宮廷の遊撃人   作:らりるれリッター

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(ゆめ)()

(まど)わし

悪戯(いたずら)けしかけ

(わらべ)(よう)()(まわ)




第33話 ”幻惑(げんわく)悪童(あくどう)”椿咲 南美

 

 

「よし、応急処置はこれでいいかな」

 

 

その声と共に椿咲は浮葉に手を当てるのをやめた。藍染との戦いで負傷した浮葉は回道を扱える椿咲から応急処置だが治療を受けていたのだ。

 

 

「南美隊長、申し訳ありません。不覚を取りました」

 

「気にしないで良いよ。それより私は藍染君を追うから、浮葉君はここで安静にしててね」

 

「いえ、この程度などなんということは……ッ」

 

 

斬魄刀を杖代わりにしてたちあがった浮葉だったが、すぐに傷の痛みからか片膝を付いてしまった。

 

 

「ほら、無理は禁物だよ。大人しくここで待ってて」

 

「しかし、いくら南美隊長でもおひとりでは……」

 

「大丈夫、本気で戦うから」

 

 

そう言う椿咲の眼には闘志が宿っていた。それは普段の温厚な彼女を知る浮葉をして若干の畏怖を感じる程の変わりようでもあった。

 

 

「……まあ、本当は雷山隊長たちに影響を出しちゃうかもしれないから嫌なんだけどね」

 

「分かりました。南美隊長、どうかご武運を」

 

 

浮葉と別れた椿咲は藍染の霊圧の残滓を辿りながらその後を追った。

途中、藍染と共にいる霊圧。大きさから副隊長と思われたが、その霊圧が急激に小さくなったのを感じ取った。椿咲はすぐにその霊圧の持ち主が命の危機に瀕する状態になったと察した。

 

 

「急がなきゃ」

 

 

椿咲が着くとそこには既に日番谷の姿があった。まるで氷の竜を纏っているかのような姿の日番谷を見た椿咲はすぐさまそれが彼の卍解なのだと判断した。

 

 

「藍染、俺はてめぇを殺す……!!」

 

「あまり強い言葉を使うなよ。弱く見えるぞ」

 

 

日番谷は斬魄刀を藍染に突き刺していた。しかし、それはあくまで日番谷から見たは光景であり、椿咲には日番谷が氷塊に攻撃する様子が映っていた。

 

 

「……やっぱりか」

 

 

その一連の流れを見た椿咲は未だ仮説でしかなかった藍染の斬魄刀『鏡花水月(きょうかすいげつ)』の能力が”存在する物体に好きな外見を模れる幻覚系統の能力”であると確信した。

 

 

「ふっ……」

 

 

一方で藍染は日番谷が『鏡花水月(きょうかすいげつ)』によって自身と錯覚させた氷塊を攻撃したのを見計らい、斬撃を浴びせるために日番谷に斬りかかった。

しかし藍染の剣が日番谷に届くと刃がすり抜けてしまい、同時に日番谷の姿が消え失せた。

 

 

「これは……」

 

 

藍染はこの光景に見覚えがあった。それは”(まぼろし)”に関して豊富な知識を持ち合わせ、”幻惑悪童(げんわくあくどう)”の二つ名を持つ死神の卍解だった。

時を同じくして、外では青空が一変して日が落ち、満月の浮かぶ夜空へと変貌を遂げていた。

 

 

 

 

 

「あれ、急に夜になったよ?」

 

 

双極の丘にいる雷山たちもすぐに空の異変に気付いた。そしてこの特異な光景に1つだけ心当たりがあった。

 

 

「これは……」

 

「ああ、椿咲の卍解による『天相従臨(てんそうじゅうりん)』だ」

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

「”卍解”『妖華幻想月(ようかげんそうが)』」

 

【挿絵表示】

 

 

 

その声と共に椿咲が藍染の前に姿を現した。しかしその姿はまるでノイズが走るかのように、はたまた蜃気楼のように身体のいたる部分が歪んでいた。藍染はそれから察するに目の前に居るのは本体ではなく、幻影の方だと考えた。

 

 

「久しぶりだね、日番谷隊長」

 

「椿咲隊長……!?何故ここに……」

 

