校舎裏に立ち込めていた不浄な魔力は、ヴァーリがコカビエルを連れ去ったことで霧散し、代わりに静謐な月光が瓦礫の山を照らし出していた。
木場「……部長。僕は、これからもあなたの剣として、この命を捧げます。仲間たちの想いと共に、前を向いて歩んでいきたい」
膝をつき、リアスの手を取って改めて忠誠を誓う木場祐斗。その光景は、一つの復讐劇が終わり、新たな絆が生まれたことを象徴する美しい幕切れだった。リアスは慈愛に満ちた表情で彼の肩を抱き、一誠やアーシアも涙を浮かべてその再起を喜んでいる。
だが、その感動的な輪から少し離れた場所で、連は興味なさそうに鼻を鳴らした。
連「……終わったな。後始末は、お偉いさん方の血筋(グレモリーとシトリー)で適当にやっておけ。俺は寝る」
ディーネ「あはっ! そうね。あんなカラスの羽を毟(むし)った後に、湿っぽいお説教なんて聞いてられないわ。連、帰りましょう。今夜は特別に、私の『極上の癒やし』を堪能させてあげるから」
ディーネが連の腕に絡みつき、豊満な胸を押し当てながら歩き出す。リアスが「連、待って!」と声をかけようとしたが、連は一度も振り返ることなく、夜の闇へと消えていった。
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その夜、連の意識は再び、灰色の空が広がる黄泉の国へと沈んでいた。
しかし、いつもと違うのは、玉座に座るイザナミの傍らに、もう一人の凄まじい存在感が揺らめいていることだった。
イザナミ「――連よ。大儀であった。あの堕天使の幹部を、我が授けた黄金の光で叩き伏せる様……。妾(わらわ)の溜飲も下がるというものよ」
イザナミは機嫌よく、自らの膝の上に連の頭を乗せ、慈しむようにその髪を撫でた。神の膝枕という贅沢な報酬に、連は苦笑しながらも目を閉じる。
イザナミ「……それにな、連。妾だけでなく、あやつもようやく本腰を入れる気になったようぞ?」
イザナミが視線を横に向けると、そこには漆黒の靄が収束し、妖艶な笑みを浮かべたアザトースの幻影が立っていた。
アザトース『……くかか。あのトカゲ共の怯えようと言ったら。妾の名を、恐怖と共に思い出させてやったわ。連よ、貴様の器、なかなかどうして妾の力に馴染んできたではないか』
アザトースは連の頬を指先でなぞる。その指先からは、世界を食らい尽くすような飢餓感と、連への奇妙な執着が伝わってくる。
連「アザトース、あんたがあそこまで表に出てくるとは思わなかった。……二天龍が、あんなに震えるとはな」
アザトース『当然よ。あやつらは所詮、この世界の法の中で最強を競う獣。妾という“外側”の絶望を知れば、羽を丸める以外に道はなかろう。……連、これからも励め。貴様がこの世界を壊せば壊すほど、妾の力はより純粋に顕現する』
連「……ああ。期待してろ」
イザナミとアザトース。二人の強大な存在に挟まれながら、連は静かに闘志を燃やす。神が死に、魔王が消えたこの世界で、自分たちが次に刻むべき「終焉」が何であるかを、連は確信していた。
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数日が経過し、学園には表向きの平穏が戻っていた。破損した校舎は魔力による大規模な修復が行われ、生徒たちは何事もなかったかのように日常を謳歌している。
放課後。オカルト研究部の部室には、いつものメンバーが集まっていた。だが、その扉が開かれた瞬間、一誠とアーシアは目を見開いて絶句した。
一誠「……え!? ゼ、ゼノヴィア!?」
入ってきたのは、つい先日まで「教会の使い」として敵対に近い立場にいた、あの青い短髪の少女だった。
しかも、彼女が身に纏っているのは、白い修道服ではない。駒王学園の女子制服――特徴的なケープ状の襟と、赤いリボンが印象的な、あの制服を完璧に着こなしていた。
一誠「な、なんでゼノヴィアがここに!? しかもその格好、それ、うちの制服だよな!?」
困惑する一誠に対し、リアスが落ち着いた声で、しかしどこか誇らしげに告げた。
