放課後のオカルト研究部。窓から差し込む夕日は、魔界からやってきた新たな「監視者」ディーネ・ヴェパールのシアン色の髪を、妖しくも美しく照らしていた。
ソファに深く腰掛け、蒼那の胸を揉み終えて満足げな表情を浮かべるディーネに対し、リアスがふとした疑問を口にする。
リアス「ところでディーネ。あなた、こちらの世界での拠点はどうしているの? まさか、毎日魔界からゲートで通うつもりじゃないわよね?」
リアスの問いに、ディーネは待ってましたと言わぬばかりに、不敵な笑みを浮かべた。彼女は視線を部室の隅でブレスレットを弄っている連へと向け、人差し指を突きつける。
ディーネ「決まってるじゃない。連、お前の家に住ませてもらうわ。……これは上(魔王庁)からの正式な命令よ。監視対象と寝食を共にし、一挙一動を把握しろってね」
連「……は?」
連が短く、不快感を露わにした声を漏らす。だが、ディーネはそんな拒絶など微塵も気に留めない様子で立ち上がった。
ディーネ「断る権利なんてないわよ? もし拒否するなら、上層部に『暁連は協力的でない』と報告して、明日から冥界の軍勢がこの街に押し寄せることになるけれど……いいかしら?」
連「……勝手にしろ。ただし、部屋は自分で片付けろよ」
連は吐き捨てるように言い、部室を後にした。背後ではディーネが「あはっ、決まりね! リアス、朱乃、そういうことだから、今夜は邪魔しないで頂戴ね!」と、二人に対して挑発的なウインクを投げていた。
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夕暮れの駒王町を、連の赤いスポーツカーが走る。
助手席には、早くも自分の家のように寛ぎ、窓の外を眺めるディーネの姿があった。
ディーネ「へぇ、いい車じゃない。センスだけは認めてあげるわ。……でも、その右腕のブレスレット。さっきからずっと気になってるんだけど、なんなのそれ?」
ディーネのオッドアイが、連の右腕に輝く銀の装飾品を射抜く。
連がイザナミから授かった『真説・エクスカリバー』。それは現在、連の意志によってブレスレットの形状に固定されている。リアスや朱乃、そして魔王であるサーゼクスでさえ、それが「ただならぬ強大なオーラを放つ謎の神器(あるいはその類)」であるとしか認識できていない。
連「……ただの飾りだ。それより、お前は本当に監視だけで満足なのか?」
ディーネ「あら、鋭いわね。……でも、その答えは家に着いてから、ゆっくり二人きりで話しましょうか」
ディーネは唇に指を当て、艶然と微笑んだ。
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暁家に到着し、リビングのソファに荷物を放り投げたディーネは、ふぅと大きな溜息をついた。
「認識阻害魔法」を解き、エルフのような尖った耳を露わにした彼女は、冷蔵庫から勝手に出したミネラルウォーターを一口飲み、真剣な眼差しで連に向き合った。
ディーネ「さて、連。……本題に入りましょうか」
ディーネの空気が一変した。学園での聖女の顔でも、部室での変態的な顔でもない。魔界の嫡流としての、冷徹なまでの洞察力が剥き出しになる。
ディーネ「あんた、イザナミから何を言われてここに来たの? ……ただの『二度目の人生』を謳歌しに来たわけじゃないでしょ?」
連の身体が、一瞬だけ硬直した。
「二度目の人生」――その単語は、この世界の住人が知るはずのない概念だ。連が元いた世界、すなわち「地球」から転生してきたという事実は、イザナミ以外には誰にも話していない絶対の秘密のはずだった。
連「……なぜ、そのことを知っている。お前は、魔界の上層部に雇われた監視役のはずだろ」
連の右腕から、ドロリとした黒炎が漏れ出す。アザトースの魂が、ディーネを「脅威」と見なし、食い殺そうと咆哮を上げる。
