赤塚の戦いでの勝利から数日が経った。
信忠「未来から?」
可成「はっ。どうやら、そう申しておるようです。」
昨日の少年について話を聞いていた。
少年の名は相良良晴。未来人だった。
信忠「相良と言うから、肥後の相良の一族かと一瞬思ったが、違うのか・・・」
信忠は、肥後にいる戦国大名相良氏の一族かと思っていた。
信忠「それで、相良良晴の役職はどうなったんだ?」
勝家「それが、草履取りとの事です。」
信忠「草履取り?」
勝家「はっ。姫様曰く、『踏んだ感触が良かったから』と言う理由だそうです。」
信忠「何だそりゃ・・・」
姉の理由に、信忠は半分呆れていたのだった。
可成「若。一つ気になる事がございます。」
信忠「ん?」
可成「末森の信勝様ですが、何やら不穏な動きをしてるようでございます。」
すると可成が、末森城の弟信勝が何か怪しい動きをしていると言ってきた。
勝家「信勝様が・・・?」
勝家は、まさか謀反するのかと信じられないと言わんばかりの表情を浮かべたが
信忠「有り得なくもない・・・アイツにその気が無くても、周りに唆されて・・・と言う可能性もある。」
信忠「林兄弟と母上がアイツの周りにいる。皆、姉上を嫌っているからな。玄蕃は分からんが・・・」
信忠は、可能性は無きにしも非ずと冷静に答えつつ、盛政は分からないと言った。
その時
秀隆「信忠様。清洲の信奈様からの使いが参りました。」
秀隆が、信奈の使いが来たと言ってきた。
信忠「通せ。」
秀隆「はっ!」
そして、やって来たのが
恒興「信忠様。」
池田恒興だった。
信忠「勝三郎か。何だ?」
恒興「はっ。姫様から、『美濃の蝮が正徳寺で会見を申し込んできたから、準備しなさい』との事です。」
美濃の蝮という異名で言われる戦国大名、斎藤道三との会見の知らせだった。
可成「あの蝮が・・・」
勝家「我等とは宿敵の間柄だぞ・・・」
可成と勝家は、何故道三が会見をしたいと言ってきたのか不思議に思っていた。
信忠「・・・俺らと同盟を組むつもりだな。」
信忠は、道三が何を狙っているのか察しつつ
信忠「まだ何を考えてるか分からんがな・・・姉上には了解したと伝えてくれ。」
恒興「はっ!」
信忠「六。出立の準備をしろ!」
勝家「はっ!」
信忠「三左は留守を頼む。」
可成「お任せを。末森の事も調べておきます。」
信忠「頼むぞ。」
出立の支度を始めたのだった。
一応、秀隆と長可、そして忠正も加わったのだが
長可「蝮と戦か!」
忠正「良いねぇ!ひと暴れしてやろうぜ!」
この二人は戦をすると勘違いしていた。
秀隆「違うわよ!!斎藤道三と信忠様、そして信奈様が会見するのよ!!正徳寺で!」
秀隆は、そんな二人に戦では無いと注意した。
長可「なーんだ・・・つまんねーの。」
忠正「ホントだぜ!ここのところ戦が無かったからひと暴れしたかったのによ!」
秀隆「もう・・・頼むから変な事しないでよ!信忠様のお顔に泥を塗らないように!」
長可「わーってるわーってる!」
忠正「安心しろって!もしもの時は、蝮を八つ裂きにしてやるから!」
秀隆「安心出来ないわよ!」
・・・とまぁ、仲良しな三人だった。
そして、信忠は数百の選りすぐりの精兵を引き連れ、那古野城を後にした。
道中
信奈「信忠!」
信忠「姉上。」
信奈と合流した。
その際
勝家「犬千代!」
利家「勝家も来てたんだ。」
勝家は虎の皮を被った少女と話していた。
彼女の名は前田利家。幼名は犬千代で、織田家中でトップクラスの槍の腕を持つ猛将だ。
信忠「良晴も来てたのか。」
良晴「ああ・・・信奈に一緒に来いって言われてな。」
信奈「ちょっと!主君を呼び捨て!」
信奈は、主である自分に対し呼び捨てで呼ばれてる事にムッとした。
信忠「はは!主君に呼び捨てとは・・・中々な奴だな・・・」
信忠は、良晴の態度に呆れ笑いを浮かべつつ、大物だなとある意味感じていたが
信忠「それはそうと・・・蝮に見せびらかすつもりですね。」
信奈が率いてきた鉄砲隊を指差して言うと
信奈「察しが良いわね。驚かそうかなって思ってね。」
道三をびっくりさせようと思って編成したのだと答えた。
信忠「はは。姉上らしいですね。」
信奈「そう言う信忠も、かなりの精鋭を連れて来たようね・・・」
信奈も、信忠の背後の兵を見て、かなりの猛者達だと感じていた。
良晴(す、すげぇ・・・何つーか・・・ヤ◯ザみてーな顔ばっかりな気がするんだが・・・そういや、初めて会った時に信忠の兵達を見た時、皆そんな顔だったな・・・つーか、何つー長い槍なんだよ!?)
