うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

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赤塚の戦いです。


赤塚の戦い

山口親子の謀反の知らせが、尾張中を駆け巡った。

 

 

 

 

那古野城

 

 

 

 

 

信忠「すぐに戦支度をしろ!!そして、清洲の姉上に援軍を!!」

 

秀隆「御意!!」

 

信秀の死後、那古野城は信忠が主となっていた。

因みに信奈は清洲城を拠点としており、信勝は末森城主となっていた。

 

勝家「信忠様!!集まった兵は千程です!!」

 

可成「いつでも行けますぞ!!」

 

信忠「ああ!!」

 

そして、兵達の前に立った信忠は、皆の顔を見て

 

信忠「・・・良い目だ。まさに戦人の目だ。行くぞ!!謀反人を成敗だ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

笑みを浮かべ、出陣した。

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

長秀「姫様!!用意できました!!」

 

信奈「ええ!今回の敵は、山口親子よ!!この親子は、父上から受けた恩を仇で返す不忠者!!その報いを受けさせるわ!!」

 

信奈「那古野の弟信忠と合流し、この不忠者を成敗するわよ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

清洲でも、信奈は出陣の合図を送り、討伐に向かったのだった。

そして

 

信忠「姉上!お待ちしておりました!!」

 

信奈「待たせたわね!!」

 

勝家「長秀!」

 

長秀「勝家!三左衛門殿も!」

 

可成「うむ!!」

 

赤塚にて合流を果たした。

 

信奈「けど、私達以外味方がいないというのも、予想通りね・・・」

 

信奈は、自分達以外味方は誰もいない事に苦笑を浮かべた。

 

信忠「そうとも限りませんよ。」

 

しかし、信忠はそう一言言うと

 

信忠「おい。」

 

声をかけた。

すると、現れたのは若い姫武将で

 

盛政「佐久間玄蕃允盛政でございます!!これより、信忠様にお味方致します!!」

 

佐久間盛政だった。

 

信奈「盛政が・・・信勝からの援軍?」

 

信奈は、最初は信勝が援軍を出したのかと思ったのだが

 

信忠「いえ。実はそうでは無いらしいのです。」

 

そうでは無く、それはほんの数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

数時間前

 

 

 

 

 

 

勝家「山口殿・・・大殿から授かった恩を仇で返して・・・許さん!!」

 

勝家は、前方の山口教吉の軍勢に対し、怒りを抱いていた。

その隣には

 

信忠「・・・」

 

信忠が、腕を組み泰然とした様子で座っていた。

その時

 

可成「若。末森より、佐久間玄蕃允盛政殿が参られました。」

 

信忠「玄蕃が?」

 

佐久間盛政がやって来たという知らせが入った。

 

信忠「・・・通せ。」

 

可成「はっ!」

 

そして、現れた盛政は

 

盛政「佐久間玄蕃允盛政、信忠様の援軍として参りました!」

 

信忠の前に跪き、援軍として来たと言った。

実を言うと彼女

 

勝家「おお!理助ではないか!」

 

盛政「はい!権六殿!」

 

勝家とは身内関係なのだ。

故に、仲が非常に良いのだ。

 

信忠「玄蕃。信勝の命で参ったのか?」

 

信忠は、信勝から命令されて来たと思い、尋ねるが

 

盛政「いえ。これは某の意志で参った次第でございます!」

 

自らの意志で来たと答えた。

 

信忠「自分の意志・・・?」

 

信忠は、盛政の発言の意味が分からず、片眉を上げた。

 

勝家「理助。末森では今どうなっているんだ?」

 

勝家は、末森の状況について聞くと

 

盛政「権六殿。末森では、出陣すべきと静観し機を見て動くという意見に別れておりまして、信勝様は決断が出来ぬ状況です。」

 

盛政は、末森の状況について話した。

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

「今こそ、不忠者山口親子を叩くべし!」

 

「いや、ここは静観すべきじゃ!」

 

末森では、出陣すべきと静観し様子をうかがうべきといった意見で割れていた。

この家中の意見をしっかり纏めるべき信勝は

 

信勝「え、ええっと・・・」

 

信勝(ど、どうすれば良いの・・・?戦うべきなのかな・・・?けど・・・背後には今川がいると聞くし、様子を見て動いても良いような・・・ええっと・・・)

 

迷いに迷い、決める事が出来なかった。

そんな中で

 

盛政「・・・」

 

盛政は突然その場を立ち上がり、評定を後にしようとした。

 

「盛政殿!どこに行かれる?」

 

