破壊の黒炎   作:ぐちロイド

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第19話 狂喜の乱舞 逃げる敵

廃寺の奥底、融合炉から噴き出した不浄な光が、四振りのエクスカリバー――透明、擬態、天王、悪夢を一つに繋ぎ合わせ、禍々しい輝きを放つ「統合聖剣」へと姿を変えた。

 

バルパー「ついに……ついに完成した! これこそが、神をも凌駕する私の最高傑作だ!」

 

バルパー・ガリレイは歓喜に震えながら、その融合剣を手に取る。しかし、彼の背筋を凍らせたのは、眼前に立つ暁連という名の絶望だった。黄金の聖剣を手にし、天使の血を沸騰させてクローンたちを蹂ンジしているその姿は、神の代行人などという言葉では到底形容できない「異界の覇者」そのものだった。

 

フリード「バルパー様! ここは分が悪すぎますぜ! あのガキ、人間じゃねぇ……いや、悪魔ですらねぇ、ナニカだ!」

 

フリードが、かつてないほどに顔を引きつらせて叫ぶ。連が放つ黄金の威圧感は、融合を終えたばかりの聖剣の輝きさえも、泥水のように濁らせて見せるほどだった。

 

バルパー「おのれ……暁連、覚えていろ! この剣さえあれば、次は必ず――ッ!」

 

バルパーは逃亡を決意し、左手に隠し持っていた希少な「一度きりの転移結晶」を握りしめる。そして、連を足止めするために、自身の魂をも削るような狂気の術式を起動させた。

 

バルパー「出でよ! あと二百体……私の全戦力を以て、貴様をこの地に繋ぎ止めてくれるわ!」

 

魔法陣から、先ほどを上回る密度のクローンたちが次々と這い出してくる。総勢二百体を超える「無表情の軍団」。彼らが肉の壁となり、連との距離を物理的に埋め尽くしていく。

 

フリード「ヒャーッハハ! あばよ、化け物さんよぉ!」

 

パリン、と乾いた音とともに空間が歪み、バルパーとフリードの姿が霧のように消えていく。連が「逃がすとでも?」と地を蹴ろうとしたが、その瞬間、二百体のクローンが一斉に自爆を厭わぬ特攻を仕掛けてきた。

 

連「……逃げたか。ネズミの分際で、小細工を」

 

連は足を止め、自分を取り囲むクローンの波を見渡した。普通なら絶望するほどの包囲網。だが、連の口角は、不気味なほどに釣り上がっていた。

 

連「……最高だな。二百体か。……アザトース、聞こえるか。あいつらが、もう少しだけ『黒炎』の餌になりたいらしいぜ」

 

連の右腕から、ドロリとした漆黒の闇が溢れ出す。黄金の光と、深淵の闇。相反する二つの力が連の周囲で渦を巻き、廃寺の空間そのものをメキメキと引き裂いていく。

 

連「さぁ、遊ぼうぜ、人形ども。……お前たちには、俺の『全力』を拝む権利をやるよ」

 

連の足元から、粘着質な影が四方八方に広がり、世界を夜へと塗り替えていく。

 

「禁手(バランス・ブレイカー)――『極夜の破滅龍騎士(ナイトメア・オーバーロード)』!!」

 

爆発。

黄金の光線と漆黒の衝撃波が混ざり合い、廃寺の本堂は跡形もなく消し飛んだ。

光と闇の暴風が収まったとき、そこには一人の「龍騎士」が立っていた。

 

背中には十二枚の闇の翼に加え、白銀の光を放つ龍の尾。全身を覆うのは、光を吸い込み、同時に放つという矛盾した性質を持つ、黒金(くろがね)の魔導鎧。

右手に握るは、黄金に輝く『真説・エクスカリバー』。

そして左手には、周囲の理を焼き溶かす『終焉を刻む黒炎の魔剣』が大剣形態として顕現していた。

 

ディーネ「あはっ! あはははは! 見てよ、あの姿! 美しすぎて、胸が腐食しちゃいそうだわ!」

 

ディーネが歓喜のあまり自身の頬を爪で傷つけながら、狂ったように笑う。

一誠やゼノヴィアたちは、その圧倒的な「格の違い」に、膝をつくことすら忘れ、ただ呆然と空を見上げるしかなかった。

 

連「……行くぞ」

 

連の姿が、再びかき消えた。

 

ドォォォォォォンッ!!

