美濃動乱
信奈が復帰して数日が経った。
尾張国中は、信奈を中心により強固に纏まっていった。
そんなある日
信忠「・・・」
信忠は、那古野城内の庭で右袖を外して弓を構えていた。
その先には的があり
ビュ!
信忠は、正確に的のど真ん中を射抜いた。
すると
信忠「・・・三太夫か。」
三太夫「はっ。」
気配を感じ声を掛けたら、三太夫が現れた。
信忠「・・・美濃で何か起きたのか?」
察した信忠は、三太夫に聞くと
三太夫「はっ。斎藤道三が子、義龍が謀反です。」
斎藤義龍が、父親の道三に謀反を起こしたという知らせだった。
信忠「・・・分かった。至急皆を集めろ。」
三太夫「はっ!」
三太夫は、信忠の命を聞き、その場を後にした。
信忠「やはり義龍は謀反を起こしたか・・・このまま美濃の主になるやもしれんな・・・」
信忠は、ぼそっと呟きつつ右袖を戻しながら庭を後にした。
そして、皆大広間に集まり
三太夫「稲葉山城を追われた道三殿は、城を取り戻すべく、手勢を率いて長良川に布陣中。」
三太夫「ですが、美濃の豪族たちは、下剋上で国主となった道三殿には付かず、大半は義龍に付きました。」
三太夫「その結果、義龍軍は道三殿の凡そ十倍の兵力を率いているとの事です。」
三太夫から美濃の情報を聞いていた。
盛政「いくら何でも差がありすぎだ・・・何故義龍側にそこまで兵が集まるのだ?」
盛政は、義龍に兵が集まる理由に疑問を抱いた。
信忠「・・・自身の出生を逆手に取って利用したんだろう。」
すると、信忠は義龍自身は己を利用したんだと言った。
勝家「それは一体・・・?」
勝家は、信忠の言う意味が分からなかったが
可成「・・・土岐氏の家柄、でございますか。」
可成は、意味を察し呟いた。
秀隆「土岐氏の家柄・・・ですか?確か、道三殿が美濃の主になる前は、土岐左京大夫頼芸ですし、彼と何の関係が?」
信忠「その頼芸の妾だった深芳野という者が、後に蝮に行ったんだ。その際、深芳野は懐妊していた。」
信忠の言葉に
勝家「まさか・・・その腹の子が!」
勝家は、全てを察した。
信忠「そう。その腹の子が義龍だったのではと、まことしやかに噂で囁かれていた。」
信忠「まぁ実の話、それは偽りだがな。しかし、義龍はその噂を利用し、大義名分を作ったんだ。」
信忠「『卑劣にも美濃を奪った蝮の道三を我が父土岐左京大夫に代わって成敗する』ってな。」
信忠の推理に
可成「ふむ・・・」
勝家「な、成程・・・それなら確かに義龍に兵が集まりますね・・・」
盛政「はい。戦の大義も立っておりますし・・・」
皆は納得した。
「「・・・zzZ」」
・・・この二人は、難しい話で眠くなっていたが。
秀隆「ちょっと二人共!!」
長可「んがっ?」
忠正「んだよ与四郎?」
秀隆「んだよじゃないでしょ!!こんな時に寝ないでよ!!」
長可「しゃーねーだろ?難しい話は眠くなるんだからよぉ〜。」
忠正「ホントホント・・・ふぁあ・・・」
秀隆「あくびしない!」
そんな二人に、秀隆は注意するも、二人は意に介さなかった。
盛政「しかし・・・何故道三殿は、我らに援軍を求めないのです?」
そんな中で、盛政は何故道三は救援要請をしなかったのか疑問だった。
可成「・・・恐らく死ぬつもりじゃろう。」
盛政「っ!?」
可成は、道三の思惑を察し呟いた。
可成「我らに迷惑をかけたくなかったのだろう。加えて、意地もあるやもしれん。」
可成「息子とはいえ、自身に刃向かった義龍とこの手で決着を付けようとな。」
盛政「・・・」
盛政は、可成の言葉に眉間に皺を寄せた。
勝家「それで信忠様。救援には・・・」
勝家は、信忠に道三を救援するか聞くと
信忠「・・・援軍は出さない。」
信忠「国主で無くなった蝮に救う価値は無い。今ここで動いたら、今川がここぞとばかりに攻め寄せる危険性が高い。」
今川が大軍を率いて攻めてくる危険性が非常に高い為、兵を出さないと言いつつ
信忠「蝮がこのまま死んでも、美濃譲り状は姉上が持っておられる。それがある限り、美濃を攻める大義名分がある。」
譲り状の存在ある限り、美濃攻めの大義名分が立つと加えた。
言ってる内容は正しかった。
しかし
勝家「・・・」
勝家から見たら、その表情はどこか無理に自分に言い聞かせてるように見えたのであった。