廃寺の奥底、融合炉から噴き出した不浄な光が、四振りのエクスカリバー――透明、擬態、天王、悪夢を一つに繋ぎ合わせ、禍々しい輝きを放つ「統合聖剣」へと姿を変えた。
バルパー「ついに……ついに完成した! これこそが、神をも凌駕する私の最高傑作だ!」
バルパー・ガリレイは歓喜に震えながら、その融合剣を手に取る。しかし、彼の背筋を凍らせたのは、眼前に立つ暁連という名の絶望だった。黄金の聖剣を手にし、天使の血を沸騰させてクローンたちを蹂ンジしているその姿は、神の代行人などという言葉では到底形容できない「異界の覇者」そのものだった。
フリード「バルパー様! ここは分が悪すぎますぜ! あのガキ、人間じゃねぇ……いや、悪魔ですらねぇ、ナニカだ!」
フリードが、かつてないほどに顔を引きつらせて叫ぶ。連が放つ黄金の威圧感は、融合を終えたばかりの聖剣の輝きさえも、泥水のように濁らせて見せるほどだった。
バルパー「おのれ……暁連、覚えていろ! この剣さえあれば、次は必ず――ッ!」
バルパーは逃亡を決意し、左手に隠し持っていた希少な「一度きりの転移結晶」を握りしめる。そして、連を足止めするために、自身の魂をも削るような狂気の術式を起動させた。
バルパー「出でよ! あと二百体……私の全戦力を以て、貴様をこの地に繋ぎ止めてくれるわ!」
魔法陣から、先ほどを上回る密度のクローンたちが次々と這い出してくる。総勢二百体を超える「無表情の軍団」。彼らが肉の壁となり、連との距離を物理的に埋め尽くしていく。
フリード「ヒャーッハハ! あばよ、化け物さんよぉ!」
パリン、と乾いた音とともに空間が歪み、バルパーとフリードの姿が霧のように消えていく。連が「逃がすとでも?」と地を蹴ろうとしたが、その瞬間、二百体のクローンが一斉に自爆を厭わぬ特攻を仕掛けてきた。
連「……逃げたか。ネズミの分際で、小細工を」
連は足を止め、自分を取り囲むクローンの波を見渡した。普通なら絶望するほどの包囲網。だが、連の口角は、不気味なほどに釣り上がっていた。
連「……最高だな。二百体か。……アザトース、聞こえるか。あいつらが、もう少しだけ『黒炎』の餌になりたいらしいぜ」
連の右腕から、ドロリとした漆黒の闇が溢れ出す。黄金の光と、深淵の闇。相反する二つの力が連の周囲で渦を巻き、廃寺の空間そのものをメキメキと引き裂いていく。
連「さぁ、遊ぼうぜ、人形ども。……お前たちには、俺の『全力』を拝む権利をやるよ」
連の足元から、粘着質な影が四方八方に広がり、世界を夜へと塗り替えていく。
「禁手(バランス・ブレイカー)――『極夜の破滅龍騎士(ナイトメア・オーバーロード)』!!」
爆発。
黄金の光線と漆黒の衝撃波が混ざり合い、廃寺の本堂は跡形もなく消し飛んだ。
光と闇の暴風が収まったとき、そこには一人の「龍騎士」が立っていた。
背中には十二枚の闇の翼に加え、白銀の光を放つ龍の尾。全身を覆うのは、光を吸い込み、同時に放つという矛盾した性質を持つ、黒金(くろがね)の魔導鎧。
右手に握るは、黄金に輝く『真説・エクスカリバー』。
そして左手には、周囲の理を焼き溶かす『終焉を刻む黒炎の魔剣』が大剣形態として顕現していた。
ディーネ「あはっ! あはははは! 見てよ、あの姿! 美しすぎて、胸が腐食しちゃいそうだわ!」
ディーネが歓喜のあまり自身の頬を爪で傷つけながら、狂ったように笑う。
一誠やゼノヴィアたちは、その圧倒的な「格の違い」に、膝をつくことすら忘れ、ただ呆然と空を見上げるしかなかった。
連「……行くぞ」
連の姿が、再びかき消えた。
ドォォォォォォンッ!!
