信勝の謀反を許した信奈。
信奈「けれど、今回の戦は本当に危なかったわ・・・信忠のおかげよ。」
信奈「あの大音声が無ければ、私達の負けだった。ありがとう。」
信奈は、稲生の戦いで大音声を上げて流れを変えた信忠に感謝の言葉を送った。
信忠「とんでもありません。俺は姉上の為にやったまでです。」
信忠「一番は、此度の信勝の謀反を許した姉上の度量の広さに感服致しました。」
信忠は、姉の為に命を張ったのだと言い、信勝を許した優しさに感服したと頭を下げた。
信奈「私にとって、あの子はあなた同様大切な弟だから・・・何より、母上のあの姿を見たら・・・ね。」
そんな信奈の表情は、どこか優しかった。
信忠「しかし・・・もし次も謀反を起こしたら・・・如何なさいますか?」
信奈「一度許したんだもの。もう何も起きないわよ。」
信忠の質問に、信奈は次は絶対に謀反を起こさないと答えた。
信忠「・・・だと良いですね。」
そんな信奈に、信忠はそれ以上特に何も言わなかったが、一瞬先程同様の冷たい目になったのだった。
稲生の戦い以来、信奈は内政に力を入れた。
楽市楽座を積極的に取り入れ、清洲城下では賑わいと繁栄をもたらしていた。
長秀「城下は相変わらずの賑わいです。」
信奈「当然よ。関所を撤廃し、商人が自由に行き来出来るわ。そうすれば、皆が自由に商売すれば、自由に物を買える。そして、人や物、そしてお金の流通が活発になって、より発展するの。」
良晴「楽市楽座ってやつだろ?確かに経済は発展するし、珍しい物も集まるし・・・良い事づくしだな。」
信奈「あら?サルにしては珍しく理解してるじゃない?」
良晴「ゲームで色々やったからな!これくらい当然だぜ!」
・・・良晴、当時の人間にゲームって言っても分からんよ。
信奈「また訳の分からない言葉使って・・・」
長秀「毎度思っておりますが、どこの言葉でしょう?」
信奈「さぁ・・・けど、これで尾張は統一だわ・・・」
長秀「はい・・・亡き大殿もお喜びでしょう・・・」
信奈「ええ。」
清洲では、良晴らが楽しそうに会話しつつ、尾張統一が叶ったと思っていた。
その頃、那古野では
長可「よしっ!これで終わりっと!」
秀隆「何なのよ、あなた・・・」
秀隆と長可が、共に政務を行っており、長可の卒なくしっかりと政務が行える事と
秀隆「私よりも字が綺麗だし・・・」
能筆な字に秀隆は驚いていた。
長可「何だよ与四郎?アタシが戦しか能がない奴だと思ってたのか?」
秀隆「いや・・・否定はしないけど・・・」
長可「んだとコラァ!」
秀隆「ご、ごめんなさい!」
秀隆の発言に、長可はンガーッと言わんばかりに暴れかけた。
その時
忠正「おーい勝蔵!政務は終わったかー!」
忠正が槍を担いだ姿で声をかけてきた。
長可「おお、平八!何だ、手合わせか?」
忠正を見るや、長可は笑みを浮かべ聞くと
忠正「ああ!政務が終わったんなら、やろうぜ!」
仕事が終わったんなら手合わせしようと忠正は言った。
長可「良いぜ!んじゃあ・・・」
すると
秀隆「ちょっと待って!平八も仕事あったでしょ?終わったの?」
秀隆は、忠正にも仕事があった筈だと思い尋ねると
忠正「アアッ?んなの、とっくに終わったよ。なんなら、後で私の部屋に行って確認しなよ。」
既に終わったから部屋に行ってチェックしても良いと堂々と言った。
秀隆「・・・なら良いけど。」
忠正「うしっ!勝蔵、行こうぜ!」
長可「おう!」
すると、いつの間にか用意したのか、長可は愛用の十文字槍「人間無骨」を担いで忠正と一緒に庭に出たのだった。
そして
長可「行くぜ、平八!」
忠正「おうよ、勝蔵!」
「「ハアアッ!!」」
ガキーン!