だが、ディーネは怯むどころか、ケラケラと笑い声を上げた。
ディーネ「驚いた? 無理もないわよね。……でも、安心しなさい。私も同じ『側(がわ)』なのよ」
連「同じ側……?」
ディーネ「そうよ。……あんたがイザナミに拾われたように、私は『イザナギ』によって、こちらの世界へ放り込まれたの。……あんたと同じ、あの『日本』っていう国で、事故に遭って死んだ後にね」
連は、その場で絶句した。
ディーネ・ヴェパール。彼女の正体は、連と同じ地球の住人であり、同じく神の手によってこの「ハイスクールD×D」の世界に転生させられた「転生者」だったのだ。
ディーネ「イザナギ様は言っていたわ。『連という少年にちょっかいを出してこい』ってね。あの方はイザナミ様と喧嘩ばかりしているから、向こうの秘蔵っ子であるあんたが、どれほどのものか確かめたかったみたいよ。……だから、魔界の上層部(サーゼクス)に根回しして、私が監視役として送り込まれるように仕向けたの」
ディーネはポニーテールを解き、シアン色の髪をかき上げた。
ディーネ「私の前世の名前? そんなの、もう忘れたわ。今は、ヴェパール家の嫡流としての生を、そしてイザナギ様から与えられた『この世界を引っ掻き回す役目』を楽しんでいるだけ」
連「……イザナギとイザナミ。神様の夫婦喧嘩に、俺たちが巻き込まれたってわけか」
連はソファに深く腰掛け、天井を仰いだ。あまりに馬鹿げた真実に、逆に怒りすら湧いてこない。
右腕のブレスレットが、共鳴するように熱を帯びる。
ディーネ「そのブレスレット……それが『本物の聖剣』だってことも、私には分かるわよ。イザナギ様から、そいつと対になる『風と水の権能』を授かっているからね」
ディーネは連の膝に手を置き、顔を近づけた。彼女のオッドアイが、至近距離で連を観察する。
ディーネ「ねぇ、連。この世界は、物語の通りに動いているようでいて、実はもう、私たちの存在でボロボロに壊れ始めている。……あんたがその聖剣を抜けば、この世界の『理』なんて、一瞬でカオスに叩き落とされるわ。……それ、見てみたくない?」
ディーネの指先が、連のブレスレットをなぞる。
彼女の「聖女」としての顔が剥がれ、その下から覗くのは、混沌(カオス)を愛する狂気的な「裏の顔」だった。
連「……ああ。イザナミ様からも言われたよ。場を引っ掻き回して、面白くしろってな」
連は不敵に笑い、ディーネの顎をクイと持ち上げた。
連「監視役だろうが、転生者だろうが構わない。……俺の邪魔をするなら、お前もろともこの世界を焼き尽くすだけだ」
ディーネ「あはっ! いいわね、その傲慢さ! ……気に入ったわ、暁連。監視役なんて退屈な仕事、途中で放り出しちゃうかもね」
ディーネは連の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込んだ。
ディーネ「……いい匂い。黒炎の匂いと、あっちの世界の『懐かしい匂い』が混ざってる。……今夜は、監視役としての初仕事、じっくりとさせてもらうわよ」
二人の転生者が、一つの屋根の下で交差する。
イザナミが与えた『真説・エクスカリバー』と、イザナギが送り込んだ「毒舌変態エルフ」ディーネ。
運命の歯車は、もはや修復不可能なほどに狂い、駒王町は「聖剣エクスカリバー編」という名の、血と混沌のステージへと突入しようとしていた。
連「……さて。明日になれば、ゼノヴィアとイリナが来る。……ディーネ、お前も手伝わせるぞ」
ディーネ「ええ、もちろん。あの生真面目な教会の女たちを、言葉攻めで泣かせてあげるわ」
闇の中で、黒炎とシアン色の魔力が混ざり合い、静かな咆哮を上げた。
理の外側に立つ者たちの、狂った日常がここから本格的に始まる。
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