信勝「兄上が?」
盛政「はっ。何でも明日那古野で共に食事をしつつ腹を割って話したいとの事です。」
信勝は、那古野に来るようにと言われた。
その理由は、食事して仲良く話したいといったものだ。
信勝「おお!それは良いな!!」
盛政「加えて信奈様も誘うとの事で、兄弟共に話し共に食べ、絆強めようと提案しております。」
信忠曰く、信奈も誘っており、共に美味しい物を食べ、仲良く話し合って兄弟の結束を強めようと考えているという事だった。
「これは良い機会です。食事を終え、帰りの際に信奈様を密かに殺せば良いのです。」
津々木は、この提案に信勝の耳元に近付き、囁くと
信勝「素晴らしい!」
信勝は目を輝かせ
信勝「分かった!是非行くと兄上に伝えてくれ!」
信忠の誘いを了承した。
盛政「はっ!」
信勝「では・・・誰と共に行こうかな・・・?この城の留守役も必要だし・・・」
すると、信勝は誰か留守が必要だと気付き、誰にするか迷ったが
盛政「信勝様。ここは某が・・・」
盛政が、留守役をやると言ってきた。
信勝「そうか!では、頼むぞ!」
盛政「お任せください。」
そして、信勝は土田御前の元へ行き、信忠の提案を話した。
土田「それは良いですね!!兄弟仲良く話し合って下さい!」
土田御前も、信忠の提案話に笑みを浮かべた。
彼女は、先の戦でもう懲り懲りだったのだ。
そして、翌日
信勝「では、行ってくるよ。」
盛政「道中お気を付けて。」
そして、信勝は盛政に見送られて末森城を後にした。
因みに信勝は、津々木と通具、そして信盛も連れて行った。
その後ろ姿に
盛政「・・・」
盛政は深々と頭を下げたのだった。
清洲城
信奈「信忠が・・・?」
長秀「はい。何でも信勝様を那古野に呼んだそうにございます。」
清洲では、信忠が信勝を呼んだという知らせが入っていた。
良晴「何で信忠は信勝を?」
長秀「さあ?私にもさっぱり・・・単なる水入らずで話したいだけなのかと・・・那古野城と末森城は近いですし・・・」
良晴「成程な・・・」
長秀は、ただ単に兄弟水入らずで話したい事もあるのではと思っていた。
しかし
信奈(何・・・この胸騒ぎは?)
信奈はどこか嫌な予感がしていた。
そして
長秀「姫様?」
信奈「私達も那古野に行きましょ。」
長秀「な、何を突然・・・?」
信奈「良いから。」
急ぎ支度をし、馬に乗って駆けたのだった。
那古野城
可成「これは信勝様。お待ちしておりました。」
信勝「うむ!」
可成「さあっ、若がお待ちです。こちらへ。」
那古野城に到着した信勝は、可成に案内された。
信勝「姉上は?」
可成「姫様は、少し遅くなると先程知らせが入りました。」
信勝「そうか。」
可成「お供の者は、こちらで。」
そして、可成は津々木らを別室に入れ、信勝を連れて行ったのだった。
「まさか信忠様が信勝様にこのような・・・」
「うむ・・・じゃが、信忠様は文武共に聡明だけでなく温厚なお方。それ故、このようなもてなしをしようと考えたのじゃろうな。」
「おそらくな。信忠様は流石お優しい。どこかのうつけ姫とは大違いじゃな。」
「まさしくそうじゃな。」
「「あははは!」」
別室にて待機する事となった津々木達。中でも秀貞と信盛は、他愛もない話をして笑っていた。
そんな中で
「・・・?」
(どこか・・・静かすぎないか・・・?)
津々木は、どこか違和感を感じていた。
「如何なされた、津々木殿?」
秀貞は、そんな彼に声をかけると
「いかん!秀貞殿!信盛殿!今すぐ信勝様に・・・」
津々木は、異変に察知し二人に声をかけたその時
バン!
部屋の襖が開き
ズバッ!ザシュ!ドシュ!
呆気なく斬り殺されたのだった。
斬った者は
秀隆「命救った恩を仇で返した報いだ・・・!」
長可「へっ!いいざまだぜ!」
忠正「ホントだぜ!」
秀隆と長可、そして忠正だった。
秀貞らが殺されたのを知らない信勝は
可成「若。信勝様を連れて参りました。」
信忠「ご苦労だった。」
信忠がいる大広間に到着した。
因みに勝家も控えていた。
信勝「兄上、ただいま参上仕りました。」
信勝は、笑みを浮かべて挨拶した。
信忠「面を上げろ。」
信勝「はっ!」
信勝は、顔を上げ笑みを浮かべたまま信忠を見ると
信忠「信勝。飯の前に一つ聞きたい事がある。」
信忠は、優しい笑みを浮かべて信勝に言った。
信勝「はっ、何でしょう?」
すると
信忠「・・・また謀反を企んでるんだってな。」
信忠は、一瞬にして冷徹な表情と声に切り替わって信勝に言った。
信勝「・・・っ。」
信勝は、今まで見た事が無い兄の言葉と表情に加え、何故謀反の企みが漏れたのか分からず動揺し、固まってしまった。
その時
スッ
信勝「え?」
大広間の障子が全て閉まり、戸惑うように見ていたら
勝家「信勝様!お覚悟!」
ズバッ
信勝「うわぁっ!?」
突如勝家に斬られ、信勝は痛みに倒れ込んだ。
勝家と可成は、刀を構えながら信勝を逃がさないようにした。
何とか痛みに耐え起き上がった信勝は、脇差を抜いたが
信忠「信勝。」
ズバッ
信勝「ウグッ!」
信忠に声をかけられ振り向くと一瞬に斬られ、再び倒れてしまった。
信忠「再び謀反を企んだ罪で、成敗する。」
ザシュ!ドシュドシュ!
