女幹部でも追加戦士になれますか?   作:改々

3 / 3
第2話 つながるもの

 

 やっちゃった……!

 誰に言う訳でもないけど弁明したい、というか自分の行動が意味不明すぎて泣く。まず私は最終的に生き残りたいだけで怪人の味方になる意図はないんです。

 

 というのも怪人陣営、何をしても100%壊滅して終わりだから。いや壊滅と言うと語弊があるかもしれない。勝利しても破滅の未来しかないと言うべきか。

 はっきり言ってシアを殺すのなんて簡単だ。私がその気なら余裕で改魔機姫(ピュアリープリンセス)を全滅させられる。

 

 でもなぁ……怪人陣営はリーダーの野望が……うん。

 私達のリーダーは原初の怪人にして怪人の王。でも王の野望は全ての魔印を持たない人間()全ての怪人を消し去ること。つまり勝っても「お前らは用済みだ」エンドで終わってしまう。

 

 そして王は全ての怪人を無条件で服従させる能力がある。これにより怪人側は勝利しても生き残る道が存在しない。

 

 要はシア達に媚びて人間陣営に入れてもらわないと生き残れない!

 幸いにも私はかなり可愛い見た目をしているので追加戦士の枠は充分狙えると思っている。よってやるべきことはシアに媚び、悪事をしない。この2点だった。無理でした。

 

 でも悪いのは私じゃなくて零音の肉体だから! いや零音は私だけど、仮に自由に話せるならもっと上手くやれた。お前が悪い。

 そもそもシアは私を怪人だと見抜けなくて保護した時点で詰んでたじゃん。私の魔力を覚えてるティカの襲撃が確定、予想できないから誰も助けに来ないのも確定。

 

 今のシアならティカと戦っても100回中100負ける。ピンチになると覚醒するんだけど、そしたら想定外の攻撃を貰ったティカがマジギレして殺されるじゃん。

 だからシアが生き残れるように汚れ役になってあげたんだよ? むしろ私に感謝してほしいくらい。大体さっき殺した西園湘って人、一度も変身せず怪人にビビって逃げ出すもあっさり殺されるモブキャラだよ。私を前にして無反応だったし。

 

 私、機転を効かせてシアの命を救った恩人なんですけど! あんなに睨まなくても良くない?

 はぁ。あまりにも可哀想だ。主に私が。

 

「で、なんでシアを殺したくないの? 騙してる内に情が移っちゃった?」

「別に」

「ふーん。ま、ボクとしては構わないけどさ。アイツ、結構硬いの持ってるぜ? 虐めた反応は上々なのに怪人化の予兆すら感じなかった」

 

 後、素直に人間側の味方をするという方法も無し。

 原作でシア達が勝てたのは奇跡が何重にも重なった結果だ。その奇跡を起こす奇策は限界まで追い詰められたからこそ効果を発揮した。

 

 奇策を起こすには人間側がじわじわと敗北を重ねていく状況にしなければならない。ただし殺しすぎても駄目。

 変身できるメインキャラ5人中、原作通り3人生きてたら大丈夫だと思う。そして生存者の中にシアは必要不可欠。

 

 まあ殺さない程度に改魔機姫(ピュアリープリンセス)を攻撃して、その上でいい感じの時期に仲間入りできたら良いな。

 王による怪人大粛清を回避する手段もその時には見つかってるだろうし。

 

「レイネって挨拶できるの?」

「……わからない」

「だよね。これからよく使う部屋に行くけど、まー普通にしてていいよ」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 流石にシアの家には劣るものの、豪華な椅子とテーブルが置かれた広い部屋。いやまず言いたい、暗すぎませんか? 電気ないのかな。地下とは言え生活に必要な設備はちゃんとしておくべきだと思う。

 私はというと、幹部達の前で立たされていた。

 

「はい! という訳でこちらが無事仲間になった最強兵器ちゃん、レイネ! 教育係はこのボク!」

「……」

「お土産もあるよ〜」

 

 視線が怖い。ティカは流石に慣れたけど、後の2人は──うん、仲間だと認めてくれてなさそうな雰囲気が漂ってくる。ごめんなさい! 異物ですよね明らかに。

 というより「何こいつ、挨拶くらいしろよ」の目かな。でもこういう所で無言なのが零音ボディ、本当に酷い。

 

「あ……えっと、よろしくお願いします」

「仲間が増えるのは歓迎ね。礼儀は無さそうだけど」

 

「あの常に怯えてるバカがスニク、高圧的なババアがヴァイド。仲良くしてあげてね」

「ぶち殺すわよティカ」

 

 待って、ティカの優しさが心に染みる。無意味に煽ることで私にヘイトが向かないようサポートしてくれたってことだよね今の。

 私が男なら惚れてた。だって敵ならともかく味方に対して理由なく煽るなんて……いや、ティカならありそう。どちらにしてもヘイトタンクとして優秀すぎる。

 

「あの……ティカにいじめられたら言ってくださいね。あいつ新人いじめが大好きなので」

「レイネにそんなこと言ったら信じちゃうだろ。また虐めるよ?」

 

 あれ思ったより優しい! スニクは原作でも和解できそうな空気を一番出していた敵。何度死んでも無限に復活する能力を持っているから無敵と思われたけど……。

 ただ、能力が強すぎて実力が他の幹部より低いのが弱点かな。

 

「ティカが来た時よりはマシね。私があの方なら殺していたもの。貴女は早速仕事をしてくれた。殺す程ではない」

「妥協アピールウザッ」

 

