視界はただ、煤けたような灰色だった。
つい数刻前まで、俺は「暁連(あかつき れん)」という名のしがない人間だったはずだ。だが、胸を貫かれた感触と、アスファルトの冷たさだけを残して、俺の意識は途絶えた。
次に目を開けたとき、そこは「無」と「死」が濃密に漂う、巨大な御殿の前だった。
?「……目覚めたか、迷い子よ」
静謐だが、骨の髄まで凍りつかせるような威厳に満ちた声。
見上げれば、そこには幾重もの禍々しくも美しい装束に身を包んだ、一人の女性が鎮座していた。彼女の背後には、終わりのない闇と、うごめく怨念。だが、その瞳だけは夜空の星よりも鋭く、俺を射抜いている。
連「ここは……。あんたは……?」
イザナミ「我はイザナミ。黄泉の国を統べる母にして、死を司る者なり」
伊邪那美(イザナミ)。日本神話における黄泉津大神。
彼女は、本来なら輪廻の環に還るはずだった俺の魂を、その
「特異性」ゆえに引き留めたのだという。
イザナミ「お前の魂には、相容れぬ『聖』と『魔』が混ざり合っておる。そして、その中心で全てを焼き溶かそうとする狂おしいほどの『破壊』の火種が……」
イザナミが細い指先を向けると、俺の胸の奥から、どろりとした黒い炎が溢れ出した。
これが、アザトースの魂を封じたとされる神滅具、『終焉を刻む黒炎の魔剣(ディザスター・プロメテウス)』。
イザナミ「面白い。天上の光も、深淵の闇も、この黒炎の前では等しく塵となる。迷い子よ、お前に『二度目の生』を与えよう。ただし、それは天使にも悪魔にもなれぬ、修羅の道ぞ」
イザナミは妖艶に微笑み、俺の意識を闇の底へと突き落とした。
イザナミ「行け。その黒炎で、停滞した理を焼き尽くし、新たな神話を刻むがよい」
――次に目覚めたとき。
俺は、見知らぬ天井を見上げていた。
窓の外には、駒王町という名の、これから始まるハイスクールD×Dの物語の舞台となる街が広がっている。
右手に宿る、凍てつくような黒炎の感触を確かめながら、俺――暁連は、不敵に笑った。
転生から数日。駒王町の外れにある廃工場で、俺は、右腕を苛む「熱」と格闘していた。
連「……っ、鎮まれ。俺の言うことを聞け」
意識を集中した瞬間、右手の甲から黒い泥のような炎が溢れ出し、一丁の銃――双銃形態『冥星(ダーク・スタァ)』へと姿を変える。
俺の体には、天使の聖気と悪魔の魔力が同居している。本来なら互いを消滅させ合うそのエネルギーを、この神滅具の「黒炎」が強引に糊付けし、破壊の力へと変換しているのだ。
(少しでも気を抜けば、俺自身が内側から爆発する……)
試しに左の銃口から「凍てつく闇の炎」を放つ。
直後、目の前の鉄柱が凍りつき、そのまま煤となって崩れ落ちた。物理的な破壊ではない。存在そのものを「消去」したのだ。
連「……慣れるまでは、出し入れだけで命懸けだな」
額の汗を拭い、俺は不敵に笑う。この危うい力こそが、神話の連中を驚愕させる俺の武器になる。
調整の帰り道、夜の公園で鼻を突くような腐臭を感じた。
『ハイスクールD×D』の世界において、この臭いは一つしかない。主を殺し、本能のままに暴れる「はぐれ悪魔」だ。
はぐれ悪魔「ヒヒッ……美味そうな魂の匂いがする……!」
街灯の下、肉塊が膨れ上がったような異形の怪物が躍り出てくる。
俺は冷静に、腰のホルスターから二挺の『冥星』を抜き放った。
連「悪いな。ちょうど試運転の相手を探してたんだ」
怪物が飛びかかるよりも早く、俺は左右のトリガーを同時に引く。
左から闇、右から光。二つの相反する弾丸が怪物の胸元で交差した瞬間――。
連「――『空間崩壊』」
ドォォォォンッ!という爆発音すらない。
ただ、怪物の中心部がブラックホールに吸い込まれるように、空間ごと「削り取られた」。
はぐれ悪魔「ギ……ガ……ッ!?」
再生能力すら無効化する黒炎の呪いが、残った肉体を焼き尽くしていく。
瞬殺。これが、神滅具『終焉を刻む黒炎の魔剣』の実力だ。
連「……誰だ、そこにいるのは」
煙の中に潜む視線に気づき、俺は銃口を向けた。
茂みの奥から姿を現したのは、燃えるような紅髪の美少女。この街を統べる公爵家次期当主、リアス・グレモリーだった。
リアス「……驚いたわ。はぐれ悪魔を、その若さで、しかもあんな『出鱈目な力』で始末するなんて」
彼女の瞳には、警戒と、そして強い好奇心が宿っていた。
だが俺は既に魔力切れになりそうだったので黒炎を煙幕にして消えるように去る。
リアス「っ!ま、待ちなさい!」
翌朝。俺は慣れないブレザーの襟を正し、駒王学園の門を潜っていた。
連「昨日、あんなに見つめられたんだ。普通に登校すれば、向こうから来るだろうな」
案の定、廊下を歩けば女子生徒からの黄色い声と、男子生徒からの刺すような視線が飛んでくる。
だが、そんなものはどうでもいい。
オカルト研究部の部長室から感じる、強大な魔力の気配。そして、物語の主人公である兵藤一誠の中に眠る「赤龍帝」の鼓動。
リアス「暁連くん、だっけ。少し、お話いいかしら?」
放課後、教室に現れたのは、昨日と同じ紅髪の王女。
彼女の誘いに、俺は肩をすくめて応えた。
連「いいですよ、リアス・グレモリー先輩。……ただし、俺は誰かの『駒』になるつもりはない」
こうして、俺の「理を破壊する」学園生活が幕を開けた。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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精霊
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フェンリル
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ドラゴン
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吸血鬼
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上位悪魔
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その他(他作品とのクロスオーバー)
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