「話は後、今はともかく協力をしてほしい」

 

 

本体の椿咲は日番谷と共に風景と同化して藍染の目に映らぬようにしていた。

日番谷は一時期とは言え、かつての自身の上官が何故この場にいるのかと問いたかったが、その言葉を飲み込んで椿咲の言う協力について聞いた。

 

 

「協力、だと?」

 

「うん」

 

 

椿咲が日番谷に頼むこと、それはどこかに倒れているであろう副隊長(ひなもり)の応急処置であった。

 

 

「日番谷隊長、藍染君を討ちたい気持ちは分かるけど、今は私の言う通りにしてもらいたい。藍染君の『鏡花水月(きょうかすいげつ)』の能力は日番谷隊長では打ち破れないからね」

 

「……分かった。藍染は椿咲隊長に任せる。……不本意だが」

 

 

日番谷は雛森が倒れている方へと駆け出した。椿咲はそれを見届けると同時に先に藍染の前に出していた幻影を消して自身を隠していた風景との同化を解いた。

椿咲は藍染の目の前に姿を現していた。

 

 

「それじゃあ第二ラウンドといこうよ、藍染君」

 

 

ガキンッ!!

 

 

刹那、刀同士がぶつかる音が辺りに響いた。椿咲が藍染と市丸に同時に斬りかかっていたのだ。藍染は椿咲が正直に真正面に現れた時に何か策を打っていると感じ特に背後に対して警戒していた。

その直感は正しく、目の前の椿咲が言葉を発するとほぼ同時に背後にもう1人椿咲が現れ斬りかかってきたのだ。

 

 

「これはどういうカラクリなん?」

 

 

一方で藍染とは違い椿咲の斬魄刀の能力など知る由もない市丸はどういう原理で椿咲が2人に増えたのか分からずにいた。

 

 

「言うわけがないでしょ」

 

「……それもそうやね」

 

 

ガンッ!!           ガンッガンッ!!

      ガキンッ!!  

          キンッ!!  ヒュンッ!!

 

 

「そう言えば聞いてなかったよね」

 

 

幾度かの打ち合いの中、椿咲が口を開いた。それは101年前、藍染が魂魄消失事件を引き起こした時から藍染本人に問いたかったこと。

 

 

「なんでこんなことをしているの?藍染君」

 

「言ったところで椿咲隊長には理解できないことですよ」

 

「生意気言ってくれるね。例え私が理解できなくとも、一言くらい相談してくれても良かったんじゃない?」

 

 

ガキンッ!!

 

 

「何が気に入らなかったの?」

 

 

ガンッ!!

ズザアアアァァァ…

 

 

「何が藍染君をそんな凶行に走らせたの?」

 

「……いいでしょう。だが、素直に話つもりはない。大霊書回廊(だいれいしょかいろう)にヒントはありますよ」

 

「藍染君、もしかしてきみは崩玉(ほうぎょく)だけじゃなく……」

 

「お取込み中の所すいません。椿咲隊長、藍染隊長」

 

「!?」

 

 

突如聞こえた声に椿咲は咄嗟に振り返った。そこに立つ人物を見て椿咲は、「何故ここに」という感想を持った。それだけ椿咲にとって予想外の人物が立っていた。

 

 

「いえ、あなたの方はもはや隊長と呼ぶべきではないのでしょうね。”大逆の罪人”藍染惣右介」

 

「……どうも、卯ノ花隊長」

 

「……?」

 

 

椿咲は心なしか藍染が自身よりも卯ノ花に対して警戒しだしたように感じた。彼女の経歴を知れば当たり前なのだが、椿咲はその経歴を知る由もなかったため分らなかった。それよりも椿咲は何故この場に卯ノ花が現れたかの方が気になっていた。

 

 

「来られるとすればそろそろだろうと思っていましたよ。すぐにここだと分かりましたか?」

 

「ええ、如何なる理由があろうとも立ち入ることが許されない完全禁踏区域は瀞霊廷内では清浄塔居林(せいじょうとうきょりん)ただ一か所のみ。あなたがあれほどまでに精巧な死体の人形を作ってまで身を隠そうとしたのならここをおいて他にありません」

 