信勝「グフッ!ガハッ!」
そして、信忠らに全身を刺された。
信勝「あ、あに・・・う・・・え・・・」
信勝は、信忠にしがみ付き、怨嗟の目で睨み付けると
信忠「・・・戯けが。」
信忠は、眉間に皺を寄せながら信勝に吐き捨てるように言った。
そして
ドサッ
信勝は倒れ、そのまま息絶えたのだった。
そしてすぐに
秀隆「信忠様。」
秀隆らがやって来た。
信忠「・・・首尾は?」
長可「全て、終わりました。」
忠正「お供の者全てを討ち果たしました。」
信忠「・・・ご苦労だった。」
その時
「「信勝!?」」
信奈と土田御前の声が聞こえ、同時に
長秀「の、信勝様!?」
良晴「なっ!?」
長秀と良晴らも現れた。
皆が目にしたのは、変わり果てた信勝だった。
信奈「信勝・・・勘十郎・・・」
信奈は、事切れた信勝に寄り添い、声をかけていた。
良晴「信忠ーっ!!」
良晴は、怒りに身を任せ信忠に殴りかかったが
ガシッ
利家「良晴ダメ!!」
利家に止められた。
良晴「離せよ犬千代!!コイツはぶん殴らねぇと気が済まねー!!」
良晴「信忠!お前はなんて事をしたんだ!!信勝は、たった一人の弟なんだろ!!何で殺したんだ!!」
良晴「謀反の罪は既に許したのに・・・何でだ!?」
しかし良晴は、怒りが収まず、利家からの拘束から逃れようとした。
信忠「信勝は、再び謀反を企んでいた。姉上を暗殺し、全てを今川のせいにしてこの尾張を崩壊させようとしたんだ。」
信忠「だったら、事前に芽を摘むまでだ。」
信奈「その根拠がどこにあるのよ!!勘十郎が再び謀反を企んだっていう証拠は!?」
信奈は、事切れた信勝の謀反を計画した根拠を尋ねた。
その時
盛政「某が知らせたのだ!」
盛政が、皆の前に現れた。
長秀「玄蕃殿!?」
盛政「大方様が那古野に向かうと言うので、某が共を・・・末森城は信頼する者に任せております。」
盛政「某が、信勝様謀反を信忠様に知らせたのだ。この尾張を・・・織田家を守る為にな。」
盛政は、尾張と織田を守る為に知らせたと言った。
信奈「だったら・・・何故殺したのよ!せめて、領地没収で尾張を追放すれば・・・いえ、それ以前に何故私に知らせなかったの!?」
勝家「それで信勝様が大人しく出て行くとは限りませんし、仮に素直に出て行って他国に行ったら、尾張の内情を喋られる危険性があります・・・」
勝家「それに・・・姫様がこれ以上煩わせるのは宜しくないと言う信忠様の判断です。」
勝家が、代わりに説明すると
信奈「でも・・・勘十郎は・・・私達の弟なのよ・・・勘九郎・・・何であなたは・・・!」
信奈は未だ納得出来ず、信忠を責めようとするが
土田「やめなさい信奈!!これ以上は見苦しいですよ!!」
信奈「母上・・・!」
土田御前に一喝された。
土田「信忠を責めるのは筋違いです・・・あの子は当たり前の事をしたまで・・・悪いのは信勝です・・・」
土田「そして・・・この母もです・・・信勝・・・許しておくれ・・・」
土田「うわぁぁぁっ!!」
土田御前は、母ゆえに何も出来なかった自分を後悔するかのように信勝に詫び、伏せて涙を流したのだった。
信忠「・・・玄蕃、母上を頼む。」
盛政「はっ。大方様、さぁ・・・」
信忠「万千代は姉上達を・・・」
長秀「・・・はっ。」
信忠は、盛政に土田御前を、長秀に信奈達を任せた。
利家「良晴・・・」
犬千代も、良晴を引っ張って連れて行こうとするも
良晴「信忠・・・お前・・・!」
良晴は、信忠に対し怒りと戸惑いが混ざったような目で見ていた。
こうして、尾張は信奈の元ある意味では一枚岩に纏まったのであった。