破壊の黒炎   作:ぐちロイド

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第14話 神の愚痴 異国の宗教顕る

その日の夜、連の意識は再びあの静寂と死が支配する灰色の世界――黄泉の国へと引きずり込まれた。

しかし、いつもなら不敵な笑みを浮かべて待っているはずのイザナミの様子がおかしい。彼女は巨大な玉座の端で、忌々しそうに自身の長い黒髪を指で弄りながら、地響きのような低い声で毒づいていた。

 

イザナミ「……あやつめ。相変わらず、我の庭に余計な石を放り込むのが得意な男よ。礼儀も節操も、黄泉の穢れに溶かして捨ててきたのかえ?」

 

連が歩み寄ると、イザナミは黄金の瞳をさらに鋭く光らせ、彼を睨みつけた。

 

連「イザナミ様、随分とお冠だな。……ディーネのことか?」

 

イザナミ「それ以外に何がある! まさか、あの根暗な伊邪那岐(イザナギ)が、御主の傍に自らの駒を送り込んでくるとは思わなんだ。監視の名を借りた嫌がらせよ! 我が育て上げた『終焉』に、あやつの不浄な風と水の加護を混ぜようなどと、片腹痛いわ!」

 

イザナミは立ち上がり、連の胸元を乱暴に掴み寄せた。冷たいはずの彼女の手が、怒りで僅かに熱を帯びている。

 

イザナミ「連、銘記せよ。あのディーネという女、御主と同じ転生者なればこそ、その魂の出所は我の不仲な夫。……隙を見せれば、御主の黒炎すらその風で煽り、制御を奪おうとするやもしれぬ。せいぜい、飼い犬にするか、あるいは喉笛を食い破るつもりでいろ」

 

連「……言われなくても分かってるさ。あいつはあいつで、この世界を『カオスにしたい』と言っていた。俺の目的と、そう遠くない」

 

イザナミ「ふん、勝手にせよ! だが、我の『真説・エクスカリバー』に、あやつが授けた紛い物の風を纏わせるようなことだけは許さぬからな!」

 

イザナミは吐き捨てるように言うと、荒々しく袖を振った。その衝撃で夢の世界が砕け散り、連の意識は現実へと引き戻された。

 

---

 

翌日の放課後。駒王学園の旧校舎、オカルト研究部の部室には、重苦しい空気が停滞していた。

ディーネは相変わらず「あー、マジで椅子が硬いわね。私のヴェパール領なら、雲の上のような極上のソファがあるっていうのに」と毒づきながら、蒼那の肩に顎を乗せて寛いでいる。

 

そこへ、部長のリアスが厳しい表情で入室してきた。

 

リアス「みんな、姿勢を正して。……教会からの『使い』が来たわ」

 

リアスの合図とともに、部室の重厚な扉が開かれた。

現れたのは、白い修道服に身を包んだ二人組の少女。一人は蒼い髪を短く切り揃え、鋭利な刃物のような冷徹さを纏った少女、ゼノヴィア。そしてもう一人は、明るい茶髪をサイドポニーに結い、天真爛漫な雰囲気を漂わせる少女、紫藤イリナ。

 

二人の背中には、大きな布で厳重に包まれた、尋常ではない神聖なオーラを放つ「物」が背負われていた。

 

イリナ「……イッセーくん!?」

 

沈黙を破ったのは、イリナの驚愕の叫びだった。彼女は部室に入るなり、一誠の顔を指差して目を見開く。

 

イリナ「イ、イッセーくんだよね!? 嘘、こんなところで何してるの!? しかも、その格好……悪魔になっちゃったの!?」

 

一誠「え……? 誰だ、お前。俺の名前、なんで……」

 

困惑する一誠に対し、イリナは躊躇なく距離を詰め、その豊かな胸を押し付けるようにして彼に抱きついた。

 

イリナ「私だよ! 紫藤イリナだよ! ほら、小さい頃に近所の公園で毎日ドロケーして遊んだじゃない! 毎日泣かしてごめんねって、お別れの時に約束したでしょ!?」

 

一誠「し、紫藤……? ……あぁッ! あのクソ生意気なガキ大将のイリナか!?」

 

一誠の脳裏に、短髪で泥だらけになりながら自分を追い回していた少年の姿が浮かぶ。

 

一誠「ええええっ!? 男じゃなかったのかよ!? なんでそんなに……その、女っぽくなってんだよ! 胸、デカすぎだろ!」

 

イリナ「失礼だなぁ、最初から女の子だよ! ちょっと活発だっただけだってば!」

 

再会の抱擁(という名のセクハラ)に鼻の下を伸ばしつつも、激しく動揺する一誠。しかし、その甘いムードを、ゼノヴィアの冷徹な声が切り裂いた。

 

ゼノヴィア「……イリナ、私情はそこまでにしろ。我々は遊びに来たのではない」

 

ゼノヴィアはリアスの正面に立ち、一歩も引かぬ視線で彼女を射抜いた。

 