「惜しいな、読みは良いが間違いが二つある。まず僕は身を隠すためにここへ来た訳じゃない。そしてこれは死体の人形ではない」

 

 

そう言うと藍染は持っている斬魄刀を卯ノ花たちに見せつけるように掲げた。もちろんそれは椿咲から見た視点であり、卯ノ花たちには藍染が死体の人形を持っているように見えていた。

 

 

「!?」「いつの間に……!?」

 

()()()()()?さっきから持っていたさこの手にずっとね。ただ、今この瞬間まで僕がそう見せようとしていなかっただけの事だ」

 

「それは、どういう……」

 

「すぐに分かるさ。そら、解くよ。”(くだ)けろ”『鏡花水月(きょうかすいげつ)』」

 

 

藍染が解号を唱えると同時に藍染の手に持つ死体の人形がガラスの様に砕け散った。そしてその手に持つ斬魄刀が姿を現した。

その光景を目の当たりにした卯ノ花たちはその意味を理解して驚愕していた。そんな卯ノ花たちの表情を見ていた椿咲はその反応から藍染が自身の斬魄刀の種明かしを始めたと察した。

 

 

「僕の斬魄刀『鏡花水月(きょうかすいげつ)』、有する能力は”完全催眠(かんぜんさいみん)”だ」

 

「完全……催眠……!?だって『鏡花水月(きょうかすいげつ)』は流水系の斬魄刀で霧と水流の乱反射で敵を撹乱させ同士討ちさせるって……!!藍染隊長そうおっしゃってたじゃないですか!!私たち副隊長を集めて、実際に目の前で見せて下さったじゃないですか!!」

 

「……成程。それこそが催眠の儀式というわけですか」

 

「ご名答」

 

「……!!」

 

「完全催眠は五感すべてを支配し、1つの対象の姿、形、質量、感触、においに至るまですべてを敵に誤認させることが出来る。つまりハエを竜に見せることも、沼地を花畑に見せることも可能だ。そしてその発動条件は敵に”鏡花水月の開放の瞬間を見せる”事。一度でもそれを目にしたものはその瞬間から催眠に落ち、以降僕が『鏡花水月(きょうかすいげつ)』を解放する度、完全催眠の虜となる」

 

「一度でも、()に―――……ッ!!」

 

「気付いたようだね。そう、一度でも目にすれば術に落ちるという事は、目の()えぬ者は術に落ちることは無いという事だ。つまり最初から東仙要は僕の部下だ」

 

 

パチパチパチパチ…

 

 

藍染がそこまで説明したところで今まで静観していた椿咲は拍手をし始めた。

 

 

「…………」

 

 

この場で唯一椿咲の事を知らない勇音は、拍手を送る椿咲も藍染の仲間かと思い、警戒の眼差しを向けていた。そんなことなど勇音の態度を見れば分かる椿咲は一切気に留めず、冷たい視線を藍染に送っていた。

 

 

「随分と余裕だね。私の前でそんなペラペラとしゃべっちゃってもよかったの?」

 

「……ええ、椿咲隊長に知られたとして、もうどうすることは出来ない。そう判断しましたからね」

 

「……そう」

 

「ッ!!」

 

 

次の瞬間、藍染を取り囲むように斬魄刀を突き立てる椿咲の分身体が現れた。さすがの藍染も多勢に無勢であり手が打てないと静かに椿咲を見据えていた。

 

 

「本当に残念だよ、藍染君。君の評判は私が隊長と退任した直後から聞いていてね。藍染君ならば私を超える隊長になってくれると思ってたんだよ」

 

「”私を超える隊長になってくれる”……か。残念ですが、貴女が知る藍染惣右介は僕の表面的な部分でしかない。それは前にも伝えたはずですが」

 

「聞いたよ。残念だと思ってるのは私の勝手だから気にしなくていいよ」

「さて、かつての部下であり弟子として向けた会話はこれで終わりにして、謀反人として聞くけれど、大人しく投降してくれる?」

 

「面白いことを聞きますね。まるで僕を捕らえたかのような口ぶりだ」

 

「逆に聞くけれど、私も卯ノ花隊長もいるこの状態下で逃げられると思ってるの?」

 

「”射殺(いころ)せ”『神鎗(しんそう)』」

 

