一誠の部屋に流れる、どこか浮ついた、それでいて平穏な空気。しかし、一誠の母親が持ってきた古いアルバムの一枚が、その場の温度を氷点下まで叩き落とした。
木場「……一誠君。この写真の男の人が持っている剣、これは……」
木場祐斗の透き通るような声が、僅かに震えていた。彼の視線の先には、一誠の父の旧友が手にしている、美しくも禍々しい光を放つ剣の姿があった。
聖剣エクスカリバー。
その単語が、木場の過去という名の傷口を抉り、彼の瞳から光を奪っていく。連はその様子を、茶を啜りながら冷徹に眺めていた。
連(……始まったか。聖剣計画、そして『剣』に囚われた亡霊たちの物語が)
日が沈み、駒王町の夜が静かに更けようとする頃、オカルト研究部の面々は解散となった。朱乃が名残惜しそうに連の腕に触れたが、連は「また明日な」と短く告げ、学校近くの駐車場へと向かった。
赤いスポーツカーのエンジンを始動させ、夜の街を滑るように走らせる。自宅に帰り着き、リビングの扉を開けた瞬間。
連の全身の産毛が逆立った。
イザナミ「――おかえりなさい、連」
ソファに座り、優雅に足を組んでいたのは、夢の中で出会ったあの神。
日本神話の黄泉津大神、イザナミだった。
彼女は実体を持ってそこに存在し、月明かりを浴びて妖艶に微笑んでいる。
連「イザナミ様……。なぜここに」
イザナミ「退屈でな。そろそろ、この世界の『剣』を巡る喜劇が幕を開ける頃でしょう? ならば、御主にこれを与えようと思ってな」
イザナミが細い指を空中に滑らせると、闇の中から一振りの剣が姿を現した。
それは、この世界の『エクスカリバー』とは似て非なる、圧倒的な神威を纏った黄金の剣。
イザナミ「別世界の聖剣……『真説・エクスカリバー』。この世界の不完全な破片などとは比べものにならぬ、光を呑み込み、光を放つ破壊不可の象徴だ」
イザナミが剣に触れると、それは液状の光となって連の右腕に絡みつき、重厚な銀のブレスレットへと姿を変えた。
イザナミ「それを使って、場を引っ掻き回すがよい。カオスな状況になればなるほど、我の退屈は紛れる。面白いものを見せておくれ、連」
イザナミはそう言い残すと、霧のように消え去った。残されたのは、右腕に冷たく鎮座するブレスレットと、これから始まる「嵐」の予感だけだった。
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翌朝。駒王学園の2年B組の教室は、朝から異様な熱気に包まれていた。
一誠が「また転校生かよ!?」と騒ぎ、男子生徒たちが期待に胸を膨らませる中、担任がその人物を呼び込んだ。
「――転校生を紹介する。ヴェパールさん、入ってきてくれ」
教室のドアが開き、一人の少女が姿を現した瞬間、教室中の溜息が重なった。
透き通るようなシアン色のロングヘアを、高い位置でポニーテールにまとめている。
右目はレモン、左目はヴァーガンディーの鮮やかなオッドアイ。
すらりと伸びた171cmの長身に、制服のブラウスを押し上げる圧倒的なボリュームの胸元――スリーサイズ92(E)の暴力的なまでの曲線美。
ディーネ「はじめまして。ディーネ・ヴェパールと申します。不慣れなことも多いですが、皆さんと仲良くなれたら嬉しいです」
ディーネは完璧な「聖女」の微笑みを浮かべ、深々と頭を下げた。その姿は、まさに天界から舞い降りた女神そのものであり、男子生徒たちの魂を瞬時に鷲掴みにした。
しかし、連だけは、彼女の背後に渦巻く「純血の悪魔」の強大な魔力を敏感に察知していた。
ディーネは教壇に立ちながら、窓際の席に座る連へと視線を送る。
ディーネ(……あいつが、暁連。サーゼクス様やレヴィアタン様が危惧している『特異点』ね。見た目はただの生意気そうなイケメンだけど、あの右腕……底が見えないわね)
ディーネは魔界の上層部から、「暁連を監視しろ。ただし、不測の事態がない限り手は出すな」と命じられていた。