良晴は、信忠の兵達の見た目の厳つさと長槍の長さに驚きつつ
良晴(しかし・・・あの女の子達可愛いな・・・勝家も、胸揺れまくりだし・・・)
秀隆と長可に忠正、そして勝家を見て、顔を緩めていた。
その時
秀隆「な、何ですかあの男・・・気持ち悪いわ!」
良晴「ガハッ!」
秀隆にストレートに言われ、良晴はショックを受けた。
と同時に
長可「へぇ・・・コイツが最近新しく入ってきたサルか・・・」
忠正「見た感じ、足軽より弱そうだな・・・」
長可と忠正が、槍を担いだ状態で良晴をジロジロと観察した。
秀隆「ジロジロ見るのやめなさい二人共!穢らわしいサルだわ・・・!」
良晴「サルじゃねえし穢らわしくねぇ!後俺は相良良晴!」
良晴は、サルじゃないと二人に言うも
長可「はっはっは!まぁ細けー事は気にすんなっつーの!」
忠正「そうだそうだ!宜しくな、サル!」
良晴「グフッ!」
二人に背中をバンバン叩かれたのだった。
信忠「さて・・・正徳寺に向かいますか。」
信奈「そうね・・・早く見せびらかしたいし。」
信忠「では、参りましょう。」
信奈「ええ。」
勝家「ほら三人共!行くぞ!」
「「「は、はい!!」」」
そして、皆正徳寺に出発した。
その道中
良晴「おい、信奈!」
信奈「ちょっと!また呼び捨て!」
良晴「良いから鉄砲に火を入れさせろ!」
良晴が突然、鉄砲に火を入れるよう言ってきた。
秀隆「いきなり何を言い出すかと思えば・・・何言ってんのあのサル・・・」
秀隆は、良晴の発言が分からず、馬鹿を見てるような目をしていた。
信奈「暴発したらどうすんのよ!」
良晴「お前んとこは下手くそばかりなのか?」
すると
信忠「姉上。鉄砲に火を入れて下さい。」
信奈「信忠!?」
「「「なっ!?」」」
信忠が、良晴の意見に同意するかのように火を入れるよう進言した。
信奈「・・・何か理由があるのね。」
信奈は、弟が考え無しに言う人では無いと知っているので、何か理由があると感じた。
信忠「はい。おそらく、良晴も同じだと思います。」
信奈「・・・分かったわ!」
信奈は指示を下し、鉄砲に火を入れたのだった。
そして、一同正徳寺に到着し、それぞれの場所にて座った。
因みに良晴らは下座にて正座しており、秀隆と長可、そして忠正も同様だった。
??「・・・」
暫くし、坊主頭で口髭を蓄えた貫禄のある老人が現れた。
この男こそ、下剋上で美濃を奪った斎藤道三だ。
その傍らに、黒髪のストレートで、金柑の髪飾りと広いおでこが特徴の美少女がいた。
彼女の名は明智十兵衛光秀。ここ最近頭角を現した武将だ。
それから時が過ぎても
道三「うーむ。遅いのぉ・・・」
信奈と信忠は現れなかった。
すると
光秀「道三様、外交の席でその格好はやはりマズイです。」
光秀が、道三の格好に諫言した。
実を言うと、道三は普段着に近い服装だったのだ。
道三にも理由はあった。
道三「相手も同じじゃろう。余計な気遣いをさせぬのも、器というものよ。」
堅苦しいのは避けようと言う道三なりの気遣いだった。
その際
良晴(やっぱ見てたのか・・・それにしても、隣の女の子は可愛いなぁ・・・)
良晴は安定だった。
光秀「フンッ!」
・・・光秀に無視されたが。
すると
信奈「待たせたわね、蝮!」
信奈の声が聞こえたと同時に戸が開いた。
そこにいたのは
道三「何と・・・!?」
良晴「嘘!?」
絵に描いたような美少女がそこにおり、その後ろには正装に着替えた信忠もいたのであった。