深い闇に沈む駒王町の夜。連とディーネは、かつてバルパーたちが潜んでいた廃教会の地下へと足を踏み入れたが、そこにはただ、冷却の止まった機械の重低音と、引きちぎられた魔力の残滓が漂うばかりだった。
ディーネ「……あはっ、やっぱりね。あのネズミども、もうお引っ越し済みよ」
ディーネがシアン色の髪を弄りながら、つまらなそうに鼻を鳴らす。連は無言で、自身の右腕が刻む微かな振動を感じ取っていた。聖剣と魔剣、その両方が特定の方向に向けて、飢えた獣のように咆哮を上げている。
その時だった。
ズゥゥゥゥゥン……!!
大気が震え、学園の方角から巨大な「壁」がせり上がるような、圧倒的な魔力の波動が届いた。
連「結界か。……蒼那たちが維持しているようだが、中から溢れているのは、あの狂信者どもの腐った臭いだ」
ディーネ「行きましょうか、連。『あの方』も『あの人』も、最高の特等席を用意して待ってるはずよ」
連の背からアザトースの十二枚の翼が展開され、ディーネもまた風の魔力を纏って跳躍した。
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駒王学園の敷地内は、シトリー眷属が死力を尽くして維持する強力な結界によって、外界から完全に遮断された「異界」と化していた。
連たちが結界を潜り抜けた先で目にしたのは、無惨に破壊された校舎と、泥沼のような死闘を繰り広げるグレモリー眷属の姿だった。
木場「はぁぁぁッ!!」
一誠の『赤龍帝の籠手』が唸りを上げ、木場の神速の魔剣が空を切り裂く。二人の連携によって、二振りの聖剣を操り狂奔していたフリード・ゼルツァは、ついにその身に幾十もの傷を負い、校舎の壁へと叩きつけられていた。
フリード「ヒッ……ヒ、ヒハハハッ! な、なんだよ、その目はよぉ……! 死に損ないの『聖剣計画』のクズが、調子に乗りやがって……!」
フリードの足元には、バルパー・ガリレイが這いつくばっていた。ゼノヴィアが『破壊の聖剣』を彼の喉元に突きつけ、冷酷な宣告を下す。
ゼノヴィア「バルパー・ガリレイ。……貴様の罪は、もはや教会の法でも、悪魔の法でも裁ききれん。……貴様が作り出した聖剣因子の欠片は、今ここで木場祐斗の覚悟によって、君の最期を見届けるだろう」
木場の周囲には、散っていった仲間たちの魂が具現化したかのような、美しくも悲しい『聖魔剣』が輝いていた。
聖と魔。相反する力が混ざり合い、バルパーが信じていた「偽りの理」を根底から否定する。
だが、勝利の予感が漂い始めたその瞬間。
夜空そのものが「重み」を持ったかのように、空間が歪んだ。
?「――くははははは! 実に滑稽だな、バルパー。お前が心血を注いだ人形遊びが、これほどまでに無惨に散るとは」
頭上から降り注ぐ、暴力的なまでの魔力のプレッシャー。
黒い羽が雪のように舞い散る中、六対、計十二枚の巨大な黒翼を広げた男が、校舎の屋上に降り立った。
リアス「堕天使幹部……コカビエル!!」
リアスが悲鳴に近い声を上げる。
コカビエルの瞳には、地上にいる者すべてを虫ケラと見なすような、圧倒的な傲慢さと倦怠感が宿っていた。
連がディーネと並んで、一誠たちの前に歩み出る。コカビエルはその赤い瞳を連に向け、僅かに興味深そうに目を細めた。
コカビエル「ほう……。バルパーの報告にあった、イレギュラーか。その右腕……ふん、妙なオーラを放っているが、所詮は人間が手にする器に過ぎん」
コカビエルはゆっくりと翼を閉じ、地上の者たちを見下ろして嘲笑った。
コカビエル「リアス・グレモリー。そして教会の小娘ども。……お前たちは、何のために戦っている? 『主』のためか? それとも、『魔王』のためか?」
リアス「何が言いたいの! 私たちは、この街を守るために、あなたの野望を打ち砕くだけよ!」
リアスの叫びに、コカビエルは腹を抱えて笑い出した。その笑い声は結界内に反響し、聞く者の精神を削り取るような不協和音を奏でる。
