一、あいつは何て名前なんだ?」

 

「恐らくあれが一護の具象化なのじゃろう。確かあやつは自らを斬月と名乗っておったが……」

 

「斬月、か」

 

「……?」

 

「いや、気にすんな。昔似たような顔をしたやつがいた気がしたんだが、多分俺の記憶違いだな。ひとまず、俺たちは先に双極の丘に行って処刑に備える。行くぞ、春麗……じゃなくて雛森」

 

「……あっ、そっか。”縛道の八十七”『陽炎写(かげろううつし)』」

 

 

狐蝶寺が鬼道を発動すると同時に陽炎のようにその姿が歪み始め、狐蝶寺春麗と言う死神から雛森桃という死神へと姿が変化した。

 

 

「これでよし!それでは参りましょうか。雷山()()♪」

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

斬魄刀を杖代わりに片膝をついて肩で息をする浮葉の目の前では藍染と椿咲が斬り合っていた。それは同じ【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”の浮葉と言えど、とても助太刀に参戦できるレベルを超えていた。

 

 

「南美隊長の実力が私よりの上なのは承知していましたが、まさか藍染惣右介がその南美隊長と互角以上に戦えるとは……」

 

 

ガキンッ ガンッ!!

ヒュンッ!!

 

ズザアアアァァァ…

 

 

幾度か打ち合いをした藍染と椿咲は斬魄刀同士で弾きあい、お互いに距離を取るような形になった。

 

 

「”破道の六十六”『金剛爆(こんごうばく)』」

 

「”破道の七十三”『双蓮蒼火墜(そうれんそうかつい)』」

 

 

椿咲は刀を振るい、藍染は腕を伸ばして互いに火の系統である鬼道を炸裂させた。

 

 

ドゴォォォォォォォォォン…

 

 

「……随分と腕を上げたみたいだね、藍染君。まさか鬼道まで互角とは思わなかったよ」

 

「そろそろ退いてはもらえないですかね。椿咲隊長」

 

「愚問だね」

 

「仕方が無い御人だ」

 

「あれま、これはどういう状況なん?」

 

「「!!」」

 

 

椿咲と浮葉は声が聞こえた方向へ思わず目を向けていた。そこには【三番隊隊長】市丸ギンが立っていた。

 

 

「あれは市丸……まさか加勢するために……」

 

「その隣に居るのは確か……」

 

「戦いの最中に考え事とは、貴女らしくないですよ。椿咲隊長」

 

「しまっ――……」

 

「”縛道の六十一”『六丈光牢(りくじょうこうろう)』」

 

 

その瞬間、椿咲の身体を突き刺すように6つの光が取り囲んだ。

一瞬の隙を突かれた椿咲は藍染の使った鬼道によって動きを封じられてしまったのだ。

 

 

「くっ……!!」

 

「椿咲隊長、貴女に殺しはしないと言うわけにはいくまい。せめてこの僕の剣で止めを刺しましょう」

 

 

藍染の斬魄刀が椿咲に届こうとしたその時、突如として藍染の刃が椿咲をすり抜ける形で通過した。藍染も一瞬何が起きたのかと驚いた表情を見せたがすぐにある縛道の椿咲が発動させたのだと理解した。

 

 

「”縛道の七十二”『鏡界転(きょうかいてん)』……」

 

 

「……成程、身動きを封じられた中ではその鬼道しか打つ手がない。しかしそれは身を護ると同時にしばらくの間僕に手出しも出来ない諸刃の剣だ、貴女はもう少し冷静沈着だったはずだが……」

 

「冷静だよ。冷静に考えたからこそ、この場でむざむざと藍染君に斬り捨てられるより次につなげることを選んだんだよ」

 

「そう言うことにしておきましょう」

 

 

キン……

 

 

時間をかければ椿咲を倒すことも出来た藍染だったが、今はそんなことに時間をかけている暇も時間もないため、次の行動に移るべく斬魄刀を鞘に収めた。

 

 

「ギン、行くよ」

 

「ええんですか?」

 

「ああ、じきに客人がここへ来る。その対応をしなければならない」

 

「……分かりました。藍染隊長」

 

「椿咲隊長、浮葉隊長、追いたければ追って来るがいい。ただ、その頃にはすべてが終わっている」

 

 

藍染はそう言い残すと薄ら笑みを浮かべて市丸を連れて別な場所へと消えていった。

 

 

 

 





虚空(こくう)

【十四番隊・第一将”先鋒”】浮葉刃の持つ斬魄刀。

解放すると同時に自身の半径1㎞圏内に居るものすべてを閉じ込める異空間を作り出す。この異空間の中には何も存在せず、外から認識もすることも出来ずに外からも中からも物理的な破壊も不可能。
中にいる者は全員徐々に霊力を奪われて行く。この効果から逃れられるのは、斬魄刀の所有者である浮葉一人だけ。そしてある一定量貯まると同時に自動的に卍解状態になる。
デメリットは浮葉自身も中に閉じ込められる上に、普通に攻撃が通るため相手の攻撃を躱さなければならないこと。
解号は『()(ひた)せ』


・その他用語


”破道の六十六”『金剛爆(こんごうばく)
巨大な火球を相手に放って攻撃する。BLEACH斬魄刀異聞篇でどこかの誰かが使っていたあの鬼道。

”破道の七十五”『氷霜斬(ひょうそうざん)
斬魄刀に冷気を纏わせ、触れたものを凍らせる。その練度によって変わるが、刀が触れ続けている限り凍る範囲が広がっていき、最終的にはすべてを凍らせるまで止まらない。

”縛道の七十二”『鏡界転(きょうかいてん)
自身が指定したものを相手の視界から消すことができる。また練度によって視界から消す時間が伸びたり、相手に自分が指定したものに”触れされなくする”効果が付与されたりする。
デメリットは自身を触れれない対象とすると、鬼道が解けるまで自身からもまた触れることが出来なくなること。
詠唱:反転(はんてん)(かん) 境界(きょうかい)(げき) 冠履顛倒(かんりてんとう) ()れる()しに ()えぬとも

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