うつけ姫の弟   作:ホークス馬鹿

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遠交近攻です。


遠交近攻

小谷城

 

 

 

 

小谷城の大広間の中央に、見目麗しい若者が姿を現した。

 

長政「私が浅井備前守長政だ。」

 

その者の名は浅井長政。北近江を支配している戦国大名だ。

 

「こちらが、我が主の書状でございます。我が殿は、当家との同盟を切に願っております。」

 

使者は、書状を取り出し置くと、浅井の家臣がそれを取り、長政に渡した。

長政は、書状を開き目を通した。

 

長政「・・・っ!?」

 

この時、とある一文を読んで一瞬驚愕した表情に変わったが、すぐに切り替え

 

長政「・・・成程。確かに我ら浅井にとってこの上なく良い話だ。」

 

長政「良いだろう。我ら浅井は、織田との同盟を受け入れよう。」

 

同盟締結を受け入れた。

 

「それでは、同盟の証として我が主の妹君を迎えさせましょう。」

 

そして、同盟の証として妹を迎えさせると伝えた使者。

 

長政「うむ。それで良いだろう。」

 

長政は、条件を受け入れた。

その後、段取りを話し合った後、使者は小谷城を後にした。

 

長政「皆、下がれ。」

 

「「「ははっ!」」」

 

臣下を下がらせた後、長政は一人になって考え込んだ。

 

長政(まさか・・・私の秘密を知っていたとは・・・なんて恐ろしい男なんだ・・・織田信忠・・・)

 

長政は、胸元を腕で覆うようにして端整な顔を歪めた。

実を言うと長政、見た目美少年なれど、本当の性は女性だったのだ。

何故姫大名や姫武将がいるにも関わらず男装しているのかと言うと、彼女の父久政は保守的な人間で、女子が大名になるなど末代の恥と言わんばかりに頑なに嫌っていたからだ。

とは言え、長政は女子でありながら文武共に聡明だった為、やむなく彼女を後継ぎにした。

その際

 

「浅井家を継ぎたくば、女を捨てて男になれ。」

 

「女を選べば、人質として六角に行かせる。」

 

と言われてだった。

久政に言われて以来、彼女は女である事を捨て、男として生きていこうと決意したのだった。

しかし、そのような極秘は久政を入れてほんの一部しか知らない事だった。

にも関わらず、信忠は知っていたのだった。

 

長政(とは言え、この同盟は我ら浅井にとって有効だ・・・様子を見るか・・・)

 

しかし、浅井にとって有益な同盟なので、取り敢えず一旦様子を見ようと決めたのだった。

 

 

 

 

清洲城

 

 

 

 

信奈「そう・・・同盟は受け入れたようね・・・」

 

信忠「はい。これで義龍に南北から圧力を掛けられます。」

 

信奈「それで・・・本当に市を浅井に迎えさせるのよね・・・」

 

信奈は、同盟の証に妹のお市を浅井に迎えさせるのに躊躇いがあった。

 

信忠「これも、天下の為です。」

 

信忠は、世の為だと冷静に言った。

 

長秀「・・・信忠様。お市様は、姫様と信忠様の妹君ですよ。」

 

そんな信忠に、長秀は嗜めるような表情を見せた。

信忠の発言が、どこか女を政治の道具に扱っているかのように聞こえたからだ。

 

信忠「市は大切な妹だ。俺とて好きでこのような事を考えておらぬ。」

 

長秀「なれば信忠様。そう思うのであるならば、せめて・・・!」

 

信忠「しかし、私情を挟んで大局を見誤れば、それこそ我らが滅ぶだけだ。」

 

信忠「万千代。何か他に考えがあるなら、今ここで申してみよ。」

 

信忠は、冷静さを崩さずに長秀に答えると

 

長秀「そ、それは・・・」

 

長秀は何も言えなかった。

 

信奈「・・・もう良いわ、万千代。市をここに呼んで。」

 

そして、信奈は市を呼んだ。

暫くして、艶やかな黒髪ロングが特徴の一人の美少女が現れた。

彼女の名はお市。信奈と信忠の妹だ。

 

お市「お姉様。お呼びですか?」

 

お市は、呼び出した理由を尋ねると

 

信奈「・・・市。その・・・」

 

信奈は、言いにくそうにしていた。

そこに

 

信忠「北近江の浅井と同盟が成った。市、お前は浅井の所に行け。」

 

信忠が代わりに答えた。

 

お市「・・・分かりました。」

 

お市は、全てを察したかのように特に何も言わず、命令を受け入れた。

その数日後、お市は浅井に行ったのだった。

暫くし、入れ違いに良晴が戻って来たのであった。

・・・半兵衛を連れて来て。

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