校庭に降り注ぐ午後の陽光は、昨日までの緊張感が嘘のように穏やかでした。神話の始祖であるイザナギとイザナミが黄泉の国へと帰還し、表向きの平穏を取り戻した駒王学園。しかし、オカルト研究部にとっては、新たな騒動の幕開けに過ぎませんでした。
その日、部長であるリアス・グレモリーは、兄であり現魔王であるサーゼクス・ルシファーから正式な許可を得て、長らく封印されていた「もう一人の僧侶(ビショップ)」の解放を行いました。
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旧校舎の地下、重々しい魔法陣が刻まれた扉が開かれ、そこにいたのは金髪ショートカットの可憐な少年――ギャスパー・ヴラディでした。彼は吸血鬼のハーフであり、強力すぎる神器『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』を制御できず、自ら箱の中に引きこもっていたのです。
ギャスパー「ひぃっ! 外の世界! 怖い! 箱に戻してくださぁぁい!」
絶叫するギャスパーを前に、リアスは苦笑しながらも一誠たちに視線を向けました。
リアス「一誠、アーシア、ゼノヴィア。そして小猫。今日からあなたたちにギャスパーの教育係をお願いするわ。彼は優れた才能を持っているけれど、あまりにも臆病で、外の世界に慣れる必要があるの」
リアスと朱乃は、間近に迫った「三大勢力会談」の最終打ち合わせのため、冥界の要人たちとの協議に赴かなければなりません。また、前回の戦いで『聖覇の騎士(ソード・バース)』を禁手(バランス・ブレイカー)へと昇華させた木場佑斗も、その力を確認したいというサーゼクスの要望により、リアスたちに同行することになっていました。
一誠「部長、任せてください! この俺が、立派な男に育ててみせますよ!」
一誠が胸を叩くと、リアスは少し不安げながらも、愛しい下僕に微笑みかけて転移魔法陣へと消えていきました。
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ゼノヴィア「さて……まずは体力をつけさせねばな」
腕組みをして仁王立ちするのは、元教会の聖剣使い、ゼノヴィアでした。彼女は教育という言葉を少々、力技で解釈したようです。
ゼノヴィア「ギャスパー、逃げろ。私がこの『破壊の聖剣(デュランダル)』で追いかける。死の淵に立てば、自ずと限界は突破されるものだ」
ギャスパー「ひいいいいい!? 何言ってるんですかあの青メッシュの人! 怖い、怖すぎるー!!」
ギャスパーは泣き叫びながら校庭へと飛び出しました。その後ろを、巨大な聖剣を肩に担いだゼノヴィアが、冷徹なハンターのような目つきで追走します。
ゼノヴィア「待て、ギャスパー。逃げる足腰が鍛えられれば、それは立派な防御技術だ。さあ、もっと速く!」
ギャスパー「無理ですぅ! 剣が光ってる! 殺気が出てますぅぅ!!」
校庭を全力疾走する金髪の美少年(女装)と、それを巨大な得物で追い回す青髪の美女。その光景は、どう見ても「公開処刑」か「吸血鬼狩り」のワンシーンにしか見えませんでした。
そこへ、騒ぎを聞きつけた連とディーネが姿を現します。二人は木陰に寄りかかり、やれやれといった様子でその惨状を眺めていました。
ディーネ「……ねぇ連、あれを見てどう思う?」
ディーネが呆れたように指差すと、連は肩をすくめました。
連「どう見てもカオスだな。教育というよりは、生存本能の強制起動ってところか。あの聖剣、一振りで校庭が消し飛ぶんじゃないか?」
連「まったくだ。まあ、あの吸血鬼のガキもいい運動にはなっているようだが……」
二人の冷めた視線など露知らず、ゼノヴィアのスパルタ教育(物理)は加速していく一方でした。
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ゼノヴィアの追跡から逃れ、もはや息も絶え絶えになって校庭の隅でへたり込むギャスパー。彼は涙目で「もう一歩も動けません……」と地面を叩いていました。
そこに、無表情ながらもどこか楽しそうな雰囲気を纏った塔城小猫が歩み寄ります。
小猫「ギャー君、お疲れ様です。頑張ったご褒美です」
