数日後。駒王学園の旧校舎は、かつてないほどの神聖さと、それと同等の禍々しさに包まれていた。
一誠は、朱乃に案内された静かな神社で、天界の象徴である四大熾天使の長、ミカエルと対面していた。金色の髪をなびかせ、背中から十二枚の黄金の翼を広げたその姿は、一誠に「本物の神話」の重圧を教えた。
ミカエル「兵藤一誠くん。……君に、伝説の龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣、『アスカロン』を託します。……どうか、その力を正しきことに」
その剣は、籠手(ブーステッド・ギア)と融合し、一誠に新たな力を与えた。だが、その贈り物さえ、今夜から始まる「宴」の序曲に過ぎなかった。
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夜の旧校舎。会議室の重厚な扉が開かれるたび、世界のパワーバランスを左右する巨頭たちが姿を現した。
アザゼル「よぉ、ミカエル。相変わらず羽がキラキラしてて、目に毒だな」
アザゼルが、椅子に深く腰掛け、足を机に放り投げたまま、不敵に笑う。
ミカエル「アザゼル、貴方の奔放さも相変わらずですね。……サーゼクス、セラフォール、本日はよろしくお願いします」
ミカエルが穏やかに、しかし芯の通った声で応じる。
魔王サーゼクス・ルシファー。
魔王セラフォール・レヴィアタン。
堕天使総督アザゼル。
そして、天界の主神代行ミカエル。
彼ら四人が一堂に会するだけで、空気はミリ単位で圧縮され、並の悪魔なら呼吸すらままならない。そこへ、最後に堂々とした足取りで、暁連とディーネが足を踏み入れた。
ディーネ「……あはっ、いいわねぇ。この、お互いに首を狙い合っているような、反吐が出るほど高貴な空気!」
ディーネが連の腕に絡みつき、魔王たちの前で不敵に言い放つ。連は無言で、自身の左腕に纏う「龍の鱗」の脈動を、制服の袖の下で静かに抑え込んでいた。
連「……待たせたな。ゴミ掃除(コカビエル)の続きを、始めようか」
連が空いている席に乱暴に座ると、アザゼルの瞳が鋭く光った。
アザゼル「……ほう。連、君のその左腕……数日で随分と『熟成』したようじゃないか」
連「……黙ってろ。本題に入れ」
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会議は、アザゼルの適当な進行と、ミカエルの誠実さ、サーゼクスの冷静さによって進められた。
アザゼル「まず第一だ。……もう、このままなあなあの戦争ごっこを続けるのは止めにしないか?」
アザゼルの提案に、ミカエルが深く頷く。
ミカエル「……神が亡き今、これ以上の消耗は世界の崩壊を招くだけです。天界は、悪魔、堕天使との『不戦の誓い』をここに立てましょう」
サーゼクス「冥界も同感だ。……リアス、一誠くん。これからは、昨日の敵が明日の隣人になるということだよ」
サーゼクスの言葉に、一誠は呆然としながらも、歴史的な瞬間に立ち会っていることを実感していた。
アザゼル「次に、赤龍帝(一誠)と白龍皇(ヴァーリ)だ。……宿命のライバル? くはは! そんな古臭い運命に、こいつらを縛り付けておくのは勿体ない。……一誠はグレモリーの下で、ヴァーリは私の下で、それぞれ『自由』にさせる。いいな?」
アザゼルの言葉に、一誠の腕のドライグが『ふん、勝手なことを』と鼻を鳴らすが、それは事実上の「龍の解放」でもあった。
アザゼル「そして、ゼノヴィアの『デュランダル』と、『エクスカリバー』の欠片の統合だ。……ミカエル、いいんだな? 聖剣の価値観が根底から覆るぞ」
サーゼクスの問いに、ミカエルは優しく微笑んだ。
ミカエル「……剣そのものに、善悪はありません。それを使う者の心が、新たな聖剣を形作るのです。ゼノヴィア、貴方の進む道を、神の欠片(システム)ではなく、私自身が承認しましょう」
ゼノヴィアは感極まったように頭を下げた。
聖と魔、そして神の死。すべてを飲み込んだ「新しい理」が、今この場所で定義されていく。
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一通りの合意が終わり、会場に一時的な安堵の空気が流れた。……だが。
連だけは、その「平和的な話し合い」に、冷笑すら浮かべずにいた。
アザゼル「……さて。最後に、最も重要な議題に移ろうか」
アザゼルが椅子を回し、真正面から連を見据えた。ミカエルも、サーゼクスも、その視線は一点――連の左腕へと集中する。
アザゼル「暁連。……君の存在そのものだ。君は神器(セイクリッド・ギア)の所有者でありながら、そのシステムの外側にいる。……いや、君の中にいる『それ』は、もはやこの世界の住人じゃないな?」
ミカエルの表情が、かつてないほど厳格なものへと変わる。
ミカエル「……暁くん。貴方の背後に揺らめく影。そしてその左腕に宿る、根源的な『無』の気配。……それは、天界の書庫にも記されていない、外側の神性だ」
サーゼクスが静かに口を開く。
サーゼクス「連くん。君がコカビエルを倒し、一誠くんたちを救ってくれたことは感謝している。だが、君の力はあまりにも……強大すぎて、そして『異質』だ。……君は、この世界の平和を、どう考えている?」
連はゆっくりと立ち上がった。
左腕の制服を、無造作に捲り上げる。
そこには、漆黒の鱗が剥き出しになり、深淵の闇を放つアザトースの真髄が拍動していた。
連「……平和? 勘違いするなよ、抜け殻の王共」
連の声に、アザトースの、そしてイザナミの嘲笑が重なる。
連「……お前たちが必死に守ろうとしているこの平和は、ただの『死体の手入れ』だ。神が死に、魔王が消え、中心を失った世界で、必死に過去の遺産を繋ぎ合わせているに過ぎない」
連の左腕から、黒炎が噴き出し、会議室の床を侵食し始める。
連「……俺は、お前たちの『不戦』なんて茶番に興味はない。……この世界の理が腐っているなら、俺が、俺の中の『万物の王』が、すべてを一度、無に帰してやるだけだ」
ディーネ「あはっ! 聞いた? ミカエルさん。あんたの白い羽、全部私の腐食で黒く染めてあげてもいいのよ?」
ディーネが狂気に満ちた笑みを浮かべ、連の背後に立つ。
サーゼクス「……暁連。君は、我々に宣戦布告をするつもりか?」
サーゼクスの魔力が膨れ上がり、深紅のオーラが連の黒炎と衝突した。
連「……いいや。これは宣戦布告じゃない。……『宣告』だ」
連が右腕の『真説・エクスカリバー』を抜き放つ。黄金の光が、世界を、神話を、断罪するように煌めいた。
連「……お前たちの平和を、俺が試してやる。……耐えきってみせろよ。俺という名の、『終焉』にな」
三勢力のトップを前にして、一人の少年が絶対的な支配を突きつける。
不戦の誓いは、皮肉にも、暁連という「真の驚異」を共通の敵として認識することで、皮肉な完成を見ようとしていた。
黄金の輝きと、漆黒の深淵。
その中央で、連はただ静かに、魔王たちの戦慄を愉しんでいた。
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