それを見た秀貞は、盛政を止めた。

 

盛政「当然の事を・・・援軍に向かうのです。」

 

盛政は、当然と言わんばかりに答えた。

 

「なっ!?お主は何を言っておるのじゃ!!まだ話が決まっていないと言うに・・・ましてや信勝様の命令もなく勝手に・・・!」

 

「盛政!勝手な事するでないわ!」

 

盛政の言葉に、秀貞の弟通具と親戚の佐久間信盛は、信勝の命令待たずして勝手な動きは許さないと言った。

因みに林兄弟と佐久間信盛は、静観派だ。

その時

 

盛政「やかましい!!」

 

「「「っ!!」」」

 

盛政は、怒りの声を上げ

 

盛政「今こうしている時に、信忠様が戦っているかもしれないのだぞ!!尾張が今川に呑み込まれる危機に、何故誰も助けに行こうとしないのだ!!貴様らは単なる口だけだ!!」

 

助けに行こうとしない皆に言った。

そして

 

盛政「信勝様!某は自分の意志で信忠様の援軍に向かいます!御免!」

 

盛政は、評定を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

盛政「と言った次第でございます。」

 

盛政の説明を聞き

 

勝家「そうか・・・」

 

可成「・・・」

 

勝家と可成は、眉間に皺を寄せながら複雑な気持ちになっていた。

 

信忠「・・・玄蕃。」

 

すると、信忠は盛政に目を合わせるように跪くと

 

信忠「よく来てくれた!!俺は、お前の意志を賞賛する!!共に、不忠者山口を成敗しよう!!」

 

彼の肩に手を置き、笑みを浮かべて言った。

 

盛政「ははっ!!有り難きお言葉!!この『鬼玄蕃』こと佐久間玄蕃允盛政、存分に暴れてみせましょう!!」

 

盛政は、信忠の態度に感動し、頭を打ち付けるかの勢いで下げたのだった。

 

 

 

 

 

 

現在

 

 

 

 

 

信奈「成程ね・・・」

 

信奈は、納得した表情を浮かべると、盛政に向き直り

 

信奈「援軍感謝するわ、盛政!」

 

盛政に援軍のお礼を言った。

 

盛政「某はあくまで己の意志で信忠様の援軍で参った次第でございますので、信奈様はどうかお気になさらず。」

 

しかし盛政は、あくまで自分の意志で信忠の援軍に来ただけだと、少々素っ気ない態度で答えた。

彼女の中では、未だに信奈はうつけ姫という評価なのだ。

 

長秀「玄蕃殿・・・言葉を慎みなさっていただけますか?」

 

盛政の態度に、流石の長秀も厳しい表情を浮かべて言うが

 

信奈「止めなさい、万千代。その話は後よ。今は、目の前の敵を叩く事だけ考えましょう。」

 

長秀「・・・御意。」

 

信奈が止めたのだった。

そして、信奈と信忠は、全軍を整えて山に陣を敷き、山口軍と対峙した。

 

信忠「早速アレを敵にお披露目するか・・・突撃しろ!」

 

まず信忠は、前線部隊を動かした。

 

信奈「あの部隊・・・ふふ・・・」

 

長秀「姫様?」

 

信奈「いいえ、何でもないわ。今は信忠に任せましょう。」

 

長秀「はっ。そして我らも・・・」

 

信奈「勿論。機を見て鉄砲隊を動かすわ。」

 

信奈も、次に向けての準備を始めた。

一方の山口軍は

 

「織田軍が山を下りて攻撃してきました!」

 

「馬鹿め!数では我らが勝っておると言うに・・・槍隊前進!押しつぶせ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

槍隊を前進させ、攻撃した。

しかし

 

ドシュドシュ

 

「「「ギャーッ!?」」」

 

「「「ガハァッ!?」」」

 

山口軍の槍隊が、やられてしまった。

その原因は

 

「・・・な、何じゃ?あの長い槍は?」

 

異様な長さを誇る信忠の前線部隊の長槍にやられたのだ。

 

「向こうの槍は三間半はあります!!」

 

「なんで長さじゃ・・・!」

 

その長槍の異様な長さに驚くも

 

「慌てるな!!そんなの、躱し懐に入り込めば良いのじゃ!」

 

すぐさま長槍の弱点を突こうと指示をするが

 

ドシュドシュ

 

「「「うわああぁ!?」」」

 

「駄目です!!敵は密集していて躱せません!!」

 

既に対策を取られているため、何も出来なかった。

 

「ぐぬぬぬ・・・!」

 

これには、最早唸るしか無かった。

すると

 

