月明かりさえもシアン色の霧に呑まれ、駒王学園の校庭は、もはや生者が立ち入ることを許されない「黄泉の庭」へと変貌していた。
ディーネの振るう「腐食の嵐」は、理(ことわり)そのものを溶かす猛毒。小猫の仙術は霧散し、ゼノヴィアの聖魔剣は錆びた鉄屑のように崩れ落ち、木場の神速もその足元から腐り果てて封じられた。
ディーネ「あははっ! ほら、どうしたの? グレモリーの誇りは? 龍の力は? 全部私の風で、真っ黒な炭にしてあげるわ!」
ディーネの指先から放たれた腐食の奔流が、満身創痍のグレモリー眷属を次々と飲み込んでいく。
朱乃「……あ、あぁ……ッ!」
朱乃が、ボロボロに引き裂かれた巫女服を纏いながら、這いずるように連へと手を伸ばした。彼女の瞳には、死への恐怖よりも、信じていた存在に裏切られたことへの絶望と、理解を求める悲痛な光が宿っていた。
朱乃「……連……。どうして……どうしてこんなことをするの……!? 私たちは……貴方を信じて、一緒に……戦ってきたじゃない……っ!」
血に染まった唇を震わせ、朱乃が問いかける。
連は、一歩も動かずにその光景を見下ろしていた。その黄金の瞳は、もはや人間としての体温を一切失い、凍てつく虚無の深淵と化している。
連「……簡単だ。最初から、これが目的だったからだ」
連の声は、夜の風よりも冷たく響いた。
連「この世界の『均衡』だの『和平』だの、虫酸が走る茶番に付き合っていたのは、お前たちが一番幸せの絶頂にいる瞬間に、その首を落とすためだ。……落差が激しいほど、魂の絶望は深く、母上への良い供物になるからな」
朱乃「……そんな……嘘よ……。私に対する、あの優しさは……?」
朱乃が、縋るように連の足首を掴もうとする。だが、連はその手を無造作に踏みつけた。
連「……朱乃。お前は俺のことを好きだと言って、事あるごとにアピールしてきていたが……正直に言わせてもらおう。――迷惑だったよ」
朱乃「……えっ……?」
連「お前のような、堕天使と人間の混血の、中途半端に濁った魂に愛されるなど……不快でしかなかった。俺が愛し、忠誠を誓うのは、この世でただ一人。……俺の母であり、真なる神である、イザナミ様だけだ。お前など、その足元に転がる石ころ以下の価値しかない」
朱乃「――あ………………」
朱乃の瞳から、最後の一筋の光が消えた。
愛していた。自分の闇を、過去を、すべて受け入れてくれる存在だと信じていた。その相手から放たれた、無慈悲なまでの拒絶。
彼女の心は、肉体が滅びるよりも先に、音を立てて粉々に砕け散った。
ディーネ「ふふ、可哀想に。……じゃあ、楽にしてあげるわね?」
ディーネが、絶望して崩れ落ちた朱乃の背後に音もなく現れる。彼女の指先が朱乃のうなじに触れた瞬間、シアン色の腐食が全身を駆け巡った。
悲鳴を上げる余裕さえ与えず、雷光の巫女は一瞬にして灰へと変わり、夜風にさらわれて消えていった。
それだけではない。
リアスも、アーシアも、ゼノヴィアも、木場も、小猫も。
一誠の目の前で、彼が愛した「家族」のすべてが、ディーネの手によって次々と塵に還されていった。
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連「……さぁ、仕上げだ。アザトース」
連が左腕を高く掲げる。
漆黒の鱗が、連の肩、首筋、そして顔の半分を覆うように急速に侵食していく。
アザトース『……くかかかッ!! 待っておったぞ、連よ! 貴様の肉体、貴様の魂、すべてを我が深淵と溶かし合わせようぞ!』
連の影が爆発的に膨れ上がり、実体を持った闇の龍となって彼を包み込む。
禁手(バランス・ブレイカー)――『極夜の破滅龍騎士(ナイトメア・オーバーロード)』。
だが、それはもはや一時的な変身ではなかった。
連の魂と、万物の王アザトースの意思が完全に同調し、神器そのものが肉体と融合を果たす。
鎧は皮膚となり、黒炎は血流となり、連は常に「禁手」の状態を維持する、人を超えた神の化身へと昇華したのだ。
その圧倒的な威圧感だけで、駒王学園の校舎が砂の城のように崩れ、周囲の空間がミシミシと悲鳴を上げる。
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一誠「…………ア、アアアアアアアッ!!」
唯一生き残った一誠が、血反吐を吐きながら立ち上がった。
目の前には、塵となった仲間たちの残骸。そして、それを嘲笑うように立つ、かつての友。
一誠「……許さねぇ……。暁連……ッ! お前だけは……お前だけは、絶対に許さねぇえええええ!!」
一誠の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が、かつてないほど禍々しい咆哮を上げた。
ドライグの意思さえも超えた、純粋な「憎悪」と「絶望」。
一誠は、赤龍帝の禁忌の力――その命を削って発動する究極形態『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』へ手を伸ばそうとした。
『我、覚醒せしは――』
連「……くくっ。はははははッ!!」
連の嘲笑が、一誠の詠唱を遮った。
連は瞬間移動に近い速度で一誠の目の前に現れると、詠唱を続ける一誠の胸元を、漆黒の鱗に覆われた足で容赦なく踏み抜いた。
ドッゴォォォォンッ!!
地面が爆発し、巨大なクレーターができる。一誠の背骨が砕ける音が響き、彼の口から大量の鮮血が噴き出した。
連「……覇龍だと? 赤龍帝の妄執だと? 滑稽だな、一誠」
連は、踏みつけた足にさらに力を込め、一誠の肋骨を一本ずつ、ゆっくりと砕いていく。
連「お前がどれだけ命を燃やそうが、その程度の出力で俺に届くと思っているのか? お前の守りたかったものはすべて消えた。お前の信じた絆は、俺がゴミ箱に捨てた。……今の貴様に、何が残っている?」
一誠「……ぐ、ぅ……ッ! まだ……だ……。俺は、俺は……ッ!」
一誠が、震える手で連の足を退かそうとする。だが、連の質量はもはや地球そのものよりも重く、微動だにしない。
連「……無駄だ。お前の『物語』は、ここで終わりだ。……母上、ご覧ください。これが、この世界の『主人公』と呼ばれた男の、無様な末裔です」
連が空を仰ぐと、雲の隙間から、黄金の着物を纏ったイザナミが、満足げに微笑みながら降臨した。
イザナミ「――見事ですよ、連。……さぁ、その『赤』を消しなさい。……そして、この世界を、妾(わらわ)の望む無に還すのです」
連は、踏みつけていた一誠の顔面に、ゆっくりと魔剣アザトースの先を向けた。
もはや、そこに逆転の希望など存在しない。
ただ、絶対的な絶望と、完璧なる終焉だけが、一誠を飲み込もうとしていた。
連「……さよならだ、一誠。……あの世で、お前の大好きだった女たちの塵と、仲良く踊るがいい」
連の剣先に、すべての光を奪い去る「無」の波動が収束していく。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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