 なんかみんな優しいんだけど。ヴァイドは幹部の中で最強の実力を持ち、最大の敵意を人類に抱いている。王と会うのを唯一許されているのもこの人。

 ティカとはかなり仲が悪い。ティカが幹部になったのも、本気で殺し合った際に耐え抜かれ仕方なく実力を認めたかららしい。

 

「私は何をすればいい?」

 

 ここお祈りポイント。改魔機姫(ピュアリープリンセス)を殺せだったらありがたいな。死んでもいいモブキャラならどれだけ殺しても大丈夫。

 逆に嫌なのが──。

 

「そりゃ怪人の繁殖でしょ」

 

 うーんやっぱりそうなっちゃうか。いや……うーん。あまりにもな悪事はやりたくないという私の事情があるのに。

 なんとなくセーフとアウトの境界線ってあるじゃん? 本当にそうかは置いておいて、戦う覚悟持ってる改魔機姫(ピュアリープリンセス)とその一味は殺してもいいでしょ。でも一般人を殺すのはどう考えてもアウト。そんな奴は許されないから追加戦士になれない。

 

「どうやって?」

「魔印を持った人間に強い憎しみを抱かせればいいだけよ。強い感情に反応して魔印が宿主の精神を乗っ取り、怪人が誕生する。この程度は幼稚園レベルの知識」

「そ、その……零音さんが聞いてるのはそういう話じゃないのでは?」

 

 ここは拒否させてほしい。一般人を殺すのは良くないんじゃないでしょうか。

 穏便に殺してもいい人達を任せてくれたら全然やっちゃうので。そっちでお願いします。

 

「大切にしてる物を壊すとか家族を殺すとかってことでしょ。確かにレイネは戦闘用の兵器だもんね。そういう方面は苦手そー」

「……あの方も、私達の卵となる魔印持ちの人間は絶対に殺してはいけないと言っていたわね。もし殺してしまえば、必ずその場で粛清しろとも」

 

 良い流れが来てる!

 それにしても怪人視点だとやっぱり感覚が違うな。魔印を持たない人間は殺しても良くて、魔印持ちの人間は言わば自分達の幼体だから殺しちゃ駄目。人間視点だと怪人化したら元の人格が消えて新しく生まれた怪人に乗っ取られるから、どっちにしても殺されてるんだけど。

 それとは別に改魔機姫(ピュアリープリンセス)は積極的に殺していこうの精神を持ってる。

 

「零音さんに弱い怪人の護衛を任せる、というのはどうでしょうか……? 繁殖はその怪人が行えばいいですし」

「うわっ、スニク賢い!」

 

 わー……本当に賢い案だね。

 シア達からは私が主導に見えちゃうのを除けば……。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ニチアサ系世界に転生したTS魔法少女は悪の幹部をやりたくない(作者:なはた)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼フィジカルよわよわなTS銀髪魔法少女がクール系敵幹部を必死に装いながら魔法少女達と戦うお話。


総合評価:3333/評価:8.45/連載:14話/更新日時:2026年07月24日(金) 12:38 小説情報

人の生き様大好き系上位存在が蔓延る世界に生まれ落ちた生存本能極振り転生者(作者:せぞんのう)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

その世界には人間の輝きが大好きな悪魔が無数にいた。▼死を経験したことで生存本能に意識を極振りした転生者のルセラは、悪魔を利用してでも生き残ることを画策する。▼しかしその姿は悪魔たちにとって、性癖ど真ん中をぶち抜く行為だった。▼しかも生き残るためにあらゆることをやってのけるこの異常者の行動は悪魔の想像の遥か斜め上を行く所業ばかり。▼やがて、生存本能極振り転生者…


総合評価:10286/評価:8.88/連載:10話/更新日時:2026年05月08日(金) 07:05 小説情報

ド直球な陵辱エロゲ世界で何も知らずニチアサやってる奴(作者:らっこ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

 魔獣と戦ったりオークから人間にまで陵辱されたり箱化したりしそうな世界観で戦う少女達と、それとは全然関係ない所で勝手に改造手術されて戦う羽目になったニチアサ野郎がドッタンバッタンするお話▼「なんだあの露出度……痴女か!?」▼「なんであの重い鎧装備して動けるんだろう……ゴリラ?」


総合評価:8927/評価:8.22/連載:17話/更新日時:2026年08月06日(木) 20:28 小説情報

魔法少女だけが戦う世界で、男が生き残る術とは? A.映画ボスを集めます(作者:異星人アリエン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

『魔法少女マギアイリス』。それは人気がすこぶる高いアニメとして、名を馳せていたアニメタイトルであった。▼話としては、至極単純世界征服を目指す組織《ディスナンド》が、ミラクルパワーとかいう力を操る魔法少女によって倒される。そんな分かりやすい物語。▼だけど、そんな世界で生きることとなった身としてはたまったものではない。▼そんな世界に転生した男、須佐八雲は男である…


総合評価:12919/評価:8.06/連載:41話/更新日時:2026年08月03日(月) 12:02 小説情報

ギャグ要員は転生するようです。(作者:がんぎまり)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

魔王討伐の犠牲に死んだ男が、次の人生をかる~く謳歌しようとするお話。▼なお、激重となった仲間達が同じ時代を狙って転生した模様。


総合評価:15979/評価:8.99/連載:15話/更新日時:2026年08月08日(土) 02:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>