ダダーン

 

「「「ギャアアアッ!?」」」

 

「今度は何じゃ!?」

 

強烈な音が響き渡り、兵が一斉に倒れた。

その音の正体は

 

「あれは鉄砲です!!」

 

鉄砲だった。

 

信忠「フッ・・・流石は姉上。良い時機に鉄砲を放ったな・・・」

 

信忠「良し!では我らも鉄砲隊を動かせ!」

 

そして、信忠も自らの軍団にある鉄砲隊を動かすよう指示した。

 

秀隆「良し!放て!!」

 

ダダーン

 

「「「うわああぁ!?」」」

 

更なる弾丸に、山口軍は多大なる損害を出した。

 

長可「頃は良しだな・・・良いだろ、与四郎?」

 

その様子に、長可は突っ込んで良いと感じ、秀隆に聞いた。

 

秀隆「まったく・・・良いわよ、思い切り暴れてきなさい!」

 

長可「よっしゃあっ!!行くぜ、平八!!」

 

忠正「おうよ、勝蔵!!」

 

そして、長可と忠正は、互いに先頭に立ち

 

「「ヒャーッハーッ!!」」

 

ザシュドシュ

 

「「「ギャアアアッ!?」」」

 

「「「うわああぁ!?」」」

 

目の前の兵を殺しまくったのだった。

 

長可「オラアアッ!!山口教吉はどこだぁ!!その素っ首刎ねてやる!!」

 

忠正「勝蔵!!山口教吉の首は私の物だぞ!!」

 

長可「アアンッ?アタシのだ!!」

 

忠正「私のだ!!」

 

・・・二人で口喧嘩をしながらだが。

 

可成「まったく・・・あの二人は・・・」

 

そんな二人に、可成は呆れるだけだった。

 

勝家「あはは・・・けど、勝蔵も平八も大した実力ではありませんか・・・我らも負けておれませんな!」

 

可成「無論!まだ若い連中に譲らんわ!」

 

勝家「そうですね!では、我らも!!」

 

可成「うむ!」

 

勝家「我らも不忠者山口軍に突撃するぞ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

可成「権六に遅れを取るな!!『攻めの三左』の部隊の力を知らしめるのじゃ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

勝家と可成も、二人に刺激を受けたのか、一斉に突撃を始めた。

 

秀隆「愚かにも、信忠様に刃を向けた不忠者を叩き潰せ!!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

秀隆も、突撃を始めた。

この信忠の軍団の強さを見て

 

盛政「これが・・・信忠様の兵・・・!」

 

盛政は呆気に取られていた。

しかし

 

盛政「いや・・・呆気になってる場合では無い!我らも遅れを取るな!!『鬼玄蕃』の部隊の力を見せろ!!」

 

盛政はすぐに切り替え、敵陣に攻撃を開始したのだった。

信忠の軍団の強さに驚いたのは信盛だけじゃない。

 

信奈「す、凄いわね・・・信忠の軍勢は・・・」

 

長秀「まさに精強・・・九十五点!」

 

信奈達も驚いており、信奈に至っては顔を引き攣らせており、長秀は採点をし始めた。

・・・何の基準で九十五点かは分からないが。

 

信奈「とにかく、これは好機ね!!全軍、突撃!!」

 

信奈達も好機と見て一斉に突撃した。

織田軍の苛烈なる猛攻に、山口軍は瓦解状態だった。

 

「何故だ・・・何故こうも圧倒されるのじゃ・・・?何故じゃ・・・?」

 

山口教吉は、何故自分達が圧倒されてしまうのか理解出来なかった。

その理由は

 

信忠「戯けが!俺が考えも無く下山して戦うと思ったか・・・」

 

信忠「山口軍の大半は農民!!対して俺の軍団は全員鍛えに鍛えた戦専門の精兵だ!!無論姉上も同様!!その差が、この結果だ!!」

 

農民が大半を占めるか、バリバリの兵士なのか、それが理由だった。

そして

 

「た、退却!!退却じゃ!!」

 

山口軍は僅か百足らずしか残っておらず、散り散りに逃げたのだった。

 

信忠「勝ったか・・・」

 

信忠は、勝ち戦に笑みを浮かべて立ち上がった。

その時

 

「申し上げます!信奈様から、至急本陣に来るようにとの事です!」

 

本陣に来るよう、信奈の使者から言われたのであった。




鬼玄蕃こと佐久間盛政を入れてみました!

史実では活躍するのも先ですけどね・・・それ以前に生まれてない・・・(苦笑)
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