その夜、深い眠りに落ちた俺の意識は、再びあの灰色の世界へと引き戻された。
黄泉の国の深淵。その中央で、イザナミが不敵な笑みを湛えて待っていた。
イザナミ「久しぶりだな、我が迷い子よ。現世での破壊、実に心地よく響いておるぞ」
連「イザナミ様……。わざわざ夢にまで現れるとは、何か急用か?」
イザナミは立ち上がり、俺の胸元に冷たい指先を這わせた。そこには神滅具の核が脈打っている。
イザナミ「不死鳥……。永久に朽ちぬ再生の理を持つ鳥か。だが、お前の持つ黒炎は、その理を根底から覆す『虚無』。……今のままでは、まだその『真意』に届かぬぞ」
連「真意……?」
イザナミ「お前の神滅具、『ディザスター・プロメテウス』の真の姿よ。今はまだ武器の形を模しておるに過ぎぬ。だが、禁手(バランス・ブレイカー)……その扉を叩く時、お前はただの人間であることを完全に捨てることになる」
イザナミの背後に、巨大な12枚の翼を持つ黒炎の騎士――『極夜の破滅龍騎士(ナイトメア・オーバーロード)』の幻影が揺らめいた。
イザナミ「あの不死鳥を焼きたくば、お前自身の内側にある『矛盾』をさらに激しく燃やせ。光と闇、生と死、破壊と創造。相反するすべてを黒炎で溶かし、己が意志という一本の芯に束ねるのだ」
彼女の手から溢れた冷たくも熱いエネルギーが、俺の魂へと流れ込む。
イザナミ「目覚めよ、連。お前の炎は、再生などという甘い言葉を許さぬ『終わりの火』。……一週間後、戦場でその真価を我に見せてみよ」
イザナミの声が遠ざかる。
目が覚めると、窓の外は薄明るい夜明けだった。
右手の甲に刻まれた神滅具の紋章が、昨日よりも深く、禍々しく熱を帯びている。
連「……禁手(バランス・ブレイカー)、か」
一週間後の決戦。ライザー・フェニックスが自慢する「不死身」を、俺の「終焉」が上回る時だ。
ライザーとの決戦まで残り数日。リアスたちは人里離れた雪山にあるグレモリー領の別荘で、地獄の特訓を開始していた。
リアス「連、あなたも遊びに来たわけじゃないでしょう? ちゃんとみんなと連携の訓練をしてちょうだい」
リアスが鋭い視線を向けるが、俺は巨大な岩の上に胡坐をかき、瞑想に耽っていた。
連「言ったはずだ。俺は協力者だが、群れるつもりはない。……それに、俺の力に巻き込まれれば、一誠の『赤龍帝の籠手』どころか、ここの山ごと消えちまうぞ」
実際、俺の内側ではアザトースの黒炎が暴れ狂っていた。イザナミから受けた啓示以来、俺の魂は「光」と「闇」が互いを喰らい尽くそうとする過負荷状態(オーバーロード)に陥っている。
朱乃「もう、相変わらず可愛くないわね。……でも、そんな意固地なところも嫌いじゃないわよ?」
不意に耳元で、蕩けるような甘い声が響いた。
姫島朱乃。彼女が音もなく俺の背後に回り込み、耳朶をなぞるように囁く。
連「……朱乃か」
俺は溜息をつく。なぜか彼女の、慈愛とサディズムが混ざり合ったような独特の「声」の響きは、不思議と俺の昂ぶった神経を鎮めてくれる。「多少はあなたの言うことなら聞いてやる」と漏らして以来、彼女の俺への距離感はさらに縮まっていた。
朱乃「ふふ、嬉しいわ。じゃあ、交換条件。あなたは自分の修行に集中していいわ。その代わり、夜になったら私の『お仕置き』……いえ、魔力の調整を手伝ってくださる?」
連「……勝手にしろ」
朱乃が離れた後、俺は別荘からさらに数キロ離れた断崖絶壁へと向かった。
ここなら、どんな出鱈目な力を放っても誰にも気づかれない。
連「顕現せよ――『終焉を刻む黒炎の魔剣』」
右腕から噴き出した黒炎が、重圧となって周囲の雪を瞬時に昇華させる。
俺が行う修行は、単なる筋力や魔力の増強ではない。「天使の光」と「悪魔の闇」、そしてその間に位置する「古龍の黒炎」を、一本の針の穴を通すような精密さで同調(シンクロ)させることだ。
連「ぐっ、あぁぁぁぁ……ッ!!」
右腕の皮膚が裂け、そこから黄金の光と漆黒の闇が奔流となって溢れ出す。
ハーフである俺の不安定な魂が、神滅具の過負荷に耐えきれず悲鳴を上げているのだ。
連「足りない……もっとだ。焼き溶かせ、すべてを……!」
俺はあえて、防御を解いた。
光の聖気で右半身を焼き、闇の魔力で左半身を腐食させる。その激痛の渦中で、アザトースの黒炎を核(コア)として練り上げる。
連「理を破壊し……境界を、壊滅させる……」
口から漏れるのは、イザナミが示した禁手(バランス・ブレイカー)への詠唱。
一振りの剣を形成するのではなく、俺自身が「破壊そのもの」へと変質していく感覚。
その瞬間、俺の背後に黒い翼の影が12枚、陽炎のように揺らめいた。
深夜。ボロボロになった体を引きずり、俺は別荘のバルコニーに戻った。
そこには、月光を浴びながら独り紅茶を飲む朱乃の姿があった。
朱乃「あら、おかえりなさい。……ボロボロね。そんなに自分を虐めて、楽しいかしら?」
連「修行だと言ったろ。……あいつを、ライザーを確実に『殺す』ためのな」
俺が隣に座ると、朱乃は何も言わずに俺の右腕を取り、優しく自らの膝の上に乗せた。
彼女の手から流れる、雷を帯びた魔力が、俺の荒れ狂う神経を癒していく。
朱乃「あなたは強すぎるわ、連。……光も闇も、一人で背負おうとしすぎ。たまには、私のような不浄な血に頼るのも悪くないわよ?」
連「……不浄か。お前も、俺と同じだな」
俺たちはしばらく、無言で月を見上げた。
彼女の穏やかな、しかしどこか壊れたような声が、俺の「終わりの火」を静かに燃やし続ける。
連「一週間後。……あの不死鳥が、絶望して灰になる瞬間を特等席で見せてやるよ、朱乃」
朱乃「ええ、期待しているわ。……ふふ、あははは! 楽しみね、本当に!」
彼女の艶やかな笑い声が、夜の森に響く。
俺の禁手(バランス・ブレイカー)――『極夜の破滅龍騎士(ナイトメア・オーバーロード)』。
その完成は、もう目の前だった。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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