リアス「みんな、驚くのも無理はないわね。……今日から、ゼノヴィアも私たちの仲間よ。私の新たな『騎士(ナイト)』として、グレモリー家に加わったわ」
一誠「な……ッ!?」
一誠が叫び、小猫や朱乃は「あらあら」「また賑やかになるわね」とそれぞれの反応を示す。連はソファで足を組み、ディーネにリンゴを剥かせながら、「……予想通りだな」と短く呟いた。
一誠が詰め寄る。
一誠「なんでだよ、ゼノヴィア! お前、あんなに神様がどうとか、教会がどうとか言ってたじゃねーか!」
ゼノヴィアは自嘲気味な笑みを浮かべ、自身の胸元に手を当てた。
ゼノヴィア「……神の不在、その真実を知ってしまったからだ。神が死んでいたという事実は、私の信仰の根幹を、そして居場所を奪った。……教会に報告しようとしたが、上層部はとっくにその事実を知っており、真実を知った私を『異端』として追放したのだ」
一誠「追放……って、お前、行く場所なくなっちまったのか?」
ゼノヴィア「ああ。……イリナは信仰を保ったまま天界へ戻ったが、私は無理だった。……だから、リアス・グレモリーに頼み込んだのだ。この世界の真実を共に歩める強さと、仲間を求めてな」
ゼノヴィアは真っ直ぐに、部室の端で不安げに立ち尽くしていたアーシアの方へと歩み寄った。
そして、かつて「魔女」と呼び捨てにした彼女の前で、深く、深く頭を下げた。
ゼノヴィア「アーシア・アルジェント。……以前、君に吐いた暴言、そして向けた殺気……。今更謝っても許されることではないかもしれない。だが、謝らせてほしい。……私は愚かだった。神の愛がなければ救いはないと思い込んでいたが、君は神の不在など関係なく、自らの意志で仲間を愛し、救おうとしていた。……君の方が、よほど『聖女』に相応しかった」
アーシアは一瞬驚き、それからすぐに優しい微笑みを浮かべて、ゼノヴィアの両手を取った。
アーシア「……いいえ。謝らないでください、ゼノヴィアさん。……私も、こうして皆さんと一緒にいられることが幸せなんです。だから、これからは一緒に……仲間として、仲良くしましょう?」
ゼノヴィア「……感謝する。君の慈悲、この身に刻もう」
二人の和解を、一誠は鼻を啜りながら見守り、木場は同じ『騎士』としてのライバル心と親愛を込めて頷いた。
ディーネ「あはっ! いいわねぇ、この湿っぽい感じ。でもゼノヴィア、あんた、制服のサイズ、胸のところが少しキツそうじゃない? ……それとも、悪魔になった途端、性欲と一緒に成長しちゃった?」
ディーネがニヤニヤしながら割って入る。ゼノヴィアは頬を赤らめ、「し、失礼な! これはサイズ選びを間違えただけだ!」と声を荒らげた。
ディーネ「あら、いいじゃない。リアスも朱乃も、そして私の連も、一誠もそういう『大きい』のが好みなんだから。……よろしくね、新人(ルーキー)。私の前では、あんたのその『聖剣』のプライド、いつでも腐食させてあげるわ」
ゼノヴィア「……ヴェパール、貴様の挑発には乗らん。だが、暁連……君の背中にいた『あの存在』のことは、忘れていない。……君がこの陣営にいるなら、私は心強い」
ゼノヴィアの視線が連に向けられる。連はリンゴを咀嚼しながら、黄金と漆黒のオーラを僅かに漏らし、不敵に笑った。
連「……仲良しごっこはそこまでだ。神が死んだ後の世界で、何が起きるか……。それを特等席で見せてやるよ。ついてこれるなら、の話だがな」
新たな『騎士』ゼノヴィアを加え、グレモリー眷属はこれまでにない戦力を手に入れた。
だが、それは同時に、より巨大な争いの渦中へと足を踏み入れることを意味していた。
神の不在という絶望を、連という名の「終焉」がどのように上書きしていくのか。
駒王町を舞台にした物語は、三大勢力のサミットという、更なる激動のステージへと加速していく。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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