コカビエル「野望? 違うな、これは『修正』だ。……お前たちは何も知らない。……いや、お前たちの主も、魔王も、真実を隠し続けているのだ」
コカビエルは翼を大きく広げ、天空を指し示した。
コカビエル「教えてやろう。……かつての大戦において、天界の『神』は死んだ。そして、お前たちが崇拝する『四大魔王』も、共に戦死したのだ!!」
一誠「…………え?」
一誠が呆けたような声を漏らす。
ゼノヴィアは持っていた聖剣を落としそうになり、その顔から血り気が一気に引いていく。
ゼノヴィア「な、何を……何を言っているの!? 神様が死んだ!? そんな、そんなデタラメを!」
コカビエル「デタラメではない。……私は見た。神が堕ち、魔王が消え去る瞬間をな。……今の天界も冥界も、神も魔王も不在のまま、システムだけが空回りしている空っぽの器だ。……そんな『平和』という名の欺瞞、私が壊してやる。戦争こそが、我ら堕天使が輝く唯一の舞台なのだからな!!」
コカビエルの暴露は、この世界の住人にとって「世界の終わり」と同義だった。
信仰を糧にしていたゼノヴィアやイリナにとって、それは魂の消滅を意味する。リアスや蒼那にとっても、自分たちの統治の正当性が根底から覆される事態だ。
だが。
その絶望の渦中で、ただ二人だけが、不気味なほどに静かだった。
ディーネ「……あはっ、やっぱり。どうりでこの世界の風、どこか『死臭』がすると思ったわ」
ディーネが、戦慄する一同をよそに、けらけらと笑い出した。
ディーネ「連、聞いた? 神も魔王も死んでるんだって。……最高じゃない! 『あの方』が言ってた通り、ここはもう、ただの廃墟なのよ!」
連は右腕のブレスレットをゆっくりと撫でた。
連(……イザナミ様。あんたの言っていた通り、この世界の理(システム)は、とっくに壊れていたらしいな)
連の脳内で、女神の冷徹な笑い声が聞こえたような気がした。
連「おい、カラス野郎」
連の声が、コカビエルの高笑いを切り裂いた。
連は一歩、また一歩と、堕天使の幹部に向かって歩み出る。その足音が響くたびに、地面から黒炎が立ち上り、コカビエルが放つ魔力を次々と「捕食」していく。
連「神が死んだ? 魔王がいない? ……だから何だ」
連が右腕を掲げると、そこから黄金の光が爆発的に溢れ出した。
その光の純度は、先ほどまでのどの瞬間よりも高い。神が死んだという事実を知り、そのシステムからの「承認」が不要になったことで、連の中にある天使の血と『真説・エクスカリバー』が、より自由な、より根源的な輝きを放ち始めたのだ。
連「神が死んだなら、俺がこの剣で、新しい『死』を刻んでやるだけだ。……魔王がいないなら、俺の黒炎が、新しい『地獄』を作ってやる」
コカビエル「……何だと?」
コカビエルの表情が、初めて曇った。
目の前の少年から放たれるのは、信仰や魔力といった、この世界の枠組みの中にある力ではない。
世界の外側――「神話」そのものを再定義するような、絶対的な破壊の意志。
連「ディーネ。……準備はいいか。カラスの羽毟り(はむしり)を始めるぞ」
ディーネ「ええ、連! 私の風で、その安っぽい翼、全部腐らせてあげるわ!」
ディーネがシアン色の魔力を暴走させ、結界内の空気を竜巻へと変える。
絶望に沈むリアスたちを置き去りにして、二人の転生者が、神も魔王もいない荒野で、真の「終焉」を体現するために動き出す。
連「……見せてやるよ、コカビエル。本物の『終焉』ってやつをな」
連の右手に黄金の聖剣、左手に黒炎の魔剣が顕現する。
黄金と漆黒のコントラストが、夜の学園を、世界の終焉を告げる断罪の舞台へと変えていった。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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