破壊の黒炎   作:ぐちロイド

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第36話 裏切りの白銀:最強のサラブレッド

学園を覆っていた停止の呪縛が、一誠とギャスパーの絆によって霧散したその瞬間、空を支配していたのは「絶望」ではなく、一人の男の「狂気的なまでの研究成果」だった。

 

旧校舎の屋上、カトレア・レヴィアタンと対峙するアザゼルは、背中の十二枚の黒翼を悠然と羽ばたかせ、懐から小さな、しかし異様な密度を放つ宝玉を取り出した。

 

アザゼル「……カトレア。旧魔王の血筋、選民思想……。反吐が出るほど古臭いな。時代は常に、新しい『知的好奇心』によって塗り替えられるものだ」

 

アザゼルがその宝玉を自身の胸に叩き込む。その瞬間、空間が歪み、金色の光と深紅の雷鳴が交差した。

 

アザゼル「禁手――『堕天した龍の鎧(ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー)』!!」

 

轟音と共に、アザゼルの全身を、重厚にして禍々しい、紫金の鎧が包み込む。それは本来、神が創り出した『神器(セイクリッド・ギア)』を、堕天使の総督が数千年の研究の末に、人工的に作り上げた、神の領域への挑戦状だった。

 

カトレア「……バカな!? 神器を……人工的に作り出したというの!? 堕天使の分際で、神の理に触れるなど……!」

 

カトレアが驚愕に目を見開く。彼女が禍の団から与えられた魔力増幅など、アザゼルが積み上げてきた「変態的なまでの執念」の前では、児戯に等しかった。

 

アザゼル「驚くのはまだ早いぞ。……さぁ、旧時代の魔王様。最新のテクノロジーを、その身で味わえ!」

 

アザゼルの突撃は、もはや視認不可能な領域だった。人工聖具から放たれる龍の波動が、カトレアの魔王級の魔法を紙切れのように引き裂く。一撃、二撃。アザゼルの拳がカトレアの防壁を粉砕し、彼女の誇り高きドレスをボロ雑巾のように変えていく。

 

カトレア「……ぁ、ああぁっ! 認めない……認めないわよ! こんな、偽物の力に……私が負けるはずがない!!」

 

追い詰められ、正気を失ったカトレアの瞳に、破滅の光が宿る。彼女は自身の体内の魔力を暴走させ、周囲一帯を消し飛ばす自爆の術式を展開した。

 

カトレア「……死ねぇッ! 私と一緒に、虚無へ落ちなさい、アザゼル!!」

 

カトレアがアザゼルの左腕を掴み、逃がさぬよう執念で固定する。死の間際に見せた、旧魔王の末裔としての意地。だが、アザゼルは眉一つ動かさなかった。

 

アザゼル「……甘いな、カトレア。……お前の執念など、私の『探究心』には及ばない」

 

アザゼルは、迷いなく自身の右手に魔力の刃を形成すると、カトレアに掴まれていた自らの**左腕を、肩から一気に切り落とした。**

 

カトレア「……っ!? な……ッ!?」

 

カトレアの絶叫が、大爆発の光の中に飲み込まれていく。

アザゼルは切り離した左腕を囮に、瞬時に後方へと転移。爆発の衝撃波が収まった後、そこには焦土と化した屋上の瓦礫の上に、片腕を失いながらも、平然と立ち尽くす堕天使の総督の姿だけがあった。

 

アザゼル「……ふぅ。高くついたな。まぁ、義手を作るのも、また一興か」

 

アザゼルは、まるで爪を切った後のような気軽さで、消滅したカトレアの跡を見つめていた。

 

---

 

 

カトレアが散り、学園に平穏が戻るかと思われたその時。

会議室の割れた窓から、静かに、そして誰よりも尊大な足取りで一人の少年が舞い降りた。

 

ヴァーリ・ルシファー。

 

彼は、一誠たちがギャスパーを救い出し、アザゼルがカトレアを仕留めるまでの間、一歩も動かずに状況を「観賞」していた。

 

ヴァーリ「……見事だったよ、アザゼル。君の人工聖具、実に興味深い。……だが、余興はもう終わりだ」

 

ヴァーリが、自身の主人であるはずのアザゼルに向けて、冷徹な殺気を放つ。

 

アザゼル「……ヴァーリ? 何を言っている。今はまだ、三勢力会談の最中だぞ」

 

 

ミカエルが眉をひそめるが、ヴァーリはそれを鼻で笑った。

 

ヴァーリ「会談? ……アザゼル、君たちはまだ理解していないのか。……カトレアたちを引き入れたのは、この俺だ。……『禍の団』、英雄派。俺は、君たちの言う平和など、最初から望んでいない」

 

衝撃の告白に、リアスや朱乃たちが息を呑む。

 

 

一誠「ヴァーリ……あんた、俺たちを裏切ったのか!?」

 

 

一誠が叫ぶが、ヴァーリはその視線さえも、取るに足らないものとして切り捨てた。

 

ヴァーリ「裏切り? ……いいや、私は最初から、あるべき場所に戻っただけだ。……一誠、君は知っているか。……何故、私がこれほどまでに強く、そして君を凌駕しているのか」

 

ヴァーリの全身から、白銀のオーラが立ち昇る。それはアザゼルの人工的な龍の気配とは一線を画す、本物の、そして純度の高すぎる「王の魔力」だった。

 

ヴァーリ「……私の父は、先代魔王ルシファーの孫だ。……そして私の母は、人間。……私は、魔王の血と人間の可能性を併せ持つ、最強の混血児なんだよ」

 

ヴァーリがゆっくりと、自身の背中に宿る『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』を展開する。十二枚の、光輝く白翼。

 

ヴァーリ「先代魔王ルシファーの血筋……。そして、二天龍の片割れ、白龍皇アルビオンの宿主。……私は、この世界の頂点に立つために生まれてきた、『最強のサラブレッド』だ」

 

ヴァーリの放つプレッシャーが、会議室の床に亀裂を走らせる。

魔王の力と、龍の力。その二つが完全に融合したヴァーリの存在は、もはやサーゼクスたちでさえ、無視できない脅威となっていた。

 

ヴァーリ「……さて。一誠、そして……暁連。……次は君たちの番だ。……この最強の血筋を前に、君たちの『紛い物の力』がどこまで通用するか……私に見せてくれ」

 

ヴァーリの瞳が、狂喜に歪む。

だが、その背後で。

ソファに深く腰掛けたまま、一度も立ち上がっていなかった連が、ようやくゆっくりと目を開けた。

 

連「……最強のサラブレッド、か。……随分と、おめでたい頭をしてるな、白いの」

 

連の左腕が、不気味に脈動を始める。

アザゼルが片腕を失い、魔王たちが戦慄する中で、暁連だけが、その「最強」という言葉を鼻で笑っていた。

 

連「……血筋だの、龍だの。……そんなゴミ溜めのような歴史(プライド)ごと、俺が、塵にしてやるよ」

 

連の立ち上がると同時に、教室の空気が、真空になったかのように重く、鋭く、研ぎ澄まされた。

最強の血筋と、最強の異分子。

駒王学園を舞台にした、次元の異なる激突が、今まさに始まろうとしていた。

 

 

転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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