手合わせを始めた。
長可「オリャアア!」
忠正「タァァッ!」
ガキーン!キーン!
長可「オラァ!まだまだだやれるぞ!」
忠正「たりゃあ!それはこっちもだ!」
この二人が手合わせしてる間に、秀隆は忠正の部屋に行って確認するが
秀隆「・・・あの子はぁぁぁ!!」
秀隆は、書類を確認するや怒りのオーラを噴き出して声を上げた。
何故怒ってるのか、それは
秀隆「誤字脱字が多過ぎるわよぉぉ!!」
誤字脱字が多く、読めなかったのだ。
加えて
秀隆「何なのよこの似顔絵は!!私の似顔絵を描いて・・・!!」
何故か秀隆の似顔絵が描かれてあった。
秀隆「・・・まぁ、似てるわね。」
・・・意外に上手だったらしい。
秀隆「って、そうじゃないわよぉぉ!!」
しかし、すぐに怒りの声を上げた。
その時
可成「何じゃ!騒々しい!!」
秀隆「こ、これは三左衛門様・・・!」
秀隆の怒り声に可成が駆け付けた。
可成「何に怒っておるのじゃ、与四郎?」
秀隆「あ、はい。実はこれですけど・・・」
秀隆は、忠正が政務でやった書類を見せた。
可成「ほほぉ・・・彼奴、与四郎の似顔絵を描く程余裕のようじゃな・・・中々の腕じゃ。」
可成は、似顔絵の出来を褒めた。
秀隆「はい・・・ってそこじゃありません!問題はこの書類です!」
秀隆は、そこじゃないと言いながら問題の書類の内容を見せたら
可成「・・・ほほぉ。これは灸を据えねばならぬのぉ・・・平八を呼んでこい!」
可成は、怒りながら忠正を呼ばせたのだった。
この後、忠正は可成にどえらいお叱りを喰らったのだった。
信忠は
信忠「おお!これは美味い!美味いな、六!」
勝家「はい、信忠様!」
やるべき仕事を終え、同時に政務を終えた勝家と共に城下で茶菓子を美味しそうに食べていた。
那古野城主になっても、信忠は暇をみては勝家と共に城下に行ったり
「おお!信忠様じゃ!」
「信忠様!!」
田畑の様子を見たりした。
その時、農民達は跪き頭を下げるも
信忠「良い。収穫はどうだ?」
信忠は馬から降り、目線を合わせて声をかけた。
「は、はい!今年も順調に育っております!!今年も豊作となるでしょう!!」
農民は、今年も豊作になると答えると
信忠「そうか・・・それは良かった・・・お前達の頑張りのおかげだ。感謝する。」
「「「ははぁっ!!」」」
信忠は、それぞれに肩に手を置き感謝の言葉を送った。農民達は嬉しそうな表情で頭を下げた。
信忠「仕事の途中止めてすまなかったな。続けてくれ。」
「「「ははぁっ!!これからも、信忠様の為に頑張ります!!」」」
信忠は、馬に跨りその場を後にした。
そして、よく見渡せる高地に着くと
信忠「・・・良い眺めだな。」
勝家「はい・・・」
豊かに実った田畑、そしてその先にある活気溢れる城下町が見え、とても美しく理想の光景だった。
信忠「父上が果たせなかった尾張統一が漸く叶った・・・」
勝家「はい・・・亡き大殿もさぞかし、草葉の陰でお喜びでしょう・・・」
信忠「ああ・・・そうだな・・・」
信忠は、優しい笑みを浮かべながら勝家の頬に手を添え
勝家「んっ・・・信忠様・・・」
勝家は、手を重ねて気持ち良さそうに目を閉じて柔らかく微笑んだ。
そして
勝家「好きです・・・信忠様・・・」
信忠「六・・・」
二人は、抱き締めあったのだった。
まさに、尾張統一は叶った・・・と誰もが思った。
しかし
信勝「はは・・・精々この世の春だと思い続けてよ、姉上・・・」
まだ、終わらなかったのであった。