信勝が、打倒信奈の旗印を掲げ、出陣命令を下した。
しかし
信勝「僕は行かないよ!」
信勝自らは出陣しないと言ってきた。
その理由は
信勝「敵の流れ矢に当たったら痛そうだし、何より母上に止められてるからね!だから行かない!」
との事だ。
その為、やむなく盛政と林秀貞の弟の林通具が出陣する事となった。
盛政「通具殿。秀貞殿がいないようですが、何故ですか?」
「兄は戦は不得手な為、ワシが代わりに出陣する事となった。」
盛政「・・・そうですか。」
「お主は、信忠様と嘗て赤塚でのやり取りの件や柴田殿との関係での理由で私情を挟まぬようにな。あの時お主は、信勝様の命では無く勝手に動いたのだからな。」
通具は、盛政は信忠を買っており、尚且つ慕ってもいた為のと、勝家とは身内関係で仲も良い為、情に流されないようにと加えて勝手に動いたりする事は許さないと釘を刺した。
盛政「・・・分かっております。某は武士です。戦場では流されません。」
盛政は、戦場において情に流されたりはしないと返したのだった。
信奈と信忠は
信忠「姉上!」
信奈「信忠!」
合流を果たした。
信奈「状況は?」
信忠「玄蕃と秀貞の弟通具が出陣しております。」
信奈「・・・信勝は?」
信忠「出陣しておりません。今、末森城にいるとの情報でした。おそらく、母上に止められたのでしょう。」
信奈「・・・そう。」
すると
良晴「・・・なぁ、もしこの戦が終わったら、弟をどうするつもりなんだ?」
良晴は、戦後信勝をどうするのか尋ねると
信奈「それは・・・」
信奈は詰まった。
反旗を翻したとは言え、血を分けた弟なのだ。
良晴「出来れば、許してやった方が良いと俺は思うな。弟なんだし、姉弟で殺し合うのも良いと思わねーし・・・」
長秀「確かに謀反は良い行為とは思えません。けれど、一度犯した過ちで殺すのは人道に反します。サル殿の意見、七十点です。」
良晴と長秀は、斬るのに反対だった。
信忠「・・・」
信忠は特に何も言わず、腕を組んでいた。
その時
「申し上げます!佐久間盛政殿の軍勢が姿を現しました!」
盛政の軍勢が姿を現したとの知らせが入った。
信忠「分かった!すぐ向かう!」
信奈「今は、目の前の敵に集中しましょう。信忠、任せるわ。」
信忠「はっ!ではこれにて!」
信奈は、信忠に迎撃を任せた。
そして、信忠は本陣を後にし
信忠「良し!かかれー!」
「「「おおーっ!!」」」
盛政軍を攻撃した。
一方の盛政も
「盛政様!信忠様の軍勢が攻撃を始めました!」
盛政「怯むな!迎え撃てー!!」
攻撃を始めた。
長可「アンタが『鬼玄蕃』佐久間盛政殿だな!アタシは森勝蔵長可だ!勝負しろ!」
そんな入り乱れての攻防で、長可が盛政に近付いた。
盛政「三左衛門殿の娘か・・・」
「盛政様に指一歩触れさせぬ!」
盛政の兵士は、盛政に近づかせないようにするが
盛政「手を出すな!某自ら相手する!」
盛政自ら槍を取り
ガキーン
長可「そうこなくっちゃなぁ!!」
長可と相対した。
しかし
盛政「はあああっ!!」
ガキーン!
長可「なぁっ!?」
力の差で長可が押されていた。
盛政「某の力を舐めるな!!」
すると
忠正「なら、私も相手するぞ!」
ガキーン!
忠正が長可の援護に入った。
盛政「フンッ!二人一緒に相手してやろう・・・!」
しかし、盛政は不敵な笑みを浮かべて言うと
長可「んだと!!舐めやがって!!」
忠正「行くぞ、勝蔵!!」
長可「おう、平八!!」
長可は同時攻撃を仕掛けていった。
しかし
ガキーン!キーン!
「「なっ!?」」
盛政「悪くない!だが、その程度の力では某の相手ではないぞ!!」
盛政は涼しい顔で二人の連携攻撃に対応していた。
この盛政の力に呼応したのか、信忠の軍は少し押されていたのだった。
可成(流石玄蕃殿じゃ・・・)
可成は、盛政の力を改めて感じていた。
その様子を見ていた
秀隆「流石『鬼玄蕃』盛政殿です!」
信忠「・・・」
秀隆も顔を歪めた。
信忠(味方となると頼もしい武勇だが、敵として相対するとこうも厄介とはな・・・)
因みに信忠も、盛政の力が厄介に感じていた。
すると
勝家「・・・私が参ります。」
秀隆「権六殿!?」
勝家が立ち上がった。
勝家「私が代わりに理助と戦ってきます。」
信忠「・・・」
勝家「ご安心下さい。私は死にません。必ず勝ってみせます。」
勝家の力強い言葉に
信忠「・・・任せたぞ。」
信忠は、勝家に任せた。
勝家「御意!」
そして、勝家は馬を走らせたのだった。
ガキーン!キーン!
長可「クゥッ!何つー強さだ!」
忠正「敵として戦うと、改めて強さを感じるな!」
盛政「フッ・・・某はまだまだ行けるぞ!」
盛政は、未だ不敵且つ涼しい笑顔で言った。
その時
勝家「二人共!下がれ!!」
勝家が姿を現した。
「「権六殿!?」」
勝家「お前達では相手にならない!三左衛門殿の援護に向かえ!」
勝家は、自分が相手すると言わんばかりに槍を構えた。
長可「・・・ちっ!分かりました!」
忠正「任せた、権六殿!」
二人は、不満そうながらも従い、勝家に任せたのだった。
勝家「さて・・・私が相手だ、理助。」
盛政「権六殿・・・このような形で相対する・・・残念です。」
勝家「・・・情に流されるな、理助。私達は武士だ・・・行くぞ!」
盛政「はい、権六殿!」
そして
ガキーン!