ゼノヴィア「リアス・グレモリー。単刀直入に言う。我々の目的は、この街に持ち込まれた盗まれた『エクスカリバー』の回収だ。……悪魔側には、この件に一切干渉しないことを要求する。邪魔をするというのなら、我々は神の名の下に、容赦なく貴様らを排除する」

 

リアス「……強気ね。ここは私の領土よ? 私の庭で起きた不祥事を、勝手に解決して帰るというのは、あまりに無礼じゃないかしら?」

 

リアスの言葉に、ゼノヴィアは鼻で笑った。

 

 

ゼノヴィア「領土など、神の前では無意味だ。この地がどこであろうと、神の威光が及ばぬ場所など存在しない。我々はただ、汚れた地を清めるだけ――」

 

連「ひゃはははは! おめでてーな、おい!」

 

不意に、部屋の隅から爆笑が響き渡った。

ソファに座り、右腕の銀のブレスレットを弄っていた連が、肩を揺らして笑っている。ディーネもそれに合わせて「ホント、脳みそまで聖水でふやけてるんじゃないの?」と追撃を入れる。

 

ゼノヴィアが眉をひそめ、連を睨みつけた。

 

ゼノヴィア「……貴様、何がおかしい」

 

連は笑いを含んだ瞳で、ゼノヴィアを煽るように見つめ返した。

 

連「いやぁ、外国の宗教さん。神の前では無意味、ねぇ? ……一応言っておくけど、ここは日本だぜ? この地の八百万(やおよろず)の神々に、不法侵入の許可は取ったのか? 観光ビザもなしに、背中に物騒なモン背負い込んで領土権を主張するなんて、随分と傲慢な『代行人』さまだな。www」

 

ゼノヴィア「貴様……! 神を愚弄するか!」

 

ゼノヴィアの殺気が膨れ上がる。だが、連は動じない。むしろ、彼の右腕にある『真説・エクスカリバー』が、目の前の「破片」たちの気配に反応し、歓喜に震えている。

 

ゼノヴィアは連を「相手にする価値なし」と切り捨て、視線を部室の端に座る一人の少女に向けた。

 

ゼノヴィア「……それよりも。リアス・グレモリー、貴様の眷属に、見覚えのある顔がいるな。……アーシア・アルジェント」

 

名前を呼ばれたアーシアが、びくりと肩を揺らした。

 

ゼノヴィア「かつては『聖女』とまで呼ばれた者が、今や悪魔の駒に成り下がって『魔女』となるとはな。……神への裏切り、万死に値する。今ここで、その穢れた魂を処分してやってもいいのだぞ」

 

ゼノヴィアが背中の布包みに手をかけた。瞬間、部室に凍りつくような冷気が走る。

アーシアは恐怖に顔を青ざめ、震える声で絞り出した。

 

アーシア「わ、私は……裏切ったつもりなんて……。私はただ、みんなを……」

 

ゼノヴィア「黙れ、魔女が!」

 

ゼノヴィアが剣を抜こうとしたその時――。

 

一誠「――ふざけんじゃねえぞ、テメェッ!!」

 

怒号とともに、一誠の左腕に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が顕現した。

紅い光が部室を染め、一誠の全身から猛烈な闘気が溢れ出す。

 

一誠「アーシアを魔女だと!? 処分するだと!? ……神様が許しても、この俺が許さねえ! アーシアは、俺たちの仲間だ! 手を出してみろ、その聖剣ごとブッ飛ばしてやる!!」

 

一誠の怒りは本物だった。彼は一歩踏み出し、ゼノヴィアの喉元に籠手を突きつける。

 

ゼノヴィア「ほう……二天龍の一角、赤龍帝か。……面白い、聖剣の錆にしてやろう」

 

ゼノヴィアもまた、布を解き、中から現れた『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』を構える。

 

一触即発。

リアスが魔力を高め、朱乃が雷光を指先に集める。

イリナも「えぇっ、戦いたくないよぉ!」と言いつつ、自らの『擬似の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を手に取る。

 

その混沌の渦中で、連だけは冷めた瞳でその光景を眺めていた。

右腕のブレスレットが、服の上からでも分かるほどの黄金の光を漏らし始める。

 

連(……いいぜ、やりなよ。お前たちのその『不完全な剣』が、本物の絶望に触れた時、どんな顔をするか楽しみだ)

 

ディーネが連の肩に手を置き、楽しげに囁いた。

 

 

ディーネ「ねぇ連、あの子たちの心、腐食させてあげていい? あの青い子、あんなに強がってるけど、中身はボロボロになりそうよ?」

 

連「……勝手にしろ。ただし、俺の獲物を横取りするなよ」

 

連はゆっくりと立ち上がった。

一誠の怒り、ゼノヴィアの狂信、そして世界の理を嘲笑う『真説・エクスカリバー』の咆哮。

駒王学園の小さな部室は、今、神と悪魔と「外側の力」が激突する、破滅の戦場へと変貌しようとしていた。

 

連「……さて。聖剣を語るなら、俺が本物を教えてやるよ。教会の小娘ども」

 

連の言葉とともに、部室の空気が、漆黒の炎と黄金の光によって二分された。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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