夕闇が迫る駒王町の住宅街。一誠は悪魔の仕事である「願いの代行」のため、一軒の古いアパートを訪れていた。依頼主の部屋に入ると、そこにはおびただしい数のゲーム機が整然と並べられていた。
一誠「うわぁ……。これ、すごいっすね。ファミコンから最新の次世代機まで、よくこれだけ集めたもんだ……」
一誠が感嘆の声を漏らすと、部屋の主である、どこかだらしなく、それでいて油断ならない気配を纏った黒髪の男――アザゼルが、不敵な笑みを浮かべてコントローラーを差し出してきた。
アザゼル「だろう? 娯楽こそが知性の極致だ。さぁ、悪魔君。御託はいいから、まずはこの格闘ゲームで俺に勝ってみろ」
一誠「受けて立ちますよ!」
数分後。一誠は画面に躍る『YOU LOSE』の文字を呆然と見つめていた。最新のコンボから、古いハード特有のバグを利用した技まで完璧に使いこなす男に、手も足も出なかったのだ。
一誠「……負けた。強すぎるだろ、あんた……」
一誠が肩を落とすと、男はゆっくりと立ち上がった。その瞬間、部屋の空気が一変する。先ほどまでの「ゲーム好きのオヤジ」の顔は消え、世界を裏から操る者の、底知れない重圧が一誠にのしかかった。
アザゼル「さて、続きをやろうか、悪魔君。……いや、『赤龍帝』兵藤一誠」
一誠「なっ……!? なんで俺が赤龍帝だってことを……!」
アザゼル「知らないはずがないだろう? 俺はこれでも、神器(セイクリッド・ギア)の研究に関しては世界の第一人者自負していてね。……俺の名はアザゼル。堕天使の総督だ」
一誠は椅子から転げ落ちそうになった。コカビエルの上司であり、ヴァーリを差し向けた張本人が、まさかこんな四畳半でゲームに興じていたとは。
アザゼル「安心しろ。今すぐここで君の腕を毟(むし)ろうなんて野蛮なことは考えていない。……近々、悪魔、堕天使、天使の三勢力による会談をこの街で行う。……君の主、リアス・グレモリーにもそう伝えておけ」
アザゼルはそう言い残すと、カラスの羽を一枚残して、影に溶けるように姿を消した。
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翌日の放課後。オカルト研究部の部室。
一誠からの報告を聞いたリアスは、椅子に座ったまま、眉間に深い皺を寄せていた。
リアス「……アザゼルが直接、一誠に接触したというの? しかも、ゲームをしながら……?」
一誠「はい。あ、あの、めちゃくちゃ強かったです。ゲームが」
リアス「そんなことはどうでもいいわっ!」
リアスが机を叩いて立ち上がる。その表情には、自分を差し置いて眷属に直接接触されたことへの、主としての苛立ちと、堕天使の総督という巨悪への警戒心が入り混じっていた。
リアス「まったく、あの堕天使の親玉、相変わらず食えない男ね。……ディーネ、あなた何か知っていたかしら?」
ソファで連に膝枕をしながら、優雅にチェリーを口に運んでいたディーネが、面倒臭そうに片目を開けた。
ディーネ「あはっ! 知ってたわよ。あの方は……『あいつは暇人だから、そろそろ一誠くんにちょっかいを出す頃だ』って笑ってたもの。……でも、連。会談なんて、最高にカオスな予感がしない?」
連は目を閉じたまま、右腕のブレスレットを無意識になぞる。
連「……三つの勢力が一堂に会する、か。神が死んだ後の世界で、抜け殻の王たちが何を語り合うのか……。あの人も、その『茶番』を楽しみにしているようだがな」
そこへ、小猫が静かにリアスの傍へ歩み寄った。
小猫「……部長。三勢力会談の話、本当なんですか?」
リアス「ええ。……つい先ほど、お兄様(サーゼクス)からもメッセージが届いたわ。『アザゼルからの提案を受諾した。平和への大きな一歩になるだろう』って。……正直、私はまだあの男を信用できないけれど」
一誠は、リアスの険しい表情を見て、急に不安に襲われた。
一誠「あ、あの……部長。アザゼルって、神器の研究をしてるんですよね? もしかしてあいつ、俺の『籠手(ブーステッド・ギア)』を狙って……俺を解剖したり、どこかに拉致したりするつもりなんじゃ……」
どんどんマイナス思考に陥り、震え出す一誠。
一誠「そ、そりゃあ俺は、おっぱいのためなら何でもするけど、改造人間になったりするのはちょっと……」
その時、リアスが一誠の元へ歩み寄り、彼を優しく、力強く抱きしめた。
リアス「……大丈夫よ、一誠。あなたは私の、たった一人の大切な眷属。アザゼルだろうと、誰だろうと、あなたを傷つけることは私が絶対に許さないわ」
リアスの豊かな胸元に、一誠の顔が深く沈む。部長特有の、気高くも優しい花の香りが鼻腔をくすぐった。
一誠「あぁ……部長……」
さっきまでの不安はどこへやら。一誠の脳内は、瞬時に桃色の霧で満たされた。
リアスの抱擁の柔らかさ、その温もり、そして腕の中で感じる確かな「質量」。一誠の顔は、一瞬にして苦悶に満ちた絶望顔から、涎(よだれ)を垂らしそうなほどの「変態顔」へとシフトしていった。
一誠「……ふっ、ふへへ。部長の……おっぱい。……あったかいです……。もうアザゼルに解剖されてもいいかも……」
リアス「……一誠? あなた、今何を考えているのかしら?」
リアスの声が僅かに冷たくなったが、一誠は止まらない。
一誠「……へへ、部長……。俺、一生ついていきます……。ふんすっ! ふんすっ!」
鼻息を荒くする一誠。その様子を見ていた小猫が、軽蔑に満ちた瞳でボソリと呟いた。
小猫「……最低です」
ディーネ「あははっ! ほら連、見て。あのアホ面! 三勢力会談を前にして、あんな顔ができるのは世界中で彼だけよ!」
ディーネが腹を抱えて笑う。
連は薄く目を開け、一誠の情けない姿を冷めた瞳で見つめながら、右腕のブレスレットから漏れる、黄泉の女神の「呆れたような笑い」を感じ取っていた。
連「……全く。あんなのが『赤龍帝』だなんて、ドライグも不憫だな」
リアス「連……、あんたも呆れてないで。……会談の当日は、あなたとディーネにも同行してもらうわよ。兄様が、ぜひ『規格外の二人』に会いたいと言っているから」
リアスの言葉に、連の瞳が黄金の光を帯びて鋭くなった。
連「魔王、か。……いいだろう。神の不在を確認しに来た『外側の客』として、その茶番に付き合ってやる」
一誠が変態的な歓喜に浸り、リアスが困惑し、連が静かに牙を研ぐ。
駒王学園を舞台にした、世界の運命を決める「三勢力会談」。
そこには、アザゼルの企みやヴァーリの野望、そしてそれらすべてを塵に変えようとする、暁連の圧倒的な力が渦巻こうとしていた。
連「……さぁ、カオスの幕開けだ」
ディーネが連の首筋に顔を埋め、邪悪に微笑んだ。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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