夕暮れに染まる旧校舎の一室。重厚な扉の先には、およそ学校の備品とは思えない豪華なソファと、紅茶の香りが漂っていた。
リアス「座って。……と言っても、あなたは最初から寛ぐつもりなんてなさそうね」
デスクに座るリアス・グレモリーが、鋭い視線で俺を射抜く。その傍らには、氷のような冷徹さを纏った黒髪の美少女――副部長の姫島朱乃が控えていた。
リアス「単刀直入に聞くわ、暁連。……あなたは、何者?」
リアスの問いは静かだが、部屋の空気は彼女の魔力によって重く張り詰めている。昨日、俺が見せた『空間崩壊』の余波。それを彼女が見逃すはずもなかった。
連「何者、か。見ての通り、ただの転校生ですよ。……半分は天使で、半分は悪魔。そしてそのどちらにも居場所がない、ただの『異物』だ」
俺がそう告げた瞬間、朱乃の眉が僅かに動いた。
天使と悪魔の混血。それはこの世界の三大勢力において、決して許されない禁忌の存在。
リアス「ハーフ……。道理で、あなたの魔力には整合性がないわけね。でも、それだけじゃない。昨夜、あなたが使ったあの『黒い炎』。あれは魔力でも聖力でもない、もっと根源的な『無』を感じさせたわ。あれは何?」
俺は無言で右手を掲げる。
瞬間、掌から溢れ出した漆黒の炎が、瞬時に一挺の銃――『冥星(ダーク・スタァ)』を形成した。
リアス「神器(セイクリッド・ギア)……!?」
リアスが息を呑む。彼女の目には、その武器に宿る古龍アザトースの禍々しい魂が見えているのだろう。
連「『終焉を刻む黒炎の魔剣(ディザスター・プロメテウス)』。形を持たず、所有者の意志で万象を焼き尽くす『黒炎』の神器だ」
リアス「神を殺す武具……。それを、その若さで、しかも独力で制御しているというの?」
リアスの表情に、明らかな「欲」が混じり始めた。彼女は今、ライザー・フェニックスとの婚約問題という窮地に立たされている。俺のような規格外の戦力は、喉から手が出るほど欲しいはずだ。
リアス「連、あなたを私の『下僕(ポーン)』として迎え入れたい。悪魔のハーフであるあなたなら、私の特性とも相性がいい。私の家臣になれば、グレモリーの名にかけて、その禁忌の出自からも守ってあげるわ」
彼女は自信に満ちた笑みを浮かべ、悪魔の駒(エビル・ピース)を取り出した。
だが、俺は鼻で笑ってそれを一蹴する。
連「断る。言ったはずだ、誰かの『駒』になるつもりはないと」
リアス「……なんですって?」
連「リアス・グレモリー。あんたの悩みは知っている。フェニックス家との政略結婚だろ? そのために強力な『手駒』が欲しい。だが、俺のこの黒炎は、誰かに傅くための力じゃない。……理を、運命を、そして神すらも焼き尽くすための力だ」
俺は立ち上がり、至近距離でリアスの瞳を見据えた。
彼女の魔力に気圧されるどころか、俺から溢れる黒炎が、彼女の赤い魔力を侵食し始める。
連「下僕にはならない。だが、『協力者』なら考えてもいい。俺はこの学園で静かに過ごしたいだけだ。あんたが俺のプライバシーを保証し、過剰な干渉をしないなら……あんたが本当に詰んだ時、その敵を俺の炎で消してやってもいい」
沈黙が部屋を支配した。
朱乃がいつでも雷を放てるよう構えるが、リアスはそれを手で制した。
彼女は、目の前の「転校生」が、もはや自分の手に負える存在ではないことを悟ったのだ。
リアス「……対等な同盟、というわけね。不敵なこと。でも、いいわ。その傲慢なまでの力、今の私には魅力的に見える。暁連、あなたの提案を呑みましょう」
リアスは差し出された俺の手を、力強く握り返した。
リアス「ただし、一つだけ条件よ。オカルト研究部には所属してもらうわ。……あなたのその危うい力を、一番近くで監視させてもらうためにね」
連「……ふん、部室で紅茶を飲むくらいなら付き合ってやるよ」
こうして、俺と「赤髪の滅殺姫」の奇妙な協力関係が成立した。理の外側に立つ俺の物語が、ここから本格的に動き出す。
オカルト研究部での契約を終えた翌日。学園の喧騒は相変わらずだったが、俺の感覚(センサー)は一人の少年を捉えていた。
中庭のベンチで、エロ本を片手に鼻の下を伸ばしている、どこにでもいる凡庸な高校生。だが、その左腕に宿る「異物」の気配だけは、隠しきれていなかった。
連「……あれが、物語の主人公。兵藤一誠か」
俺が近づくと、一誠が怪訝そうに顔を上げた。
一誠「あ? ……お前、昨日転校してきた暁連だよな? 何か用かよ、イケメンが俺に何の……」
その時だった。
俺が彼の隣に腰を下ろした瞬間、右腕の奥に眠る古龍アザトースの魂が、狂ったように脈動を始めた。
――『ギィ、ギギ……滅ぼせ……龍を喰らえ……』――
脳内に直接響く、悍ましい破壊の衝動。それに応呼するように、俺の右腕から薄っすらと、どす黒い陽炎のような炎が立ち昇る。
一誠「う、わぁっ!? な、なんだこれ、熱っ!?」
一誠が悲鳴を上げながら、自分の左腕を押さえて転げ落ちた。
彼の左腕から、真紅の光が溢れ出す。未だ発現すらしていないはずの神滅具『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が、俺の放つ「終焉の炎」に過剰反応し、自己防衛のために強制起動しようとしていた。
一誠「ハァ、ハァ……なんだよ、今の……左腕が、爆発するかと思った……」
一誠は冷や汗を流しながら、恐怖の眼差しで俺の右腕を見つめている。
俺は強引に黒炎を抑え込み、神滅具を『休眠状態』へと押し戻した。
連(アザトース……。お前、同じ『神滅具』の、それも龍の魂に反応したのか)
かつて地獄の最下層で全てを焼き尽くした古龍にとって、二天龍の一角である赤龍帝(ドライグ)は、喰らうべき最高の獲物に見えたのかもしれない。
連「……悪いな、兵藤。少し体質に問題があってね。今のことは忘れろ。それと……」
俺は、彼の胸元から漂う「不吉な色」を睨みつけた。
すでに彼は、堕天使レイナーレのマークを受けている。
連「……放課後、甘い誘いには乗るなよ。死にたくなければな」
「え? 甘い誘い……? もしかしてデートの誘いとか!? 正夢かよ!」
俺の忠告を他所に、一誠はニヤニヤと妄想を膨らませている。
そのノー天気な姿に溜息を吐きながら、俺は立ち去った。
俺の中に眠る『終焉を刻む黒炎の魔剣』は、持ち主である俺の意志とは裏腹に、運命を狂わせる「龍の力」との激突を渇望している。
それは、これから始まる血塗られた日々への前奏曲(プレリュード)に他ならなかった。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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精霊
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その他(他作品とのクロスオーバー)
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