彼女自身、監視など必要あるのかと内心では毒づいているが、命令は命令だ。
休み時間。ディーネの周りには瞬く間に人だかりができた。
「ヴェパールさん、弓道部に入らない!?」「お昼一緒に食べようよ!」
ディーネ「ええ、ありがとうございます。落ち着いたら、ぜひお邪魔させていただきますね」
完璧な淑女の対応。だが、彼女が「認識阻害魔法」で隠している尖った耳が、不快そうに僅かにピクリと動いたのを、隣の席の一誠や、背後を通りかかった連は見逃さなかった。
放課後。旧校舎のオカルト研究部。
そこには、リアスや朱乃、そして生徒会長の支取蒼那(ソーナ・シトリー)たちが集まっていた。
そこへ、ディーネが音もなく入ってくる。
ディーネ「――あー、だる。やってらんないわね、人間界の学園ごっこなんて。あのおバカなオスども、私の顔を見るなり股間のブースター全開にしちゃって、ホント不潔」
扉を閉めた瞬間、ディーネの「化けの皮」が音を立てて剥がれ落ちた。
彼女はポニーテールを乱暴に解くと、ソファに座るリアスの隣にどっかりと腰を下ろした。
リアス「ディーネ、久しぶりね。相変わらず口が悪いわね」
リアスが苦笑するが、ディーネは構わず、隣に座る蒼那の胸を「揉み」しだいた。
ディーネ「あら、蒼那! あんた、また少し縮んだんじゃない? もっと栄養摂りなさいよ。それとも、私が腐食させて、新しく盛り直してあげようか?」
シトリー「や、やめなさい、ディーネ! セクハラよ!」
蒼那が真っ赤になって抗議するが、ディーネは「ケッ」と毒づき、今度は背後に立った朱乃を見上げた。
ディーネ「朱乃も相変わらずのエロメイドね。あんた、昨夜連の家に泊まったんでしょ? どうだったわけ? ちゃんとあの『黒炎の魔剣』は暴発したの? 詳しく、ねっとりと教えなさいよ」
朱乃「ふふ、ご想像にお任せするわ。でも、連はとっても……紳士だったわよ?」
ディーネ「紳士ねぇ……。あのガキ、今のところ監視対象としては満点だけど、男としてはどうかしらね」
ディーネの視線が、部室の隅で興味なさげにブレスレットを弄っている連に注がれる。
連はディーネの毒舌を無視し、右腕の『真説・エクスカリバー』に意識を集中させていた。
連「おい、ポニーテール。……監視なら、もっと上手くやれ。お前の魔力、漏れまくりだぞ」
連が冷たく言い放つと、ディーネの瞳にサディスティックな光が宿った。
ディーネ「あら、バレてた? ま、いいわよ。監視って言っても、あんたが世界を壊し始めなきゃ、私はあんたの味方なんだから。……でも、もしあんたがトチ狂ったら、私の【双極の滴】で、その生意気なモノを腐らせてあげるから、覚悟しなさいね?」
連「……勝手にしろ」
連は立ち上がり、窓の外を見つめた。
そこには、駒王町に近づく二つの強大な「聖剣」の気配があった。
イリナとゼノヴィア。天界の使いが、エクスカリバーの破片を回収するために動き出している。
右腕のブレスレットが、熱く脈動する。
イザナミから授かった『真説・エクスカリバー』が、この世界の歪んだ理(システム)を嘲笑うかのように、黄金の輝きを内側に秘めて咆哮した。
連「さぁ、カオスを楽しもうぜ。……ディーネ、お前も特等席で見せてやるよ。神の剣が、本物の『聖剣』の前に膝をつく瞬間をな」
連の不敵な笑みに、ディーネは毒舌を忘れ、一瞬だけゾクリとした快楽を感じた。
ディーネ「……いいわね、その不遜さ。面白いじゃない、暁連」
こうして、新たな監視者、そして新たな「絶対的な剣」を交え、駒王町は史上最大の混乱へと叩き落とされていく。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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