 

その時、市丸の声と共に藍染を取り囲む椿咲の分身体の何体かが貫かれて消えてしまった。そしてその一瞬の間に藍染自身も分身体を斬り捨て包囲網を脱していた。

 

 

「往生際が――……ッ!!」

 

 

椿咲は藍染に斬りかかろうとしたが、寸でのところでその足を止めた。

事実、その判断は正しく藍染は市丸の左手から伸びる布のような物の中に居た。

 

 

「さすがは”幻惑悪童(げんわくあくどう)”椿咲南美。いい反応だ」

 

「思わず止まっちゃったけど、藍染君その布はもしかして……」

 

「椿咲隊長の考えている通りのものですよ」

「さて、最後に褒めておきましょうか卯ノ花隊長。検査の為に最も長く触れていたからとはいえ、完全催眠下にありながら僕の死体にわずかでも違和感を感じたことは見事だった。さようなら、君たちとはもう会うこともあるまい」

 

「待て!!」

 

 

”無駄な行動”と頭では分かっているであろうが、勇音は咄嗟に追撃を加えようとした。しかしそれよりも早く藍染と市丸はその場からまるで空間転移をしたかのように姿を消した。

 

 

「……椿咲隊長、事の説明を頼んでもよろしいですか?」

 

 

藍染と市丸が去った後、卯ノ花はこの場で起こった状況の把握をする為に、この場に一番早く辿り着いていたであろう椿咲に説明を求めていた。

 

 

「それは構いませんが、その前にどこかで倒れている副隊長さんをお願いできますか?先に日番谷隊長に向かってもらっていますが、卯ノ花隊長にも向かってもらった方が得策だと思うので」

 

「……分かりました。では、事の説明は私の副官である虎徹勇音になさってください。後ほど彼女が全隊長格と旅禍達に伝心致します。よろしいですね?勇音」

 

「はい」

 

「では、任せましたよ。私はこれから日番谷隊長と合流し、雛森副隊長の救命措置に入ります」

 

 

卯ノ花は雛森の治療のためにその場を離れた。その後すぐに椿咲は勇音に今までの事の説明を始めた。

 

 

「あまり悠長に説明してる暇もないと思うから簡潔に言いますね。まず、私は”十四番隊”所属の椿咲南美と言います。”十四番隊”の説明は今は省きますが、あなた方の味方です。ここには藍染君が潜伏しているとして捕縛を目的に訪れました。本当は他の子を巻き込む前に捕縛をしたかったのですが、恥ずかしながら失敗しまして今に至る状態です」

 

「……分かりました」

 

 

勇音は藍染の事でまだまだ状況を飲み込みづらく、いくつか聞きたいことがあると言いたげな顔をしていたがそれをぐっと飲み込みひとまず目の前にいる椿咲と名乗る死神を信用することにした様子だった。

 

 

「それでは、まずは藍染隊長らがどこへ転移したかを捕捉します。(みなみ)心臓(しんぞう) (きた)(ひとみ) 西(にし)指先(ゆびさき) (ひがし)(きびす) (かぜ)()ちて(つどい)(あめ)(はら)いて()れ”縛道の五十八”『掴趾追雀(かくしついじゃく)』」

 

「31……64、81、97……転移先を捕捉。東332北1566、双極です……!!」

 

 

勇音の使った縛道により椿咲は藍染らが双極の丘へ向かった事を知った。椿咲はここの状況が落ち着いたら雷山たちへの加勢のために向かうと思うと同時に、あることを思い出していた。

それは朽木ルキアの処刑はどうなったのかという事だった。

 

 

「副隊長さん、少しいいですか?」

 

「あ、名乗り遅れましたすいません。私は四番隊副隊長・虎徹勇音と言います」

 

「虎徹副隊長、双極の丘での朽木ルキアさんの処刑はどうなったかはご存じですか?」

 

「……結論から申しますと、処刑は阻止されました。その後は場に現れた阿散井副隊長により朽木さんは連れられて行き、今はどこにいるかは分かりません。私は途中で気を失ってしまったので分かりませんが、今双極の丘には朽木隊長と旅禍(りょか)の方がまだ残っているのではと思われます」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