一瞬。ただの一瞬だった。
二百体のクローン軍団の「中心」が、巨大な十字の閃光と黒炎の渦によって蒸発した。
連は二刀流の剣を交差させ、円を描くように一閃する。
右の黄金剣が光の粒子でクローンの存在を消去し、左の黒炎剣がその魂の残滓すら焼き尽くす。
救済と破滅の同時執行。
「ア……ガ、ア……」
感情がないはずのクローンたちが、連の刃に触れる直前、初めて「恐怖」という概念を理解したかのように表情を歪めた。連の動きはもはや目視できない。ただ、空中に黄金と漆黒の線が幾千、幾万と描かれ、その線に触れたクローンたちが、まるでスライドショーのように次々と消滅していく。
連「『双極の狂詩曲(ラプソディ・イン・アビス)』」
連は二本の剣を縦横無尽に操り、空中を舞う。
それは戦闘ではなく、一方的な「蹂躙」であり、残酷なまでに美しい「舞踏」だった。
クローンが放つ擬似聖剣の刃など、連の魔導鎧に触れることすら叶わず、連の周囲数メートル以内に踏み込んだ瞬間に、黒炎の熱波で炭化して崩れ落ちる。
連「……足りないな。二百体程度じゃ、まだ温まりもしない」
連は地上に着地すると、残った数十体のクローンを冷徹に見据えた。
彼は二つの剣を頭上で一つに重ね合わせる。
連「これでおしまいだ。……『聖魔融合:極夜の裁き(ジャッジメント・ナイトメア)』」
黄金の光が黒炎を呑み込み、逆に黒炎が光を加速させる。
連の頭上に、巨大な「黒い太陽」が形成された。その中心からは黄金の雷光が漏れ出し、廃寺の跡地一帯の重力が狂い始める。
連「消えろ。理のゴミ共」
黒い太陽が爆発した。
衝撃波ではない。それは「存在の否定」そのものだった。
光と闇の奔流が、残ったクローンたちを、彼らが立っていた大地を、そして廃寺の残骸すべてを飲み込み、完全に「無」へと還していった。
静寂が訪れる。
かつて廃寺があった場所には、今や完璧な更地と、ガラス状に溶け固まったクレーターだけが残されていた。
連「……ふぅ。……少しは、面白かったぜ」
連は禁手を解き、黄金の剣をブレスレットへ、黒炎の剣を自らの影へと戻した。
鎧が消え、いつもの制服姿に戻った連の背中には、まだアザトースの影が名残惜しそうに揺らめいている。
一誠「連! お前、マジかよ……。あんなの、ドライグでも勝てる気がしねえぞ……」
一誠が、自身の籠手を震わせながら歩み寄る。ゼノヴィアは、ただ黙って、自分が手にしている『破壊の聖剣』を見つめていた。連が見せたあの「黄金」に比べれば、この剣はあまりに虚しく、そして弱々しい。
ディーネ「……あははっ! 連、最高だったわよ! あのジジイ、今頃転移先で腰を抜かして漏らしてるんじゃないかしら?」
ディーネが連の首にしがみつき、その耳を甘噛みする。
ディーネ「ねぇ、あの方(イザナギ)も、あの人(イザナミ)も、今のを見て満足したはずよ。……次は、本腰を入れてあのネズミどもを追い詰めましょうか?」
連「……ああ。バルパー。そしてその裏にいる、堕天使の幹部……コカビエル。……本物の『聖剣』と『魔剣』の二刀流、次はあいつらの血で試してやるよ」
連は夜空を見上げた。
雲が晴れ、月が再びその姿を現す。
だが、その月の光さえも、先ほど連が放った「極夜の裁き」の残光に比べれば、あまりに頼りなく見えた。
駒王町の夜は、まだ終わらない。
融合剣を手にしたバルパーと、業火を背負った暁連。
そして、その混沌を特等席で見つめる堕天使の影が、すぐそこまで迫っていた。
連「……帰るぞ。ディーネ、腹が減った。今度は、もっと肉の多いやつを作れ」
ディーネ「あはっ! 分かったわよ、私の王様(キング)!」
二人の転生者は、破壊の跡地を悠然と後にした。
彼らが歩いた後には、決して消えることのない黄金の残り火と、死の黒煙が静かに漂っていた。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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