うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

27 / 44
戦後処理です。


戦後処理

桶狭間の戦いの大勝利から一夜が明けた。

信忠は、勝家ら重臣らを大広間に集めた。

 

長可「い、いててて・・・」

 

忠正「三左衛門様は容赦ねーな・・・いつつつ・・・」

 

・・・とある二人は、頭に大きなタンコブが出来ていたが。

 

可成「全くお主らは・・・!」

 

・・・誰がやったかは聞かないであげよう。

 

信忠「此度の戦で、今川の大軍打ち破り、今川義元を討ち取った。大勝利だ。」

 

信忠「しかし、その戦で丸根、鷲津砦の守備兵に加え、俺の命で鳴海城救援に向かった三百の将兵達を失った・・・加えて、我が命を救い、勇敢に戦った吉兵衛といったかけがえのない仲間も失った・・・」

 

信忠「この者達は皆、織田の勝利を信じ、命懸けて戦った勇士達だ。彼等の勇気に敬意を捧げる為、丸根、鷲津両砦に加え、あの桶狭間に吉兵衛の為の石碑を建てようと思う。」

 

信忠「この者達の犠牲、俺は決して忘れぬ・・・必ずや、皆の犠牲が無駄にならぬよう、俺は懸命に戦う所存だ。」

 

信忠「皆、そんな俺を助け、支えてくれ。」

 

信忠は、先の戦で犠牲となった者達の為に、全力で戦うと誓い、助けて欲しいと言った。

 

「「「ははっ!!」」」

 

臣下皆、信忠に身体を向け、頭を下げたのだった。

 

信忠「さて・・・此度の戦で手柄あった者には、恩賞を与えようと思う。」

 

そして、恩賞の話になった。

 

信忠「まずは・・・三太夫!」

 

三太夫「はっ!」

 

最初に、三太夫が呼ばれ、一瞬の間に姿を見せた。

 

信忠「三太夫。お前はいち早く今川の情報を正確に知らせた。お陰で作戦を立てる事が出来た。見事だった。」

 

信忠「その功によって、お前の俸禄を倍とする。今後も励め。」

 

三太夫「ははっ!恐悦至極に存じまする!」

 

信忠「勝蔵と平八!」

 

そして、次は長可と忠正が呼ばれた。

 

長可「は、はい!」

 

忠正「な、何でしょうか・・・殿?」

 

二人共、呼ばれた事に戸惑いつつも、前に出た。

 

信忠「その方ら、許可なく持ち場を離れた・・・これは軍規違反だ・・・」

 

「「・・・」」

 

信忠の厳しい言葉に二人共、頭を下げ何も言えなかった。

 

信忠「しかし、お前達の蛮勇で、今川軍の前衛は崩れ、大いに混乱させた。その武勇、天晴れだ。」

 

信忠「よって、お前達にも恩賞を与える。おい、あれを。」

 

「「ははっ。」」

 

信忠は、二人の武勇を誉めると、小姓を呼んである物を受け取った。

そして、それを持って二人の元へ行き

 

信忠「この短刀をお前達に与える。受け取ってくれ。」

 

短刀を与えた。

二人は、短刀を受け取ると

 

長可「ありがたき幸せ!今後とも励みたいと思います!」

 

忠正「恐悦至極に存じます!今後も励みます!」

 

感激し、頭を下げたのだった。

 

信忠「既に罰は受けたようだしな・・・」

 

長可「あ、あはは・・・」

 

忠正「お気付きで・・・」

 

二人共、信忠の言葉に苦笑しつつも、ありがたく受け取った。

その後、可成と盛政、そして秀隆にその他の家臣も次々と恩賞を貰った。

そして

 

信忠「最後に・・・六。」

 

勝家「はっ。」

 

最後に勝家が呼ばれた。

 

信忠「お前は勇猛に今川本陣に突っ込み、見事今川義元を討ち取った。」

 

信忠「その際、お前が愛用してた槍が斬られた。よって、この槍をお前に与える。」

 

信忠の声に、小姓は再びその場を離れた。

そして、現れるとそこには

 

長可「な、何じゃこりゃ・・・!?」

 

忠正「な、長ぇ・・・!?」

 

可成「ふむ・・・大身槍と言ったところかのぅ・・・」

 

秀隆「穂先だけでも二尺は軽く超えてますよ・・・!」

 

盛政「す、凄い・・・!」

 

小姓三人が顔を歪めて何とか持っている程の大きさを誇る大身槍があった。

その大身槍を見て勝家は

 

勝家「んっ!」

 

アッサリと軽く持って立ち上がり、庭に出ると

 

勝家「はっ!やぁっ!とぉっ!」

 

ブゥーン!ブォーッ!

 

すぐさまその大身槍を豪快に振り回した。

それだけで強烈な風が吹き回った。

そして、槍捌きを終えると

 

信忠「見事だ!まだお前に与える物がある!」

 

信忠は、笑みを浮かべて勝家の剛勇を讃えた。

しかし、まだ勝家に与える物があると言い、手を叩いた。

すると、今度は赤茶色の体毛で、尚且つ明らかに普通より大きく立派な馬が現れた。

加えて、いななきも非常に派手だった。

 

信忠「この馬をお前に与える!なかなか立派なんだが、誰にも懐かぬ馬なんだがな。」

 

信忠の言葉を聞き、勝家は馬に近付いて二、三度撫でた。

そして、馬を落ち着かせるとその背に跨った。

普通だったら、この馬はこの時点で暴れてしまうのだが、暴れる事はせず、鬣を震わせて気持ち良さそうにしていた。

 

信忠「ほぉ・・・こうも簡単に・・・流石だな。」

 

信忠は、勝家が見事に手懐けた事に感心していた。

そして

 

勝家「この大身槍と言い、馬と言い、ありがたく頂戴致します!!今後とも、この褒美に相応しい武働きを見せたいと思います!!」

 

勝家は、馬から降り、跪いて嬉しそうに頭を下げてお礼を言った。

信忠は、勝家に近付きしゃがむと

 

信忠「頼むぞ、六!!」

 

勝家の肩を叩いた。

勝家は、顔を上げ

 

勝家「はい!!」

 

笑みを浮かべて返事をした。

お互いに心から信頼し合った表情だった。

こうして、論功行賞は無事に終えた。

その後

 

勝家「信忠様。早速此奴に乗って駆けても良いですか?」

 

信忠「ああ、構わぬぞ。」

 

勝家「ありがとうございます!」

 

勝家は、褒美で貰った馬に跨り、駆けて行った。

その速さは、まるで疾風のようだった。

戻って来ると

 

勝家「素晴らしい馬でした!!まるで私と馬が一体になっているような感覚でした!!」

 

勝家は、いつになく興奮した様子だった。

 

信忠「ははは!お前のその笑顔を見れて俺も恩賞を授けた甲斐がある!!」

 

信忠「今後共頼むぞ!!」

 

勝家「はい!!」

 

そして、お互いに笑顔で見つめ合ったのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。