「はい、では続けてこのことを全隊長格と旅禍(りょか)の方たちにも伝心します」

黒白(こくびゃく)(あみ) 二十二(にじゅうに)橋梁(きょうりょう) 六十六(ろくじゅうろく)冠帯(かんたい) 足跡(そくせき)遠雷(えんらい)尖峰(せんぽう)回地(かいち)夜伏(やふく)雲海(うんかい)(あお)隊列(たいれつ) 太円(たいえん)()ちて(てん)(はし)れ”縛道の七十七”『天挺空羅(てんていくうら)』」

 

 

「補足、成功……!護廷十三隊各隊隊長及び副隊長、副隊長代理各位。そして旅禍(りょか)の皆さん。こちらは四番隊副隊長、虎徹勇音です。緊急です。これは四番隊隊長、卯ノ花烈とわたくし、虎徹勇音より緊急伝心です。今からお伝えすることはすべて真実です――――――」

 

 

同時刻、

 

-- 瀞霊廷・双極の丘 --

 

 

「……?この霊圧の震えは……」

 

「『天挺空羅(てんていくうら)』だな。発信者は虎徹勇音……?確か、卯ノ花の所の副隊長だったか」

 

「え?……何も聞こえないけど」

 

 

”縛道の七十七”『天挺空羅(てんていくうら)』によって聞こえる勇音の声は雷山にしか聞こえていなかった。

その理由について雷山と銀華零は心当たりがあった。

 

 

「私と春麗ちゃんは虎徹四番隊副隊長との間に面識がないためでしょう。あの手の鬼道はいわば、自身の人脈が物言うようなものですから」

 

「ああ、『天挺空羅(てんていくうら)』は術者が知らない霊圧は補足できないからな。俺でギリギリ補足出来たところなんだろう」

 

「ふーん……まあ、この伝心が来なくても藍染くんたちの居場所ならもう分かりきってるんだけどね♪」

 

 

そう言う狐蝶寺たち3人の前にはそれぞれ移動して来た藍染一派の姿があった。雷山たちは鬼道で姿と霊圧、そして気配を隠しており藍染らに気付かれている様子はなかった。

 

 

「藍染一派がここへ来たという事は、上手く椿咲たちをかわしたようだな」

 

「それだけ藍染惣右介が一枚上手だったという事でしょうか」

 

「さあな、ともかく阿散井と朽木ルキアも戻って来てしまったことだ。様子見はここまでにして、2人の奪取を念頭に藍染の捕縛に動くぞ」

 

「待ってた甲斐があるね♪」

 

「白、春麗。(じき)にさっきの伝心を聞いた各隊長格がここに集まって来ることになる。それまでに決着(ケリ)をつけるぞ」

 

「ええ、藍染惣右介の斬魄刀の事を考えれば、時間が経てば経つほど、そして乱戦になればなるほど、こちらの優位性が失われて行きますからね」

 

「うんうん。私は特に下手に周りがいると戦いにくくなっちゃうし、何よりも同士討ちさせられたら目も当てられないね」

 

「そう言う事だな。では、【宮廷遊撃部隊・十四番隊部隊長】雷山悟の名において、藍染惣右介、市丸ギン、東仙要の3名を拘束するため作戦行動に出る。行くぞ白、春麗――――――

 

 

 

 

 

――――――【宮廷遊撃部隊(じゅうよんばんたい)】出撃だ」

 

 

 





【十四番隊・第三将”中堅”】椿咲南美の持つ斬魄刀『月華(げっか)

【卍解】の名を『妖華幻想月(ようかげんそうが)


卍解をすると同時に、形が元の日本刀へと回帰する。
また、卍解をした瞬間に「天相従臨(てんそうじゅうりん)」が発動し辺りを一切曇る事のない満月の夜に一変させる。これにより始解時の月が出ている時しか能力が使用できなかった弱点が無くなる。
また、能力も強化されると同時に範囲も広がり、
・自身及び他者を風景に溶け込ませて見えなくする。
・自身及び他者を別の姿に見せることができる。
・物に対しての有効範囲が自身の周り500mに広がる。
など大幅に強化される。そして触ったり、霊圧探査を行ったとしても見破ることが出来ないほど幻覚の精度も上がる。

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