両者激しく槍を交わしたのだった。
一方その頃
(我が軍は加勢すべきだろうか・・・しかし、今玄蕃の力戦で我が方が僅かながら優勢・・・このまま加勢すれば、おそらく我が軍の勝利なのだが・・・ここは末森の信勝様の指示を仰ぐか・・・)
通具は、加勢すべきか否かで迷っていた。
その為、信勝に指示を仰ごうと使者を末森に送ったが、この判断の遅れが、戦の流れを変えるきっかけとなってしまったのだった。
そんな中信忠は
信忠「・・・与四郎。」
秀隆「はっ。」
信忠「今から俺は最前線に出る。一緒に来い。」
秀隆「はっ!何を突然・・・!?それに危険です!!」
信忠「危険も承知!多少の無茶でも、味方の士気を上げる!!」
最前線に出ると言い、そのまま馬を走らせた。
秀隆「皆!信忠様をお守りせよ!!」
秀隆は、慌てて指示し、信忠について行ったのだった。
一方信奈達は
「お味方、僅かながら押されております!!」
長秀「流石『鬼玄蕃』佐久間盛政殿です・・・その武勇、九十八点です・・・」
良晴「どうすんだよ、信奈・・・」
信奈「クゥッ!!」
味方が僅かに劣勢だという知らせに苦い顔をしていた。
その時
「申し上げます!信忠様、敵前に立ちはだかりました!!」
信奈「何ですって!?」
「「っ!?」」
信忠が、敵前に馬を走らせたという知らせが入った。
信奈「っ!」
信奈は、慌てて馬を走らせようとするが
利家「姫様ダメ!!」
信奈「どいて犬千代!!信忠を!勘九郎を助けないと!!」
利家に止められた。
しかし、信奈は弟を助けようと必死に利家の拘束から抜け出そうとしていた。
そんな中
信忠「聞けぇ、逆臣共!!俺の名は織田勘九郎信忠!織田家当主織田上総守信奈の弟だ!!」
「「「っ!?」」」
信忠の大声が戦場に響き渡り、敵味方問わず皆が静止した。
信忠「今ここにおわすは、織田家当主、織田上総守信奈であるぞ!!それを知っての行いか!!」
信忠「弟信勝の大義無き謀反に加担し、主に刃を向けるなど言語道断!!貴様らは、不忠者として末代まで謗りを受けるぞ!!」
信忠の大音声に
「の、信忠様の言う通りだ・・・俺、信奈様と戦いたくねぇ・・・」
「確かに・・・信奈様は織田家の当主だしな・・・」
佐久間軍の兵は皆動揺してしまい、士気が落ちてしまった。
その隙を逃さず
可成「敵は怯んだ!!討ち取るのだー!!」
可成は攻撃を仕掛けた。
長可「行くぞ、平八!!今までの挽回だ!!」
忠正「ああ!!一つでも多くの首を取ってやる!!」
長可と忠正は、先程活躍できなかったので、その分暴れようと気合を入れて槍を振るった。
一方、勝家と盛政は
盛政「流石信忠様だな・・・これじゃあ戦にならん・・・」
勝家「私の自慢の主でもあり、大切なお方だ・・・」
盛政「・・・そうですな。ここは退くとしよう。」
勝家「理助・・・」
盛政が不利を感じ、退却したのだった。
その入れ替わりに通具の軍が現れたが
「クゥッ・・・遅かったか!!」
既に戦の流れが変わった事を察し、通具は苦い顔をした。
信忠「急ぎ隊列を整えろ!次は林通具を叩くぞ!!」
「「「おおーっ!!」」」
信忠は間髪入れず、通具の軍に突撃した。
すると
長秀「私達も参加します!」
利家「活躍する!」
良晴「お、俺もだ・・・ウプッ!」
信忠「お前ら・・・!」
信奈「勘九郎!ここは私達も参加するわ!」
信忠「姉上・・・!」
信奈達も加わった。
良晴も、血生臭い戦場の匂いと兵の死体に吐き気を催していたが、何とか耐えていた。
信奈「良い大音声だったわ、勘九郎・・・!おかげで戦の流れが変わったわ!」
信忠「ありがたきお言葉!ですが、通具の軍を撃破したからです!!」
信奈「ええ!分かってるわ!!突撃ー!!」
そして、信奈・信忠の連合軍は、通具の軍に向かって一気に突撃した。
この勢いに、通具の軍は耐えきれず
可成「林通具殿!!」
「・・・可成殿か。」
可成「覚悟せよ!!」
「フンッ!ワシは簡単にやられぬわ!!」
ガキーン!キーン!
可成「タァァッ!!」
ドシュ!
「ガハッ!」
可成「林通具、討ち取ったりー!!」
通具は可成によって討ち取られてしまった。
「「「は、林様が・・・!!」」」
「「「に、逃げろー!!」」」
林軍は、通具が討ち取られたと知り、一斉に退却したのだった。
信奈「この戦、私達の勝利よ!」
「「「えいえいおーっ!!」」」
信奈達は、一斉に勝鬨を上げた。
こうして、稲生の戦いは、信奈・信忠連合軍の勝利に終わったのであった。
史実の稲生の戦いでは、林通具は信長自ら討ち取ってるんですよね・・・(汗)
凄い事したんだな、若き頃の信長は・・・(苦笑)