末森城
「林通具殿お討ち死に!!佐久間盛政殿行方知れず!!お味方の敗北でございます!!」
自軍の敗北を知った信勝。
信勝(何で・・・何で僕が負けるの・・・?)
信勝(僕は・・・間違っていたの・・・?)
信勝は、自分が負けたという現実を受け止められなかった。
暫くし
「佐久間盛政殿、戻られました!」
盛政が戻ってきた。
盛政「佐久間玄蕃允盛政、只今戻りました・・・」
信勝「盛政!敗北とはどういう事だ!!君がいながら、一体何やってるんだ!!」
盛政「・・・申し訳ございません!」
最初は、信勝の叱責から始まり
「まったくじゃ!!お主のせいで、我が弟が死んだんじゃぞ!!」
「佐久間一族の面汚しが!!」
「まったく・・・『鬼玄蕃』と言われてる猛将盛政殿ともあろう者が、情けない!!」
林秀貞と佐久間信盛、そして津々木蔵人も続いて盛政を罵倒し、蔑んだ。
盛政(方々は・・・まだ分からぬのか!)
盛政(身体を張り、兵を自らの手足の如く扱う信忠様と、その弟君を信頼し、全てを任せる信奈様・・・)
盛政(それに引き換え、戦場には出ず、城にて何も策略を立てずにただ時を過ごすのみの信勝様・・・その差が、今の状況を生み出しているのを・・・!)
盛政は、三人の罵倒に悔しげだった。
盛政(かくなる上は・・・)
盛政「信勝様・・・提案がございます。」
盛政「降伏・・・しましょう・・・」
盛政は、三人の罵倒に悔しげながら、信勝に降伏を勧めた。
信勝「こ、降伏!?」
信勝は、まさかの降伏を勧めてきたのに驚き立ち上がった。
「降伏とはどういう事だ、玄蕃!」
「そうじゃ!まだ一度のみの敗戦ではないか!!」
「怖気付いたか!」
秀貞と信盛、そして津々木は、降伏に怒り、責めた。
盛政「この戦で、信忠様の武威は勿論、その信忠様を信頼し任せた信奈様の賢明なるお姿は尾張中に広まります!そうなると、尾張の将兵はこぞってあのお二人に付きましょう・・・」
盛政「もはや勝ち目はありません!!ならば早い方が宜しいかと存じます!!」
盛政「某と共に頭を下げに行きましょう!!」
盛政は、それでも降伏を勧めた。
その時
土田「私も盛政殿に同意します!!信勝、私も同行します!!もしもの時は私が庇います!!」
土田御前が、共に行くと言い、最悪の場合になったら自分が庇うと言った。
信勝「・・・分かりました。母上がそう仰るなら、降伏します。」
信勝は、土田御前の言葉を聞き入れ、降伏を決めた。
その数日後
清洲城
「「「・・・」」」
信勝らが清洲城にて謝罪に赴いた。
因みに信忠も清洲城に赴いており、信奈の側近くに控えていた。
信奈「・・・信勝。よく私の前に顔を出せたわね。」
信勝「・・・」
信勝は、信奈の言葉に何も言えず、ただ頭を下げるのみだった。
土田「信奈!信勝は悪くありません!!この母が唆したのです!!」
土田「斬るなら、この母を斬って下さりませ!!」
土田「信勝は、貴女と信忠と同じこの母が腹を痛めて産みし子!どうか・・・どうか・・・!」
土田御前は、信勝を庇い自分を斬るよう信奈に言いつつ、同じ腹で産まれた子供故、許して欲しいと言った。
「いえ!此度の謀反、企てたはこの津々木!私をお斬り下さい!」
「いえ!此度の謀反にて信奈様に刃向けたは某!某をお斬り下さい!」
同行した津々木と盛政も、自分を斬るよう言った。
信奈「・・・信勝の謀反、全て不問にするわ。」
すると、信奈は信勝の謀反を許すと言った。
これには、信勝らは驚きの表情となり
信勝「全て・・・許してくれるのですか?」
確認を取った。
信奈「そう・・・刺客を送ったのも含め、全てよ。」
信奈「私達は争っている場合じゃないわ。私と信忠含め、同じ姉弟よ。共に力合わせて、一致団結して今川に立ち向かいましょう。」
信奈は、その通りだと言いつつ、力合わせて共に戦おうと加えた。
信勝「は・・・ははっ!!」
信忠「信勝、心を入れ替え励め。」
信勝「ははっ!肝に銘じます!!」
この姿に
良晴(これで良い・・・もしこのまま弟を殺しちまったら、魔王人生一直線になっちまうからな・・・)
良晴は、安心した表情を浮かべた。
彼としては、信奈が史実の信長同様、第六天魔王になってしまうのを避けたかったからだ。
もし処刑するとなったら、自ら止めようと考えたのだ。
信忠「盛政、津々木。お前達も信勝同様不問だ。」
「「ははーっ!!」」
土田「信奈・・・!ありがとう!許してくれて!信忠も、ありがとう!」
土田御前は、寛大な処置に涙を流し感謝した。
信忠「母上も今まで通り、信勝と共にお過ごし下さい。」
土田「はい!」
信勝「姉上!兄上!ありがとうございます!!」
信勝も、感謝の言葉を口にし頭を下げた。
信奈「下がりなさい。」
「「「ははっ!!」」」
そして、信勝らは退出した。
長秀「寛大なるご処置、見事でございました。」
長秀は、信奈の処置に流石だと答えた。
信奈「良いのよ。どんな過ちも、しっかり謝れば私は許すわ。」
信奈は、優しい笑みを浮かべて答えると
長秀「九十五点。」
高得点だった。
・・・採点基準は分からんが。
良晴「流石だな。」
信奈「当然よ。それに、母上があそこまで言うなら、私も許すしかないわ。」
信忠「・・・そうですね。」
信忠も、信奈の意見に同意したが、若干冷たい目をしていたのだったのを他の皆は気付かなかった。
こうして、稲生の戦いでの処置は決着したのであった。