 

一瞬。ただの一瞬だった。

二百体のクローン軍団の「中心」が、巨大な十字の閃光と黒炎の渦によって蒸発した。

連は二刀流の剣を交差させ、円を描くように一閃する。

 

右の黄金剣が光の粒子でクローンの存在を消去し、左の黒炎剣がその魂の残滓すら焼き尽くす。

救済と破滅の同時執行。

 

「ア……ガ、ア……」

 

感情がないはずのクローンたちが、連の刃に触れる直前、初めて「恐怖」という概念を理解したかのように表情を歪めた。連の動きはもはや目視できない。ただ、空中に黄金と漆黒の線が幾千、幾万と描かれ、その線に触れたクローンたちが、まるでスライドショーのように次々と消滅していく。

 

連「『双極の狂詩曲(ラプソディ・イン・アビス)』」

 

連は二本の剣を縦横無尽に操り、空中を舞う。

それは戦闘ではなく、一方的な「蹂躙」であり、残酷なまでに美しい「舞踏」だった。

クローンが放つ擬似聖剣の刃など、連の魔導鎧に触れることすら叶わず、連の周囲数メートル以内に踏み込んだ瞬間に、黒炎の熱波で炭化して崩れ落ちる。

 

連「……足りないな。二百体程度じゃ、まだ温まりもしない」

 

連は地上に着地すると、残った数十体のクローンを冷徹に見据えた。

彼は二つの剣を頭上で一つに重ね合わせる。

 

連「これでおしまいだ。……『聖魔融合:極夜の裁き(ジャッジメント・ナイトメア)』」

 

黄金の光が黒炎を呑み込み、逆に黒炎が光を加速させる。

連の頭上に、巨大な「黒い太陽」が形成された。その中心からは黄金の雷光が漏れ出し、廃寺の跡地一帯の重力が狂い始める。

 

連「消えろ。理のゴミ共」

 

黒い太陽が爆発した。

衝撃波ではない。それは「存在の否定」そのものだった。

光と闇の奔流が、残ったクローンたちを、彼らが立っていた大地を、そして廃寺の残骸すべてを飲み込み、完全に「無」へと還していった。

 

静寂が訪れる。

かつて廃寺があった場所には、今や完璧な更地と、ガラス状に溶け固まったクレーターだけが残されていた。

 

連「……ふぅ。……少しは、面白かったぜ」

 

連は禁手を解き、黄金の剣をブレスレットへ、黒炎の剣を自らの影へと戻した。

鎧が消え、いつもの制服姿に戻った連の背中には、まだアザトースの影が名残惜しそうに揺らめいている。

 

一誠「連! お前、マジかよ……。あんなの、ドライグでも勝てる気がしねえぞ……」

 

 

一誠が、自身の籠手を震わせながら歩み寄る。ゼノヴィアは、ただ黙って、自分が手にしている『破壊の聖剣』を見つめていた。連が見せたあの「黄金」に比べれば、この剣はあまりに虚しく、そして弱々しい。

 

ディーネ「……あははっ! 連、最高だったわよ! あのジジイ、今頃転移先で腰を抜かして漏らしてるんじゃないかしら?」

 

ディーネが連の首にしがみつき、その耳を甘噛みする。

 

 

ディーネ「ねぇ、あの方(イザナギ)も、あの人(イザナミ)も、今のを見て満足したはずよ。……次は、本腰を入れてあのネズミどもを追い詰めましょうか?」

 

連「……ああ。バルパー。そしてその裏にいる、堕天使の幹部……コカビエル。……本物の『聖剣』と『魔剣』の二刀流、次はあいつらの血で試してやるよ」

 

連は夜空を見上げた。

雲が晴れ、月が再びその姿を現す。

だが、その月の光さえも、先ほど連が放った「極夜の裁き」の残光に比べれば、あまりに頼りなく見えた。

 

駒王町の夜は、まだ終わらない。

融合剣を手にしたバルパーと、業火を背負った暁連。

そして、その混沌を特等席で見つめる堕天使の影が、すぐそこまで迫っていた。

 

連「……帰るぞ。ディーネ、腹が減った。今度は、もっと肉の多いやつを作れ」

 

ディーネ「あはっ! 分かったわよ、私の王様(キング)!」

 

二人の転生者は、破壊の跡地を悠然と後にした。

彼らが歩いた後には、決して消えることのない黄金の残り火と、死の黒煙が静かに漂っていた。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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