ギャスパー「あ……小猫ちゃん……。やっぱり小猫ちゃんは優しいんですね……。あんな怖い人たちとは大違いだ……」
ギャスパーが期待の眼差しを向けると、小猫はポケットから「それ」を取り出しました。
小猫「これを食べれば元気になります。さあ、どうぞ。……『ニンニン』です」
小猫の手の中にあったのは、見るからに刺激の強そうな、生臭い香りを放つニンニクの塊でした。
ギャスパー「ひぎゃあああああ!? ニンニク!? 吸血鬼にニンニクはダメだって古今東西決まってるじゃないですかぁぁ!!」
小猫「偏見はいけません。スタミナがつきます。さあ、口を開けてください。無理にでも突っ込みます」
小猫は小さな体で、逃げようとするギャスパーの背後に回り込みます。彼女の瞳には、普段のクールさからは想像もつかないような、獲物を追い詰める「サディスティックな輝き」が宿っていました。
ギャスパー「待ってください! 小猫ちゃん、目が笑ってない! 怖い、怖いよぉぉ!」
小猫「逃げても無駄です。ギャー君の健康のため……死ぬ気で食べてください」
再び始まる校庭の追いかけっこ。ニンニクを手に無表情で迫る小猫と、必死で首を振るギャスパー。一誠はそれを見守りながら、「ああ、うちの部活、やっぱりまともな奴がいねぇな……」と遠い目をしていました。
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そんな騒動の真っ只中、一人の男子生徒がこちらに向かって歩いてきました。生徒会長・支取蒼那(ソーナ・シトリー)の眷属であり、一誠のライバル自称する匙元士郎です。
匙「おい、兵藤! なんか校庭が騒がしいと思ったら……やっぱりお前らか!」
匙は呆れ顔で一誠に歩み寄ります。彼は生徒会としてのパトロールを兼ねて、新しく解禁されたという「引きこもりの眷属」の様子を見に来たのでした。
匙「聞いたぜ。お前らのところに、ずっと幽閉されてた隠し玉がいるんだろ? どんな凄え奴かと思って見に来てやれば……」
匙の視線が、小猫に追いかけられて泣きじゃくっているギャスパーに固定されました。
ギャスパーは現在、リアスの趣味によって「フリル付きの可愛らしい女の子の服」を着せられています。その金髪の美しさと、涙で潤んだ瞳、そして華奢な体つきは、どこからどう見ても可憐な美少女そのものでした。
匙は一瞬で顔を赤くし、固まりました。
匙「な……なんだ、あの金髪美少女は……!? めちゃくちゃ可愛いじゃねえか!!」
一誠は隣で鼻をほじりながら、冷淡に返します。
一誠「ああ、あいつが新メンバーのギャスパーだ」
匙「マジかよ! 兵藤、お前またそんな美少女を囲いやがって! 部長さんに朱乃先輩、アーシアちゃん、ゼノヴィア、小猫ちゃん……その上さらにあんな清楚そうな子まで追加かよ! お前のハーレム願望には反吐が出るぜ、羨ましい畜生!!」
匙は歯ぎしりをしながら、ギャスパーのあまりの可愛さに目を奪われています。
一誠「……匙、一つ言っておくがな。あいつは男だぞ」
匙「は……?」
匙の動きが止まりました。
一誠「だから、男だ。趣味で着ているだけだ。あいつ、立派に『付いてる』からな」
一誠が淡々と事実を告げると、匙の顔から急速に血の気が引いていきました。
匙「……え、男? あんなに可愛いのに? いや、嘘だろ? あの足のラインとか、肌の白さとか、どう見ても……」
「残念ながら現実だ。女装だけどな」
一誠がトドメの一言を放つと、匙はその場にガックリと膝をつきました。
匙「俺のトキメキを返せ……。あんなにドキドキした俺が馬鹿みたいじゃねえか……。男……男なのか……」
地面に文字を書き始めそうな勢いで落ち込む匙。その横では、相変わらず「ニンニクを食べてください」「嫌だぁぁぁ!」というシュールな叫び声が響き渡っていました。
イザナギとイザナミが去った後の駒王学園。そこには、以前と変わらぬ、いや以前にも増して騒がしく、そして「ハイスクールD×D」らしいカオスな日常が戻ってきていたのでした。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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